『俺の愛車:アナザーエンド』
ある日、俺はハルヒに呼び出された。
「あんたは最近、佐々木さんを軽トラの助手席に乗せて登校しているわね。
いろいろな下らない噂(谷口などの談)が流れていることも、知っているわ。
あたしとしては、それについて、くどくど言いたくないのよ。
でも、それじゃ駄目だと思ったのよ(後略)」
前おきが長いぞハルヒ。早口で言うので、悪いが途中からほとんど聞いていない。
一体何が言いたい?
「それで、キョンは佐々木さんを何回くらい(性的な意味で)乗せたのよ?
正直に言いなさい」
「そうだな、最近はほぼ毎日(車の助手席に)乗せているな」
「な?毎日?」
そう言ってハルヒはフリーズした。
どうなさいました?もしかして電池切れですか?ハルヒさん?
「へー、毎日?やるじゃん。
正直あんたと佐々木さんがそこまでやってるとは思わなかったわ」
「別に中学時代と同じで、特別なことじゃないぞ」
「ふーん?中学からね?キョンにしたら特別なことじゃないんだ。へー
あたしは、一度も乗せてくれなかったのにね」
「お前を乗せたことも、あったと思うが」
いつだったか、自転車の荷台でギャーギャー言ってるお前を乗せたことあるな。
(え?それっていつだったけ?
無人島の飲み会の時?卒業式後の飲み会の後?それとも、あの時?この時?
何も覚えてないなんて、あたしの馬鹿、馬鹿、馬鹿)
「あたしとしては、寛大な心で、これまでのことを全て水に流しても良いと思っているのよ。だから」
団長殿は大きく深呼吸して言った。
「だから、あんた今日から、佐々木さんを乗せるのを止めなさい。
代わりに、あたしが毎日、好きなだけキョンを乗せてあげるわ。
佐々木さんみたいに、女の子に乗られる方が好きなら、あたしが乗ってあげても良いわ」
お前が車で送り迎えしてくれるのか?ありがたいが
「悪いが、気持ちだけ、もらっておく。
佐々木が、スケベな男達にイタズラされるのを、俺はほおっておけないんだ」
佐々木は満員電車の中で、毎日のように痴漢にあっていて、いつも泣いていたからなー。
この世界には女性専用車両なんて、ありがたい制度が無いし。
ハルヒは既に涙目になっていた
「考え直すのなら今のうちだわ。あたしと佐々木のどっちを選ぶ?」
「考え直すつもりは無い。
俺が必要なのは、明らかに、お前じゃなくて佐々木の方だろ。
少しは佐々木の気持ちを考えろ」
ヤベー、ハルヒが本気で泣き出した。
「判ったわよ!あんたなんかを好きになったあたしが馬鹿だったわ」
パシーン
ハルヒの平手は、とても痛かった。