<in den Vorlesungen>
- ドイツ語を話すあなたの唇を授業聞くふり見つめている我
- 柔らかな声で別の人の名を呼ぶを切ない想いで聞く講義中
- 「esse」という婦人雑誌の名を出して説明する君嫉妬する我
- 台風で君の講義が休講に台風去ってもどしゃ降りのこころ
- 我の名を忘れて「えー」とくちごもるそれでも呼ぼうとする君が好き
- 三日ぶりに会う君は少し日焼けして空白の日を思う月曜
<飲み会の夜>
- 「です・ます」でしゃべるあなたのタメ口を聞いて見たいと思う飲み会
- お酒のみ酔いたる君を見て思う「このギャップにきっとほれたのね」
- この人も「父親なのだ」とふいに思う寂しくなる吾を君は知らない
- 「好きです」と冗談交じりに告げた吾に「嘘はダメです」嘘ではないの
- 食べる前きちんと挨拶「いただきます」なんだか胸がふわんとなった
- 「島らっきょう」あなたの好きなメニューをひとつ覚えて帰る飲み会の夜
<研究室にて>
- 理由つけ君から本を借りたなら研究室のコーヒーの匂い
- あれこれと理由をつけて君のもと訪れる吾を許したまえ君
- あなたから転専攻を勧められ少しだけ揺れるあなたがゆえに
- 二時間も話してもその大半は「先生」と「生徒」の会話で終わる
- のどあめを手渡しながらさりげなく触れるあなたの大きな右の手
- さりげなく「好き」のかけらを渡す我風邪ひきし君にのど飴ふたつ
<呟きは胸に秘めたまま>
- 苗字でなく名前で呼んでみたいけどたぶん無理だね先生だもんね
- 私にはあなたは「特別」なんだけどあなたにとって私は何だろう?
- 他の人より君が語りし我を聞きくすぐったくって照れ笑いする
- 吾の知らぬ君を知りたる人がいて切なく君に会いたしと思う
- 冗談か本気かわからぬ顔をして妙なこと言う君も好きだけど
- 今さらに何の期待をしてるの?と言い聞かせても切ないだけで
- 君について知っていることを並べてみる少ないようで多いこの恋
- 研究室訪ねたけれどあなたはいず「帰宅」の表示に切ないため息
- 「またなの」と友に言われて呟けり「だって独身だと思ったの」
- 神様に愚痴りたくなる「あの人が既婚者なのだと知っていたら」
- どいつ語のどの字も見たくないほどにあなたのことを嫌いになれたら
- 恋ゆえに些細なことが思い出にたとえばあなたの手に触れたこと
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最終更新:2006年08月18日 22:51