02 夜
直人は大樹からある情報をきいた。
彼等が人生の次に没頭しているインターネットサイト、「デッドマーブル」からの知らせである。
今回、そのサイトで新たな企画が発表され、話題となった。
なんとそれは、今までチャットライフの中で知り合ったネット友達と実際に会ってみようという前代未聞の企画だった。
最初は半信半疑で戸惑うもの、サイト側の本格的な姿勢に少しずつ理解し、大樹と参加することを決めた。
サイト側の支援で全ての手配を無料で行ってもらい、その場所に無事辿り着いた直人。
大樹と合流し、更に数分後に待機所にて葉月と大志にも出会う。
互いの顔合わせに興奮と喜びを隠せない4人。
そして、イベントはますます本格化する───
彼等が人生の次に没頭しているインターネットサイト、「デッドマーブル」からの知らせである。
今回、そのサイトで新たな企画が発表され、話題となった。
なんとそれは、今までチャットライフの中で知り合ったネット友達と実際に会ってみようという前代未聞の企画だった。
最初は半信半疑で戸惑うもの、サイト側の本格的な姿勢に少しずつ理解し、大樹と参加することを決めた。
サイト側の支援で全ての手配を無料で行ってもらい、その場所に無事辿り着いた直人。
大樹と合流し、更に数分後に待機所にて葉月と大志にも出会う。
互いの顔合わせに興奮と喜びを隠せない4人。
そして、イベントはますます本格化する───
「1日目は合流で終わりらしいね。参加する人全員の到着が確認され次第、各団体毎にそれぞれの部屋で就寝…か」
葉月がプログラムの用紙を見つめながら言った。
「じゃあ本格的におっぱじめるのは明日からか」
片手を葉月の肩に置き、何者かが答える。
「そうだね。早くお風呂は入って寝るかなー…」
と、振り向いた葉月の目に映ったのは直人でも大樹でも大志でもない。
「うわ!なんですか!」
葉月が驚きながら身をその男から引いた。
「なんだインパラじゃん。先言えって」
大志が言った。
「悪い。気付いてくれるかと思ってさ」
そう、葉月をいきなり過ぎる登場で鳥肌を立たせたこの男は、直人達のメンバーの一人である。
「え!インパラ?もぉ!マジ焦ったー」
大志の台詞を耳にした葉月は、おいていた距離をそっと縮め、急に親しげに男に話しかける。
緒方晴。ハンドルネームは「インパラ」。
口数はチャットでも少ないポーカーフェイスな人物───
葉月がプログラムの用紙を見つめながら言った。
「じゃあ本格的におっぱじめるのは明日からか」
片手を葉月の肩に置き、何者かが答える。
「そうだね。早くお風呂は入って寝るかなー…」
と、振り向いた葉月の目に映ったのは直人でも大樹でも大志でもない。
「うわ!なんですか!」
葉月が驚きながら身をその男から引いた。
「なんだインパラじゃん。先言えって」
大志が言った。
「悪い。気付いてくれるかと思ってさ」
そう、葉月をいきなり過ぎる登場で鳥肌を立たせたこの男は、直人達のメンバーの一人である。
「え!インパラ?もぉ!マジ焦ったー」
大志の台詞を耳にした葉月は、おいていた距離をそっと縮め、急に親しげに男に話しかける。
緒方晴。ハンドルネームは「インパラ」。
口数はチャットでも少ないポーカーフェイスな人物───
夜8時を過ぎ、最終のバスが到着した。
冷え込んだ夜、無駄に風通しの良い待機所で5人は震える。
直人は持ってきたカイロで手を温め、体中に擦りつける。
横切るバスのライトの光がそんな彼等を照らした。
バスはその状態を保ったまま停車、中から二人の女が意気揚々と降りてきた。
「なっちゃん早く!もうこんなまっ暗だよ」
「最終のだからしょうがないよー」
そんなことを言いながら彼女等は直人達の待っている待機所へ急ぐ。
早歩きでこちらに向かってくる二人を最初に見つけたのは大樹だった。
「お!あれ奈月じゃんか」
大樹は二人の内の一人、奈月の顔を知っていた。
「本当だ。なっちゃんだ!おーい!」
そう言うと片手を振って彼女にサインを送る葉月。
───河野奈月。ハンドルネームは「ナツキ」。
チャットでは「なっちゃん」と呼ばれ、親しまれていた。
「で、もう一人の方見える?」
「うーん…誰だっけあいつ」
どうやらもう一人の女は大樹も知らない顔らしい。
顔付きは幼く、小学生位の明るい女の子だった。
奈月と仲が良い雰囲気である。
「あれはチョコだろ」
直人が言った。
「どうして?」
「なんか分かる。見るからにうるさそうなガキだ」
葉月の質問に直人が嫌悪感をむき出しにして答えた。
そして、軽く舌打ちをすると彼は奈月を出向く為、外に出た。
その様子を見て、大樹、葉月、大志、晴も寒風が行き来する外へ身を出す。
同時に二人も同じ場所に辿り着き、無事にメンバー全員が現実世界での顔合わせに成功した。
「あ!君、声的にやっぱチョコちゃんでしょ?」
葉月が奈月と一緒に来場してきた女の子を見て言った。
「うん。えっと…ナオに、ダイに、インパラに、タイシ!」
女の子は答え、メンバーひとりひとりに指をさし、そのハンドルネームを挙げていった。
彼女の名前は天童真由。ハンドルネームは「チョコ」。
メンバー最年少かつ、最大級のテンションの持ち主であり、直人や大樹のストレスの原因。
女性陣からは可愛がられているらしいが、その限度を知らない世話焼きに、関わりを持つ直人達は毎回、彼女の発言やその対処に四苦八苦している。
「(こいつも一緒か、実際に会うとうるさいだけじゃなくて露骨に図々しいな)」
心の中でぼやく直人。
他の男達もきっと同じ内心のはず───
冷え込んだ夜、無駄に風通しの良い待機所で5人は震える。
直人は持ってきたカイロで手を温め、体中に擦りつける。
横切るバスのライトの光がそんな彼等を照らした。
バスはその状態を保ったまま停車、中から二人の女が意気揚々と降りてきた。
「なっちゃん早く!もうこんなまっ暗だよ」
「最終のだからしょうがないよー」
そんなことを言いながら彼女等は直人達の待っている待機所へ急ぐ。
早歩きでこちらに向かってくる二人を最初に見つけたのは大樹だった。
「お!あれ奈月じゃんか」
大樹は二人の内の一人、奈月の顔を知っていた。
「本当だ。なっちゃんだ!おーい!」
そう言うと片手を振って彼女にサインを送る葉月。
───河野奈月。ハンドルネームは「ナツキ」。
チャットでは「なっちゃん」と呼ばれ、親しまれていた。
「で、もう一人の方見える?」
「うーん…誰だっけあいつ」
どうやらもう一人の女は大樹も知らない顔らしい。
顔付きは幼く、小学生位の明るい女の子だった。
奈月と仲が良い雰囲気である。
「あれはチョコだろ」
直人が言った。
「どうして?」
「なんか分かる。見るからにうるさそうなガキだ」
葉月の質問に直人が嫌悪感をむき出しにして答えた。
そして、軽く舌打ちをすると彼は奈月を出向く為、外に出た。
その様子を見て、大樹、葉月、大志、晴も寒風が行き来する外へ身を出す。
同時に二人も同じ場所に辿り着き、無事にメンバー全員が現実世界での顔合わせに成功した。
「あ!君、声的にやっぱチョコちゃんでしょ?」
葉月が奈月と一緒に来場してきた女の子を見て言った。
「うん。えっと…ナオに、ダイに、インパラに、タイシ!」
女の子は答え、メンバーひとりひとりに指をさし、そのハンドルネームを挙げていった。
彼女の名前は天童真由。ハンドルネームは「チョコ」。
メンバー最年少かつ、最大級のテンションの持ち主であり、直人や大樹のストレスの原因。
女性陣からは可愛がられているらしいが、その限度を知らない世話焼きに、関わりを持つ直人達は毎回、彼女の発言やその対処に四苦八苦している。
「(こいつも一緒か、実際に会うとうるさいだけじゃなくて露骨に図々しいな)」
心の中でぼやく直人。
他の男達もきっと同じ内心のはず───
22時を回り、全ての団体が各自与えられた個室にて眠りにつく。
そんな中、企画側のスタッフや役人が会場外の暗闇でなにかを待っていた。
待機所の目の前の駐車場で、彼等は念入りに時計をチェックしながら立っているのだ。
やがて、会場前の駐車場になにやら大型のトレーラーが2,3台現れた。
不気味なブレーキ音を発て、停車したトレーラー。
積んである倉庫には大量の迷彩柄のバッグが詰め込まれており、
待機していたスタッフらがそれを持ち運んでいる。
長い移動で疲れきった直人達は高鼾をかきながら熟睡している。
外で、企画者達の謎の行動を見ている参加者など誰もいないと思った矢先───
そんな中、企画側のスタッフや役人が会場外の暗闇でなにかを待っていた。
待機所の目の前の駐車場で、彼等は念入りに時計をチェックしながら立っているのだ。
やがて、会場前の駐車場になにやら大型のトレーラーが2,3台現れた。
不気味なブレーキ音を発て、停車したトレーラー。
積んである倉庫には大量の迷彩柄のバッグが詰め込まれており、
待機していたスタッフらがそれを持ち運んでいる。
長い移動で疲れきった直人達は高鼾をかきながら熟睡している。
外で、企画者達の謎の行動を見ている参加者など誰もいないと思った矢先───
「あいつ等…何やってやがる」
晴が一人、窓際にて彼等の行動と月を同時に見ていた。
半ば疑いの眼差しで、なにか嫌な気配を察しながらもその光景をただじっと…。
半ば疑いの眼差しで、なにか嫌な気配を察しながらもその光景をただじっと…。