27-123「Sasaki」

 君らは何人の脳内佐々木さんを抱えているだろうか?
俺は3人ほど居る。

 一人は佐々木SSを書いている時から居る「くっくっくっ、僕をどんな運命に逢わせるのかい?」と訊いてくる佐々木さん。
一人は頭が仕事脳の時にだけ存在する「僕ならばこの場合はこうするんだけど君は違うのかい?」と訊いてくる妙齢の佐々木女史。
あとの一人は行き付けの居酒屋にいる美絵という娘の事だ。

 美絵は背が高くエキゾチックな顔立ちをした娘で、長くて綺麗な髪をした娘だ。
彼女はいつも厨房の中にいて、目立たないけどいつも頑張って仕事をしている。
 ある日ホールに一度だけ出て来た時、俺はいつもの調子で少し男女間の湿っぽい話をしてみた。
その時彼女は顔を真っ赤にしてしまい、オロオロとなって仕事が手に付かなくなってしまった。
 ちょっと悪い事をしてしまったと思った。

 それ以降は彼女とは、カウンター席越しに厨房の彼女と話す事が多くなった。
彼女は20代後半で、今まで色んな仕事をしてみたけど、引っ込み思案の性格が災いしてあまりいい事が無かったそうだ。
 俺はそんな彼女に色んな話をして、こんな事をしてみたらどうだ?と俺なりに提案らしいことをしてみたりもした。
大抵、飲み屋の娘にそんな話をしても酔っぱらいの戯れ言として相手にされないのが普通だが、彼女は俺の言った事を忠実に試して
報告を逐一してきた。
 俺自身もそんな彼女の話をきいて、一層話に真剣味が増してきたのは仕方ないところだろう。
俺には社会的制約…嫁とかなんとかあるけれど、いい話し相手であり、お互い元気を与え合う間柄なのかも知れないと感じた。

 そんなある日、いつもの店に行くと美絵が居なかった。
どうしたのか他のメンバーに訊いてみると、今日は体調不良で休みだという。
 俺は他の子にメアドを聞き出すと(ご贔屓なのが超バレていた)美絵にメールを打っていた。

「早く元気になって、ポニーテールを見せてくれ。ささっき~よ」

 彼女の名字は佐々木だった。

 ゴールデンナインのポニーテールがよく似合う娘だ。
俺がポニーを薦めたのはここだけの秘密だ。

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最終更新:2007年12月31日 18:46
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