あなたが暇を告げて
 帰るそのとき
 いつもいつも
 言葉がこぼれてしまいそうになる

 「お慕いしています」

 言えないとわかっている
 言ってもどうしようもないとわかっている

 私にとっては
 週に一度の逢瀬
 あなたにとっては
 週に一度の勤務

 傍らにいて
 歌を詠み
 言葉を交わすだけで
 幸せだと思っていた

 けれど…

 言葉があふれてしまう前に
 いっそのこと
 この命が絶えてしまえばいい
 いえない想いを抱えて
 苦しむくらいなら

 かなわぬ願いを抱いて
 今日もまた私は
 去っていくあなたの背中を
 消えていくあなたの背中を
 見つめることしか
 できなかった


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最終更新:2006年07月25日 19:39