70-222『Cross Road』1

「体調を崩したという事を聞いてな。見舞いに来たぞ。」
「いらない。帰りなよ、未来人。」
「…………」
お前まで僕をいじめるのか、という言葉を飲み込みつつ。藤原は見舞いのフルーツを置いた。
「明日は不思議探索とやらに行く予定らしいな。」
「まぁね。気は進まないが、キョンの誘いだしね。」
「ふむ。最期の思い出作りか。」
藤原は、確認を取る。
「いや?最期とは限らないさ。」
「(おや?)」
規定事項では、佐々木は肯定するはずだが。
「橘はどうした?お前に会うといっていたが。」
「実りある話をしたよ。」
藤原は、こめかみに指を当てる。橘が辿ったであろう運命を考えると、涙を禁じ得ない
「そうか。あんまり泣かしてやるな。あいつもお前を思って……」
「意気揚々と帰っていったけど……」
お互いに顔を見合わせる。
「え?」
「え?」
……規定事項にズレが発生したようだ。
「ジョン・スミスという来客があってね。」
「(あんにゃろう。)」
お前が佐々木と接触しては、真っ先に消されるぞ。そう考えた藤原だが……
「来客といっても、姿すら見えなかったし、その名前すら定かでないんだ。」
「…………」
TPDDに、そんな機能はない。恐らくはあのインターフェースが一緒にいるのだろう。
「(本気で姉さんと事を構えるつもりか。)」
黙って幸せになっておけばいいものを。つくづく報われない男だ。
「(そんなバカだからこそ、こうしたお節介を焼いているんだがな。)」

いくつか確認しておくべき事項があった。だが、それは全て解決しており、自分が骨を折る必要すらなかった。しかし。
「(だからこそ、ダークサイドが必要になる。)」
分岐する道。それもここから分岐するならば、『自分』は、佐々木達に会う事は二度となくなる。
「(ふくくっ。まぁそれもいい。)」
どうせ一度はそうなった身だ。

全てを選ぶのは、佐々木自身だ。

「未来を犠牲にする、という事は考えるな。」
「…………?」

「僕は既に一度は消えた身。大勢に影響などはない。選択の積み重ねが未来であり、選択の結果が未来だ。その選択をする権利は、未来にはない。
ただ、忘れるな。『僕は存在している』。それが全ての答えだ。」

To Be Continued 『Cross Road』2

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最終更新:2013年04月29日 13:50
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