「誓い」
ラクロア王国の式典の途中、突如反乱を起こしたデュエル、イージス達2人の近衛騎士。
彼らはラクロアを脱出し、ザフト軍本隊に合流。以後ザフト軍として行動し、伝説の三種子(シード)を探していた。
ザフトの傭兵、暗殺騎士ブリッツは本隊とは別に単独行動で情報を集め、
時々折りを見てはある村へと立ち寄っていた・・・。
彼らはラクロアを脱出し、ザフト軍本隊に合流。以後ザフト軍として行動し、伝説の三種子(シード)を探していた。
ザフトの傭兵、暗殺騎士ブリッツは本隊とは別に単独行動で情報を集め、
時々折りを見てはある村へと立ち寄っていた・・・。
そこはアマルフィ村。ラクロアやザフトからは離れた、いわゆる田舎の村。戦いとは全く無縁の、平和な村。
ブリッツは他の村人には気づかれぬよう、ひとつの民家に近づく。郵便受けにいつものように金の入った袋を入れる。
2階の窓を叩き、中にいる人間に呼びかける。
「ニコル・・・ニコル・・・・」その声に中の人間が気づく。15歳くらいの、病弱そうな少年だった。
「ブリッツ!」少年は声を上げあわてて口を抑える。その動きはさっきまでの病弱そうな動きとは違っていた。
まるでクリスマスで枕元に自分の欲しかったものが置いてあった時のように嬉々とした表情を見せる。
「ハハ、相変わらずだなニコルは。」ブリッツの目元も思わず緩む。その表情は、影に生きる冷徹な騎士が他人には決して見せないであろう、
光に満ちた表情であった。
ブリッツは彼を窓から連れ出し、村の外の夕陽の見える丘まで連れて行った。この時だけ、ニコルに外の世界を見せてやることが出来る。
まわりには誰もいない、二つの影がまるで仲の良い兄弟のように寄り添っていた。
ブリッツは他の村人には気づかれぬよう、ひとつの民家に近づく。郵便受けにいつものように金の入った袋を入れる。
2階の窓を叩き、中にいる人間に呼びかける。
「ニコル・・・ニコル・・・・」その声に中の人間が気づく。15歳くらいの、病弱そうな少年だった。
「ブリッツ!」少年は声を上げあわてて口を抑える。その動きはさっきまでの病弱そうな動きとは違っていた。
まるでクリスマスで枕元に自分の欲しかったものが置いてあった時のように嬉々とした表情を見せる。
「ハハ、相変わらずだなニコルは。」ブリッツの目元も思わず緩む。その表情は、影に生きる冷徹な騎士が他人には決して見せないであろう、
光に満ちた表情であった。
ブリッツは彼を窓から連れ出し、村の外の夕陽の見える丘まで連れて行った。この時だけ、ニコルに外の世界を見せてやることが出来る。
まわりには誰もいない、二つの影がまるで仲の良い兄弟のように寄り添っていた。
「へぇー、ラクロアという国にはそんな楽器があるんだ!」少年のような声。
「あぁ、今話した太鼓という楽器のほかにも色々なものがあったよ。」優しい青年のような声
「いいなぁ、僕もいつかは色んな国を見てまわりたいなぁ。」「ハハ、そのためには早く病気を治さないとな。」青年が少年の肩に手を置く。
「うん、早く病気を治して色んな国の音楽の事を勉強して、ブリッツの働いてる国の音楽隊に入ってブリッツの応援をするんだ!」
少年は胸を張って答える。青年のような声の主、ブリッツと呼ばれた人間ではない、MS族は目を細め
「あぁ、そうだな・・・」少しトーンを落として、答える。そんなブリッツを見て
「どうしたの?元気ないねブリッツ?」心配そうに少年が尋ねる。
「いや、大丈夫さ。」少年に知られてはならない秘密を隠すようにブリッツは答える。
「そうだ、僕この前こんなものを作ったんだ!はい、ブリッツにあげるよ!」
そういって少年がブリッツの手に何か握らせる。丁寧に作られた手作りのオルゴールだった。
「これは・・・」「ブリッツもお仕事大変なんでしょ?だからつらい時はこのオルゴールを開けてよ・・その、僕が作曲した曲が入ってるんだ・・」
「いいのか、そんな大事なもの。」「うん!」
「よし・・・それじゃあこのオルゴールに誓おう。私はスダドアカのために戦う。ニコルは、病気と闘って治すんだ。これは、騎士の誓いだ。」
「うん!」ニコルと呼ばれた少年と、ブリッツという男、全く違う種族なのに二人はまるで兄弟のようだった。
「あぁ、今話した太鼓という楽器のほかにも色々なものがあったよ。」優しい青年のような声
「いいなぁ、僕もいつかは色んな国を見てまわりたいなぁ。」「ハハ、そのためには早く病気を治さないとな。」青年が少年の肩に手を置く。
「うん、早く病気を治して色んな国の音楽の事を勉強して、ブリッツの働いてる国の音楽隊に入ってブリッツの応援をするんだ!」
少年は胸を張って答える。青年のような声の主、ブリッツと呼ばれた人間ではない、MS族は目を細め
「あぁ、そうだな・・・」少しトーンを落として、答える。そんなブリッツを見て
「どうしたの?元気ないねブリッツ?」心配そうに少年が尋ねる。
「いや、大丈夫さ。」少年に知られてはならない秘密を隠すようにブリッツは答える。
「そうだ、僕この前こんなものを作ったんだ!はい、ブリッツにあげるよ!」
そういって少年がブリッツの手に何か握らせる。丁寧に作られた手作りのオルゴールだった。
「これは・・・」「ブリッツもお仕事大変なんでしょ?だからつらい時はこのオルゴールを開けてよ・・その、僕が作曲した曲が入ってるんだ・・」
「いいのか、そんな大事なもの。」「うん!」
「よし・・・それじゃあこのオルゴールに誓おう。私はスダドアカのために戦う。ニコルは、病気と闘って治すんだ。これは、騎士の誓いだ。」
「うん!」ニコルと呼ばれた少年と、ブリッツという男、全く違う種族なのに二人はまるで兄弟のようだった。
それから数週間後、二つ目の種子をめぐる戦いにおいてザフトも精鋭部隊を送り込んだものの
二つ目の種子もストライク達が手に入れることとなり、ザフトは不利な状況に陥る事となった。
焦ったイザークはアマルフィ村の侵攻するフリをし、誘い出されたストライク達を迎え撃つという作戦を提案。
フリだけでは生ぬるいという意見もあったがイザークがどうせ抵抗もできない弱小の村だと意見を却下、作戦の遂行が決定した。
アマルフィ村へ進軍する準備をするザフト軍。村に着いて、村人全員を広場に集め一箇所に幽閉させる予定であったが、
「しかし不測の事態というのも十分ありうる話だ。どうかな、騎士団長。人質を取ってみるのを提案するが?」
出発の前日、呪術師クルーゼの提案により村人は人質にされる事となった。私としては反対したかったが、
あの村の出身である事を明かすわけにはいかない。黙って準備に徹した。
今回は傷を負ったシグー率いる騎士団は本国へ残り、代わりに新兵器を投入するとの事だ。
私を含めたデュエル率いる部隊が先行し村に潜入した後、おびき出されたストライク達を後からやってきた
新兵器とともに挟み撃ちする作戦らしい。しかし、村人には手を出さないとイザークからの提案があったにもかかわらず、
兵士達は補給と称して村の食料庫を襲っていた。肝心の隊長デュエルはそれを眺め何も言わなかった。
流石にこれには我慢ができなかった。兵士達を止めに入る。しかし荒くれ者ばかりを集めて組まれた部隊であるため
言っても聞かない。さらに私にとがめられた事に怒り八つ当たり気味に村人達に暴力を加える。
私は自分の手が疼くのを感じてはいたが、この場で兵士達をひねり殺してもデュエルや新兵器とやらから私ひとりで
この村を守る自信はない。私は暴行を受ける顔見知りや昔世話になった人達に心の中で謝罪し、立ち尽くしている事しかできなかった。だが
「おい、そこのガキ!お前邪魔するってえのか!」「もうやめてください・・僕達が何をしたというんですか・・!」
弱弱しい少年の抗議の声。しかし確かにこの声は、ニコルだった。重い病気であるにもかかわらず、身を挺して村人を守る。
その姿に私は心打たれた。が、未だ私は動く事ができなかった。ザフトという強大な力を相手にすることに恐怖していたのかもしれない。
「テメェッ!俺様に意見するとはどういう事だッ!」ニコルを突き飛ばす兵士。壁に頭をぶつけ、うずくまる。それを見た時、
私の中で何かが弾けた。村人達は気づいた時には周りの兵士は姿を消していた。未だうずくまっていたニコルも誰がそれをやったのか
知る事はなかった。私は兵士達を少しずつ始末しながら様子を伺う。どうやらデュエルはまだ気づいていないようだ。
他にも傭兵はいるがこちらは村の外で待機しているので問題ない。新兵器が到着するまでになんとか数を減らす。
そんな事を考え私はひとつの決心をする。この戦いで何が起きようとニコルは・・この村は守る。例えザフトに加担していることがばれたとしても。
そして、彼は自らの運命を変えるとも知らず戦いへと臨む。心の中で、絶対に破れぬ誓いを胸に。
二つ目の種子もストライク達が手に入れることとなり、ザフトは不利な状況に陥る事となった。
焦ったイザークはアマルフィ村の侵攻するフリをし、誘い出されたストライク達を迎え撃つという作戦を提案。
フリだけでは生ぬるいという意見もあったがイザークがどうせ抵抗もできない弱小の村だと意見を却下、作戦の遂行が決定した。
アマルフィ村へ進軍する準備をするザフト軍。村に着いて、村人全員を広場に集め一箇所に幽閉させる予定であったが、
「しかし不測の事態というのも十分ありうる話だ。どうかな、騎士団長。人質を取ってみるのを提案するが?」
出発の前日、呪術師クルーゼの提案により村人は人質にされる事となった。私としては反対したかったが、
あの村の出身である事を明かすわけにはいかない。黙って準備に徹した。
今回は傷を負ったシグー率いる騎士団は本国へ残り、代わりに新兵器を投入するとの事だ。
私を含めたデュエル率いる部隊が先行し村に潜入した後、おびき出されたストライク達を後からやってきた
新兵器とともに挟み撃ちする作戦らしい。しかし、村人には手を出さないとイザークからの提案があったにもかかわらず、
兵士達は補給と称して村の食料庫を襲っていた。肝心の隊長デュエルはそれを眺め何も言わなかった。
流石にこれには我慢ができなかった。兵士達を止めに入る。しかし荒くれ者ばかりを集めて組まれた部隊であるため
言っても聞かない。さらに私にとがめられた事に怒り八つ当たり気味に村人達に暴力を加える。
私は自分の手が疼くのを感じてはいたが、この場で兵士達をひねり殺してもデュエルや新兵器とやらから私ひとりで
この村を守る自信はない。私は暴行を受ける顔見知りや昔世話になった人達に心の中で謝罪し、立ち尽くしている事しかできなかった。だが
「おい、そこのガキ!お前邪魔するってえのか!」「もうやめてください・・僕達が何をしたというんですか・・!」
弱弱しい少年の抗議の声。しかし確かにこの声は、ニコルだった。重い病気であるにもかかわらず、身を挺して村人を守る。
その姿に私は心打たれた。が、未だ私は動く事ができなかった。ザフトという強大な力を相手にすることに恐怖していたのかもしれない。
「テメェッ!俺様に意見するとはどういう事だッ!」ニコルを突き飛ばす兵士。壁に頭をぶつけ、うずくまる。それを見た時、
私の中で何かが弾けた。村人達は気づいた時には周りの兵士は姿を消していた。未だうずくまっていたニコルも誰がそれをやったのか
知る事はなかった。私は兵士達を少しずつ始末しながら様子を伺う。どうやらデュエルはまだ気づいていないようだ。
他にも傭兵はいるがこちらは村の外で待機しているので問題ない。新兵器が到着するまでになんとか数を減らす。
そんな事を考え私はひとつの決心をする。この戦いで何が起きようとニコルは・・この村は守る。例えザフトに加担していることがばれたとしても。
そして、彼は自らの運命を変えるとも知らず戦いへと臨む。心の中で、絶対に破れぬ誓いを胸に。