「ある村の話」
最近、ラクロアとザフトという二つの国が長期にわたって激しい戦いを繰り広げているらしい。
双方ともこことはあまり近くはないが、戦いの範囲が広いのでどちらかの部隊などが
こちらに迷い込んでくる可能性もある。そうなったら撃退しなければならない。
あまり争いたくはない、と思いながらも常に警戒は怠らない。
ここは他所の者に知られるわけには行かないのだ。私はここの生まれではないので詳しくは知らないが、
何やらここ眠っているものは大事なものであったり危険なものであったりするらしい。
とにかく、拾われて物心ついたときからここを守るように教えられ、育てられた。だからここを守る。
それが、私の生きていく理由。外の世界に興味はない。私はない、のだが
「ねぇねぇルージュさま!明日こそ街まで行ってみましょうよ!ね?」
私の部下達は、外への憧れでいっぱいのようだ…。
双方ともこことはあまり近くはないが、戦いの範囲が広いのでどちらかの部隊などが
こちらに迷い込んでくる可能性もある。そうなったら撃退しなければならない。
あまり争いたくはない、と思いながらも常に警戒は怠らない。
ここは他所の者に知られるわけには行かないのだ。私はここの生まれではないので詳しくは知らないが、
何やらここ眠っているものは大事なものであったり危険なものであったりするらしい。
とにかく、拾われて物心ついたときからここを守るように教えられ、育てられた。だからここを守る。
それが、私の生きていく理由。外の世界に興味はない。私はない、のだが
「ねぇねぇルージュさま!明日こそ街まで行ってみましょうよ!ね?」
私の部下達は、外への憧れでいっぱいのようだ…。
M1三姉妹。私とともにこの村を守る者達だ。とはいってもまだ戦うには少し早い年頃の娘でもある。
それ故に外の世界への関心が非常に強い。いつも抜け出そうとして侵入者用の罠に引っかかる。
ちなみに罠は変動式なので彼女達が出られたことはない。なので今度は私を懐柔し一緒に出ようという作戦だろう。
「お前達、無茶なことを言うんじゃない」
三姉妹がいつものように騒いでいるのを見て妹がこちらへやってきた。
「カガリさまだって外には興味あるでしょ?」
「海!海が見たい!」
「わたしは他の国の建物が…」
こうなったら彼女達は止まらない。私は妹にこの場を任せ、外の様子を伺う。
外からは何も見えないようになっているが、こちらからはだいたいひとつの国くらいの範囲で外の様子が見える。
これもこの里に眠る技術の一部らしい。里から一番近い、とはいってもかなり距離のある海岸を見渡す。
誰もいないようだ。まぁ、船が漂流して辿り着くことがあるが、
そういう場合は近くの街の民のふりをして我々の里とは反対の街までの道を案内する。
しかし、この里の周り山の中に誰かが入ってきた場合は、何が原因でここが見つかるのかわからないので、
私と三姉妹が出て相手をする。一応怪しまれないためにこの山に篭り修行している騎士、ということにして。
木こりや町人なら半ば強引に追い返す。どこかの国の兵士なら、場合によっては消えてもらう。
こういう時のため、鍛えた剣の腕だ。養父であり師であるウズミ様は私の剣の才能に大変驚いて、もしかしたらお前の親は騎士の家系だったのかもしれないな、と私を騎士として鍛えてくれた。
捨て子であった私に生きる意味を与えてくれた、それだけで感謝している。
記憶の中に意識を投じていると、少し離れた山のふもとの方で動く者を発見した。
ザフトの兵士だ。モンスターも連れている。数は合わせて6といったところか。
私は剣を手に、三姉妹を呼びに行く。これは少々、厄介なことになりそうだ。
それ故に外の世界への関心が非常に強い。いつも抜け出そうとして侵入者用の罠に引っかかる。
ちなみに罠は変動式なので彼女達が出られたことはない。なので今度は私を懐柔し一緒に出ようという作戦だろう。
「お前達、無茶なことを言うんじゃない」
三姉妹がいつものように騒いでいるのを見て妹がこちらへやってきた。
「カガリさまだって外には興味あるでしょ?」
「海!海が見たい!」
「わたしは他の国の建物が…」
こうなったら彼女達は止まらない。私は妹にこの場を任せ、外の様子を伺う。
外からは何も見えないようになっているが、こちらからはだいたいひとつの国くらいの範囲で外の様子が見える。
これもこの里に眠る技術の一部らしい。里から一番近い、とはいってもかなり距離のある海岸を見渡す。
誰もいないようだ。まぁ、船が漂流して辿り着くことがあるが、
そういう場合は近くの街の民のふりをして我々の里とは反対の街までの道を案内する。
しかし、この里の周り山の中に誰かが入ってきた場合は、何が原因でここが見つかるのかわからないので、
私と三姉妹が出て相手をする。一応怪しまれないためにこの山に篭り修行している騎士、ということにして。
木こりや町人なら半ば強引に追い返す。どこかの国の兵士なら、場合によっては消えてもらう。
こういう時のため、鍛えた剣の腕だ。養父であり師であるウズミ様は私の剣の才能に大変驚いて、もしかしたらお前の親は騎士の家系だったのかもしれないな、と私を騎士として鍛えてくれた。
捨て子であった私に生きる意味を与えてくれた、それだけで感謝している。
記憶の中に意識を投じていると、少し離れた山のふもとの方で動く者を発見した。
ザフトの兵士だ。モンスターも連れている。数は合わせて6といったところか。
私は剣を手に、三姉妹を呼びに行く。これは少々、厄介なことになりそうだ。
「あぁ、そうだな。私もそう思うぞ」
姉に三姉妹を任され、その話を聞かされ続けていたカガリはすでに彼女達の話を耳にしていない。
こんなことになるなら先に家に帰っていればよかった、お姉さまも私ひとりにこの3人を任せるなんてひどい。
「世界のどこかに情報通ばかりが集まる街があるんですってあとラクロアのほうには自分に合った武器を作ってくれるすごい鍛冶師さんがいるらしいですあぁザフトの名物バクゥ焼きもおいしいらしいですよねぇちょっとカガリさま聞いてます?」
一体どこからこんなに情報を得ているのか、まるで台風のときの雨のような勢いで喋り続ける。もう、勘弁してくれ。
あぁ姉上早く戻ってきてと思っていると願いが通じたのか姉上が戻ってくる。やはり私には父上の言うとおり不思議な力があるのだろうか。
なんて冗談みたいなことを考えていると姉上の方は結構真剣な表情だ。何かあったのだろうか。
「面倒なことになったわ。3人ともこちらに来なさい。カガリはもう家に帰っておきなさい。」
「どうしたんですルージュさま」
「もしかしたら外に連れてってくれんの?」
「…やった」
相変わらず間隔をあけずに喋り続けている。恐ろしい連携だ。
彼女達を相手にすると一度に3つの返事をしなければならないので疲れる。
姉上はそれらの問いに対したった一言だけ返した。
「えぇ、外に連れて行ってあげる。いつもどおり山のふもとまでだけれど、ね」
姉に三姉妹を任され、その話を聞かされ続けていたカガリはすでに彼女達の話を耳にしていない。
こんなことになるなら先に家に帰っていればよかった、お姉さまも私ひとりにこの3人を任せるなんてひどい。
「世界のどこかに情報通ばかりが集まる街があるんですってあとラクロアのほうには自分に合った武器を作ってくれるすごい鍛冶師さんがいるらしいですあぁザフトの名物バクゥ焼きもおいしいらしいですよねぇちょっとカガリさま聞いてます?」
一体どこからこんなに情報を得ているのか、まるで台風のときの雨のような勢いで喋り続ける。もう、勘弁してくれ。
あぁ姉上早く戻ってきてと思っていると願いが通じたのか姉上が戻ってくる。やはり私には父上の言うとおり不思議な力があるのだろうか。
なんて冗談みたいなことを考えていると姉上の方は結構真剣な表情だ。何かあったのだろうか。
「面倒なことになったわ。3人ともこちらに来なさい。カガリはもう家に帰っておきなさい。」
「どうしたんですルージュさま」
「もしかしたら外に連れてってくれんの?」
「…やった」
相変わらず間隔をあけずに喋り続けている。恐ろしい連携だ。
彼女達を相手にすると一度に3つの返事をしなければならないので疲れる。
姉上はそれらの問いに対したった一言だけ返した。
「えぇ、外に連れて行ってあげる。いつもどおり山のふもとまでだけれど、ね」
山を少し登ったところ、騎士ゲイツと兵士ジン2名、鎧犬バクゥが2匹、それにここまで彼らを運んだディングリフォンがいた。
「隊長ぉ~ホントにこのあたりに失われた古代都市があるんですかぁ?」
「ここは何もない山で、山篭りに使われるくらいらしいですよ。大体古代都市の話だってデマの可能性が大きいらしいじゃないですか」
兵士ジンA,Bのそれぞれの問いに、騎士ゲイツは
「えぇいうるさいうるさいうるさい!種子捜索隊から外れてしまった俺が手柄を手にするにはどんなに胡散臭いものでもとにかく種子よりすごいのを見つけなきゃならねぇんだよ!」
怒っているような泣いているような声で叫んだ。
そんな彼らの目の前に4つの影が現れる。MS族の女騎士と、見た目がよく似ている3人の女性MS族の娘だった。どうやら三つ子のようだ。
「あなた達、ここへは一体何の用でいらっしゃったのですか」
女騎士が問う。後ろの3人は不満そうな顔で何かブツブツ言っていた。
「おぉ、姉ちゃん達、俺達は見てのとおりザフトの兵隊さんだ。おとなしく今から聞くことに正直に答えな。この辺りに失われた古代都市があるらしいんだが、それらしいものを知らんか?」
騎士ジンが剣を手に尋ねる。
「そんなものは知りませんね、私達はここを修行に使ってるものですが、そんな話聞いたこともありません」
女騎士は表情を変えずに答える。
「そうだそうだ!私達はその古代都市から来たりしてないぞー!」
三つ子の一人がそんなことを言って、もう一人がバカ、とあわてて口を押さえる。
女騎士はチッと舌打ちし、気づかれないよう手を腰の剣に添える。
「なんだ、知ってるんじゃねえか。さっさと吐きな。まさか本当だったとはな…」
騎士ゲイツがヘヘッと笑う。後ろの兵士2名は驚いて言葉を失っていた。
次に飛んできたのは、女騎士からの返事ではなく斬撃だった。驚いた騎士は足を滑らせ後ろに倒れこんだため、その斬撃を回避した。
「な、何しやがる!野郎ども!やっちまえ!」
兵士ジンと鎧犬バクゥが女騎士に襲い掛かる。しかし女騎士はひょいとよけ、すれ違い様に兵士の一人を斬って捨てた。
その様子を見て、激怒したもう一人の兵士が女騎士に襲い掛かり、大した間を置かずに斬られる。
主人を失った鎧犬バクゥも女騎士に襲い掛かるが、その速さに対しても女騎士は平然と立ち向かう。
あっという間に自分の部下がやられたのを見た騎士はディングリフォンを呼び、逃げ出そうとする。
しかしディングリフォンの前に三つ子が立ち塞がった。ディングリフォンは構わずその巨体をいかし突進してくる。
その突進を一人が受け止め、もう一人の呪文でひるんだところを最後の一人が剣で仕留める。まだ十代半ばほどの少女達にしては恐ろしいほど見事な連携だった。
騎士ゲイツは部下も逃げ場も失い、背にしたのは崖と滝から流れる激流であった。
「た、頼む!見逃してくれ!このことは誰にも言わねぇから!」
しかし女騎士は何も答えず、剣を振り下ろした。
「ひぃい!」
慌てて回避。仕切れず、肩に一撃をくらう。その勢いで足を滑らし、騎士ゲイツは崖から転落、激流に飲まれて流れていってしまった。
しまった、逃がしてしまったか。しかしあの傷では長くは生きられまい、と思案にふけながら滝を見つめる女騎士とその後ろには
モンスターの死体を前に今日はごちそうだ、ねんがんのバクゥ焼きが食べられるぞ、ディングリフォンはどう料理しよう、などと各々はしゃいでいる三つ子達。
女騎士は向き直ると村で供養するため兵士の死体を抱え、三つ子を連れて山の中へと消えてしまった。
「隊長ぉ~ホントにこのあたりに失われた古代都市があるんですかぁ?」
「ここは何もない山で、山篭りに使われるくらいらしいですよ。大体古代都市の話だってデマの可能性が大きいらしいじゃないですか」
兵士ジンA,Bのそれぞれの問いに、騎士ゲイツは
「えぇいうるさいうるさいうるさい!種子捜索隊から外れてしまった俺が手柄を手にするにはどんなに胡散臭いものでもとにかく種子よりすごいのを見つけなきゃならねぇんだよ!」
怒っているような泣いているような声で叫んだ。
そんな彼らの目の前に4つの影が現れる。MS族の女騎士と、見た目がよく似ている3人の女性MS族の娘だった。どうやら三つ子のようだ。
「あなた達、ここへは一体何の用でいらっしゃったのですか」
女騎士が問う。後ろの3人は不満そうな顔で何かブツブツ言っていた。
「おぉ、姉ちゃん達、俺達は見てのとおりザフトの兵隊さんだ。おとなしく今から聞くことに正直に答えな。この辺りに失われた古代都市があるらしいんだが、それらしいものを知らんか?」
騎士ジンが剣を手に尋ねる。
「そんなものは知りませんね、私達はここを修行に使ってるものですが、そんな話聞いたこともありません」
女騎士は表情を変えずに答える。
「そうだそうだ!私達はその古代都市から来たりしてないぞー!」
三つ子の一人がそんなことを言って、もう一人がバカ、とあわてて口を押さえる。
女騎士はチッと舌打ちし、気づかれないよう手を腰の剣に添える。
「なんだ、知ってるんじゃねえか。さっさと吐きな。まさか本当だったとはな…」
騎士ゲイツがヘヘッと笑う。後ろの兵士2名は驚いて言葉を失っていた。
次に飛んできたのは、女騎士からの返事ではなく斬撃だった。驚いた騎士は足を滑らせ後ろに倒れこんだため、その斬撃を回避した。
「な、何しやがる!野郎ども!やっちまえ!」
兵士ジンと鎧犬バクゥが女騎士に襲い掛かる。しかし女騎士はひょいとよけ、すれ違い様に兵士の一人を斬って捨てた。
その様子を見て、激怒したもう一人の兵士が女騎士に襲い掛かり、大した間を置かずに斬られる。
主人を失った鎧犬バクゥも女騎士に襲い掛かるが、その速さに対しても女騎士は平然と立ち向かう。
あっという間に自分の部下がやられたのを見た騎士はディングリフォンを呼び、逃げ出そうとする。
しかしディングリフォンの前に三つ子が立ち塞がった。ディングリフォンは構わずその巨体をいかし突進してくる。
その突進を一人が受け止め、もう一人の呪文でひるんだところを最後の一人が剣で仕留める。まだ十代半ばほどの少女達にしては恐ろしいほど見事な連携だった。
騎士ゲイツは部下も逃げ場も失い、背にしたのは崖と滝から流れる激流であった。
「た、頼む!見逃してくれ!このことは誰にも言わねぇから!」
しかし女騎士は何も答えず、剣を振り下ろした。
「ひぃい!」
慌てて回避。仕切れず、肩に一撃をくらう。その勢いで足を滑らし、騎士ゲイツは崖から転落、激流に飲まれて流れていってしまった。
しまった、逃がしてしまったか。しかしあの傷では長くは生きられまい、と思案にふけながら滝を見つめる女騎士とその後ろには
モンスターの死体を前に今日はごちそうだ、ねんがんのバクゥ焼きが食べられるぞ、ディングリフォンはどう料理しよう、などと各々はしゃいでいる三つ子達。
女騎士は向き直ると村で供養するため兵士の死体を抱え、三つ子を連れて山の中へと消えてしまった。