「想いと勇気」
「最近、蒼星石があんまりかまってくれないですぅ」
翠星石は虚空につぶやいてみた。
他の誰かに声を掛けて欲しいわけではなく、ただ口にしたかっただけだ。
それはというもの蒼星石が犬耳プレイを仕掛けてきた日以来、すっかりすれ違いの生活なのだ。
本人はマスターの仕事の手伝いなどといっているが翠星石の勘からするとあれは避けていると見ていい。
自分が嫌われるはずもないという自信はマントルから溶岩が飛び出るくらいあるのだが・・・・。
はぁ~っと溜め息をつくと愛用の買い物手提げを持って玄関を出た。
「今日は何かおいしいものでも作ってぱーっと元気出すですぅ!」
桜吹雪と新緑の芽生えが入り混じった暖かい日。
陽射しは柔らかく、風が心地いいのだがやはりどこかスッキリしなかった。
「ふぅ、どうしたものか・・・・」
蒼星石もまた一人悩んでいた。
それもそのはず、あんな行為に出てしまって恥ずかしくないわけがない。
真紅に「翠星石にも同じ格好させればいいじゃない」なんていわれ「なるほど」なんて思っていたが、
よくよく考えてみると頼むのも相当恥ずかしい。
「なんて恥ずかしいことをしてしまったんだ僕は・・・・」
あの日のことを思い出して赤面しては溜め息をつく。
先ほどからこれの繰り返しばかりでちっとも前に進まない。
「誰かに相談・・・・してみようかな」
最初に真紅の顔を浮かべたが彼女は何に悩んでいるか知っているし、
きっと報酬にまた原稿のネタをせびってくるだろう。
それに付き合わされる水銀燈もかわいそうなのでとりあえず真紅は候補から消すことにした。
Case1.金糸雀
「大切な相手の秘密を見てしまったときの対処方法が知りたいのかしら??」
スーパーで偶然会った金糸雀と翠星石がベンチで話込んでいた。
最初は料理の話をしたりしていたが徐々に話は大事な人の話になっていったため参考までに聞いてみた。
「まぁ深く突っ込まないことにするかしら」
「そうしてくれるとありがたいですぅ」
しばしの間、金糸雀はうーんと首をひねった。
話が漠然としすぎていてなかなかよい答えが出ないのであろう。
「えーとですぅ、例えば金糸雀がみっちゃんさんの秘密を見てしまって急にすれ違うようになったらどうするです?」
「みっちゃんとカナがすれ違うことは絶対無いと思うけど、もしそんなことになったら秘密を共有してあげるかしら」
金糸雀からまさかヒントをもらえるとは思ってもいなかった翠星石は驚いてた。
「秘密の度合いにもよるけれど許せる範囲なら理解してあげたいと思うのかしら」
「悪いことだったらしっかり叱って諭してあげることも大切かしら~」
「まさか・・・・お前の口からヒントが出てくるとは思わなかったですぅ。明日は大雪ですか?」
「さらっとひどいこといわないでほしいのかしら・・・・」
「金糸雀が初めて姉らしいこといったですから・・・・。でもありがとですぅ」
ヒントを得た翠星石は買い物を再開した。
後ろのほうで金糸雀が何か叫んでいたが時期に聞こえなくなった。
Case2.雛苺
「うゆ?きまずいふんいきをなくすほうほう・・・・?」
桜田家に苺大福を土産に蒼星石はやってきた。
時間的に翠星石がいないことは分かっていたが真紅と遊びに来ているだろう水銀燈までいないとは思ってもいなかった。
「君にはまだ難しいかな?喧嘩とは違うんだけど意識して避けちゃうんだ」
一瞬悩んだかとおもうとぱっと顔を明るくして雛苺は楽しそうにいった。
「だったらちゃんとお話すればいいの♪」
「それが難しいから聞いているんだけどね」
「それは難しいんじゃないのよ。ただ一歩を踏み出す勇気が足りないだけなの。だから背中押してあげるの!」
蒼星石は思わずぽかんとまぬけな顔をする。
「子ども扱いしてごめん、君のほうがよっぽどいい考えを持っているね」
「蒼星石は思いつめることが多いの。だから雛もお話したかったのよ」
にっこりと笑う雛苺にすっかり毒気を抜かれた蒼星石は真紅が帰ってきたのと同時に逃げるように飛び出していった。
Case3.水銀燈
「なぁに一人でぼけっとしてるの?いつもベッタリのお姉さんはどうしたのかしら?」
公園で作戦を練っている蒼星石の前にひょっこり水銀燈が現れる。
どうやら真紅は一緒ではないようだ。
「やぁ、水銀燈。僕だってたまには考え事したりするよ」
「あらぁ、皮肉を交えていったつもりだったけどぉ暖簾に腕押しねぇ」
肩掛けポシェットから出した乳酸菌飲料をぽんと投げてよこした。
「あ、水銀燈ごめんね。真紅にあんなの見られちゃったせいで大変だったでしょう?」
頂いた乳酸菌飲料を一口飲みながら謝罪の言葉を口にする。
実際蒼星石が悪いわけではないが間接的には加害者な気分だからだ。
「やっぱりあなたたちだったのね。あの子随分と激しいことしてきたわよ」
「やっぱり気まずい雰囲気?」
「そうね、あの子はともかく私としてはね」
水銀燈は乳酸菌飲料をグッと一気飲みする。
口ひげを作りながらにっこり笑っていた。
「でも一生そんな気分のままじゃないし、ジャングになるわけじゃないから気にしすぎないこと!分かったかしらぁ?」
気がつけば夕暮れ。
姉妹からもらった勇気と自信を胸に一路足を桜田家に再度進ませていった。
Case4.真紅
「ただいまですぅ」
出かける前より少し前向きになった翠星石が帰ってきた。
今日は春らしいご飯にしようと意気込んで色々買ったきたのだ。
「あら、おかえりなさい」
両手を後ろでにやって真紅がにっこりと迎え出てくれた。
「今日は珍しいことが多いですね。真紅がお迎えしてくれるなんて」
「翠星石、なにも言わずこれを使いなさい」
ポスっと紙袋を投げ渡される。
わりと重量感じる袋を開けようと手をかけた。
「ここであけてはダメよ。それは蒼星石との微妙な関係を修正する秘密兵器なのだわ」
「秘密兵器ですかぁ・・・・?って真紅にはバレてたですか」
「フフ、誰に言ってるのかしら?私はローゼンメイデン第5ドール真紅・・・・」
「乙女の愛を追求し、原稿にするものよ!」
「こんばんわぁ。水銀燈がご飯食べに来てあげたわよぉ」
「お邪魔します」
水銀燈と蒼星石が正反対の態度であがってくる。
食卓からはいいにおいが流れて二人の鼻を刺激した。
「それではみんなで食べるですぅ」
食卓に皆集まってくる。
今晩はたけのこご飯にたらの芽などの山菜の天ぷら、春キャベツと山菜の梅肉おひたし、
ホタテのお刺身や鰆の香草焼き、アサリの味噌汁など様々な春らしい料理が並んでいた。
「綺麗ねぇ」
「さすがだね。すごくおいしそう」
「これは驚いたのだわ」
「翠星石すごいのー」
各々良いリアクションをしてくれて翠星石は鼻高々にしている。
そんな翠星石を蒼星石は優しく見つめていた。
「それではお泊まりという名の締め切り缶詰生活してくるのだわ」
「翠星石、おいしかったわよ。今度めぐも連れてきていいかしら?」
「雛はトゥモエのおうちにお泊りしにいくの~」
翠星石と蒼星石が仲良く夕食の後片付けをしている最中だった。
三人がそれぞれ出て行ってしまって家には二人だけになってしまう。
急にキッチンを静寂が訪れた。
「「あの」」
静寂が我慢できなくなったのは二人とも同じで思わずハモる。
お互い譲り合うことはしなかったが姉ということもあって翠星石が先に口を開いた。
「久しぶりに二人っきりになれたですぅ。ミルクでも温めるからゆっくり話すです」
鍋に掛けられたミルクがコトコト音を立てる。
やはりお互いを意識しているせいか二人とも固い。
翠星石はふと真紅から秘密兵器とやらを渡されたことを思い出した。
恐る恐る袋を開けてみる。
そこにはこの前蒼星石がつけていたものとは違う耳と尻尾が入っていた。
「(ななな、なんつー物を渡して行きやがるですか!)」
紙袋の中には丁寧にローションと真紅が書いたであろう「キツネ耳で決めなさい」というメモが入っていた。
「翠星石、どうしたんだい?耳が真っ赤だよ?」
「何でもないですぅ!!もうちょっとでできるからテレビでも見て待ってるですぅー」
蒼星石にはもうわだかまりはないようだ。
雛苺や水銀燈のおかげか多少緊張していることを除けば随分とスッキリしていた。
「ふぅ・・・・理解してあげたい・・・・ですか。別に想い合っている二人がするんだから悪いことではないはずですぅ・・・・」
観念したかのように翠星石はヘッドドレスを外した。
先ほどから聞こえてくる衣擦れ音が蒼星石は気になって仕方なかった。
だけど振り返ってはいけない気がして大して面白くもないTV番組を眺めていた。
ふとその音が止まり気配が背後に近づいてきた。
「まっ、まだ見ちゃだめですぅ!!」
少し強い語気で翠星石が振り向くことを拒む。
コトっと机の上にホットミルクが置かれた。
「もう・・・・こっち見ていいですよ・・・・」
思わず生唾をゴクンと飲み込んでゆっくりと振り返った。
「すっ、翠星石!?」
「そ、それは?」
「見てわからねーですか?キツネですよ・・・・」
キツネ耳を装着し、ドレスを脱いだ翠星石がものすごく恥ずかしそうに顔を赤らめて視線を逸らす。
「どうして・・・・そんな格好を?」
「蒼星石のこともっと理解してあげたいって思ったですぅ・・・・だから蒼星石のしたいことさせてあげたいです」
ドキッと心臓が思わず高鳴る。
自分からこんな大胆な格好をしておいて照れる翠星石がたまらなく愛しくなり、少し意地悪になる。
「すごく似合ってる・・・・。でも何故しっぽを手に持っているいるんだい?」
「あの、その・・・・つけ方が分からないですぅ・・・・蒼星石やってくれるですか?」
この目が蒼星石の熱に拍車をかける。
恥ずかしそうに懇願してくるその目が刺激をしてくるがあえてここは我慢して自分のペースを貫く。
「貸してごらん。ほら後ろ向いて四つんばいになってくれる?」
一瞬躊躇するように、でも従順に蒼星石に従う。
先っぽにいやらしいモノが付けられた尻尾とローションを渡した。
「こうですか・・・・?」
四つんばいになり、お尻をツンと上げ蒼星石を見上げる。
迷いなく下着をずらし、そこに手を当てた。
「んっ!そっ、蒼星石ぃ」
「大丈夫だよ。・・・・それにしてもよく濡れているね。興奮してる証拠だね。これならローションはいらないかな?」
「でも今日は使おうか。ヌルヌル地獄もよさそうだよね?翠星石」
言葉で攻めるように翠星石に語りかける。
今度は躊躇せずコクンと頷いた。
翠星石のそこは十分に潤っているがあえてたっぷりのローションを掛ける。
一瞬ひやっとしたが温感タイプなので次第に肌の温度になじんでいった。
指で秘裂をなぞってみる。
「んんっ♥」
熱のこもった吐息が漏れ思わず両手で口元を押さえた。
「気持ちよかったかい?じゃあもっとしてあげる」
あえて中に進入させず突起と割目を何度も何度もヌルヌルと往復する。
その度にローションとは違う淫靡な液体が漏れてきた。
「いい?翠星石、尻尾を入れたらもう人間の言葉は話せないからね。君はキツネなんだから」
「はっ、やぁ・・・・んっ・・・・キツネの・・・・鳴き声なんてぇ・・・・知らないですぅぅ・・・・」
「なんとなくでいいよ、翠星石なりに・・・・ね」
滑らかに尻尾が秘裂を進入していく。
たくさん濡らしてローションもたっぷり塗りつけたおかげかヌルンと翠星石の中へ入っていった。
「ひゃぁっ♥♥♥」
「だめっ、腰が・・・・抜けちゃうですぅ・・・・♥」
「コラ~キツネが喋っちゃだめだろう?」
いつの間にか蒼星石の言葉攻めもヒートアップしあえて優しく厳しいことをいう。
「僕のかわいいキツネさん、声を聞かせておくれ」
「あぁっ♥・・・・・・・・きゅ~んきゅ~ん♥」
「すごく・・・・かわいいよ・・・・もうだめだ・・・・理性が保てない」
我慢の限界が来た蒼星石はキツネの翠星石へ覆いかぶさり激しくその躯をむさぼり始めた。
右手でヌルヌルの尻尾を何度も出し入れし、左手で翠星石の口の中を楽しんだ。
「きゅ・・・・あっ♥らめぇ、そんなに激しく・・・・しちゃらめですぅ―♥」
「フフ、キツネはしゃべっちゃだ~め」
尻尾の出し入れの加速と同時に翠星石の口の中を犯していた左手を秘裂の先端にの突起へあてがって小刻みに動かす。
腰が何度も浮き沈みを繰り返している。・・・・限界は近い。
「もう・・・・限界ですぅ・・・・きゅ・・・・きゅーーんんん♥♥♥」
「フフ、すごい乱れていたね」
「はぁはぁ・・・・ひ、久しぶりだったですし・・・・蒼星石がすけべだからですぅ!」
いつもの二人に戻り優しくお互いを抱きしめ深いキスを交わす。
その温かい体温が愛しくて二人はそのまま目を閉じた。
「なるほど・・・・そうくるの・・・・。さすが蒼星石、言葉攻めのプロフェッショナルなのだわ」
某所にてパソコンのライブ中継を真紅が見ていた。
「と、盗撮なんてやめなさぁいよぉ。相変わらず趣味が悪くてよ・・・・真紅ぅ」
「このプレイはかなり完璧に近いのだわ!いやらしいのだわ!いやらしいのだわゎ!!」
聞く耳を持たないいやら真紅に水銀燈は乳酸菌飲料をヤケ飲みするのだった。
おしまひ