『欠片を探して』
今のあたしは中途半端だ。
芝もダートも、中距離も短距離も、ある程度は走れる。ある程度、っていうのは、何か突出して優れたものはないってこと。レースでは、ある分野に優れている子の方が強い。どんな場所でも強い勇者は一握りだ。
子供は可能性の塊で、大人になるには、宝石を削って磨くように、何かを削ぎ落とさなきゃいけない。何でもできるのは、何にもできないのと同じ。
選ばなきゃ。今のままじゃ星に手は届かない。
芝もダートも、中距離も短距離も、ある程度は走れる。ある程度、っていうのは、何か突出して優れたものはないってこと。レースでは、ある分野に優れている子の方が強い。どんな場所でも強い勇者は一握りだ。
子供は可能性の塊で、大人になるには、宝石を削って磨くように、何かを削ぎ落とさなきゃいけない。何でもできるのは、何にもできないのと同じ。
選ばなきゃ。今のままじゃ星に手は届かない。
「よぉ、これ食う?」
重い体を引き摺ってトレーニングから戻ると、小さな包みをぽーんと投げて寄越される。これは、きんつば?
「……ありがとう。」
疲れた体に甘いものは嬉しい。同室にお礼を言って、ありがたくいただくとする。
ん、美味しい。あんこのまろやかさと上品な甘さが絶妙。一気に食べるのはやめて、一口ずつ大事に味わうことにしよう。
耳をぴくぴくさせて、もっきゅもっきゅと食べていると、同室は安心したようだった。
重い体を引き摺ってトレーニングから戻ると、小さな包みをぽーんと投げて寄越される。これは、きんつば?
「……ありがとう。」
疲れた体に甘いものは嬉しい。同室にお礼を言って、ありがたくいただくとする。
ん、美味しい。あんこのまろやかさと上品な甘さが絶妙。一気に食べるのはやめて、一口ずつ大事に味わうことにしよう。
耳をぴくぴくさせて、もっきゅもっきゅと食べていると、同室は安心したようだった。
何か、気を遣わせちゃったかな。
泰然自若というか、唯我独尊というか、いつもそんな感じなのに、この子は意外と人の機微に聡い。聡いからこそ、自由に振る舞えてるのかな。
泰然自若というか、唯我独尊というか、いつもそんな感じなのに、この子は意外と人の機微に聡い。聡いからこそ、自由に振る舞えてるのかな。
「……パッちゃんは、やさしいね」
「んー?2個目はやんねーぞ」
「……けちー」
「んー?2個目はやんねーぞ」
「……けちー」
甘さが舌の上で溶けて体に染み込んでいく。
……焦ってもしょうがないのかも。
早く大人になる方法なんてないんだ。それなのに焦って、美味しいお菓子を一口で飲み込んでしまうのは勿体無い。何を選べばいいかはわからないけれど、散らばった夢の欠片を集めていけば、いつかは星を掴める。今すぐじゃなくても。
……焦ってもしょうがないのかも。
早く大人になる方法なんてないんだ。それなのに焦って、美味しいお菓子を一口で飲み込んでしまうのは勿体無い。何を選べばいいかはわからないけれど、散らばった夢の欠片を集めていけば、いつかは星を掴める。今すぐじゃなくても。
「……ありがとねー」
背中に向かって小さく言うと、答えるように尻尾が揺れた。
背中に向かって小さく言うと、答えるように尻尾が揺れた。
「……おいしかった。……どこのおみせ?」
「これ?シンボリの奴が作った」
「作った!?!?」
「これ?シンボリの奴が作った」
「作った!?!?」