「彼女がボクの理想の女にようやく仕上がったんだよ! 最強のドーパントの、最強の伴侶に!」
【名前】 |
ディープ・ドーパント |
【読み方】 |
でぃーぷ・どーぱんと |
【登場作品】 |
風都探偵 |
【登場話】 |
第95話「異端児d 2/失われたビーチ」~ 第101話「異端児d 8/地を裂く咆哮」 |
【分類】 |
ドーパント |
【能力】 |
無機物内部への潜行、ゲル状触手の高速流動による物理攻撃 |
【メモリ】 |
ディープ |
【綴り】 |
deep |
【頭文字デザイン】 |
合わせ鏡の鏡像のように位相が傾きながら投影されていくD |
【モチーフ】 |
水母、潜水士? |
【生体コネクタ位置】 |
右首筋 |
【詳細】
『街』の最高幹部・万灯雪侍の元側近・出紋大騎が変身するドーパント。
外見はシンプルに言えば「水母人間」であり、特徴が無いボディに水母のような半透明で大きなゲルを被ったような容姿。
ただし、
アルコール・ドーパントに続く「液状パーツを持つドーパント」で、アルコールと同様に「実写では再現不可能」というデザインコンセプトの元、口元が尖ったガスマスク状の頭部が首から切り離されてゲル内部で浮遊するという奇形をしている。
とは言え、Wのアイアンクローで持ち上げられた際には胴体もぶら下がっていたことから、実際には頭部は分離できず何らかの器官で繋がっているものと思われる。
『ディープ』のメモリの特性として無機物の内部を水泳のように透過する能力があり、あらゆる人工物や地盤をすり抜けることができる。
この能力は基本的に本人にしか作用しないが、頭部のゲルに人物を取り込んでおけばその者も同時に移動が可能。
また、頭部の水母のような触手は自在に動かせる上に表面を高速で動かしながら直撃した物体の表面を抉るという、ウォーターカッターと打撃を組み合わせた攻撃方法も持つ。
しかしながら、攻撃手段はそれか精々応用を効かせた体当たりぐらいしか無く、実質前者の潜行能力に依存した回避タイプに特化したドーパントと言える。
因みに、元は雪侍の側近として身を置いていたとしてそれなりに実力はある筈だが、作中では
ハイドープについては触れられず、そもそも会得していたのかも不明(ハイドープで不随から完治したトラッシュと同様にメモリを獲得してからは持病を克服して健康体を得ているが、これについてはあくまで「メモリを使用したことによる副作用」という言及に留まっている)。
メモリの使用者は不摂生な体格をした老人。
「ナイスミドル」を自称しつつも女性を性的な目で愛でる奇人・変人で、曰く「物忘れが激しい」からと左手に大事なことをメモする癖がある。
ある場所に設けた自分のプライベートビーチに、目星をつけた女性を拉致することを生業としている。
攫った相手の意志は尊重するよう紳士的に振る舞うが、その実態は「メモリの味を知った女性でないと興奮できない」というマッドサイエンティストであり、彼女たちを強引にドーパントにさせようとしてメモリの毒素で次々と早死にさせていた。
また、持病持ちだった頃から健康な他人に嫉妬してるらしく、夢や希望を持つ若者を快く思っていない。
元々はとある会社に古くから勤続していた冴えないサラリーマンだったが、持病持ちで人望や待遇に恵まれず、唯一の趣味である女性をモデルにした絵画の作成を生きがいに孤独な人生を歩んでいた。
そこに、会社を裏で牛耳る『
財団X』の使者として新CEOに着任した当時の雪侍と出逢い、心の闇を見抜いた彼から秘書に抜擢される。
後に雪侍が財団や現実世界から『街』に去っても常に傍らにいて支え続けていたが、『ディープ』のメモリに出会ったことで邪心が暴走。
雪侍の制御すら離れて袂を分かち、行方を眩ませた。
休暇中だったときめを誘拐し、自身のプライベートビーチに拉致する。
目が覚めたときめに自己紹介しつつも、監禁場所に絶対の自信があったのか警戒していた彼女に敢えて衣類以外の荷物を没収せずに自由を容認する。
しかし、脱出方法を図る彼女がスタッグフォンで周囲の状況を撮影した画像を翔太郎たちに送信すると、海へ逃げようとした彼女の意識を謎の力で奪って再び拉致してしまう。
ときめが失踪したことで鳴海探偵事務所も騒動になるが、そこになんと宿敵の万灯が「依頼人」として訪問してくる。
雪侍は犯人の正体が自分たちの裏切り者であることを明かしてときめの奪還を願い出るが、今まで多くの人間を葬ってきた悪人の彼を依頼人と認めない一同に拒否されると、犯人に関する資料だけを置いて撤収する。
一方で海岸に閉じ込められていたときめは、大騎との会話から自分が
仮面ライダーの仲間と知った上で誘拐されたことを知り、再度身の危険を察知すると彼を蹴り上げて再び逃走する。
海岸を疾走していたが、ドーパントに変身した彼の触手に足を取られ、そのままゲル状の体内に閉じ込められてしまう。
そして天空に跳躍した彼によって、その上を通過していた地下鉄の正面まで連れ込まれた。
実は何処かの海岸と思われた大騎の根城は、『ディープ』の潜行能力を活用して風都地下55メートルに建設された人工シェルターだった(フィリップの分析によると、ロードで領域を開拓している『街』の世界には地下や地層が存在せず、現実世界と
リンクした
ゲートを雪侍たちに作らせることができない地下世界は大騎にとって都合のいい隠れ家と言える)。
自分の能力無しでは脱出できないことを明かし、絶望したときめをまたも謎の作用で眠らせる。
雪侍から提供された資料からアジトが地下の何処かだと判明した翔太郎は、イレギュラーズと協力して失踪前のときめの足取りを捜索。
一方でフィリップも地下世界に潜入する手段を模索していた。
そうしているうちに翔太郎の電話にウォッチャマンから、探している男(大騎)が白スーツの青年(雪侍)と屋上カフェで接触していると連絡が入る。
大騎は自分に力を与えてくれた雪侍に恩を示しつつも、人質に取っているときめの存在をチラつかせて自分に干渉しないように交渉するが、その態度に憤慨(曰く「後悔」)した雪侍と互いにドーパントに変身して戦闘を開始する。
ウォッチャマンの連絡でハードボイルダーで現場に急行したWも参戦するが、既に変身済みのディープには為す術がないとオーロラに忠告され、ディープ本人も敵対関係の二人が並んでることを嘲笑いながら自分への攻略方法が無いと挑発して即座に逃亡した。
それからも諦め切れない翔太郎は先の戦闘現場も再び訪れて調査していたが、そこへ大騎が接触してきて、自分と手を組んで共通の敵の雪侍ら『街』の勢力を打倒しようと勧誘する。
しかし、亡き師の教えである「悪魔とダンスする時は、三つ数えろ」という理念を守り通した彼にあっさりと拒否されてしまう。
自分の思惑通りに動かない彼に対し、無知な若者に準えて陰口を言いながら苛立っていたが、「メモリに堕ちたのは老化や病気ではなく、自分自身のせいだ」と指摘されると感情的になってドーパント態に変身。
屈辱を与えるよう、敢えて攻撃はせずに翔太郎たちが手出しできない地下のアジトに逃げ込む。
そして、意識が朦朧としたときめを抱き上げて「最終段階」に入る。
実はときめが毎回目覚めていた海岸洞窟はドーパント用の体質開発薬であり、それを自己投与したディープ・ドーパントのゲル内でも彼女を取り込むことで、じっくりと薬漬けにしていたのだ。
気力を失ったときめに真実を明かし、彼女をドーパントにしようと乳房に器具を押し付けてスロットを開けようとするが、翔太郎たちとの関係が穢されることを恐れた彼女の僅かに残る未練にまだ抵抗されてしまう。
逆上して先程の翔太郎との交渉も同様に決裂したことを口走ると、離れていても絆が繋がっていたことを安堵したときめの表情にさらに憤慨してドーパントに変身し、再度洗脳しようとする。
ところが、そこに侵入できる筈がないフィリップが姿を現し、その醜悪な性格を罵倒される。
事件の最初にときめのスタッグフォンから画像が転送されたことを不審に思ったフィリップは、「異次元ではなく同じ世界にある地下空間なら、物体や物質は不可能でも電波は地上に届く」という点に着目。
町工場の協力でエクストリームメモリの増幅装置を開発し、装着したファングメモリと伴に元「データ人間」の自分の身体を電波に乗せ、ときめのスタッグフォンの下へ転送されてきたのだった。
自分の王国に足を踏み入れた事に腹立ったディープはフィリップに襲い掛かるが、ファングトリガーに変身した彼の反撃に飛び針の「フィストニードル」の乱射を浴びてしまう。
さらに二射目も自身の透過能力で回避しようとするが、何故か潜行能力を失っており全弾命中される。
このドーパントの潜行能力はあくまで、「身体の分子構造を変えて無機物をすり抜ける」ものであり、Wの生体装甲から生成された針の影響でその機能が麻痺していたのだった。
逃げ場を失い、必殺技の「ファングスクリュードル」を喰らいそうになるが、漸く洗脳が完了したときめを「肉の鎧」として操って盾にし、間一髪で技の軌道を上空に外して不発させる事に成功する。
そして、ときめを人質に取られて反撃できないWを触手の猛攻で痛めつけるが、卑劣な相手の外道ぶりに怒った二人は新たなファング形態のファングメタルに変身。
両肩にショルダーファングを発動した状態で従来よりもさらに底上げされたメタルの防御力、一方でメタル系のフォームとは思えぬほどのワイルドな超高速戦法に圧倒され、小屋に叩き付けられた挙句、投げ飛ばされてしまう。
再度Wに掴みあげられるも、慣れていない新形態には変身時間に限界があると推察し、時間稼ぎにときめに小屋の残骸を拾わせて自害を命令する。
ところが、それすらにも動じないWが先程わざと外した「スクリュードル」が地上まで到達したことで、合図を受けた竜もアクセルブースターに変身して行動を開始。
フィリップから渡されたアップデート版のエンジンメモリの「エレクトリック」、「スチーム」、「ジェット」の3種の機能を同時に発動した、三倍増しの「エンジンブースターマキシマムドライブ」で地面を穿って地下に合流する。
自らの喉を刺そうとしていたときめをアクセルに無力化され、そのまま地上へと連れ戻される。
奪還されていくときめが自分の所有物だと主張して訴えるが、怒るWに投げ飛ばされ、最大の敗因は油断して今回の解決の糸口といえるときめのスタッグフォンを敢えて没収しなかったその傲慢さだと指摘されてしまう。
怒りに巻かせてタイヤのような回転体当たりで攻撃するが容易くWに受け止められ、上空に放り出されると必殺技の「ファングスピアバレット」で地上まで突き上げられてメモリブレイクされた。
その後、目が覚めると翔太郎たちに囲まれており、自分の敗北を悟って観念する。
そのまま竜たち警察に身柄を引き渡される筈だったが、ときめを最初から狙い、尚且つそれで雪侍にも自身の優位性を示していた事から、フィリップに『街』や彼女の秘密を知る情報源だと認識され、それらを白状するよう要求される。
当初は渋っていたものの、メモリを失ったことで以前のように健康体でいられなくなる事実を突き付けられて自身の人生に絶望し、さらに竜からも最低限の人権や安全の保証を約束されて承諾する。
ところが、その竜の発言を左手にメモを取ろうとした矢先、突如現れた二代目リアクターの火炎放射に左手首を消し飛ばされる。
それを皮切りに幹部や大量のロードを引き連れた雪侍が登場。
破損したメモリと伴に今までの傲慢さが消えて命乞いをするが、せめてもの償いとして「『大地』になる」よう提案する雪侍の意向に従ったスクリームに放り投げられ、『街』の領土拡大を担う大量のロードたちの餌として、断末魔を残して喰い散らされる憐れな最期を遂げた。
今回の事件は敵組織の幹部が依頼人(と言っても受理していないが)という異例のケース。
結局、探偵一同は容易に粛清できなかった大騎を地上に引き上げようとした雪侍に利用されたに過ぎず、翔太郎は後味の悪さを「ただただ暴風雨のような危機でしかなかった」と称した。
最終更新:2021年09月11日 18:01