それは、10月のことだった。
「君は県立で僕は私立の進学校か?僕も県立にするよ」
「落ち着け、佐々木。自分の見合った学力の所に行くのが一番だぞ」
「学力より恋人の君と離れる方が辛いよ」
「週末会えるじゃないか。俺達の仲がその程度で壊れる・・・」可能性高そうだな、多分
「壊れるに決まっているじゃないか。そして君はイカれた女に引っ掛かって無理矢理交際させられる。
僕達の先輩の学年ナンバー1カップルが今どうなっているか、有名な話じゃないか。
言っておくけど、僕と君の関係があの二人以上だと思うのは、何も判断できない低脳だよ」
そんな馬鹿な!と否定できないのが事実だった。佐々木という名前と僕っ子というのも縁起悪いし。
・・・・・
「これは、お前が付き合っていた佐々木さんとは同姓別人の話だ。
こんなやり取りが、今、そこかしこでやられているらしい。キョンの中学を中心にしてな。
つまり、恋人、親友、片思いの人と離れたくない連中が、学力を無視して無理矢理相手と一緒の所に行きたがっているんだ。
それはそうと、キョン、お前やたらと機嫌が良いな。何かあったか?」
「いや、ちょっとな。しかし、そんな事知らなかったぞ。さすが谷口」
相変わらずしょうもないネタを仕入れるな。
「ハア当の本人だけが気がつかないとはなー」
「馬鹿だなー、俺と佐々木みたいに離れて発展する場合もあるのに。おっと、これ以上はハルヒが来るまで言えないな」
(あれを発展と言うか?国木田)
(むしろ退化や消滅が正しいと思う)
ガシャーンという音と共に教室の扉が開く。俺達を難聴にするつもりかよ。まったく
「キョン!SOS団は同じ大学に行くわよ。勉強会開くからたちゃんと勉強しなさい」
「勉強なら佐々木にみてもらうから良い」
「へー、勉強と称して佐々木さんとあんなことやこんなことをする予定とか」ビキビキ
「その予定だが、勉強はちゃんと頑張るぜ。実は、昨日佐々木に告白されて(ノロケ後略)
どうした、ハルヒ」
「あんたなんか顔も見たくない。絶交よ」バシーン
痛いぞ、ハルヒ
(婚約か。しかし、あんな残酷なフリ方は涼宮以外には見たことも聞いたことないぞ)
(子供は残酷なんだよ。そう思ってあげよう)
んで、1月頃
「ところで、俺の後輩の佐々木ちゃんの噂は聞いているか?谷口」
「ブーブー言っていたカップルのほとんどは『一年半後に婚約しよう』を合言葉に学力相応の所に行くようになったらしいぞ」
「そうか、なんでだろな」
おい、谷口。目が点になっているぞ
(終わり)
最終更新:2008年01月13日 11:06