剥がれかけた鬼の面 ◆vV5.jnbCYw


呪術を使って来た男から逃げ出した五大院宗繁は、ひたすら走った。
巨漢の姿が見えなくなるまで、何度か後ろを振り返りながら、森の奥に入って行った。


少し開けた所に来ると、辺りをきょろきょろと見回す。
誰もいないと分かると、骨ばった頬を緩め、腰を落ち着けた。
そして、手に入れた2つの支給品袋を地面に置き、へらへらとした笑みを浮かべて中身を見た。


今のままではこの殺し合いには勝てない。
2度の敗北、生前の戦いを含めれば3度の敗北を喫した男は、そう考えだした。
市松模様の餓鬼の剣術や、巨漢の妖術に勝つには、強力な道具が不可欠だとも思っていた。
それこそ、振るだけで敵に巻き付く、あの摩訶不思議な布切れのような。


(よし、開けてみるか。)


気体と希望を胸に抱きながら、まずは東堂の支給品袋をひっくり返した。
1つ目は中身が透けた奇妙な容器に入った水。
ただ渇きを癒すものではなく、一時的に力を大幅に向上させるものらしい。
そこまで読むと魅力的に聞こえるが、その一時が終わってしまうと死に至るらしい。
こんなものを飲むのは愚か者でしかないだろう。


2つ目は、背中に白い字で大きく『滅』と書かれた奇妙な黒い服だった。
説明書を見ると、『鬼殺隊の隊服・上(女性用、前田作)』とある。
なんでも鬼を狩る者達に配布される服の上半身部分であり、濡れにくく燃えにくい上に、野良鬼の爪ぐらいなら耐えられるとのことだ。


(そう言えばあの餓鬼が、羽織の下に付けていたな……)


本物の鬼になど出会ったことのない五大院としては、胡散臭いことこの上ない代物だった。
とはいえ丈夫そうな布地で出来た服だし、女性用とは言え小さすぎることは無いので、防具として着てみようと考えた。
だが、この服に関して1つ問題があった。


(な、なんだこれは、胸元が丸見えではないか!!)


人体の急所の1つたる心の臓を隠せぬとは。
本当にこれで鬼と戦うことが出来るのか。
この隊服とやらが俄然怪しく思えて来た。
だが自分が付けている着物の上に羽織れば、少しは身の守りを上げることが出来そうだと考え、着ることにした。


飲むわけにはいかない水に、明らかに武器ではない隊服。
はっきり言って、期待外れも良い所だった。
今度こそ武器よ出ろと、賽が転がっている間のばくち打ちのように目を閉じ、2つ目の支給品袋をひっくり返す。
中から、またも3つの支給品が出て来た。


まずは1つ目。
端的に言うと、これまでで一番の外れだった。

(なぜ女物の道具ばかり出るのだ……!)

それは何の変哲もない髪飾り。
明らかに女物と思しき、真っ白な六角形の飾りだ。
それはとある江戸時代の女性が付けていた、雪の結晶をモチーフにした髪飾りだが、鎌倉末期の人間である彼はそれが何なのか分からなかった。

捨てようかとも思ったが、元の世界に戻った際に、二束三文で売り払えばいいかと考え、懐に仕舞う。


そして2つ目。
彼の目線では、細長い鉄の筒だ。
小型銃という武器は、鎌倉末期に死した彼にとっては、時代を先取りした物だった。


ただ単に棒きれとして叩いて使うには、余計な箇所がある。
付随された説明書を見ると、引き金を引くと鉄片が飛び出て、それが当たれば敵の個性を封じることが出来るという。


(なるほど……要はこの筒の穴から銃弾……この漢字は何と読むんだ?が出て来て、敵を攻撃できるというわけか……)


銃を見たことが無い、そもそも銃が日本に伝来してない時代の人間の五大院は、まじまじと銃と説明書を見つめながら、使い方を検討していた。
何でもこれはただの鉄片ではなく、敵に刺されば個性を封じることが出来るという。
恐らく、あの巨漢の妖術も使えなくさせるのだと考えた。
ようやく武器らしいものが出たため、3つ目の支給品を放置したまま、銃の使い方を調べ始めた。

(使い慣れれば、弓矢の類として使えなくもないか……)

説明書を読んでも、上手く使えそうには思えなかった。
だが、人の理を越えた術を持つ者と、自分のようにそうでない者との差を埋めるには、これは理想の武器だ。
一先ず使い方は分かったので、試しに近くにある木を狙って、発砲してみた。


「うわ!」

パン、と鼓膜をつんざくような破裂音と共に、肩に凄い衝撃が走った。
おまけに木を狙ったはずの銃弾は、手元が狂って明後日の方向に飛んで行った。
これは自分にとってとんでもないハズレの支給品だということが、今になって分かった。
確かに威力は素晴らしく、剣が当たらない位置から攻撃が出来る利点もある。
だが、一日二日練習したぐらいで到底まっすぐ飛ばせるようなものではないし、こんなものを何度も使っていれば、五月蠅さに気付いて誰かが寄ってきてもおかしくない。
慌てて拳銃を支給品袋に入れる。


「その服…お前、鬼狩りだな?」


聊か高い声と共に、そこから出てきたのは、異様な姿の男だった。
両手が無く、切り株となった両腕がもこもこと脈打っており、身体のあちこちに黒い縞が走っている。

(何だこの男は……両腕の模様は、罪人の入れ墨か何かか?)

形こそは人型であるが、姿は人間には思えない。
何より恐ろしいのは、左の胸に先程の銃弾が刺さっているというのに、平然としていることだ。
今の銃は決して猗窩座を狙って当てたわけではないが、それでもとんでもない相手に当ててしまったのだと分かった。
しかも相手は、自分を格好から鬼狩りと判断しているようだ。


「ち……ちが……」
「俺は猗窩座。さあ、殺し合おう!!」


異形の男、猗窩座は構えを取る。
腰を落とし、右手は真っすぐ伸ばし、左手は垂直に曲げ。
寸分もブレない姿勢は、武術を極めた者の証左だった。
両手がまだ復活していないことなど、全く問題を感じさせない。


――術式展開 破壊殺 羅針


鬼狩りの隊服と、日輪刀とは形状が異なるが刀を持っていることから、すぐに殺し合える敵だと判断した。
怪しげな術を使う男、葵との戦いで手こずらされた憂さ晴らしも兼ねて、この手で五大院を殺して食おうと考えた。しかし……


(術式が……出ない!?)


いつもならば拾弐の方向に広がる闘気を感知できる、雪の結晶を象った陣が現れるはずだ。
だというのに、術式は不発。闘気を感知することも出来ない。
先の銃弾の影響か。
刀を振るうばかりが能ではなく、中には毒や銃を使う鬼狩りもいるのは知っているが、血鬼術を封じられたのは初めてだった。


「俺に喧嘩を売ろうとは、いい度胸だなあ!!」

戸惑う猗窩座に、これこそ絶好の機会だと考えた五大院は、不気味な笑みを浮かべて斬りかかる。
相手に近づくと、すかさず鬼の首目掛けてククリ刀を横薙ぎに振る。

「な?」

残念ながら、五大院の刀が猗窩座の首を落とすことは叶わなかった。
上弦の鬼は、ひょいと首を逸らすだけで、紙一重で斬撃を躱した。


100年以上も数多の剣士を屠って来た猗窩座にとって、今の斬撃は恐るに足らなかった。
五大院宗繁という男は、上弦の鬼にとっては駆け出しの鬼殺隊、あるいはそれにも劣るぐらいの存在だった。
現に先手を取られた今の状況であっても、腕の動きを見てから楽々躱せた。
しかし、術式が出ないというのが彼を何とも嫌な気分にさせた。

彼が血鬼術を使えなかった原因は、先程五大院が撃った拳銃の弾にある。
拳銃に込められていた朱色の弾丸は、かつて治崎廻という男が発明した物だ。
彼は理を逸した個性を病気と考えていた。
そんな男の発明は、相手の超常的な能力を奪うことが出来る。



「この……逃げ足だけは早い奴め……大人しく俺の踏み台になれ!!」


勢いづいた五大院は、ククリ刀を何度も振り回す。
しかしその動きは上弦の鬼にとっては、止まって見えるような遅さだった。
猗窩座としては、敵の斬撃よりも、血鬼術を出せないことの方が気がかりだった。
そんな物を使わなくてもこんな男は簡単に縊り殺せるが、血鬼術無しでは葵のような相手は幾分か厄介だ。


五大院は袈裟斬りに一振り。逆袈裟にもう一振り。
2発とも躱されると、今度は相手の心臓目掛けて突きを放つ。
それを猗窩座は、驚きの方法で凌いだ。


「つまらぬ太刀筋だ。」
「!?」

バチィ、と高い音が響き、ククリ刀の先端がくるくると宙を舞う。
彼が五大院の刀を折った方法は、至ってごく単純。
上段への蹴りを剣の腹に撃つことで、いとも簡単にへし折ったのだ。
斬撃を見抜いただけではなく、下から蹴りを入れて折るなど、常人離れした脚力と反射神経を要する業だ。
だが、上弦の参にとってはその程度は朝飯前だ。
そもそも彼は鬼になる前から、片手で刀を折る技を得意としており、手が使えない今でも蹴りで折ることは十分可能だった。


「そ、そんな……。」


何が起こったか理解することさえ出来なかった。
たったの一撃で、五大院の戦意は完全に喪失した。
全身を震わせ、へたへたと地面に座り込む。
明らかに、自分は人を越えた何かに喧嘩を売ってしまったことを、この身で理解した。
そして、鬼は本当にいることも。

そもそもの話、彼は成り上がるために、勝てる相手としか戦わない性格の持ち主だ。
1度死ぬ前に邦時を裏切り、その弟である時行を殺しに行ったのも、安全に出世の材料で出来る相手だと思い込んだからだ。
現に先程も、両手が無い相手に後れを取るとは思わなかったから、猗窩座を殺そうとしていたのだ。

(ど、どうする?次はどの目を出せば、この男を出し抜ける?)

本物の鬼の前では、五大院宗繁は鬼でも何でもない、ただの惨めで哀れな中年男性だった。
刀は折られたし、戦おうとすれば次の手で殺されることは目に見えていた。
かと言って、逃げても逃げられる相手ではない。

目の前にあるのは、最悪のマスしか見えない。
壱、弐、参、肆、伍、陸 
彼は周防頼重のように未来を見透かす目を持っているわけではないというのに、どの目が出ても殺される未来しか見えなかった。
でも、僅かでも生き残れる可能性がある目を出そうとした


「ま、待ってくれ!お前は強い鬼狩りと戦いたいのだろう?違うか?」

額から汗を滴らせながらも、回らない頭で必死で言葉を紡ぐ。
これまでのわずかな猗窩座とのやり取りを思い出し、どうにかして琴線に触れそうな言葉を探る。

「ほう?」

猗窩座が動きを止める。
乗って来た、と思い、強張った顔が僅かに緩んだ。

「俺は先刻ここで強い鬼狩りに遭った。耳飾りを付けた餓鬼だ。何処へ行ったか教えてやる。」

幸運なことに、猗窩座の知っている鬼狩りだった。
明らかに自分が殺そうと考えていた、竈門炭治郎で間違いないと、口角が上がる。


「早く言え。さもなければ殺す。」
「こ、ここから坤の方向へ行った先の橋を渡って行った。」
「そうか。お前はもう必要ないな。」


必要ない。そんな言葉を聞いて五大院の表情を恐怖の感情が覆い尽くした。


「え?」
「聞こえなかったか。必要なことを聞けた今、お前は必要ないと言ったんだ。」


猗窩座は、侮蔑の意の籠った瞳で五大院を眺めていた。
意気揚々と刀を振りかぶって来たというのに、たった一撃でこの体たらく。
挙句の果てに仲間の鬼狩りを売ろうとする始末だ。
たとえ鬼にしたとしても、雑魚鬼にしかならない。
とりあえず殺せば、『ぽいんと』と言う物になるそうなので、適当に蹴り殺して食べようと考えた。


(ま、まだ足りんのか……)


何かないか何かないか。
震える手で、五大院はごそごそと服の奥から何かを出す。


「ゆ、許してくれ!これを……これを売れば金になるはずだ!!」

女物の髪飾りを渡して、場を乗り切ろうとする。
そんな物で引き下がってくれる相手ではないと分かっていたが、最早これぐらいしか方法が無かった。


(頭まで弱いようだな。この男は。)

猗窩座としては最早、侮蔑を通り越して呆れの感情しか出てこなかった。
命乞いをした挙句、そんな役に立たぬ物でこの場を逃れようとするとは。
弱い奴は嫌いだ。
弱い奴はすぐに生殺与奪の権を他人に委ねようとする。
弱い奴はー―――


目の前のあまりにも不甲斐ない鬼狩りの顔など見たくもないと思い、彼が持っている髪飾りの方に目を向けた。
その時、猗窩座の、××の脳裏に何かが浮かんだ。

(この髪飾りは何だ?俺の術式の陣に形が似ている……違う。これは何だ?どこで見た?これを………。)


今までどんな激しい動きをしようと決して乱れなかった呼吸が、途端に荒くなった。
ずっとずっと、ずっと遠い昔。
それをどこか違う形で見た。


不意に誰かに肩を掴まれ、耳元で囁かれた。
酷く力の弱く、重い物など持ったことの無さそうな手。
高くて弱弱しい女の声。


ーー狛治さん、もうやめて。
(何だ?この女の声は!?)


誰も知らない。
彼に支給されていた、雪の結晶を模した髪飾りが、かつての××の想い人の物だったと。
ましてや、猗窩座に知る由もない。
それは狛×の記憶であって、猗窩座の記憶ではないのだから。


(何だ?急に後ろの、誰もいない方向を振り払って……何だかわからぬが、今が好機!!)

対応力の高さが、五大院宗繁という男の武器。
相手が攻撃してこないとなると、咄嗟に支給品袋からイレイザーヘッドの捕縛布を取り出す。
真っ黒な蛇のような姿をした布が、猗窩座に絡み付いた。
特別な素材で作られて柔軟性に富んだ布は、人智を越えた力を持っている鬼でも、力任せに千切るのは難しい。


(恐らくこの男は足技が得意な模様……!これで勝負は振出しに戻った!!)


これで蹴りを封じることが出来た。

「罪人め、縛られているのがお似合いだ!!」


そう考えた五大院の、先程までの卑屈な姿勢はどこへやら。無様な姿を、げらげらと嘲る。
目の前の男が何者なのか分からぬままだが、腕や体に刻まれた入れ墨を見て、罪を犯した者だと判断した。


(哀れな男だ。だが、罪人とはどういうことだ?)


彼が棒立ちなのは、目の前の男に完封され、手も足も出なくなったからではない。
手足が使えなくなったぐらいで、後れを取ることは無い。
だが、この男が言った罪人という言葉が、妙に引っかかった。
確かに、人間から見れば自分は数え切れぬほどの人間を殺して食った重罪人だ。
罪だとかそんなことはどうでもいい。弱いから殺しただけだ。弱い者が強い者を貶める為だけの言い訳だ。


――掏摸(スリ)の入れ墨は両手に三本線だ。次は手首を切り落とすぞ。
――斬るなら斬りやがれ。両手首斬られたって足がある。足で掬ってやるよ。どの道次は捕まらねえぜ


(誰の記憶だ?)

不意に何かの思い出が、鬼の脳裏に浮かんだ。
今のように縛られ、百敲きの刑にかけられた。


(何の罰で?そもそも何のための罪で?)

思い出すはずがない。
それは×治にかけられた罰であり、猗窩座にかけられた罰ではないのだから。
だというのに頭の中で、騒音のようにその言葉が響き、戦いに集中できなくなる。


「これで終わりだ!!」

またしても鬼が動かなくなったと見抜くと、折れた刀の先端で、猗窩座の首を斬りに行く。

「手間を取らせんなよ!?大人しく俺の糧になれェ!!」

鬼の形相で、颯爽と地面を駆ける。
だが、愚かな男は気づかない。
その程度で、人間と上弦の鬼の差は埋められないことを。


――真っ当に生きろ。まだやり直せる。人様から金品を取ってまで生きたくねえ。

(うるさい。誰の言葉だ?)


(弱い奴は嫌いだ。
弱い奴は人を踏みつけて、己の欲を満たそうとする。)


鬼は地面を蹴り、不自由になった身体を、思いっきり捻った。

「なっ?」

捕縛布の持ち手に掛かった、予想外の力に耐え切れず、五大院は投げ飛ばされる。
大きく吹き飛ばされ、背中を木にぶつけた。
反射的に勢いが付く前に、手を離したのが幸いした。
両腕がまだ再生中で、足がまともに動かせない間とは言え、鬼の膂力で吹き飛ばされれば、その先で真っ赤な染みになっていてもおかしくないのだから。


(おのれ……死にたくない……死んでたまるか……。)
背中を強かに打ち付けてしまい、痛みのあまり立つことは出来ない。
折れた刀を握るのがやっとだったが、こんな物で上弦の鬼を倒すことなど到底不可能だ。
しかも、敵の拘束は解け、おまけに両腕が再生していた。


「お前は弱い上に不快だ。この世から消えろ。」

ようやく黒閃の傷が回復し、徐々に腕の先が手の形を成してくる。
完全な回復を待たずに、地面を蹴とばし、ジェット機のような勢いで五大院に迫った。


圧倒的な暴力の前に、鬼の面をかぶっただけの男は何も出来ず、恐怖のあまり震えることしか出来なかった。


べん。


彼の二度目の人生はこれで最後……ということにはならなかった。
五大院や、猗窩座の時代より未来の双六には、盤面を有利にするための『道具』がある。
言うならばその道具が力を発揮したのだ。


鬼が足に何かを足に引っ掛け、間抜けな音が鳴ったと思いきや、五大院の姿が急に消える。
勢いよく猗窩座の蹴りが命中するが、当たったのは彼の後ろにあった木だけだった。


彼の足が引っ掛かったことで、音が鳴ったのは、彼と同じ鬼が持っていた琵琶。
持ち主の鳴女はこの琵琶を鳴らすことで、鬼を主の居城に集めたり、また決まった場所に派遣させたりしていた。
とは言っても、それは見た目だけで、少し異なる仕掛けが主催により施されている。
元々それは琵琶の力ではなく、持ち主の血鬼術によるものだった。


だが、鳴女でなくとも、琵琶を鳴らせば誰でも狙った相手を別の場所に飛ばすことが出来る。
そして、弾く腕も良し悪しも関係なく、音を鳴らせばその力は作動する。


(そうか……これは……)


楽器の価値など全く分からない猗窩座だが、それは無限城にいた者が持っていた琵琶だと思い出した。
腹いせに叩き壊したかったが、急がねばならないことが出来たので、散らばった支給品も無視して走り出した。
あの不快な男を殺せなかったのは残念だが、あんな雑草にも等しい弱者などどうでもいい。
今度会ったら是非この手で殺そうと思っていた男の手掛かりが見つかった。


(待っていろ。炭治郎)


ようやく腕も再生し、勢いを取り戻した猗窩座は、風のごとき勢いで地面を走った。
地面に転がっていただけの弱者だったあの時から、いかほど腕を上げたか。それが気になった。
奴を殺せば、今の気持ちも晴れるだろう。
聞けば妓夫太郎や半天狗を倒したのも彼だと言うが、どれほどの力を上げただろうか。


――女のことをくだらないと言ってるやつが一番つまらん
――罪人め、縛られているのがお似合いだ!!


だが、この世界で出会った2人の男の言葉は、ずっと引っかかったままだった。

――狛治さん、もうやめて。


そして、あの時聞こえた女の声も。





【A-3/橋/1日目・黎明】
【猗窩座@鬼滅の刃】
[状態]:殺意(主に東堂、炭治郎に対し)(大)、ダメージ(小)、疲労(小) 血鬼術封じ
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本方針:鬼にならない者は殺しポイントを稼ぐ
1:待っていろ……炭治郎!!
2:今度奴(東堂)に会った時は必ず殺す
3:あの男(模索)も絶対に殺す
4:俺がつまらない男だと…!?
5:あの女(恋雪)は……?
6:五大院はどうでもいいが、不快なので今度会ったら殺す。
[備考]
※参戦時期は無限城編前です
※個性を破壊する銃弾を受けたことで、血鬼術が封じられています。治るには少なくとも3時間が必要です。
(猗窩座の場合はどこまでが血鬼術でどこまでが彼の奥義かあいまいな所がありますが、少なくとも破壊殺 羅針が使えません)
※まだ名簿は確認していません



【??/1日目・黎明】
【五大院宗繁@逃げ上手の若君】
[状態]:顔面に打撲・鼻血(ダメージ小)左手薬指・小指の欠損(ダメージ小・止血)背中に打撲(ダメージ大)猗窩座への恐怖(特大)
[装備]:折れたククリ刀@ONE PIECE 甘露寺蜜璃の隊服@鬼滅の刃
[道具]:基本支給品一式、海楼石の錠と鍵@ONE PIECE、ランダム支給品0~1(刃物ではない)、豪水@ONE PIECE 拳銃+個性を破壊する銃弾(残弾4)@僕のヒーローアカデミア
[思考・状況]
基本方針:ポイントを獲得してのし上がる
1:北条時行の首を獲る
2:ここはどこだ?
3:もう猗窩座には近づきたくない。


※A-4 森には、捕縛布@僕のヒーローアカデミア、恋雪の髪飾り@鬼滅の刃、鳴女の琵琶@鬼滅の刃が落ちています。


【支給品紹介】

【豪水@ONE PIECE】
東堂葵に支給された、瓶に入った水。
飲めば一時的に能力が爆発的に上がるが、その後死に至る。
人間以外が飲めば、死なずに済むかもしれない。


【甘露寺蜜璃の隊服(上)@鬼滅の刃】
東堂葵に支給された鬼殺隊の隊服。
燃えにくく濡れにくく、雑魚鬼の爪ぐらいなら防ぐことが出来る。
恋柱、甘露寺が付けている。胸元が大きく開いているデザインが特徴的。


【恋雪の髪飾り@鬼滅の刃】
猗窩座に支給された髪飾り
かつて猗窩座が人間だった頃の恋人が付けていたもの。
雪の結晶を模した形をしている。
猗窩座の術式も同じように雪の結晶の形をしているということは……?


【個性を破壊する弾丸+拳銃】
猗窩座に支給された拳銃と銃弾のセット。
拳銃そのものは小型のハンドガン(デザインは他の書き手にお任せします)
銃弾は指定敵(ヴィラン)団体『死穢八斎會』の若頭、治崎廻が、組長の娘の個性を利用して作った特別性で、当てれば敵の個性を封じることが出来る。
本ロワでは効果が異なっており、個性のみならず血鬼術@鬼滅の刃、呪術@呪術廻戦、レゼの爆弾攻撃@チェンソーマンなども封じられる。
だが、効果の期間が短く、短ければ3時間で解除される。


【鳴女の琵琶@鬼滅の刃】
猗窩座に支給された楽器。
鳴らせば狙った相手を飛ばしたり、自分の周りに物体を出すことが出来る。
だが、一度鳴らせばしばらくはただの楽器になる。
なお、琵琶の発動のトリガーは音を出すことであり、それが道具を使おうが手で鳴らそうが足で鳴らそうが問題は無い。
また、相手は会場より外へ出せないし、呼び出せる場合は、精々がマップ1マス分だけである。

前話 次話
禁書 投下順 迷宵
禁書 時系列順 迷宵

前話 登場人物 次話
上弦の力・一級呪術師の力 猗窩座
勝ち目を拾う 五大院宗繁


最終更新:2022年09月24日 00:32