「キョン、君はこんな諺を耳にしたことがあるかい?」
「ん。どんなやつだ?」
「・・・『四兎追うものは一兎も得ず』というものだ」
「??二兎じゃなくてか?そりゃ四兎は捕まえられんだろ」
「・・・あぁ、全くもってその通りだキョン。しかし今君はその状況下に置かれているんだよ」
「俺がか?」
「しかもその四兎は逃げるどころか自ら君の周りに寄って来ているにも関わらず――」
「・・・・・・」
「あろうことか君はその兎をもて遊ぶかのように少し手を出しその気にさせては他の兎に手を出す、
という最低の行為を続けているんだ」
「・・・・・・・・・・・・」
「いい加減一兎に手を伸ばさないと全てを失ってしまうよ?」
「・・・あぁ、おかげでやっとわかったよ。俺がどうすればいいかがな。ありがとな、佐々木」
「いや、礼には及ばないよ。君が理解してくれたならそれでいいんだ。僕が言いたかったのはそれだけだから」
「おぅ。じゃあな」
そして佐々木は帰り際
最後に、と付け加えて言った。
「これ以上兎は増やさないように!」
佐々木、その心配はいらない。
明日のテストは4教科だからな。
「・・・よし」
それじゃあ佐々木の言葉通り現文に絞るとしよう。
今日は諺も習ったことだしな――
最終更新:2007年11月24日 13:50