25-794「俺の愛車:アナザーエンド」

『俺の愛車:アナザーエンド』

ある日、俺はハルヒに呼び出された。
「あんたは最近、佐々木さんを軽トラの助手席に乗せて登校しているわね。
  いろいろな下らない噂(谷口などの談)が流れていることも、知っているわ。
  あたしとしては、それについて、くどくど言いたくないのよ。
  でも、それじゃ駄目だと思ったのよ(後略)」
前おきが長いぞハルヒ。早口で言うので、悪いが途中からほとんど聞いていない。
一体何が言いたい?

「それで、キョンは佐々木さんを何回くらい(性的な意味で)乗せたのよ?
 正直に言いなさい」
「そうだな、最近はほぼ毎日(車の助手席に)乗せているな」
「な?毎日?」
そう言ってハルヒはフリーズした。
どうなさいました?もしかして電池切れですか?ハルヒさん?

「へー、毎日?やるじゃん。
  正直あんたと佐々木さんがそこまでやってるとは思わなかったわ」
「別に中学時代と同じで、特別なことじゃないぞ」
「ふーん?中学からね?キョンにしたら特別なことじゃないんだ。へー
  あたしは、一度も乗せてくれなかったのにね」
「お前を乗せたことも、あったと思うが」
いつだったか、自転車の荷台でギャーギャー言ってるお前を乗せたことあるな。

(え?それっていつだったけ?
  無人島の飲み会の時?卒業式後の飲み会の後?それとも、あの時?この時?
  何も覚えてないなんて、あたしの馬鹿、馬鹿、馬鹿)

「あたしとしては、寛大な心で、これまでのことを全て水に流しても良いと思っているのよ。だから」
団長殿は大きく深呼吸して言った。
「だから、あんた今日から、佐々木さんを乗せるのを止めなさい。
  代わりに、あたしが毎日、好きなだけキョンを乗せてあげるわ。
  佐々木さんみたいに、女の子に乗られる方が好きなら、あたしが乗ってあげても良いわ」
お前が車で送り迎えしてくれるのか?ありがたいが
「悪いが、気持ちだけ、もらっておく。
  佐々木が、スケベな男達にイタズラされるのを、俺はほおっておけないんだ」
佐々木は満員電車の中で、毎日のように痴漢にあっていて、いつも泣いていたからなー。
この世界には女性専用車両なんて、ありがたい制度が無いし。

ハルヒは既に涙目になっていた
「考え直すのなら今のうちだわ。あたしと佐々木のどっちを選ぶ?」
「考え直すつもりは無い。
  俺が必要なのは、明らかに、お前じゃなくて佐々木の方だろ。
  少しは佐々木の気持ちを考えろ」

ヤベー、ハルヒが本気で泣き出した。
「判ったわよ!あんたなんかを好きになったあたしが馬鹿だったわ」
パシーン
ハルヒの平手は、とても痛かった。

・・・・・・
それから2時間後
俺は助手席の親友に話し掛ける。
「なあ、佐々木。どうしたらハルヒと仲直りできる?」
「それを僕に言わせるか?しまいには怒るよ」プンプン
佐々木まで怒らせてしまった。どうすれば良いんだ、俺は。

「すまん。怒らせてしまったみたいだ。謝る」
「相変わらず君は女心が判らないね。
  まあ、僕の願いを聞いてくれれば許してあげても良いよ」
俺をモテモテと評する奴がいるが、何度も何度も『女心が判ってない』と言われることから考えると、それは大きな誤解だな。うん

「お前の願いって?俺にできることあるのか」
「僕にとっては君にしかできない事だよ。
  あ、もう着いたね。」

いつもの様に佐々木の家で夕食を食べて、その後、
「なあ、お前の願いって何だ?
  それから、ハルヒと仲直りする方法を教えてくれ」

「仲直りする方法は、個人的には教えたくは無いけれど、教えないのはフェアじゃないよね。
  僕と涼宮さんは、どちらも、キョンを好きで、キョンを独占したいんだ。
キョンが僕と永遠の愛を誓えば僕の機嫌が直り、涼宮さんを選べば涼宮さんの機嫌が直る。
正直僕達は待つのに疲れた。今日ここでどちらを選ぶか決めて欲しい」

・・・・・・
目が覚めたら隣に佐々木がいた。
えーと、状況確認、状況確認
まず、俺と佐々木は生まれたままの格好で一つのベットで寝ている。
昨日ハルヒが怒って絶交された。佐々木に相談すると佐々木も怒った。
その後、えーと
思い出した。佐々木に告白されて、そのままベットインしたんだ。


さて、ハルヒだが、俺が土下座して謝ったら許してくれた。
『あたしをふったんだから、一生添い遂げなさい。浮気したら死刑』
らしい。
心配しなくても、こんな良い女がいるのに浮気なんかしないぞ。


思えば俺は、ハルヒの気持ちも佐々木の気持ちにも気付かないで、遠回りした上に随分二人を傷付けてしまった。
俺が馬鹿でなければ、佐々木とも、もっと早くに男女の関係になれたはず。

そして、うまくやれば、佐々木とハルヒに二股をかけることも可能だったかな?少し惜しい気もする。
いやいや、後悔はしない。2兎を追う者は1兎を得ず。俺は佐々木がいるだけで幸せだ。


・・・・・・
「涼宮さん、飲み過ぎです」
「何よ古泉君。今日くらい良いじゃないのよ。
  あーあ、キョンは佐々木さん選んじゃった。あたしを選んでくれると期待していたのになー
  ちょっと有希飲んでいる?」
「正式に断られたあなたはまだ幸せだ。私は選択肢にも入れなかった」
「私もよ、
  長門さん。一緒にキョン君刺しちゃいましょうよ」
「朝倉さん。自重して下さい」
(終わり)

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最終更新:2007年12月20日 08:27
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