1103環境(遊戯王)

登録日:2025/07/16 Wed 19:01:55
更新日:2025/07/19 Sat 14:21:38NEW!
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1103環境とは、遊戯王OCGの変則レギュレーションである。
公式に定義されているわけではなく、主に有志のプレイヤーによる遊び方である。


【概要】

2011年3月レギュレーションで行うデュエル。使用できるカードは2011年8月31日までに登場したものである。
時期にすると第7期の中盤辺り、遊戯王5D'sが終わり遊戯王ZEXALが始まって間もない頃である。
ゲームだと遊☆戯☆王タッグフォース6の環境に近い。*1

特に年長者向けの環境である*2ために「遊戯王ゲートボール」なんて言われてたりもする。これ以前のレギュレーションは蹴鞠だとか。
このレギュレーションが流行り始めたのは2021年頃。
複雑化した現代遊戯王から少し離れたいデュエリスト(特に展開ルートを覚えるだけで一苦労になりつつある高齢者)がプレイし、じわじわとブームになっている。
以降、環境当時から15年近く経過した2025年現在でも多くの有識者、研究者がいる。

なおエラッタされたカードについては「当時の記載に従う」ものと「現在の記載に従う」ものの両方が混じっている。公式イベントは基本的に後者。
これにより一部カードの使い勝手が大きく変わるので、大会やイベントに参加する前に確認しておきたい。
またこのレギュレーションはどちらかというと有志が行っているものであり、公式もイベントを開くことはあるものの厳密なレギュレーション制定に関与していない点は留意願いたい。
1枚ないし一種類だけ現行カードの使用可能という変則ルールもある。

それとあくまで登場した種類であり、再録、絵違いなどで2011年9月以降に発売されたカードでも名前が同じであれば使用可能である。



【現行ルールとの違い】

当時のルールとして「マスタールール2」が適用される。
現行ルールとの違いとしては大雑把に纏めると以下の通り。
  • 先行ドローあり。
  • ペンデュラムゾーンとペンデュラムモンスター、EXゾーンとリンクモンスターが存在しない。
  • フィールド魔法は互いに1枚しか存在できず、新しいフィールド魔法を発動した場合古い方は破壊される。
  • デッキ、エクストラデッキに裏側で戻ったカードの効果は発動する。お陰で《E・HERO アブソルートZero》が強力。
他にも細かい部分が違うので、当時のルールブックを参照したり、ゲームをプレイするなどでチェックしよう。
とはいえこれもテキストのエラッタと同じく、大会などによってどこまで当時のように扱いどこからが現行ルールになっているのか違うので、都度確認しよう。
非公式であるものの、遊戯王Wikiにも詳細なルール解説が掲載されており、「マスタールール3」以降のルールとの比較もしやすい。
ちなみに当時の禁止・制限カード*3は公式サイトでも確認できる。


【1103環境の魅力】

元々遊戯王自体が25年以上続く長寿TCGであり、プレイヤーの世代によって楽しかった時期が違う為、こういった過去のレギュレーション大会は頻繁に行われており、公式大会や遊戯王マスターデュエルでもそういったイベントは積極的に実施されている。
その中でもこの1103環境はかなりの人気を誇っている。

というのもこの時代は1枚ずつコツコツとアドバンテージを稼げる最後の時代であり、《サンダー・ボルト》、《ハーピィの羽根帚》と言った大量破壊カードが軒並み規制されている*4
なのでいわゆる「エンドサイク」全盛期。《魔導戦士 ブレイカー》もまだまだ強い。
その為原作やアニメのようにモンスターを出してビートダウン、もしくは罠カードで処理するという、互いに腰を据えての戦いが可能なのである。
高いステータスのモンスター1体を召喚し、後は罠を伏せてエンドという事もあり得た。
モンスターが切り札を出すための素材ではなく、一体一体が重要な戦力なのも特徴であり、下級モンスターを守るために罠を切るなんてことも要求される。
下級モンスターによる戦闘もまだ頻発する時代であり、モンスターのステータスが重視されるのはこの環境ならでは。
有効な手札誘発が《エフェクト・ヴェーラー》くらいしか無い上に、最悪ヴェーラーで止めなくても何とかなる効果のモンスターばかりであり、いわゆる空中戦は起こりにくいと言える。
また、当時は多種多様の環境デッキが入り乱れていた時期でもあり、一戦ごとに違うデッキと戦えると言っても過言ではなかった。

もう一つ魅力的なのが、2025年7月現在ではこの時の主力カードが軒並み安いという事もある。
当時は高額カードの代名詞であった《氷結界の龍 トリシューラ》や、手に入りにくい為に海外版を使わざるを得なかった*5レッドアイズ・ダークネスメタルドラゴン》や《ドラグニティ-ファランクス》も今では安価で揃えられる。
つまりこのレギュレーション用のデッキをいくつも組んで、友達やOCGを引退した元プレイヤーと遊ぶなんてことも可能である。
おかけでカードショップのストレージが宝の山に見えるデュエリストもいるとか。
とはいえ全てのカードが手に入りやすいわけではなく、DUEL TERMINAL関係は登場以降再録されていないカードも多いため、その辺りは入手難易度が高い。
更にゲートボールを遊ぶデュエリストが増えてきた影響で、ゲートボール向けのカードが高騰するという現象も起こっている*6
特に絶版しているカードや再録経験の少ないカードでは顕著であり、《インヴェルズ・ローチ》や《イビリチュア・メロウガイスト》など、当時と大差ない価格で取引されているカードも存在する。

また、『遊戯王OCG(TCG)』が「世界で最も販売枚数の多いトレーディングカードゲーム」としてギネス記録に載るほどプレイヤー数が多かった時期*7であり、単純に思い入れが深いプレイヤーが多いことも人気の要因として挙げられるだろうか。
当時のカードが残っているプレイヤーが気軽に参入しやすいことも魅力といえる。

ただし、遊戯王の歴史においてこの辺りからいわゆる「ソリティア」と揶揄されるほどの長い展開が生まれだす頃であり、連続シンクロ召喚で1ターンが長くなり、いざ相手にターンを渡したら相手がそれを返す事が出来ず一方的なゲーム展開になってしまう事も多々ある*8
また生まれたてのエクシーズに関しても後の時代に大暴れし禁止送りになった《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》などが現役で、いわゆる先行制圧の黎明期とも言える。
制限カードでありながらそれを止める役割を求められた《王宮の弾圧》もまた制圧カードでありながら最後の輝きを発揮している。
互いにカードの応酬を楽しむか、それともあの頃のようなガチでいくかは、デュエリスト次第と言えるだろう。


【1103の主なカード】

どちらも当時制限カード
この時代においては「低攻撃力のモンスターから攻撃する」というのが常識であり、その理由はコイツらにある。
というのもダイレクトアタックを受けた際に相手フィールドががら空きの場合コイツらが手札から登場し、ゴーズは更に受けた戦闘ダメージと同じ攻撃力、守備力となる「冥府の使者カイエントークン」まで出してくる。無論本人のステータスも高い。
当時から書籍付録という比較的入手しやすかっただった事もあり、数々のデュエリストの敗北を防いだいぶし銀のモンスターたちと言えよう。

当時制限カード
墓地に闇属性モンスターが3体いる時「のみ」特殊召喚出来るモンスター。
高いステータスに名称ターン1制限の無い破壊効果を持つ暴君であり「ボチヤミサンタイ(墓地闇3体)」という呪文を生み出したモンスター。
2011年当時は闇属性が主体のBFが猛威を振るっていた頃であり、コイツはその最後の一押しとして大活躍していた。

エクシーズ素材を取り除くことで実質的にライフ消費のない《神の宣告》を放てるエクシーズモンスター。
2025年現在でも強いこのカード、2011年はまさしくオーパーツとも言えるモンスターであり、《レスキューラビット》から恐竜族通常モンスターを呼び出してコイツを出すことにリソースを注ぐデッキ【兎ラギア】*9ですら環境クラスであった。
勿論余裕があれば更に素材を追加して《No.16 色の支配者ショック・ルーラー》なんかも狙える。

【メタビート】のエースとして知られる下級モンスターで、1900打点に加え特殊召喚を無効にする効果はシンクロ・エクシーズどちらにも対応している。
互いのサーチを封じる効果はこの時代まだオマケに過ぎなかった。
書籍付属で手に入れやすいことも魅力であり、実は2025年の現在でも生産(重版)されているのだが、ゲートボール需要の高まりで再び売り切れが続いている。

  • 《ヒーローアライブ》
自分フィールドにモンスターが存在しないときにライフ半分を払ってE・HEROをリクルートする通常魔法。
漫画GX関連カードのOCG化に伴い徐々に強化されてきたHEROを環境レベルに押し上げた功労者。
リクルート先は《E・HERO エアーマン》(当時制限カード)か《E・HERO プリズマー》が鉄板。

ご存知、墓地の光と闇を1体ずつ除外して特殊召喚するカオスモンスター。当時丁度制限解除されたばかりであった。
攻撃権を放棄して相手モンスターを除外する効果を持っており、当時はコイツをピン刺しするだけで「カオス」デッキ扱いされたほど。
「他にもカオス居ただろ」と思ったデュエリストも居るだろうが、実は1103環境では《カオス・ソルジャー -開闢の使者-》は禁止カードなのである。
要するに安易な特殊召喚と除去効果を持つだけで1103環境では非常に強力であった。

当時制限カード
2011年当時、デュエリストの誰もが憧れた終焉を呼ぶ氷龍。
その出しにくさと出した後の強力な効果は誰をも魅了し、絶望させ、希望を生み出した。
…そんなカードも環境と共に姿を消し、幾多もの再録によりとても手に入りやすくなったのだが、2025年現在でも通ずる強さは1103環境では計り知れないパワーである。
あの時手が出ず使う事が出来なかった「切り札」を存分に振るってみるのも悪くない。

ある意味、現代遊戯王における「空中戦」の開祖ともいえる手札誘発モンスター。
相手のメインフェイズ中にしか投げられないものの、モンスター効果による展開を止めることができる「抑止力」として猛威を振るった。
…尤も強力なテーマが台頭するたびに「ヴェーラー(手札誘発)握ってない方が悪い」というスラングを生み出してしまった功罪両極端なカードでもある。

当時制限カード
同じく手札から飛び出す奇襲系カードにして、相手モンスターを返り討ちにさせる系モンスターの先駆け的存在。
「ダメステ良いっすか?」がトラウマになったデュエリストも居ることだろう。
自分の光属性モンスターの攻撃力を相手モンスターの攻撃力分だけ強化する能力を持ち、光属性主体のデッキはこのカードが採用できる事自体がメリットと言え、また光属性のモンスターを相手にする時はこれによる返り討ちを警戒する必要が大きかった。

当時3積みできた貴重な手札交換カード*10
特殊召喚が行えなくなるデメリットは大きいが、それでも当時のゲームスピードでは手札の質を高められるメリットの方が遙かに上回っていた。
当時はこれもかなりの高額カード。現代でも特殊召喚が少ないor絡まないデッキで多く使われる。

  • 《王宮の弾圧》
当時制限カード
お互いにライフを800払えば特殊召喚を(含むカードの効果を)止められるという永続罠。
制限カードではあったがこの時代の【メタビート】は未だこのカードありきで成り立っていた。
しかし次の制限改訂で禁止カードとなり、【メタビート】には冬の時代が訪れ先攻制圧の時代が幕を開けていくこととなる。


【1103の主なデッキ】


本環境の魅力はなんといっても非常に多彩に分布したデッキの数々だろう。
下記にそんな環境を彩った主要デッキを残す。

  • 【爆風ロケット】【爆風ライザー】
1900打点とサーチ・サルベージを兼ねている革新的なモンスター《ヴォルカニック・ロケット》を基軸に、バウンスしつつデッキトップを固定できる《鳳翼の爆風》などの手札コストはかかるが強力な罠を備えた罠メタビート。
登場当初は《ジェネクス・ウンディーネ》&《ジェネクス・コントローラー》が中心だったが、この頃になると下級モンスターは《ライオウ》《炎帝近衛兵》らが中心を占めている。
上級モンスターは同じくバウンス&デッキトップ固定効果を持つ《風帝ライザー》にお呼びがかかる。

  • 【光デュアル】
E・HERO アナザー・ネオス》を軸に、脇を上記の《ライオウ》などの優秀な下級モンスターや《E・HERO アナザー・ネオス》とサポートを共有できる下級戦士族やデュアルモンスターなどで固めたグッドスタッフ系除去メタビート。《王宮の弾圧》も当然投入している。
《デュアルスパーク》を筆頭に大量の除去札を投入でき、HERO絡みなのでいざとなれば《超融合》も使える。
光属性が中心なので当然ながら《オネスト》も採用可能であり、下級モンスター中心ながら戦闘にも隙はない。必須カードが《E・HERO アナザー・ネオス》と《デュアルスパーク》くらいなのでカスタマイズ性も非常に高い。
この時代のサイドデッキによく《スノーマンイーター》が採用されていたのは、このデッキ対策と言っても過言ではないだろう。

安くて強い、といえばこのデッキ。当時ベストロウリィは制限カード。
切り札の《剣闘獣ガイザレス》のレアリティがノーマル、挙げ句出しやすい上に出てくるだけで相手フィールドのカードを2枚破壊するという破格の効果を持っている。
さらに《剣闘獣の戦車》による手軽な効果対策が打てたのもこのデッキならではの強み。《ブラック・ローズ・ドラゴン》の全体除去で巻き返しを図ろうとしたら無効化されて…と言うのは当時よくあったシチュエーション。
前述の通りビートダウンを行う環境だったこともあり、その戦闘の極致である剣闘獣の強さは計り知れないと言える。
上記の《ヒーローアライブ》の恩恵も受けており、この頃の剣闘獣は【アライブ剣闘獣】とも呼ばれる。


こちらも安くて強いと言える。当時《光の援軍》は制限、《裁きの龍》は準制限カード。
だが当時の感覚としては墓地肥やしというよりかは単純に下級モンスターの質が非常に良く、スタッツで押し切るのが主流。
それでいて切り札の《裁きの龍》の豪快な効果で相手フィールドを焼け野原にする効果も持ち、如何にしてコイツの効果を通すかが問われた。
ライロ使いの「おもむろに墓地を確認」は語り草である。
彼らのメタとして【デッキ破壊】が真剣に取り上げられるほどである。
1103環境では多数のカードが墓地に落ちる関係上、闇属性モンスターも採用し、上記の《ダーク・アームド・ドラゴン》や《カオス・ソーサラー》、更には《ネクロ・ガードナー》を入れた【カオスライトロード】というデッキも流行している。
タッグフォースでは早乙女レイが使用していた。がお陰で彼女がダークネスに負けた際には「ライロでどうやって負けるんだ」等と冗談半分で言われた事もある。
大庭ナオミも使用するが、このデッキ使っといてピンチになると「インチキだわ!」と言い出す為にネタになっていた。

……というより真六武衆というべきか。当時《六武の門》は制限カード。
フィールドに六武衆がいると特殊召喚できる上に比較的容易な条件で攻撃力が2100にもなる《真六武衆-キザン》を筆頭に大量展開を行い、そこからシンクロや除去を繰り返す破格のテーマである。
旧六武衆でもセットされた魔法罠破壊効果を持つ《六武衆-ヤイチ》や高いステータスを持つ上に戦闘したモンスターを破壊する《六武衆-ザンジ》、モンスター破壊効果を持つ上に自己展開可能な《六武衆の露払い》なども良く見られた。
ヤリザ殿はこの頃からネタだったが、コイツのダイレクトアタックで勝負を決めて歓声があがったこともあるとか。
タッグフォースシリーズでは元々六武衆使いだったツァン・ディレが6で大強化。カード自体も初期にあるパックから出てくるということで、ゲーム、実際問わず六武衆使いが多かったという。

アニメで鬼柳京介が使用したカテゴリ。当時《インフェルニティガン》は制限カード。
手札が0枚のときに強力な効果を発揮できるというテーマだが、その「強力な効果」を何度も何度も発動させ様々な展開や連続シンクロ召喚を行うという、現在遊戯王にも引けを取らない複雑さと1個でも工程をミスると全てが終わるピーキーさ、そして決まった時の爽快感が半端ないテーマである。
このデッキの動きのそれはTCGではなく数学とかの分別であり、現代まで数々の奇跡を生み出してきた屈指のテーマ。
それらの事からインフェルニティ使いは敬意を込めて満足民等と呼ばれている。

ストラクチャーデッキ「ロスト・サンクチュアリ」で大幅な強化を受けたカテゴリ「代行者」を中心に据えた天使族デッキ。2011年の世界大会優勝デッキでもあり、間違いなく今環境の覇者と呼べる存在の一角。
《神秘の代行者 アース》や《創造の代行者 ヴィーナス》でリソースを稼ぎながらランク2~3のエクシーズモンスターやシンクロモンスターを柔軟に展開、最終的に強力な除去能力を持つ《マスター・ヒュペリオン》や特殊召喚封じと一風変わった除去耐性を持つ《大天使クリスティア》といったフィニッシャーでゲームエンドを呼び寄せる戦術をとる。
また、自己展開可能な上にリソースの循環性があるレベル2~3のモンスターを擁する「TG」の一部モンスターを取り込み、更に展開に柔軟性を与える派生も人気を博した。


ストラクチャーデッキ「マシンナーズ・コマンド」で魔改造大幅な強化を受けたカテゴリデッキ。
自己蘇生効果を持つため何度でも展開可能な上に、被戦闘破壊時とモンスターから対象に取られた時にディスアドバンテージを相手に背負わせる最上級モンスター《マシンナーズ・フォートレス》とこれをサーチしてこれる上に攻撃力1800という優秀なスタッツを持つ《マシンナーズ・ギアフレーム》を中心に、質の高いビートダウンを繰り返すデッキ。
複雑な展開はなく、カスタマイズ性も高く、アドバンテージの概念を直感的に理解しやすい上に、パーツも集めやすい本デッキは当時の「遊戯王の教科書」として広く知られており、初心者から上級者まで幅広く愛用された名デッキでもある。
エクストラデッキがなくても十分強いのも魅力であり、それでいてエクストラデッキとの融和性自体は高いので集めれば集めるだけ強くなれる点もビギナーに握らせやすいポイント。

同じ機械族・地属性なのでサポートを共有可能で、リソース供給能力が極めて高い為《マシンナーズ・フォートレス》の展開も補助しやすい「ガジェット」と組み合わせた、【マシンガジェット】が主流にして当時の基本形であった。
レベル4モンスターを安定供給できることからエクシーズモンスターとの相性は極めて良好である。

その他、《ゲットライド!》を用いてユニオンのマシンナーズを展開しながらランク2、4のエクシーズ召喚に繋いでいく「ゲットライド軸」、下級が「ナチュル」シンクロモンスターの、《マシンナーズ・フォートレス》がレベル8シンクロモンスターの素材としてそれぞれ高い適性を持つことに目をつけ、「カラクリ」や「植物族」を採り入れて大量のシンクロモンスターを一挙に展開する【カラクリマシン植物】なども活躍した。

前者は《ジャンク・シンクロン》で《ドッペル・ウォリアー》を、後者は《デブリ・ドラゴン》で《ダンディライオン》をそれぞれ釣りあげてシンクロ召喚、シンクロ召喚と同時に展開されるトークンを利用して更なるシンクロ召喚を繰り返していく展開デッキ。どちらも類似ギミックな上、サポートカードも共有しやすい為複合したパターンも多々存在する。
スピードの中で進化したシンクロ召喚がたどり着いたひとつの答えとも言えるデッキであり、現在の「シンクロ召喚=大量展開」というイメージが完全に定着しきった背景には本デッキの存在は大きく関わっている。

展開デッキらしくメタには弱く、1枚1枚の単体バリューが圧倒的に高い訳でもない為、事故率も決して低くは無いのだが、ひとたび回った時の制圧力や盤面構築の瞬発力は当時としては類を見ない。
大量除去手段が一部罠カードにしかなかった当時では、展開を許せば押し返すのは不可能に近いと言える。

どちらもキーカードはアニメ「遊戯王5D's」の主人公、不動遊星が利用していたカードでもある為、ロールプレイデッキとしても人気の高いデッキであった。彼が最後にたどり着いたシンクロ召喚の極地にして高い制圧力を持つ《シューティング・クェーサー・ドラゴン》のシンクロ召喚も十分に現実的であった。
そういった意味では「制圧」の先駆けともいえるだろうか。

レベル2以下の水族モンスターで形成されたカテゴリ「ガエル」を用いたデッキ。この頃にはガエルを大量にデッキから墓地へ落とせる《イレカエル》こそ禁止になっていたものの、《黄泉ガエル》の規制が緩和された他、まだ《フィッシュボーグ-ガンナー》も現役であったため、シンクロ召喚、アドバンス召喚の両面で強力であった。
当時はその展開力を活かして帝モンスターを展開。更には《A・ジェネクス・バードマン》で帝モンスターの効果を再利用したり、高レベルのシンクロ召喚に繋げる型が流行。帝モンスターの盤面干渉力とそれを繰り返し利用出来る戦線継続力は非常に魅力的と言える。

ドラゴン族と鳥獣族の混成カテゴリ「ドラグニティ」を中心としたデッキ。
ストラクチャーデッキ「ドラグニティ・ドライブ」こそ出たもののDUEL TERMINAL産の重要パーツである《ドラグニティ-ファランクス》とVジャンプ応募者パックが初出の《ドラグニティナイト-ヴァジュランダ》の再録が行われなかったためこれらの値段が非常に高く当時はまず組むことが困難であった
とはいえ無制限の《竜の渓谷》など強力な要素はあり、組めれば決して無視できない存在ではあった。
韓国版のストラクチャーデッキには、《ドラグニティ-ファランクス》と《ドラグニティナイト-ヴァジュランダ》も付属していたため*11、そちらのカードにお世話になった人も少なくないだろう*12

  • TG(テックジーナス)
アニメ5D'sアンチノミーが使用するカテゴリ「TG」で戦うデッキ。
ただし原作のようにシンクロモンスターを中心として戦うデッキではなく、下級TGが持つ被破壊時のサーチ効果を利用してアドバンテージを稼ぐことを主眼に置いたデッキである。
普通のシンクロ召喚デッキなら嫌がる《スキルドレイン》や《王宮の弾圧》を採用することも珍しくなく、その在り方はほぼメタビート。
なんなら下級TGと相性がよい《幻獣の角》を共用できる《神獣王バルバロス》まで入れて往年の【スキドレバルバ】に寄せた構成も存在する。


【余談】

次のレギュレーションである1108環境からは【甲虫装機】が登場し環境を更に高速化。
結果、罠カード全体を「遅いから扱いにくい」という環境に知らしめてしまうのは有名な話である。

罠カードの復刻はここからもう少しだけ待つ事となる。





追記修正は04環境を遊んでからお願いします。



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最終更新:2025年07月19日 14:21

*1 2011年7月発売の「PHOTON SHOCKWAVE」までの収録の為、その後に出たザ・ヴァリュアブル・ブック14等のカードが少し無いだけである。

*2 2025年現在、メインターゲットである当時10代の少年少女達は20代半ば~30代になっている。

*3 当時は禁止・制限カードという名称であった

*4 どちらも禁止カード

*5 当時の日本語版は1枚数千円で取引されていたが、韓国語版はかなり安価に入手できたため、そちらを愛用するデュエリストも少なくなかった

*6 また、当時とは別のコンボに使用されて高騰しているカードもしばしばある。

*7 当時は『遊戯王OCG』を一切取り扱わないカードショップは非常に少なく、都市部の大会では多くの人が集まっていた

*8 後攻捲り札が多く規制されていたことも制圧の有効性に拍車をかけた

*9 通常モンスターの恐竜族モンスターを引いてしまうなどの手札事故も頻繁に起こる。

*10 便宜上ドローソースとされることもある

*11 あちらでは国内のプロモカードがストラクチャーデッキの特典カードとしてリリースされることが常

*12 当時はまだ多言語版を混ぜてプレイする事が出来た