「こども」
顔を上げると、ふっと目が合った。
あたしは何事もなかったかのように目をそらす。
しらない。
心の中で呟いて、あたしは画面に眼を戻した。
あなたが
メールを返さない理由を考えても仕方ない。
返信は自由意志だ。
もしかしたらあたしは彼が寝ているときにメールを送ってしまったのかもしれないし、出かける前だったのかもしれないし、映画の最中だったのかもしれないし、同僚と映画の感想をくっちゃべっているときだったのかもしれないし。
その後なんだかうっかり忘れてしまって、気づいたら夜だったのかもしれないし、もしかしたら書きかけたけど邪魔が入って忘れてしまったのかもしれないし、どうでもいい内容っちゃあ内容だったからなんて返信したらいいのか、そもそも返信がいるのかどうかわからなかったのかもしれない。
…でも寂しいのだ。
あなたからメールの返信がなかったことがあたしは寂しくてたまらなくて。
期待しないで待っていたから待ちつかれてなんかいないけど。
だから。
今日はお仕事の内容以外では話しかけなかった。
併用がいなくなってしまったから、仕事のことだって、
退院時サマリー書いただの、貼ってきますよ、いいよ、私どうせ病棟行くから。むしろ私ついでに貼ってこようかその初期評価、あ、じゃあお願いします
なんてことしか話していない。
仕事だから笑顔は見せたけど、なんでもないよって顔して見せたけど、ほんとはとってもとっても言いたかった。
返事待っていたのにな、って。
あなたとメールしたかったのになって。
ほんとは今日だって、昨日同僚と行ったはずの「レッドクリフ」の話聞きたかったけど、もうあたしは拗ねてしまって、一人でなんだか苦しくなってしまって、彼が一人でいても何も話しかけなかったし、彼が帰るときにお疲れさまさえ言わなかった。
ああ、あたしってこどもだ。
でもそのくらいすきなんだ。
メールが返ってこないくらいでこんなに振り回されてしまうくらいあなたのことすきなんだ。
明日はあたしがお休み。明々後日はあなたがお休み。
だから明日のうちに機嫌を直して、明後日には笑おう。
すきだから。すきだもん。
うん。
でもちょこっと気にしてくれたならいい。
如月さん、元気ないなって。
やっぱり返信すればよかったかなって。
…そんなのあたしの勝手な願いだけど。
とりあえずお休みなさい。明日はお仕事頑張ってね。
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最終更新:2008年11月10日 23:55