新納一哉ディレクターへのインタビュー
(週刊ファミ通2006年6月30日発売号及びインタビュー記事より)
・(本作での新納氏の役割は)一から企画の立案した。企画書を書き、仕様書を書き、
お話も決め……、という感じ。ほぼ全部決定をしている。
・もともとデザイナー上がりの人間なので、ビジュアル関係も口をつっこんだりしている。
結果として、新納氏のカラーがかなり出ているゲームになっている。
・ムービーやお話、イベントというものを、結構バリバリ削って、“潜る”ことが目的だ
ということをユーザーさんに解かってもらう。プレイヤーはギミックをクリアーして
“下に潜っていく”ということだけを考えていればゲームが成立するものにしたい。
・最近、お話に引きずられて、(開発者が)作りたい[[ダンジョン]]やギミックが作れないということが
『真・女神転生』チームでよくあった。みんなが言うのは「ふつうのダンジョン作りたい!」、
「ふつうのダンジョンを遊ばせてみたい」ということ。だから、
一から3DダンジョンRPGをピュアにもう1回作り直したらどうなるか、
『Wizardry(ウィザードリィ)』を、いま我々が一から考えたら、どういうゲームになるのか
という話から始まった企画。
・ちょっとだけ内容を言うと、ダンジョンを昔風にしてあるというか。"いま風"の自然な感じの
ダンジョンではなく、ここはギミック部屋、ここは細い通路がつながっている場所、みたいに、
わかりやすい感じにしている。
・戦闘バランスが厳しめになっている。まず、ボタン連打してクリアーできるゲームが、
アトラス的にはあまり面白くないというのが1つ。あと、『カドゥケウス』から得た教訓、
最近はユーザーさんに対して(開発側が)「簡単にしないとわかんないよね」と考える
傾向にあるが、そうじゃない。「わからないことも多かったけど一生懸命がんばって
クリアーしました」という感想メールが来ていたりする。ゲームシステムが解かるように
こちらで工夫しておけば、難度自体は高めても大丈夫なんじゃないか、と考えている。
・攻略法はひとつだけでなく、たくさんあった方が面白いと思う。そのためのスキル制。
シビアな戦闘バランスを崩すための要素として、自分でカスタムして考えられる攻略法を
いっぱい増やしたかった。
・ダメージを係数掛けするような強力なスキルも多いので、ふだんは50とか100ぐらいの
ダメージだがボス戦とかになると1000とかっていうダメージが行き交う戦闘になる。
HPの上限は999なのに、やり取りしてるダメージは1000超えてるという、そういうところの
いい加減さというか、"ゲームとしてのあいまいさ"がほしい。
・今回は"緑の森に、かわいい[[キャラクター]]"にした。"にびいろの世界に、
渋い一癖ありそうなキャラクター"という従来のアトラスにはないようなもののほうが、
チャレンジする価値があるのかなと思っている。
・古代さんには「やっていただけるとメチャクチャうれしいな」という気持ちでお願いした。
サウンドに関しては、ゲームミュージックっぽい曲にしてほしいっていうオーダーをしている。
僕らが子供のころに聴いた、胸ときめくようなゲーム音楽を鳴らしたかったので、
今回PC8801のFM音源をサンプリングして使ってもらっている。もちろん、それだけの
音色だとつまらないので、ふつうのいい音源にプラスで、ベースの部分を88の音源に
したり、必ずその音を混ぜて作ってもらって、ゲームミュージックっぽさを強調してもらう感じ。
・そのときの評判や、話題のある作品というよりも5年さき、10年さきでも、仲間と笑って
喋れるゲームがいいなと思っている。
・“クリアーさせてもらう”というより“自分でクリアーする”というほうが正しいのかなと思う。
今回の作品では、ちょっときびしめのゲームバランスにしている。
・(通信を使った遊びは)ない。3DダンジョンRPGでは通信で楽しんでもらえる部分があまりないから。
・しかし、パスワードを発行して、つぎのゲームにキャラクターを持っていくということを
やってみようかと考えている。それは、このゲームの『2』かもしれないし、違うゲームかもしれない。
最終更新:2007年12月09日 23:56