エリザベス＝カース - シュヴァルツクベレ設定wiki

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所在	ニュクス
本名	エリザベス＝カース
役職	「ニュクス」幹部（ロイヤリスト）
	ニダヴェリール亜種連邦総監督
種族	人間
年齢	19歳
所有装具・武具	リンガ?
	プルパ?

詳細

【根葉の述懐】の渾名で知られる【ニュクス】〝十三夜想会〟の幹部五席にして、盟主より〝カース（呪詛）〟のベリティを与えられ、ニダヴェリール亜種連邦の総監督を任されている。

腰元まで伸びた艶やかな黒髪は、手を加えていないにも関わらず、見事に緩やかなウェーブが掛かっている。
見目麗しい美少女だが、しかし、肌が病的に白いために、やや不健康な印象を与える。
だが、それとは対照的に、瞳は紫石英を思わせる輝きを放ち、常の言動や見た目に反して意思の力を放っているようだ。
年齢は、十九歳と幼くはないのだが、その体躯は、椅子に腰掛けていても解るほどに身長が低い。
これは、彼女の生い立ちによる半生の生活環境や栄養状態によるものなのだが、同じ理由から、外界の知識に乏しく、ミッドナイト曰く、感情表現という意味では、未だに子供であるらしい。
ヘアバンドのようにして常に身に付けている紫のリボンは、どうやらミッドナイトからのプレゼントのようだ。
小さく呟くように喋り、言葉が途切れる特徴的な話し方をする。
性格は、個人主義で我関せずという態度をとることが多いようだが、他人の話は聞いているらしい。
自分のことにも他人のことにも、特別に関心はないようだが、唯一、髪の手入れには、拙いながらに余念がない。
エリザベスの髪は、明かりに照らすと、普段の黒から、わずかに濃厚な紫色に透けて見える髪質であるため、以前、それを見たミッドナイトが、「夜明けまじかの黎明を想わせる」と褒めたことがきっかけとなり、以来から大切に扱っているようだ。
もっとも、それ以外は自分のことも含めて、かなり大雑把のようだが。
ある事情により、シュトルツがローレンシアの射撃の的にされたときも、「ぐっどらっく」の一言で流したという、ある意味で剛の者である。

基本的に、食欲と睡眠欲が旺盛で、成人男性の三倍は食べるという暴食ぶりである。
睡眠に関しても、ミッドナイトが起こしに来なければ、ひたすら眠り続けている日もあるようだ。
基本的に、最大でも三日放置すれば自発的に起床する。
その際に、「……九食……たべそこねた…」などと、眠っていた日数を食事回数で換算できる謎特技を持つ。因みに、計算は一日三食のようだ。
余談だが、イガと同じく食べても太らない体質らしい。
日常生活は、シュトルツが怪獣〝クッチャネ〟の異名で呼ぶほどに、ダラダラ生きている。
もっとも、睡眠に関しては、ミッドナイトが、「寝る子はゴリゴリ育ちマスよ」と言ったことが原因であり、それ以来よく眠るようになった。
実は、未だに身長が伸びて、身体が大きくなって欲しいと切実に願っている。
しかし、年齢的にもその願いは難しいだろう。シュトルツも、もう成長期は終わっているだろうと突っ込んでいる。
ローレンシアが、体重の増加に叫び声を響かせる度に羨ましがっている。（どうやら、大きくなるなら身体の部位は何処でもいいらしい）

ミッドナイトに依存しているのは、確かにその通りだが、その感情が親愛か恋愛かを区別して理解するには、彼女の心は未だ幼すぎる。
しかし、どちらかと言えば、擦り込みに近く、ミッドナイトのことを父親のように感じていると思われる。
同時に、ミッドナイトもエリザベスのことを大切に想っているようで、部下というより、娘のような存在として接していることの方が多い。
しかし、ミッドナイト自身は、こういった態度に自覚がないようで、どちらかと言えば、一人立ちを促す意味でも、極力干渉は避けるべきだと一応考えているようだ。

エリザベスは、ミッドナイトのことを〝ご主人さま〟と呼ぶが、正直この呼ばれ方は、ミッドナイト的にも微妙らしく、以前、街中で呼ばれたときなど、凄まじく如何わしい眼で見られ、それはそれは恥ずかしい思いをしたようだ。

随分とゴシック調の様相を全面に押し出した漆黒のドレスを纏っているが、どうやらエリザベスが自主的に選んだ物ではなく、衣類はローレンシアが用意しているらしい。
ローレンシア自身は、自分が着るには可愛すぎて似合わない（実際似合わないことはないだろうが）と言って、袖を通そうともしないが、自分から見て可愛い人物に着せるのはありらしく、ある意味で着せ替え人形で遊ぶ感覚なのだろう。
おそらくエリザベスに主体性が薄いため、拒否しないという構図なのだろうが、しかし、ローレンシア的には、エリザベスが拒否しないのだから問題ないということのようだ。
それ以前には、飾り気が少なく丈の長いワンピースを着ていたが、そういった質素な服装だったことも、ローレンシアが世話を焼いた理由なのだろう。
世話を焼かれる関係から、ローレンシアとは姉妹の様に仲が良く、よくよくも二人で出掛けることが多いようだ。年齢的に、姉妹関係は逆転しているが、話などは合うらしい。
しかし、エリザベスは、ミッドナイトを実親の如く慕っていることもあり、無意識に傍に寄ってしまうことがある。だが、そうしてミッドナイトに近づきすぎると、親友であるローレンシアの背後に鬼が見えるとか。二人がもつ、唯一の相違点である。

産まれてから、ミッドナイトに出会うまでの長い年月を傭兵ギルド【デッドマンズハンド（死者の手）】の兵士として育てられた。
しかし、その真実は、新神暦以前から存在する古参の暗殺屋であり、エリザベスは、自身に与えられた呪詛人形【リンガ】と、呪詛短剣【プルパ】を駆使して、死体を量産するためだけに生かされ、自室であった地下牢を世界のすべてと理解していた。
彼女に、【リンガ】と【プルパ】が与えられたのも、使い手によっては、最凶と成り得る宝具を如何にして有効活用するかという考えの中、感情を一切排した人形を人間から創ってしまえばいい。そう結論付けた人間共の狂気の下に教育されたのが、エリザベスだった。
故に彼女は、自身という存在を呪詛人形に短剣を突き刺す機能を持った生物だと考えていたし、それ以外を行なおうなどとは、夢想だにもしていなかった。
長きを生き抜いてきた暗殺屋の策謀は成功を収め、エリザベスは一振りの凶刃となった。しかし、それがミッドナイトの逆鱗に触れたのかもしれない。
今から四年前、最古の暗殺集団【デッドマンズハンド】は、ミッドナイトの手により壊滅し、エリザベスだけが生存、解放されている。
しかし、彼女の支払った代償は余りにも大きかった。
人間以下の扱いを受けてきたエリザベスは、栄養失調や日光を浴びなかった影響などにより身体が小さく、実際の年齢からは、かけ離れた容姿に育ってしまった。
更に、一般常識や教養にも欠けるため、単純な勉学という意味での知識量は皆無に等しく、感情表現にも乏しい。
だが、現在では語学や一般教養をミッドナイトが直接教えており、覚えも良いようで、知能という意味では、悪くない能力を秘めているようだ。
そういった情操教育の甲斐もあってか、ミッドナイトが出会った頃よりも、自意識が確りしてきており、瞳にも力があるように見える。
エリザベスにとっては、イガやローレンシアと暮らし、父のようなミッドナイトが居て、仲間たちと過ごす現在の生活がすべてであり、ようやく訪れた幸福と呼べる時間のようだ。

エリザベスは、幹部の一人として、ニダヴェリール亜種連邦の統括を任されている監督役だが、現在もローレンシアと同じく、【宵闇の降魔亭】に住み着いている。
ただし、エリザベスは個人の能力の高さと、忠義心を見込んだミッドナイトが、幹部候補として連れてきた人物である。というのが、表向きの理由であり、その性質は、親代わりであるミッドナイトに依存すると同時に、ミッドナイトの情操教育と庇護が必要な身の上でもあるため、【宵闇の降魔亭】に暮らす現在の状況は、半ば暗黙の了解となっている。
もっとも、真実としては、【デッドマンズハンド】の解体後、既に賞金首として手配され、尚且つエリザベスの能力（宝具そのものと、彼女がそれを使用することの利便性）に眼を付け、彼女を付け狙う連中が、後を絶たなかった事実を見過ごすことの出来なかったミッドナイトが、エリザベスの安全性を第一に考えた結果として、自らの傍らに置き、それなりの地位を与えている重要人物だと認識させることで、裏社会において、エリザベスは手を出すと高く付く対象であると、世界に知らしめる目的での幹部入りで在り、仰々しい〝ベリティ〟もそのためのものだ。即ち、〝十三夜想会〟の面子においては、唯一の張りぼて要員である。
だが、その戦略は功を奏し、裏社会屈指に数えられる【ニュクス】の幹部という事実に、恐れを懐いた多くの者たちが、それ以降、エリザベスの能力や賞金に群がることを忌避し、退いていった。
また、彼女が、表向きながら任されたニダヴェリールは、古くから商業国家の体を成しており、報酬さえ支払うのならば、【ニュクス】すら客と考えるギルドも多く、特段に敵対する要素は一切ない。そういった背景を理解するからこそ、エリザベスをニダヴェリールの監督役としたのだろう。
そして、ミッドナイトはといえば、一度匿った以上、エリザベスが望まない限り、外へ放り出す様なことは出来ないと理解していたが、一度背負うと決めた以上、その荷はそれほど重くはないという。
現在は【宵闇の降魔亭】にて、イガ、ローレンシアの二人と共に暮らし、【ニュクス】の幹部というよりも、名実共にミッドナイトの娘という状態で、日常を過ごしている。
もっとも、確かに子供のような可愛がり方をしてしまうミッドナイトではあるが、娘という表現に対しては、流石に抵抗があるようだ。しかし、それをエリザベスに向かって告げるほど、ミッドナイトも無思慮ではないし、この辺りの機微は、微妙ながら働くらしい。

ミッドナイトを中心として、イガ、ローレンシア、エリザベスの関係は、一見複雑な四角関係に見えて、この三人の感情は三者三様であり、恋愛感情を抱いているのは、おそらくローレンシアだけであるため、どうにも三人の意見が噛み合わない現状があるようだ。
因みに、この手の話において、ミッドナイトの意見は常に的外れであるため考慮されないという。
もっとも、恋愛感情を挟まない四人（一人は違うが）だからこそ、日々を穏やかに過ごせるという気がしないでもないのだ。
もっとも、幹部連中は、それでは面白くないと語るのかもしれないが。

殺人罪（正しく人殺しの意味）の罪状により、現在、四百万ドラクマの賞金で指名手配を受けている。
各国の意見としては、心神喪失状態であり、彼女自身に活動意欲などは皆無であるという見解が成され、危険なのは、あくまで主であるミッドナイトだと考えられている。
その一点においては、各国が同意するところだろう。
だが、実際にはエリザベスにも自我は在るし、自身で思考することも出来る。しかし、多少薄弱である事実は否めない。
まったく知られていない真実として、ミッドナイトの庇護化に入った後、エリザベスが宝具を使用して人を殺めたという事件は、一件も存在しないとか。

イガ、ローレンシアと共に、三人で【宵闇の降魔亭】に住んでおり、普段は店の手伝いをすることもある。
ミッドナイトは、仕事をすることに意義があるとして、よくよくも業務に励むエリザベスを激励しているようだが、どうしても、他の面子に比べると仕事の能率は悪い。
しかし、最近は侮れないもので、店の商品をすべて丸暗記しているらしく、メニューを確認することなく、口頭で料理の詳細を語れるようになった。
だが、どうにも集中力が続かないらしく、二、三時間すると、客と仲良くテーブルを囲んで料理をパクついていることがあるらしい。
もっとも、客側としては、それはそれで特に異論はないようだが。

枝話だが、エリザベスが、本来、監督する立場にあるニダヴェリールの名物料理は、〝ジャックランタン〟である。
だが、当然にして妖精のことではなく、それに似た形に切り抜かれた料理というだけなので、安心していただきたい。
たまに、仕事帰りのジャックランタンの団体客が、〝ジャンクランタン〟を注文してなぜか爆笑している様子が見られるのも面白さの一つだ。
どうやら、ジャックランタンのあいだで、このメニューを注文するのが一種の罰ゲームとなっているらしく、爆笑しているのは、注文した人物以外だろう。
因みに、この料理を知って以来、ヘルヘイムの〝大僧正〟ナガシマは、フタエのことを〝ジャックランタンメーカー（南瓜抜き鋏）〟と揶揄することがある。おそらく、フテの持つ『シザーズ』を指しての言葉だろう。