彼達と私は同じ大学に進んだ。そんなある日のことだった
私は彼の左に座って話しかける
「おう、長門。何だ」
「あなたが、軽トラックを購入したことという情報が入った。もし良ければ私を」
その時、佐々木がやってきて彼の右に座る
「キョン、車買ったらしいな。もし良ければ僕を助手席に乗せて送り迎えしてくれないか?」
「それは良いが、軽トラックだぞ」
「キョンの車なら何でもパラダイスさ。なんてな、くつくつ」
涼宮ハルヒもやってきた
「遅れるところだったわ。ちょっと有希どきなさい」
せっかく座った彼の隣席を、後から来た涼宮ハルヒが当然のように奪い去る。いつもそうだ。
次の日、彼は佐々木を助手席に乗せて登校した。胸が痛む。
思い切って彼に話しかける。私はいっしょに図書館に行きたい
「もし良ければ今度の週末、いっしょに」
「キョン、次の土曜日は映画を奢らせてくれ。くつくつ」
「お、サンキュウ」
また邪魔された、そうだ、日曜日なら
「キョーン、次の土曜日はあたしの車で姫路城に行くわよ」
「いや、土曜日は佐々木と約束が」
「ふーん?そうなの?(ビキビキ)じゃ日曜日にあたしに付き合いなさい。
佐々木さんには付き合えて、あたしとは付き合えないというんじゃないでしょうね」
彼はやれやれという感じで肩をすくめる。そして涼宮ハルヒは佐々木に向かって言う。
「これで恨みっこ無しだわね?佐々木さん。フェアにいこうじゃないの」
「お互いにね」
谷口いわく、この日常的な光景は二匹の熊が睨み合って威嚇するような雰囲気であるらしい。
私は熊を見たことは無いのでわからない。
まだ決まっていない来週なら。と思って話かけようとすると、
二人の女神が彼の予定を2ヶ月先まで予約でいっぱいにしてしまった。
この一年、彼女達は閉鎖空間をほとんど発生していない。
しかし、神の能力が消えたわけでなく、ただ一つの目的:有性生殖を行う有機生命体が必ず持つ本能に従って世界を変えて、、、
もう、とっくの昔に私達の情報操作も通用しなくなった。
次の週の土曜日、私は一人寂しく図書館に向かっていた。
気が付くと彼の軽トラが止まった。
「よう長門、また図書館か?」
「そう」
「送っていくぞ、良かったら乗っていけ」
「嬉しいが、あなたのため、それは推奨されない」
「何でだ?気にするな。乗っていけ」
涼宮ハルヒや佐々木が嫉妬するから、という言葉を返す前に私は車に乗り込んでいた。
その時鏡を見れば、私の緩んだ顔が見れたかもしれない。
車が動き出すと、初夏の風が優しく入ってくる。思わず隣の席の彼に見とれてしまう。
できることなら、永遠にこの時間が続けば良いと思った。
そんな楽しい時間はすぐ終わり、すでに図書館だ。
「今日の待ち合わせは、涼宮ハルヒ?佐々木?」
「今日は両方だ。3人で映画だ。その後、俺の奢りでレストランで昼飯だ。全く財布の中身が薄くなる一方だよ
あいつらは、俺の休日を何だと思っているんだ」
その口調とは裏腹に、彼はとても楽しそうだった。
(終わり)
最終更新:2007年12月09日 20:58