告白
その日は、空が厚い雲に覆われあまり良い天気ではなかった。
こういう日はなんだか気が沈む。ザフト騎士団ジュール隊の騎士シホはため息をつく。
何より、先ほど城に侵入しようとした男を追っていったイザーク隊長が
未だに戻らないのが心配でならない。どうせなら自分もついていけばよかった、と
少しばかり後悔の念がよぎる。だがそうそう落ち込んでもいられない。
何より隊長は自分に隊を任せたのだ。隊長の留守は私が守らなければならない。
あれ?これって夫婦の関係に似てるかもあぁ何考えてるの私ったら隊長はそんなこと思ってないというかむしろそんな風な考え方は迷惑よでも隊長は私を一番信頼しているから留守を任せたのよそれなら説明がつくわえぇそうよこれはそういう関係を暗示してるんのね配属決まってから髪型を真似してみた甲斐があったわ隊長は全然
気付かないけど並んだらお似合いっていうか周りから見たら完全に夫婦だしついに努力が実ったという事でこの考えは全く問題ないわ素敵よ私この調子でいずれは
「おい、シホよぉ」
詰め所で待機している間ずっと動かないシホに、同じくジュール隊の兵士ジン達が声をかける。
「…何?」
「おめえいつになったら隊長に告白すんだよ」
「見てる側からしたら本当ヤキモキするぜ」
「きちんと待機していなさい。隊長の命令が聞けないの」
瞳を鋭く細めて睨みつけると兵士ジン達は色々言いたげな顔で黙る。
こいつらにはバレてるのに何故隊長は気付かないんだろうあぁもう苛々してきたわううん
隊長が嫌いなんじゃなくて憎いのはそう自分よ自分が憎いわダメな女ね私ったら
再び動かなくなるシホを見てやれやれといった感じで振り返る兵士ジンたち。
そこに、隊長と一緒に行った兵士たちが戻ってきた。他の兵達が迎えるが何やら深刻そうな顔だ。
「ダメだ…途中で隊長と二手に分かれて待ち伏せしてたんだが男も隊長も消えちまった」
「うげ、それって任務失敗じゃねえか」
「また他の隊の奴らに嫌味言われるだろうな」
最初はそのやりとりを黙って聞いていたシホだったがついには辛抱堪らずという感じに立ち上がる。
「あんたたち、それで隊長を放って戻ってきたの!?」
「仕方ねえだろ。探しても見つからなかったんだぜ」
「ハッ、心配ならおめえが行って来いよ。隊長の腰巾着が」
「何ですって?」
「てめえが隊長につかず離れずだから隊長は女ったらしとか言われてるんだぜ」
「隊長も実はうざがってんじゃねえか?」
そんな。女ということで馬鹿にされまいと、人一倍の戦果を上げ、隊長に余計な
手間をかけさせまいと常に側にいただけなのに。全てを否定されたようだった。
「とりあえず見回りの交代か…最近こんな使い走りみたいな仕事ばっかだよな」
「あ~あ、こんなんならジュール隊なんて入るんじゃなかったぜ」
気の毒に思った他の隊員がシホに声をかけようとするが彼女がへたり込むのを見て何も言えなくなる。
「うん?どうしたんだ、シホ」
そんな彼女に声をかけたのは騎士団長・シグーだった。他の隊員たちは直立不動で敬礼している。
「騎士団長…私は、女はこの騎士団に必要ないのでしょうか?」
イザークが帰ってこないと聞きやって来たのに突然シホの気弱な台詞を聞きシグーは戸惑うが
「…誰かのために戦う意志がある者こそ、ザフトの騎士。それが私にとっては陛下だ。
お前にもそういう者がいるだろう?ならば周りから何と言われようとその意志を貫くべきだと私は考える」
「騎士団長…そうですね…私、どうかしていました」
「大丈夫だ。少なくとも、私はお前を認めている」
騎士団長は安心したようで踵を返す。私は立ち上がり、感謝を込めてその背中に敬礼をする。
少し経って、隊長が戻ってきた。何だか気まずい雰囲気が立ち込める。隊長は険しい顔をして
何かを考えている。あぁ…そういう顔も素敵、ではなくて私はあえて声をかけることにした。
周りになんと言われようと何より隊長が心配だから。勇気を出して声をかける。
「隊長、どうかしましたか」
隊長は一瞬私の方を向いたがすぐに視線を逸らしてしまう。え?ホントに嫌われてるの?私。
再び気分が沈んでしまう。この人にさえ否定されたと思うと、悲しいどころではなかった。
「話がある、ついてきてくれないか」
はいはいもうやってられませんよなんかやる気なくなっちゃったなどうせならこのまま普通の女の子に戻ろうかしら今まで青春楽しんでなかったしってんん今なんて言った?
告白?告白デスカ?何のアプローチもなしに隊長からまさかありえない鈍感が鎧つけて戦ってるような人が私だけ連れて一体何を告白しかないじゃないイヤッホ落ち着いて私燃えるハートでクールに振舞うのよ
それでも気持ちは抑えきれず口元が緩んでしまう。私はこの人に必要とされているのだ。
「えぇ、お供します。どこまでも」
いつかと同じ返事をする。これが、私の想いだから。
こういう日はなんだか気が沈む。ザフト騎士団ジュール隊の騎士シホはため息をつく。
何より、先ほど城に侵入しようとした男を追っていったイザーク隊長が
未だに戻らないのが心配でならない。どうせなら自分もついていけばよかった、と
少しばかり後悔の念がよぎる。だがそうそう落ち込んでもいられない。
何より隊長は自分に隊を任せたのだ。隊長の留守は私が守らなければならない。
あれ?これって夫婦の関係に似てるかもあぁ何考えてるの私ったら隊長はそんなこと思ってないというかむしろそんな風な考え方は迷惑よでも隊長は私を一番信頼しているから留守を任せたのよそれなら説明がつくわえぇそうよこれはそういう関係を暗示してるんのね配属決まってから髪型を真似してみた甲斐があったわ隊長は全然
気付かないけど並んだらお似合いっていうか周りから見たら完全に夫婦だしついに努力が実ったという事でこの考えは全く問題ないわ素敵よ私この調子でいずれは
「おい、シホよぉ」
詰め所で待機している間ずっと動かないシホに、同じくジュール隊の兵士ジン達が声をかける。
「…何?」
「おめえいつになったら隊長に告白すんだよ」
「見てる側からしたら本当ヤキモキするぜ」
「きちんと待機していなさい。隊長の命令が聞けないの」
瞳を鋭く細めて睨みつけると兵士ジン達は色々言いたげな顔で黙る。
こいつらにはバレてるのに何故隊長は気付かないんだろうあぁもう苛々してきたわううん
隊長が嫌いなんじゃなくて憎いのはそう自分よ自分が憎いわダメな女ね私ったら
再び動かなくなるシホを見てやれやれといった感じで振り返る兵士ジンたち。
そこに、隊長と一緒に行った兵士たちが戻ってきた。他の兵達が迎えるが何やら深刻そうな顔だ。
「ダメだ…途中で隊長と二手に分かれて待ち伏せしてたんだが男も隊長も消えちまった」
「うげ、それって任務失敗じゃねえか」
「また他の隊の奴らに嫌味言われるだろうな」
最初はそのやりとりを黙って聞いていたシホだったがついには辛抱堪らずという感じに立ち上がる。
「あんたたち、それで隊長を放って戻ってきたの!?」
「仕方ねえだろ。探しても見つからなかったんだぜ」
「ハッ、心配ならおめえが行って来いよ。隊長の腰巾着が」
「何ですって?」
「てめえが隊長につかず離れずだから隊長は女ったらしとか言われてるんだぜ」
「隊長も実はうざがってんじゃねえか?」
そんな。女ということで馬鹿にされまいと、人一倍の戦果を上げ、隊長に余計な
手間をかけさせまいと常に側にいただけなのに。全てを否定されたようだった。
「とりあえず見回りの交代か…最近こんな使い走りみたいな仕事ばっかだよな」
「あ~あ、こんなんならジュール隊なんて入るんじゃなかったぜ」
気の毒に思った他の隊員がシホに声をかけようとするが彼女がへたり込むのを見て何も言えなくなる。
「うん?どうしたんだ、シホ」
そんな彼女に声をかけたのは騎士団長・シグーだった。他の隊員たちは直立不動で敬礼している。
「騎士団長…私は、女はこの騎士団に必要ないのでしょうか?」
イザークが帰ってこないと聞きやって来たのに突然シホの気弱な台詞を聞きシグーは戸惑うが
「…誰かのために戦う意志がある者こそ、ザフトの騎士。それが私にとっては陛下だ。
お前にもそういう者がいるだろう?ならば周りから何と言われようとその意志を貫くべきだと私は考える」
「騎士団長…そうですね…私、どうかしていました」
「大丈夫だ。少なくとも、私はお前を認めている」
騎士団長は安心したようで踵を返す。私は立ち上がり、感謝を込めてその背中に敬礼をする。
少し経って、隊長が戻ってきた。何だか気まずい雰囲気が立ち込める。隊長は険しい顔をして
何かを考えている。あぁ…そういう顔も素敵、ではなくて私はあえて声をかけることにした。
周りになんと言われようと何より隊長が心配だから。勇気を出して声をかける。
「隊長、どうかしましたか」
隊長は一瞬私の方を向いたがすぐに視線を逸らしてしまう。え?ホントに嫌われてるの?私。
再び気分が沈んでしまう。この人にさえ否定されたと思うと、悲しいどころではなかった。
「話がある、ついてきてくれないか」
はいはいもうやってられませんよなんかやる気なくなっちゃったなどうせならこのまま普通の女の子に戻ろうかしら今まで青春楽しんでなかったしってんん今なんて言った?
告白?告白デスカ?何のアプローチもなしに隊長からまさかありえない鈍感が鎧つけて戦ってるような人が私だけ連れて一体何を告白しかないじゃないイヤッホ落ち着いて私燃えるハートでクールに振舞うのよ
それでも気持ちは抑えきれず口元が緩んでしまう。私はこの人に必要とされているのだ。
「えぇ、お供します。どこまでも」
いつかと同じ返事をする。これが、私の想いだから。