上弦の力・一級呪術師の力 ◆.EKyuDaHEo
「厄介な事になったな…」
ここはエリアA-4、河原と林の間に挟まれ身長がでかくまるでゴリラのようにがたいの良い男…東堂葵は頭を掻きながら溜め息を吐いた
唐突に見知らぬ場所におり、そこで現れた男…そしてその男からいきなり殺し合いに参加してもらうと言われた…その後にも一人殺したら5ポイント、25ポイント貯まればルール追加、50ポイント貯まれば脱出でき願い事も叶うと説明があった…
「全く…悪趣味な事考えやがる…」
しかしいくら全部が真実だとしても東堂はこの殺し合いに乗る気はなかった、それこそ罪なき参加者を殺そうとするなんて呪霊と同じことだ
(奴から呪力が感じられていたが…分かったことは恐らく呪霊側の人物だということだけだな…)
東堂が言う奴というのは主催の男、羂索のことだろう
羂索からは呪力が感じられていたし『呪術』や『結界』という言葉を使っていた
東堂達の世界には呪術も結界も存在する…だが羂索が呪霊側の人物ということだけで何者かは分からなかった
「とりあえず名簿を見てみるか、ブラザーが巻き込まれている可能性があるからな」
そう言い東堂は名簿を開いた、東堂が言ったブラザーというのは虎杖悠二の事である
虎杖は東堂の京都校呪術専門高等学校と姉妹校である東京校呪術専門高等学校の一年生であり、交流会の時に偶然女の好み(タイプ)が一致し親友(ベストフレンド)になり今は超親友(ブラザー)と呼べる程の仲になっている(最初は東堂の積極的な態度で半ば強制的な感じであったが)
彼もこの殺し合いに連れてこられている可能性があると思い東堂は名簿を開く
「…やはりブラザーも来ていたか…他はブラザーの友達の伏黒にMr.七海…か」
虎杖も巻き込まれていることに再び溜め息を吐く東堂、他には虎杖の友達である伏黒と自分達と同じ呪術師である七海の名前が載っていた
(この下にある禪院直哉と伏黒甚爾は恐らく真依と伏黒の親族か…)
東堂は自分達の下の方にある『禪院直哉』と『伏黒甚爾』の名前に目が止まった、あまり話に聞いてなかったが恐らく親族だろうと東堂は思った
「乙骨や他の奴らはいない…か」
東堂は虎杖のもう一人の友達である釘崎、東京校2年の乙骨達に自分と同じ京都校の真依達がいないことも確認し名簿を閉じた
(にしても…奴は一体何が目的なんだ…?全くもって分からんな…)
参加者である自分達にいきなり殺し合いをさせることに東堂は理解できなかった、ましてや呪術師同士が争うなんてことは確実にないと言っても過言だろう…
「考えるのは後回しだ、とりあえずブラザー達を探しに行くとするか…」
そう言い東堂は歩きだした…その時…
「!!」
───ズドォォォン!!───
背後から異様な気配を感じとった東堂はすぐさま避ける…するとさっきまで自分がいた場所に『何か』が飛んできた…いや…正しく言うと『何者か』が飛んできた…やがて煙が晴れそこにいたのは死人の様な肌の色に紅梅色の短髪、どこか幼さも残る中性的な顔立ち、細身ながらも筋肉質な体格の若者といった外見であり、顔を含めた全身に藍色の線状の文様が入っており、足と手の指は同じ色で染まっていて、爪に至っては全て髪と同じ色である、そして右目には『上弦』、左目には『参』の文字が刻まれていた男が立っていた…
「ほう…俺からの突然の奇襲をかわせるとはな…さてはお前、強いな?」
「…だったら何だ?俺に何か用か?」
突然やってきた男に対し東堂は何か用かと聞くが猗窩座は構わず続ける
「見るからに参加者みたいだな…お前、名前は何だ?」
「…京都3年、東堂葵…自己紹介終わり」
「そうか、俺はお前と同じ参加者の猗窩座だ…なぁ葵「ちょっと待て」…は?」
猗窩座が話そうとしていると東堂が横から遮った
「何だいきなり、俺がまだ話している途中だが」
「今から聞く質問に答えてもらう、その返答によっては話を聞く」
「…いいだろう、で、何の質問だ?」
すると東堂が先程よりも声量をでかくして言った
「どんな女が好み(タイプ)だ!」
「…は?」
「ちなみに俺は身長と尻がデカイ女がタイプだ!」
(何を言ってるんだこいつは…?脳ミソが頭に入ってないのか?)
再び二度目の困惑。
人の話を遮っておいてしてきた質問に猗窩座はふざけているのか?と思わざるをえなかった
「女の好み(タイプ)だと?…何故そんなことを聞く…」
「気にするな、ただの品定めだ」
「…どんな質問をしてくるかと思えば…くだらない、悪いが俺には好み(タイプ)などない、俺は戦いにしか興味がないからな」
「…そうか…」
猗窩座はキッパリとそう答えた、すると東堂は自分のデイバックと学ランを木の方へ投げると…
「退屈だな、お前は」
「!!」
東堂は人並み外れた速度で猗窩座の目の前に近づいた、そして拳を叩き込んだ…猗窩座は咄嗟に防いだのもあり吹き飛ばされることはなかった
(なんだ…今の奴のスピードは…それに奴のあの拳…なるほど…奴は柱やその連中とは違い、肉弾戦が得意みたいだな…)
猗窩座は今の東堂の動きをみて推測していた、しかしそれは東堂も一緒だった
(奴から呪力は感じられない…だが、奴から異様な気配を感じる…明らかに普通じゃないな…一体何者だ…?)
東堂は猗窩座から異様な気配を感じていた、今は殺し合いの場であるが東堂はもちろん殺し合いには乗らない、もし相手が普通の人間であればお前には興味ないといって去るだろう
しかし猗窩座から感じとった気配ゆえの行動だった
お互いが推測する中、先に口を開いたのは猗窩座だった…猗窩座も東堂と同様にデイバックを投げ話しかける
「素晴らしい拳だ、葵…そんなお前に素晴らしい提案をしよう…なぁ、お前も鬼にならないか?」
「…何?」
「鬼になれば老いることも死ぬこともない…お前も鬼になれば今の若さのまま、そして今の強さのままずっと生きることができる…どうだ?」
「…断る」
東堂は再び近づき拳を放つ…しかし…
「何故だ葵…」
しかしその拳は止められてしまった
「…お前はどうやら呪霊じゃないようだから分からないかもしれない、そして逆に言えば俺からしたらお前が言う鬼というのもよく分からない、だが一つだけ言えることがある、鬼になるというのは俺からしたら『呪い』になるようなものだ」
「…そうか」
すると猗窩座が蹴りを入れようとするが、東堂はギリギリそれを避け後ろに下がる
「確かにお前が言う『呪い』というのは俺からしたら分からないが…つまり鬼になるのが嫌、ということか?」
「あぁ、そうだ」
「そうか…鬼にならないのなら…」
この時東堂は感じた…猗窩座から溢れでている…殺気を!
「殺す!!!」
「!!」
目の前に近づき瞬時に放たれた拳は先程放たれた蹴りとは比べものにならないぐらい強烈だった、東堂は咄嗟に防いだがそれでも腕に痺れが生じる程の攻撃だった
(こいつの攻撃…やはり生半可な威力じゃないな…!だが!)
「ふんっ!!」
「がっ!?」
(こんなことでやられる俺じゃない!!)
だが東堂も負けじと防ぎやり返す!顔を殴り飛ばした猗窩座にさらに追い討ちを掛けようと拳を猗窩座の腹に叩き込む!
「ぬぅん!!」
「ぐはっ…!!」
さらに猗窩座は吹っ飛ばされる…だが…
「いい!実にいいぞ葵!もっと!この俺を!!楽しませてみろ!!!」
「ぐっ…!」
受け身をとり近くの木を蹴って一気に東堂に連撃を放った
(俺の拳を受けてもびくともしないか…特級並に厄介だな…!)
自分が放った拳を受けてもびくともしない猗窩座は特級並に厄介だと東堂は思った
猗窩座は鬼であるが呪霊ではない、そして尚且つ日輪刀で斬られてないのもあり東堂の攻撃は痛手ではなかった
だからといって黙っている東堂ではない
「やるな…だが!」
「!?」
猗窩座の攻撃を受けたもののすぐさま後ろに回り込み、そして…
「ぬぅぅぅん!!!」
「がはっ……!!」
猗窩座を掴みバックドロップを決めた
東堂は非術師の家系でありながら在学中に一級に昇格している
そして一級呪霊以下であれば呪力操作と体術のみで祓除でき、呪霊の一番上位である特級呪霊をも打ち倒したことがある
そんな彼も猗窩座に負けない実力を持っている
東堂は数歩下がり、猗窩座もバックドロップを喰らいながらも起き上がる
「素晴らしい!実に楽しい戦いだ!」
「…中々しぶといな」
「さっきも言った通り俺は鬼だ、鬼になればどれだけ傷を負おうと再生できる、これが鬼の良いところの一つだ、そして俺はお前と戦うのがまさに楽しいのだ、鬼になれば俺と一生戦うことができる、お前も鬼になるんだ、葵」
「…確かに戦いというのは良いかもしれない、だがそれは俺が認めた相手の場合だ、お前はとことんつまらん奴だ」
「何?…俺がつまらない…だと…?」
「そうだ、いいか?性癖にはソイツの全てが反映される、女の趣味がつまらん奴はソイツ自身もつまらん、俺はつまらん男が嫌いだ、そしてお前はさっきの俺の質問をくだらないと言ったな?だがな…女のことをくだらないと言ってるやつが一番つまらないんだよ…つまり俺はお前が嫌いだ、いくらお前が何度も誘ってこようとつまらん奴の指図は受けつけない」
東堂は猗窩座にそうキッパリと言い放った、その言葉に猗窩座は…
「そうか…断固として鬼にならないのか…なら…本気で殺しにいかせてもらう!」
そう言い放ち、構えた
──破壊殺・羅針──
そう言うと猗窩座は足元に雪の結晶の陣を出現させた…
(奴の気配が変わった…)
東堂は猗窩座の気配の変化を感じとり警戒しながらも瞬時に後ろに回り蹴りを入れ─────
──破壊殺・脚式 冠先割──
「ぐっ!?」
しかし、血鬼術を使った猗窩座には東堂の動きが読めており東堂が蹴りを入れる前に攻撃の態勢に入っていた猗窩座の攻撃を逆に喰らってしまう
「これが俺の血鬼術の効果だ、残念だが今の俺にはお前の動きは全て見えているぞ」
「…全く、厄介だなその血鬼術というのは…」
「まだまだ!!」
──破壊殺・乱式──
「ぬぐぅっ!?」
そして次に放たれた血鬼術、破壊殺・乱式を喰らってしまい東堂は吹き飛ばされてしまった
「…立て、まだお前の闘気は溢れている、まだ戦えるだろう」
「……女の趣味は悪いのに中々やるじゃないか…まさかここまでやるとはな…」
「当たり前だ、俺は鬼になってからずっと戦いに明け暮れていたんだ、女のことばかり考えているお前とは違う」
「言ってくれるじゃないか、なら…俺も本気でいかせてもらう」
「何?お前もまだ本気を出していなかったのか?ハハハ!いいだろう!見せてみろ!お前の本気を!そしてこの俺を存分に楽しませてみろ!」
「そうか…なら…俺の不義遊戯(じゅつしき)を解禁する!」
そう言い放ち東堂は近くの石を拾い、猗窩座の方に向かって投げた
「それが本気か?冗談も休み休み言え!」
しかし飛んでくる石を当然のように顔を傾けて避けた
──パァン!!──
バキッ!!
「がはっ!!?」
しかし唐突に何故か猗窩座の肩に強烈な痛みが走った
(何だ!?何が起こった…!?)
そして何が起きたのか確かめるために後ろを見上げた…するとそこには…
「な、何故お前が…!?葵…!!」
何とそこには先程まで前の方にいた東堂が猗窩座の肩にかかと落としで攻撃していた…
「これが俺の術式、不義遊戯!!!」
──不義遊戯──
手を叩くことで、術式範囲内にある“一定以上の呪力を持ったモノ”の位置を入れ替えることができる術式
東堂は先程猗窩座に向かって石を投げた、そしてそれを猗窩座は避けた、しかしそれは全部東堂の読み通りに事は動いていた
本来石には呪具などのように呪力が込められていない、しかし東堂は瞬時に石に呪力を込め自分の位置と呪力の込もった石の位置を入れ替え猗窩座に攻撃したのだ
「どうやら俺のこの不義遊戯の動きまでは読めなかったらしいな!」
「…甘くみるな!!」
しかし猗窩座も負けじと血鬼術を発動する
──破壊殺・滅式──
──パァン!──
「どうした!俺はこっちだ!」
「ちょこまかと!」
しかし東堂は再び呪力を石に込め、別の場所に石を投げて不義遊戯を発動させ避ける、それでも猗窩座も負けじと脅威的なスピードで再び近づく
──破壊殺・砕式 万葉閃柳──
──パァン!──
しかし東堂は猗窩座の攻撃をまたもや避け、猗窩座の血鬼術、万葉閃柳により地面にヒビが入った
「今度はこっちから行くぞ!!」
「!!」
そう言うと東堂は猗窩座に向かって走り出しながら呪力を込めた石を再び投げた
(また同じ技を出すつもりか?バカめ!この俺が何度も同じ手を喰らうと思うな!!どうやら奴は自分と別の物の位置を変えることができるらしいな…それが分かれば簡単な事だ!!)
そして猗窩座は飛んでくる石を見過ごすと後ろを振り向き…
──パァン!──
「そこだ!!」
──破壊殺・滅式──
再び破壊殺・滅式で攻撃する…そしてその攻撃は紛れもなく当た───
「な、何…!?」
らなかった…何故かそこにはいるはずの東堂がいなかった…
また別の術を使ったのかと考える猗窩座…
(いや…違う…)
微かに後ろから感じる闘気…
(まさか…奴は…)
──入れ替わっていなかった…!?──
「手を叩いたって術式が発動するとは限らない…単純だけどひっかかるよな」
「何だと…がっ…!?」
「ぬぅん!!」
「ぐわぁぁっ!?」
気付いた時には既に東堂は攻撃の態勢に入っており、強烈な拳を猗窩座の顔面に叩き込み、さらには足を掴んで林に向かって猗窩座を投げ飛ばす
しかし投げ飛ばされ何本かの木を貫通しながらも猗窩座は驚異的なスピードで戻り再び地に着いた
「はぁはぁ…くそ!!一体なんなんだ!その術式とやらは!」
「これが俺の術式…不義遊戯だ、俺からしたらよく分からないが、お前で言うところの血鬼術というものだと思えばいい」
「…厄介な術だな…だがお前との楽しい戦いもここで終幕だ…」
すると猗窩座は後ろに下がり東堂に話す
「葵…お前は非常に強い…お前と戦っていると俺の闘気は溢れるばかり…まさに理想の戦いだ…だが、お前は断固として鬼にならないという…鬼にならないなら殺すまでだ…葵…残念だがお前には死んでもらう…」
そして猗窩座は飛び、構える
「いくらお前の不義遊戯という術を持ってしても俺のこの技からは逃れることはできない!!非常に楽しかったぞ…東堂葵!!!!!」
そしてそれは発動する…
──破壊殺・終式 青銀乱残光──
まるで本物の花火を見ているかのようなその技はまっすぐ東堂の方に向かっていた…しかしそれでも東堂は動じない
(奴はあぁ言っているが俺の不義遊戯さえあれば、奴の攻撃は当たらない…奴もかなり体力を消耗しているはずだ…つまり…この戦いの勝者は俺だ!すなわち…答えは勝利(ビクトリー)!)
東堂は勝ちを確信した…その時…
───本当にそうかしら?───
(!?この声は!!)
確かに聞こえた!自分が聞き間違えるはずがない!この声は…
(た、高田ちゃん!?)
ここはどこかの学校の教室…
東堂が見る先…そこには何と自分が愛して止まない身長180cmの長身アイドル…高田延子がセーラー服を着用し立っていた
「さっき、東堂くんは不義遊戯さえ使っていれば負けることはないと言ったわね?確かにそうかもしれないけど…そう簡単にいくかしら?」
「ど、どういうことだい高田ちゃん?」
そんな東堂は高田に聞き返す
「あの猗窩座っていう鬼が不義遊戯を使った東堂くんでも避けることができない技を放とうとしてるのはでたらめじゃないと思うの、彼は呪霊じゃないと言っても特級呪霊並の実力は持ってると思うわ、それに東堂くんももう気づいてるはずよ、自分が呪力を使う度に疲労がいつもより激しいことに」
「!!!」
「いつもより疲労が激しいということは…不義遊戯を使うのにも限界があると思うの」
そこで東堂はハッとする…考えてみればそうだった…石に呪力を込めた時も、自分が不義遊戯を発動する時も…明らかにいつもより疲労が激しかった
「確かにそうだった…」
「そしてもう一つ…あの猗窩座っていう鬼が自分で言っていたこと」
「…『鬼になれば老いることも死ぬこともない』…『どんなに傷を負おうと再生できる』…」
「そう、ていうことはつまり…彼は本当に死ぬことはないってこと…」
「……」
東堂はなるほどと思いながらも困惑した…そんな相手をどうやって倒せばいいのか…
「でも頑張ればあの鬼を倒すこともできると思うわ」
「!!それは本当かい!?高田ちゃん!」
「えぇ、今東堂くん達は殺し合いの場にいるわ…でも殺し合いの場にわざわざ死なない鬼を参加者に放つわけがないと思うの、あくまでこれは私の推測だけど『傷を負っても再生できる』…でも『死ぬことがない鬼をわざわざ参加者として放つわけがない』…だとしたらあの鬼を倒す手段は………」
ピコーン!
「一気に仕留める!!!」
この間僅か0.01秒
◆◆◆
凄まじい程の爆発音が鳴り煙が舞い上がる…
青銀乱残光を放った猗窩座はふぅと息を吐いた
「…やったか…正直中々手強い相手だった…今でもお前を殺したことが少し悔やんでしまう…だが鬼にならないと言い張ったお前が招いた結果だ…自分の愚かさを恨むんだな」
そう言い猗窩座は立ち去ろうとした…その時…
ビリッ!
「!!」
(何だ…この気配は……まさか…!?)
猗窩座が慌てて振り返る…煙が晴れたそこにいたのは…
「俺が本気の防御態勢に入っていてもこの威力とは…正直お前の技には驚いたぜ…」
「な、何!?」
確実に仕留めたはずの東堂だった
東堂は上半身の服はほとんど破れ様々な箇所から血を流しながらも防御態勢の状態で立っていた
「だがな…俺が本気で固めた肉体と全呪力の前では仕留めるとまでには至らなかったな…!」
(俺の血鬼術を喰らっても立っていられるだと…まさかこいつ…呪力というもので俺の血鬼術のダメージを最小限に減らしたというのか…!?)
「まだ終わりのゴングは鳴ってないぞ…」
「しまっ…!!ぐあっ!?」
青銀乱残光を喰らってもなお東堂はすぐさま猗窩座の目の前に近づき殴り飛ばす
「…ふぅ…高田ちゃんのアドバイスのおかげで奴を倒す方法が分かった…高田ちゃんには感謝しかないな…次回は全握か…感謝の意を全力で伝えねばな…」
※全握・・・全国握手会
………
「はぁはぁはぁ…くそ!」
猗窩座は焦っていた…それは何故か、怪我などの損傷はそこまでない、東堂が使う術式は攻撃系のものではないし東堂から喰らった攻撃も多少再生するぐらいの傷にしか至らなかった…だが一つだけ予想外のことがあった…それは疲労だった
(何故だ…血鬼術を限りなく使ったとはいえ鬼である俺が疲労でここまで苦しむことがあるわけがない…!)
「計算違いな事が起きて随分と困惑しているみたいだな…」
「!!」
(こいつ…何故まだ立っていられるんだ…!?)
振り返るとそこには東堂が立っていた
東堂は今の猗窩座を見てこう思った…これはチャンスだと
(やるなら…今しかないな…正直かなり体力はキツイが…一か八かだ!!)
「悪いが…一気に決めさせてもらう…!!」
「!!」
(何だ…!?奴の気配が変わった…まだ何か術を隠していたのか…!?)
東堂は構え…そしてそれは発動する…
───黒閃!───
打撃との誤差0.000001秒以内に呪力が衝突した際に生じる空間の歪みを指す
衝突の際はその名の通り、黒く光った呪力が稲妻の如く迸り、平均で通常時の2.5乗の威力という驚異的な攻撃を叩き込む
そして東堂はその拳を放った、猗窩座はすぐさま避ける…だが…
ぐちゃっ!!
「な、何ぃぃぃぃ!!?」
(俺の左腕を消し飛ばした…!?何という力だ!?…だが落ち着け…こんなの再生すればどうということはない!!)
それは左腕に当たった…当たってしまった…だが猗窩座はそこまで焦ることはなかった、何故なら自分は鬼だから、すぐさま再生すればどうということはない…そう思っていた…しかし…
「……は?」
(おかしい…何故だ…!?何故……)
腕が元に戻らない……!?
何故か瞬時に戻せる筈の腕がすぐには戻らなかった…今もまだ少しずつ再生を続けている腕に猗窩座は困惑を隠せなかった…
(ふざけるな…!俺は上弦だぞ!?下弦やその他の鬼とは違って力も再生能力も桁違いに上なんだ…なのに何なんだこれは!!?)
猗窩座は自分の再生の遅さに苛立っていた…
しかし、時は待ってくれず東堂は猗窩座に向けて再び放つ!!
───黒閃!!───
ぐちゃっ!!!
「ぐわあぁぁっ!!?」
次に放たれたのは蹴りだったが先程衝突の際に黒光りに光った拳と全く同じものであり猗窩座の反対の腕も消し飛ばした…
「次で確実に仕留める……!!」
東堂は猗窩座の顔に黒閃を当てるべく構える…
(まずい…!次あの技を喰らってしまえば…確実にまずい…!この俺が…やられるというのか…!?)
「これで………終わりだ!!!!!」
そして…
──黒閃!!!──
3発目が放たれる……
はずだった……
(何……!?)
出したくても出せない…体が言うことを利かない…そう、東堂の体力は既に限界を達していた…
「!!この……野郎!!」
「うぐっ…!?」
突如として動きが止まった東堂に猗窩座は一瞬呆気に暮れたが即座にこれは好機と思い、東堂を欠損していない足で蹴り飛ばし林へと駆けていった…
………
「2連チャンが限界だったか…」
正直これは賭けでもあった…後一発放っていれば猗窩座を倒すことはできていたかもしれないと思うと何とも名残惜しい結果になってしまった
しかし最後に吹き飛ばされた際の不幸中の幸いか、自分のデイバックと学ランは無事であり近くにあった
「奴とはまたいずれ会うことになるかもしれない…その時仕留めるしかないか…」
限界まで頑張った東堂だがいくら本気で固めた肉体と全呪力で防いだとしても正直最後の猗窩座の攻撃は大ダメージだった…今は猗窩座から喰らった攻撃や疲労が激しすぎて体もろくに動かせない状態だった
「とりあえず今は少し休むことにするか…ブラザーを探すのはそれからだ…あぁ…高田ちゃん…今すぐにでも会いに行きたい…」
こうして鬼と呪術師の戦いは一先ず幕を閉じた…
【A-4 /河原/1日目・未明】
【東堂葵@呪術廻戦】
[状態]:ダメージ(特大)、疲労(絶大)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]
基本方針:一刻も早くこの殺し合いを潰して高田ちゃんに会いたい
1:今は休む
2:ブラザー達(虎杖、伏黒、七海)を探す
3:あぁ…高田ちゃん…
[備考]
※参戦時期は渋谷事変の真人戦前です
※名簿は確認しましたが支給品はまだ確認していません
◆◆◆
「くそ!!失敗した!!何もかも計算が狂った!!」
猗窩座は先程戦った東堂と距離を離すため森を駆けていた、そもそも猗窩座は素早くポイントを稼ぎ新たな強さを手に入れるために動いていた、名簿や支給品もとりあえず一人目を殺した後に確認しようと考え、移動の途中で見つけた東堂に奇襲を仕掛けたが彼の強そうな素振りに鬼にしようと考えた、しかしそんなこと考えるんじゃなかったと今になって後悔した
(何なんだ!あいつの術は…!全く感知することができなかった…!それに最後に放った打撃…明らかに今までやっていたものとは訳が違った…!)
まさかこんなにも計算が狂うとは思いもしなかった
猗窩座は林の中を駆けながら東堂のことについて推測していた…東堂の術である不義遊戯…そして最後に放った黒光りの打撃…まさか自分の両腕を消し飛ばす程の威力があるとは思いもしなかった…しかしそんなことよりも焦っていたことがあった…それは…
「くそ!何故だ!?何故まだ元に戻らないんだ!」
自分の両腕の事だった…あれから何分か時間が経っているというのに腕は徐々に戻っているものの完治とまではいかなかった…本来なら瞬時に完治しているはずなのに明らかに再生速度が遅くなっている
(よくよく考えてみれば体力の消耗も明らかに激しかった…威力だってそうだ…本来ならあいつを仕留めることはできた筈だ…それなのに仕留めることができなかった…!!…そうか…)
「これも全部あの男の仕業か…くそが!!」
猗窩座がいう男というのは東堂と同じ主催である羂索のことだろう…そもそも猗窩座は鬼殺隊の面々と戦うために待機している時にこの殺し合いに呼ばれてしまった
そして猗窩座は東堂から言われた不快な言葉を思い出してしまった
『つまらないな…お前は』
『女のことをくだらないと言ってるやつが一番つまらん』
(何なんだあいつの言葉…あの言葉を思い出すだけで頭痛がする…!!)
何故かあの言葉が頭から離れない、今の猗窩座にはそれが耳障りで仕方がなかった…
(俺がつまらないわけがない…!次に奴に会った時は必ず殺す!!そしてあの男も絶対に殺す!!!)
殺意に満ち溢れながら猗窩座は林を駆けていった…
【A-4/林/1日目・未明】
【猗窩座@鬼滅の刃】
[状態]:殺意(主に東堂、羂索に対し)(大)、左右腕欠損(再生中)、ダメージ(大)、疲労(特大)
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:鬼にならない者は殺しポイントを稼ぐ
1:今度奴(東堂)に会った時は必ず殺す
2:あの男(模索)も絶対に殺す
3:俺がつまらない男だと…!?
4:今は一旦この場から離れる
[備考]
※参戦時期は無限城編前です
※いつ頃腕が元に戻るかは後の書き手に任せます
※まだ名簿は確認していません
【その他備考】
※猗窩座のデイバックがA-4に放置されています、東堂がそれを拾うかどうかは後の書き手に任せます
※二人の戦いによりA-4の一部が壊れています(木が何本か折れていたり、地面にヒビが入っていたり等)
※二人の戦いでA-4周辺の参加者に爆発音等が聞こえている可能性があります
最終更新:2025年08月11日 22:19