「なんだか、こんな風に歩いていると、中学生のころを思い出すね」
「ああ。そう言われるとそうかもな」
今日、僕は、キョンと買い物に来た。
同窓会に来ていく服を一緒に買いにきたんだ。
まるでちょっとしたデート気分だよ。
あの頃もそうだった・・・・・・
キョン。君は、なんとも思ってなかったかもしれないけれど、あの頃僕は、塾の日が楽しみだった。
君の背中にしがみついて、二人乗りの自転車で塾へ向かい、
帰り道は、バス停までこうして並んで歩いた。
僕は、あの時、とても切ない想いと胸におさまりきれない甘酸っぱい憧れを抱いて歩いてた。
君は、とても優しかったからね。
ドキドキという鼓動が君に聞こえやしないかと心配になる位、胸が高鳴った時もあったんだよ。
この気持ちを知られるのがとても怖かった。
国木田が「キョンは、変な女が好き」って言ってたからね。
普通の女の子らしいことは出来ないさ。
それは今でも同じだけど・・・・・・
あの頃と同じように今、僕は、ドキドキしている。
「佐々木は、どんな服着ていくんだ?」
「や!!う、うん。適当にきていくさ。」
キョン。人が思い出に浸ってる時に声をかけないでくれたまえ、変な声が出ちゃったじゃないか!
だが、まだ僕は、いつも通りクールを装うことができた。
次の一言を聞くまでは、
「だったら、今日、俺と同じ服を買わないか?」
「・・・・え?・・・・・」
「ペアルック・・・?」
「ああ。」
な、何を言い出すんだい。キョンそれがどういうことか、わかってるのかい?
僕は、動揺を隠すのに必死だ!常にキョンの前では、クールでいたいんだ。
「み、みんなに誤解されちゃうよ。二人が、つ、付き合ってるって」
「実は、今日、お前を呼んだのは、それが目的だったりしてな。」
そう言うと、いつになくキョンは、真面目な顔で僕を見つめてきた。
自分でも顔が紅潮していくのがわかる。
ドキドキ胸が高鳴って、涙目になっていくのがわかってる。
キョン。君のせいだぞ。責任とってくれよ。
言葉の出せずにうつむいてしまった僕の頭をなでながら、キョンは一言
「いいか?」
と聞いた。
僕は、返事もできずに頭を振るだけだった。
これから僕らは、塾の帰り道のように寄り添って歩いて行く。
あの頃より、ずっと、ずっと、ずっと長い道を
ずっと、ずっと、ずっと、僕たち二人で・・・・・・
最終更新:2009年02月17日 12:22