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願い

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匿名ユーザー

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「願い」

「この辺りなら大丈夫か…」
騎士シホを連れて城壁の端までやってきた騎士イザークはまわりを見渡す。
とりあえずは滅多に人の来ないここなら他の者に聞かれることもないはずだ。
さて、どうやって切り出そうか。一方のシホは何やらそわそわしている。
いつも落ち着いているだけに、その挙動はいっそうおかしく見えてしまう。
「俺が怖いか?シホ」
「えっ?い、いえそんな事は」
微笑みながら冗談交じりに呼びかけてみるが逆効果だったようだ。
だが自分に残された選択はこれしかない。命を一歩前に踏み出し胸に手を当てて言う。
俺にその命預けてくれないか、と。そのまま次の言葉を待つ彼女に自分の意志を示す。
「頼む…俺と共に、国を取り返すために戦ってくれ」
「はい、喜んで…えっ?」
同時に風が吹いたせいで何を言ったか聞こえなかったが、シホの顔がひきつっていた。何故だ。


こんな人気のない所まで連れてきて一体どうするつもりかしらまさかこんなところで
ジュール隊と一緒に女の子まで卒業ですかえぇ望むところですよ心の準備は出来てます隊長
おっと落ち着かないと…隊長は笑いながら俺が怖いか、なんて言いながら笑っている。
ちょっと体が熱い…その笑顔が魅力的過ぎて怖いですと返す度胸が私にあるはずもなく、
上手く切り返せずに黙っていると隊長が一歩前に踏み出す。ちちち近いです顔がぁ
さてここで懐からお給料三ヶ月分のアレが登場でしょうかそれともここで一気に
一線越えますか大胆ですね隊長さぁさぁ遠慮せずにどうぞ隊長召し上がれ
「シホ…俺にその命、預けてくれないか」
預けます!どうぞ持っていって下さい好きにして下さい私はもう隊長のモノですよ
隊長の衝撃的発言と同時に冷たい風が吹き、火照った身体が冷まされる。
そして隊長が口を開く。私はただその次を待つだけ。
「頼む…俺と共に、国を取り返すために戦ってくれ」
しかし私が聞いたのは隊長の想いでもなくこれからの人生を決めるものでもなかった。
さようなら新婚生活こんにちはいつもの生活。嬉しそうな隊長が少し恨めしかった。


良かった。断られたら頼るアテがなくなるところだったので安心する。
実力があり秘密を遵守できさらに自分と共に行動してくれる者、それは
彼女以外にはありえないと思っていたからだ。早速『穏健派』の説明に移る。
時折ため息をつくのでやはり嫌か、と尋ねてみるとそんなことはないですよと
笑顔で返してくれた。説明も終わり、事情を納得した彼女は
「私はいつだって隊長のお側にいます」と快く返事をしてくれた。
とりあえずはこれで良しとしよう。この日は一旦城に戻り騒がしい部下たちに
気が緩んでいると注意をして休息をとった。
そして数日後、非番の日にシホを連れて街へ繰り出す。つけられていない事を
確認し、彼女と共にこの前来た場所まで行く。そこにはマントをつけた人物のみで
「我々は定期的にアジトを変えていましてね…案内します」
こうしてあのお方に再会しシホを紹介する。あのお方は頷くと早速命令を下す。
「もうじきわが国にラクロア騎士団がやってくる…我々は彼らに協力したいと思う」
ついに決戦の時か…先生も決着をつけると躍起になっているわけだ。
「我らの意思を彼らに伝えて欲しい…やってくれるね、騎士シホ」


期待が外れた上にあの後も何もなく終わってしまった…隊長は私のことを
どう思っているのかな。でも、あの時は私だけを見て会話してくれた。
見つめ合う二人。時間さえも支配できると思っていたあの頃。月日は流れ空の色も
変わるようにすれ違ってた心…ふぅ、詩人になってしまったわ題名はモーメントね
結局断る事も出来ず承諾する。わざとらしくため息をつくけど効果はなかったみたい。
数日後、珍しく非番ですることもなく悩んでいたところに隊長がやってきた。
また一緒に来てくれってでででデートですか今こそ決戦の時ですかちょっと
待ってください色々準備をですね久々におめかしをですねそして隊長に連れられ
街から路地裏へ隊長何をやっぱりですかふふふ準備の甲斐がありましたね
などと思っているとマントをつけた変な人が現れる。
戸惑いながらも着いて行った先にいた人は、私を驚かせるには十分すぎた。
そしてそのお方は私に重大な使命を与えた。私にしか出来ないこと。
もうじき現れるチャンスを掴むための大事な役。私は跪き承諾の意を示す。
ちょっと大変そうだけど、隊長の力になれるなら悪くないかな。

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