「僕は考えるんだけど……はたして君はどの程度フラグを折る事が出来るのかと?
二本? 三本? ふふ……どうなんだい?」
(まずいぜ……もう少し練習すりゃあ俺だって可憐にやり過ごせそうだが……、
今は自分のフラグが立たないようその場をしのぐのがやっとだ……。
やりすごすしか出来ないってこいつにバレたら一巻の終わりってやつだ……。
やれやれ、なんとか時間を稼ぎたいぜ……)
「そこでキョン! キミが何本折ろうと関係のないやり方を思いついた……」
ずらっと佐々木に握られているのは無数のフラグだった。
二人だけで買い物に出かけるイベントがあった。
一緒に海水浴に出かけて彼女に見とれるイベントがあった。
雨の日に傘をささずに濡れている佐々木に偶然出会うイベントがあった。
ちょっとした事で彼女を守って怪我をしてしまうイベントがあった。
他の男と少しいい関係になった佐々木を見てモヤモヤができるイベントがあった。
イベントイベントイベント!
普通なら片手だけでも十分ギャルゲーのベストエンドを迎えられるだけの量と質がある。
しかもエンド後にも他のヒロインに決して『出し抜かれない』ためのものまで存在した。
「青ざめたね。勘のいい君は悟ったようだね。この一年間必死になって考えてきた。
このフラグを見て国木田の時(試しだけで萌死)よりすばらしい結末になるのを
気づいてくれたようだね!」
(佐々木、なんて事を思いつくんだ……こいつはやばいぜ……)
向こうでは既に九曜と橘が倒れ伏している。
絶対に出し抜かれはしないとわけの分からない言葉しか佐々木の口から聞いていない。
キョン、全力ダッシュで逃亡。
「くっく! 逃れる事はできないよ!
君はチェスや将棋で言う『チェックメイト』にはまったんだから!
閉鎖空間!」
ドォォーン。
「いくらフラグクラッシャーでもそのフラグの数。
はたして自分に立ったフラグを全部折る事ができるのかな?」
「すまん」
「ふふふ……やっぱり一度にイベントを起こしてしまえば、
いくら君でも振り向かせられるって証明されたね。
ゼロ! そして世界は改変される」
「ぐっ、ぐうう……っ」
「終わったね…………。だめ押しのもう一本(僕の両親に挨拶に行くイベント)」
倒れていく仲間達(と言うより裏で出し抜こうとしてたメンバー)!
キョン必死の抵抗むなしく彼の全身に強制イベントのフラグが打ち込まれていく!
このままキョンは佐々木の思ったように変換されてしまうのか!?
とぅーびーこんてぃにゅーど?
「正直言って君を早めに攻略できてホッとしているよキョン。
まったくメインヒロインという存在はやっかいなひとたちだからね。
まさか僕のキョンに入ってくるなんて思わなかったよ……。
キョンの中に入れるのはたったひとりでなくてはならない。
キョンにふさわしいのはひとり……この僕だけだ」
(やれやれだな。学校で用心深く谷口からもらったエロ雑誌を防御に使ったが……
あんな数のフラグで攻略にかかるとは思わなかったぜ……)
「念には念を入れるか。こいつ(籍入れイベント)で……ハッピーエンドを迎えてね」
「…………!」
「これで完全攻略だよキョン!」
超監督佐々木のスタッフロールが見え始めたその時、乱入する人影が一つ!
「ばっかやろう! コイツみたいな朴念仁相手には攻めあるのみだろうが、
佐々木ィィィィィィィッッ!」
(藤原!)
突如として意味不明なカミングアウトするポンジー。
だが佐々木の世界の前では無力だった。
「やっぱり藤原くんか……。惜しかったねぇ……藤原くん。
ほんの一つ……あとほんのチョッピリイベントをこなしていれば
僕のフラグを立てられた奇跡が起こったかもしれないのにね……」
「こ……こんな……バカな……」
佐々木に突き刺さったフラグをクラッシュされて崩れ落ちるポンジー。
「この僕にキョン以外の恋愛フラグは立たないし立てられない。
SOS団(世界を大いに盛り上げる佐々木□□の団)は君に説得をして、
全員『キョン×僕』に賛同というわけだよね……」
恋愛どころか洗脳フラグが立ってしまったポンジー!
逃亡の機会を見計らっていたキョンは果たして再び元の生活に戻ることができるのだろうか!
とぅーびーこんてぃにゅーど?
最終更新:2007年11月14日 10:04