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出会い

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「出会い」

 「クソッ、何故こんな辺境に俺が・・・・」
メンデルの大森林にてストライクと戦い、再び敗北を喫したデュエルは、
種子が全てラクロアにわたった事により
種子捜索隊の隊長の任を解かれ現在は別の部隊の隊長を任されていた。
それは、隠れ里オーブへの侵攻の先発隊。騎士団長シグーが率いる本隊が合流するまでに明け渡しの交渉というのが表向きの姿らしいが、真の姿は「止むを得ず」戦闘になった場合戦力を削る役らしい。無論、交渉などするつもりはさらさらない。
準備をする間適当な部下を向かわせて相手の様子を探らせると1週間もたたずに
戦闘を仕掛けてしまった。だが、デュエル自身は参加せず部下や新たに雇われた傭兵に任せきりだった。一緒にやってきたイージスもずっと沈黙したままで、
何をするでもなく空を眺めていた。


 「俺はこんなところにいるべきではない。一刻も早くストライクを・・・・!」
顔の傷がうずく。そのたびに、ストライクへの憎しみが大きくなる。すでに、どうやってつけられたのかという記憶は彼の中から消え、「弟の手により屈辱を受けた」という事実しか彼の頭には残っていなかった。ドアをノックする音が響き、デュエルはその意識を現実に向ける。
「入れ」
その言葉の後、兵士が入ってきて敬礼をする。その後の言葉は、
どうでもよさそうな顔をしていたデュエルを驚かせるのは十分すぎるものだった。
「朗報であります!・・・あのストライクを、捕まえたとの報告が兵より・・「何だと!?」
兵士がすべてを言い終える前に、物凄い剣幕で掴みかかる。
「それは確かか!?」
「は、はい・・・顔も手配書の通りだと・・・何故オーブにいるかは不明ですが」
突如イージスが立ち上がる。明らかに動揺していた。祖国から離れたあの日から、
一度も表情を動かす事のなかったイージスが。
「待て。まずは俺が確かめてくる・・・安心しろ、殺したりはしない」
デュエルがイージスの前に手をつきつけて制すると、部屋から出て行く。
そして嬉しそうな顔で呟いた。
「多分、な」


 「クッ・・・やけに丁重な扱いね」
体中に鎖が巻かれた上、足に束縛の法術をかけられた姿で
ルージュが呟く。あれから数時間。あの子は家に帰れただろうか。
おそらく大丈夫だとは思う。
が、自分が抜けた今はむしろ里全体が心配だ。ただでさえギリギリだったのに。全ては自分のせいなのだが、そんな事は言ってられない。どうにかして抜け出さなければ。とは言ったものの足にかけられた法術が厄介だ。『アレ』があればこんな低レベルの術は打ち破れるのだが、あいにく今は生身だ。いや、『アレ』が万一ヤツらにわたる事を考えると持ってきてなくて良かったか、などと考えをめぐらせていると扉が開く。
「こちらです」
兵士が誰かを招き入れる。入ってきたのは、青い騎士。顔に大きな傷があって
何だかとてもイヤな雰囲気がした。まるで何かがとりついているような、妙な雰囲気。
だが、同時にひどく懐かしい気がした。何故だかわからない、この人に会った事はない・・・はず。
なのに、自分はこの男を知っている、そんな気がする。頭がぐるぐるしてきた。
何なんだろう、一体。
「・・・・違うな」
青い騎士が呟く。
「は?」
兵士が首を傾げた。
「コイツは、ストライクでは・・ない。人違い、だ・・・後で適当に放り出せ」
口調が妙にたどたどしい。
「はっ?いや、しかしおいそれと放り出すわけには・・・」
「こんなヤツに構っている暇などない。いいからとっとと追い出せ。目障りだ」
さっきから聞く限り、私はオーブの騎士団長としてではなく誰かと間違われているらしい。
だとしたら、迷惑な話だ。そのストライクというのに会ったら、一発殴ってやりたい。
とにかく、青い騎士は出て行ってしまった。結局なんだったのだろう、あの人。
その後兵士が尋問のつもりか知らないがペンで指と指の間を物凄い速さで突きたててきた。
動じない上に何も喋らない私を見ると泣きながら出て行った。軟弱な。
しばらく黙り続けていると、また誰かが入ってきた。紅い鎧をつけた騎士だった。


 「・・・少し、外してくれないか」
紅い騎士が兵士に言う。少しだけさっきの騎士と同じような
イヤな雰囲気も漂うが、口調は物静かでそんなに悪そうには見えなかった。
兵士がしぶしぶ出て行った後、
紅い騎士はずっと私を見つめていた。この人は懐かしいとかそんな感じはしない。
多分、また間違われているのだろう。ザフトってこんなのばかりなのかしら?
「・・・・まさか、生きていたなんてね・・・」
突然紅い騎士が口を開く。そして私の鎖を解こうとする。
「な、何を・・・?」
「残念ながら、僕はまだ・・正気には戻れそうもない・・だけど、君は、僕が助け・・る」
鎖を外すと、私の手を握る。
「生きていて、本当に良かった・・・僕は、意識がある時は・・・ずっと君をこの手で殺したんではないか・・・そればかり考えていた・・!」
目に涙を浮かべる紅い騎士。よくわからないが、
何か事情があるのだろう。私はただ、その手を握り返して頷き、『ストライク』とやらを演じる事しかできなかった。


 「さぁ・・・ここから出よう。足の術も、今・・「何をしているんです?」
バクゥを連れ、黒い装束を身につけたMS族が入ってきた。
「まさか、捕虜を逃がそうとは・・・してませんよね?今度はザフトも裏切るんですか?
アナタは」
「・・・・」
その言葉を聞いて、紅い騎士は黙る。
「クルーゼ様が水晶球を通じて話があるとのことです。
とにかく、捕虜はこのステルスディンにお任せを」
「クルー・・ゼ・・・」
その名前を聞いて、紅い騎士の表情が変わる。イヤな感じが大きくなった気がした。
そして紅い騎士は出て行く。先ほどとは違う、冷酷な表情で私を睨んで。
わけがわからない。
ともかく私は、再び暗い牢の中に残されたのだった。


 クソッ、なんだ、あいつは。ストライクではない。だが、俺はあいつを知っている。何故だ、
どこで出会った?違う、もっと昔、だ・・・昔の事などどうでもいい・・・!だが、あいつは・・・
 ル・・・
       ュ  ?    なん  
           コレは     
      父   母さ                         
やめろぉぉ!
錯乱するデュエルの頭の中に、遠い日の記憶がかすかに蘇る。だが、それも何かが
デュエルの頭を締め付け邪魔をする。そして傷が痛む・・・痛い、苦しい・・・ストライク・・・
あいつが・・・あいつが・・・!
そしてデュエルの頭から先ほどの出来事は遠い日の記憶と共に消え、さらなる憎悪が彼を支配する。
「うぉおぉおおおおお!!」
誰もいない部屋で、心と体を蝕む痛みに叫びを上げる。
崩れ落ち、再び立ち上がったその表情は
「殺す・・・コロス・・・ストライクを・・・」
さらなる憎悪にまみれていた。
彼が再び光を取り戻す日が来るのか。それを知るものは、誰もいない。

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