珍しく早起きしたら、クラスメートが先を歩いていた。
「おはよう」
ポンと肩を叩く
「おはようキョン」
クラスメートはそう言って振り返る。髪の芳香がいつもと違う。
「シャンプー別のに替えたか?」
「うん、そうなんだ。よく気が付いたね」
「香りが全然違うからな」
「キミは嗅覚に鋭敏なんだね。でも、ちょっと変かな?」
「前のも良かったけど、今日のも良いと思う。髪だってこんなにサラサラで、手触りも最高だ」
「そうか。ちょっと心配してたんだ。ありがとう」
次の日、昨日よりもっと早く家出た。
さすがに早すぎると思ってゆっくり歩く。
「やあキョン」
ポンと背中を叩かれて挨拶される。
「今日は冬服か」
「衣替えだからね」
「冬服も似合っているぞ」
土曜日は塾の日
「おはよう佐々木。それは新しい服か?でも夏物だよな」
「九月上旬に売り尽くしバーゲンで買ったきりだったからね」
「大人っぽくてかっこよいぞ」
「ありがとう」
日曜日、女子達と遊んでいる佐々木にひょっこり出会った。服はいつも見掛ける服の一つである。
「奇遇だな、佐々木」
「ササッキーは今日の機会にランチでも奢って自転車のお礼しちゃいなよ。あたし達は映画見に行くから」
「ちょ、ちょっと」
「……」
「……」
「えーと。キミさえ良ければ、普段のお礼に何か奢るけど、今日は暇かな?」
「喜んで。でも、そのバックもしかしたら新しいやつか?」
「うん。伯父のお土産なんだ」
「やあ、キョン」
一年ぶりに会う佐々木。昔よく着ていた服を着ていた。
変わったことと言えば……
「胸がでかくなったな」とはさすがに言えなかった。
(終わり)