SD STAR@Wiki

動き出す決意

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集

「動き出す決意」

アマルフィ村での戦いを終え、ラクロアへと帰還したストライク一行。
ザフトとの決戦に備え各々ができる事をやろうとしている中で
王女への報告を終えたバスターは、王の間を出てある場所に向かおうとしていた。
途中、城の廊下で大臣のアズラエルに出会う。かなり狼狽した様子だった。
「えっ、あー、おっオハヨウゴザマス!ハハ、お早いですね・・・」
「・・・・」
バスターはどうにもこの男がいけすかないので無視して城を出る。
「フン」
アズラエルも睨むようにバスターを一瞥すると王が療養中の部屋へと向かった。
そしてラクロアの大衆食堂。普段は多くの人で賑わうこの場所も開店より
まだ早いこの時間帯にいるのは昨日の宴で動き回った事も気にせず
仕込みに勤しむ料理人たちだけ。バスターは戸を開け勝手に店の中に入る。


まだ開店前だというのに厨房からは熱気が立ち込める。バスターはカウンターまで歩くと
黙って座る。声をかけるわけでもなく、視線は威勢良く鍋を振るう青年――ディアッカへと向けられる。
その気迫、真剣な表情は戦いとは程遠い世界にありながら自分達と少しも違わなかった。
(ここもまた、戦場か・・・)
バスターは考えていた。戦いに生き、戦場で死ぬことが本望。それが自分の道だと。バスターとて、平和を嫌うわけではない。だが、いつしか戦いこそが生きがいとなっていた自分はこれからどうするべきなのか。今までそんな事を考えた事はなかった。だが、ザフトへの潜入からアマルフィ村での戦いを通して、王の代わりに立ち上がる王女、病弱な体で暴力に立ち向かう少年、そして、多勢に無勢な戦いでも決して怯まずに立ち向かったアイツ。皆自分の信念を持って動いていた。自分は、どうだろうか。
まだそれを見つけられていないのではないか?
答えの出ない自問自答を繰り返すバスター。


「あれっ?何してんの、バスター」ディアッカに声をかけられ、ハッとするバスター。
「お前に預けていたモノを、返してもらいに来た」
「そうか・・・・・・ついにこの時が来ちまったんだな」ディアッカはそう言ってバスターを店の奥まで案内する。
「・・・・あぁ、そうだ」
バスターは彼の後ろを歩みながらそう答える。
店の奥のさらに奥、食材などを長期保存するための倉庫に入り、その床をディアッカが動かし、階段が現れる。
「あの日ザフトが攻めてきたときはどうなるかと思ったけど、この部屋は無事だったぜ」
階段を下りるとそこには、種類を問わず様々な装備が整理され置かれていた。バスターはそれらを満足そうに眺めた後、
「あぁ、そのためにお前に預けていたのだからな」
ディアッカに視線を移し答えた。
王の命を受け、ザフトへと潜入することになったバスターは、数少ない友のディアッカにいつかラクロアへと
戻った時のために今まで集めた装備一式を預けていたのだった。一番大事にしている鎧を装備し、ディアッカの前に立つ。
「そっちの方が似合ってるぜ」
友の堂々とした姿を見て、ディアッカは素直な感想を述べる。
「・・そうか」
それだけ答え、店を後にしようとするバスター。そんな彼に
「なぁ、久々に俺の飯食っていってくれよ。また戦いに行っちまうんだろ?」
ディアッカが鍋を手に笑みを見せる。
「そうだな、お前がどれほどの腕を上げたのか見せてもらおうか」
バスターはテーブルについた。 
今の自分では答えは出せない。だが、前に進むしかない。いつか答えを見つけるために。
(俺はまだ死ねん。そのためには、今の装備のままでは少々厳しい。ならば、あの男の力を借りるしかないか)
新たな決意を胸に、ラクロアの重闘士が動き出した。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
人気記事ランキング
ウィキ募集バナー