「じゃあね」の一言で
 見送られたのは春浅い四月

 あのころ私の隣には
 あのころあなたの隣には
 別の人がいたけれど

 振り切るつもりで
 見送りもいらないつもりで
 行く日を教えたくなかったのに
 あなたはあの人と一緒に
 私を見送りに来た

 心をおいてきたつもりだった
 きっぱりと
 でも

 私は彼とわかれ
 あなたはあの人と別れ

 始まった日々はけして甘くはなかったけれど

 あなたが苦しいときに
 そばにいてあげれないのが辛かった
 何かしたくてもあまりに遠くて
 受話器の向こう
 励ますことしか出来なくて

 泣きたいときに
 声しか聴けないのは辛かった
 それでも声を聴くだけで落ち着いた
 パソコンの画面越し
 顔を見たときは嬉しかった

 春が来て
 夏が行き
 秋が過ぎて
 冬を越えて

 もうすぐ帰る
 あの故郷へ

 そのときあなたはどんな結論を出すのだろう

 私を選んでくれるだろうか
 それとも闇を抱いたまま
 独り行く道を選ぶのだろうか
最終更新:2007年02月21日 00:03