遊びに行った帰り道での出来事だ。
大きな花束を手にした可憐そうな少女の後ろ姿を見掛け、どんな娘だろうかと追い越し際にチラリと見てみたくなった。
その行為が少々オヤジじみているのは俺自身認める所ではあるが、健全なる青少年としてそんな気が起こるのは不自然ではあるまい。
・・・なんだ、お前だったのか。
「何だとはなんだい?会っていきなり随分な言い方ではないか」
その後、青少年のささやかな希望を見透かした佐々木に随分と皮肉を言われたのは言うまでもないだろう。
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・・・その花束は何だ?お前は生け花もしているのか。
「ああ、これかい?家の近くに飾るんだよ」
・・・美化運動って訳か。殊勝な心掛けをしているな、お前。
「美化運動の一面も確かにあるかも知れないね。君は面白い物の見方をする。僕自身、気付かなかったよ」
・・・違うのか?本来の目的は何なんだ。
「これを近所の交差点に飾るんだ。
そうすると車がスピードを落として静かになる。環境運動の1つの方法さ」
・・・そ、そうか。
「そのうちに花が増えたり地蔵が建ったりする時もある。
人の心に花や地蔵が何かを訴える。君の言う通り確かに心の美化運動という側面があるね」
・・・わ、わかった。
「キョンも気をつけるんだよ。
もっとも、2人乗りの恩恵にあやかっている僕が言うのも変な話だけどね」
最終更新:2007年12月31日 20:35