「佐々木って探偵にむいてるよな?」
ありふれた放課後、彼が唐突に切り出した。
彼は頭が悪いわけでは無いが、たまによく分からない事を言うことがあった。
そういう時。私は笑顔で彼の目を見てにっこりとほほ笑む。
下から見上げて、誘うように、悪戯っぽく。
すると彼は驚いたように目を丸くして私から視線を外してしまう。
「キョン、どうしたんだい?」
「えっ・・・いや、その。」
しどろもどろになってしまった彼はかわいい。
まるで彼が小学生の弟のように感じられる。
「キョン、ほらこっちを見て?」
彼がこっちを見れない理由まで分かりながらそう話す。
「・・・いや、あーそのなんだ。・・・佐々木って理論的に考えるし意外と直観的にも頭が切れるだろ?だからどんな謎でも解いてしまいそうだなってさ。まるで名探偵みたいに」
「くっくっ。そうだね客観的に自分を見てももそう思うよ。でも、僕にも解けない謎はあるさ。少しね」なんてうそぶく。
「ほらみろ、だからさ。」そういうと彼は少し落ち着いて来たみたいだった。私としてはつまらないが。
私の攻撃の手が緩んだことを察して安心しているようだ。
ならば、謎を解いてみせよう。名探偵らしく。
「キョン。こっちを見てくれないかい?」
流石にいつもやっている事を二回も続けるのは恥ずかしいのだろう。
「さて、ここでお立合い。」
こっちを向かないが話は聞いているらしい。
ああ。と短い相槌が聞こえた。
「ここに謎がひとつあります。それを解いてみせましょう。」
それはなに?彼の相槌は優秀だな。
流石僕の助手だ。
満面の笑みで言ってやった。
「君が、僕を見れない理由を解きましょう。」
彼は、はぁ。とため息をついて言った。
「ほらみろ、そういうところが探偵なんだよ。」
彼がこっちを見て笑った。
二人して笑いあった。
彼と私が付き合って三日目の話。
)終わり
最終更新:2012年06月23日 11:24