――地を走り、Riderは何を想う――
鬱蒼と緑が生い茂る森の中――――1人の青年がどこに向かうでもなく、とぼとぼと歩いていた。
「まいったな~……近くに人もいないし……ひ~かわさ~ん……き~のさぁ~ん……」
その若干天然ボケ気味な青年――
津上翔一は、かつて共に戦った仲間を探していた。
「困ったもんだな~……一体なんだろ、コレ?」
自分の支給品を取り出して言う。
自分の支給品――カードが入った四角いケース。
中を開いてみると、「当たり」と書かれた紙と共に、不気味な蟋蟀のような物が描かれていた。
他にもカードは何枚か入っていた。
気分が悪くなったので、そこで見るのをやめた。
だが、これだけではなかった。
問題はもう一つの支給品だ。
何かの銃。しかもグリップだけのようだ。
色は蒼く、表面には“ZECT”と刻まれていた。
握ってみたが特に何も起きない。
とりあえず、二つともバッグの中に戻しておこう。
それと同時に、大声が聞こえてきた。
どうやら誰かを探しているらしい。
声のした方へ進んでみる。もしもの時も考えて、足音は消して。
近づけば近づくほど、その気配は強くなっていく。
かなり腕が立つことは、容易に想像できた。
その瞬間、何かの力を感じた。先程の声の主じゃない。もっと強い、力。
体は本能的に受身の構えを取り、そして―――
その頃――もう一人の龍は、未だ深き森の中を彷徨っていた……。
「……何故だ……何故だァッ!!!」
その黒き龍の契約者――
リュウガは、自分の行動に苦悩していた。
「俺はあの時、何を考えていた…………?」
ここに来る直前の二つの出来事が脳裏をよぎる。
一つは、一人の女性を埋葬したことである。
この戦いは最後の一人になるまで止まらない。
当然死者も出てきて、それをいちいち気にかけていたらきりが無い。
だが…………無視できなかった。
そして、もう一つの出来事。
あの二人――片方は北岡と言ったか。
確実に止めをさせたはず――だが。見逃すどころか、 救急箱まで渡した。
あの時の自分は、自分じゃなかった様な気さえする。自分は、何かおかしい。
どういうことだ。これではまるで……まるで……
まるで人間じゃないか。
その思考が頭をよぎったとき、とてつもない感情が湧き上がってくるのをを感じた。
思わず近くにあった木を殴り、無理やり感情を押さえ込む。
この二つの出来事が、後々どんな結果を招くかは今のリュウガには知る由も無かった――――
誰かの声が聞こえる。近くで誰かが大声を上げたようだ。
ふと横を見れば、一人の男が近づいている。
先程の声の本へ向かっているようだ。
気がついたときには、俺の脚はもう走り出していた。
走っている男へ向かって―――
更にその二人の近く―― 一人の男が、先程逃げた二人組みを追っていた。
「オイ、何処だ!!」
そのクワガタの力を持つライダー=ギャレンこと、
橘朔也は叫んでいた。
だがその声は、探している者には届かなかった。
こんな誰が潜んでいるか判らない場所で大声を上げるのはとても迂闊な行動だが
今の彼にはそんなことを考えている余裕は無かった。
相手は人を殺した。しかも、高校生くらいの子供がである。
普通の高校生にあんなことができるわけが無い。
おそらく奴はアンデッドだ。その割には少し動きが鈍い気がするが……
まぁいい。アンデッドを封印する。それが俺の使命だ。
もう一人の男の方も心配だ。
途中から割って入ってきたから、奴が人を殺したことを知らないはずだ。
しかも、そのまま奴を連れて逃げてしまった。
このままではあの男の身が危ない。
早く助けなくては――――
そこまで考えたとき、あることに気がついた。
先程の大声が、どうやら人を呼んでしまったらしい。
すでに、その気配は近づいている。
姿も見えなければ、足音も聞こえない。
だが、わかるのだ。長年戦っているうちに身についた能力とでも言うべきか。
どうする?戦いを止めようとしているなら力を貸すが、戦いを続けるものは――――
死なない程度に倒しておくか。だが、もう考えている暇は無い。
あと30m……25……20……15……!?
そこまで感じ取った途端、突然気配が消えた――――
ガキィィンッ!!
森の奥から聞こえる、金属同士が激突する音。
「~~~~!」
「~~~~~!!」
話し声らしき声。だが、ここからじゃ聞き取れない。
橘が茂みを書き分けながら進むと、二人の龍を思わせる者が立っていた。
片方は赤色の体を持つ龍。もう片方は全身が漆黒に染められた上、唯一紅い眼さえも黒い檻に覆われている龍。
見たことが無いな。あれも仮面ライダーか?
橘は内心そう思いながら、しばらく見ていることにした――――
「何でこんなことになったんだっけ……?」
そう呟きながら、
津上翔一は目の前の敵と対峙する。
あの時、声の主に向かって走っていた。
だが、直後に尋常じゃない力を感じる。
自分が今まで戦ったどの敵より強い力――――
まるで――――自分と共に戦った仲間の様に。
体が反射的に、受身をとると、それとほぼ同時に体に衝撃が走る。
かなりの勢いで体当たりを食らわされたようだ。
幸い、ダメージは少なかったが、それなりの威力はある。
立ち上がりながら相手の顔を見る。
その眼は、激しい怒りの色をしていた。
だが――――その中にとても、深い哀しみの色が沈んでいた。
翔一は、相手に和解を持ちかけた。
「話し合いは、できないかな?」
顔色を伺いながら言う。
相手はしばらくうつむいた後、口を開いた。
「話し合いだと……?ふざけるな。この戦いに、終わりは無い。」
途中、あふれ出る感情を抑えながら相手は続ける。
「だから……戦え。戦わないと……俺が……俺がァッ!」
とうとう、感情を抑えられなくなり、大声を上げる。
「俺が俺で無くなってしまうッ!!変身ッ!!」
走り出しながら、その男――――
リュウガは、黒い龍騎士へと姿を変えた。
「やっぱりだめですか……しょうがないや。変身ッ!」
片手を腰に構え、それと同時にベルトが現れる。
その手を前に伸ばし、もう片方の手をクロスさせる。
ベルトの脇にあるボタンを、両手で押す。
その瞬間、そこには紅と白が入り混じった龍――――アギト・シャイニングフォームが立っていた。
が、直後に違和感が現れた。
体の周りを微弱な稲妻が走り、強制的にシャイニングからグランドへ変化した。
「なッ……どうして……!」
―SWORD VENT―
その場に電子音声が響き、
リュウガは黒い剣を持って向かってくる。
迷っている暇は無い。ベルトの脇のボタンを叩き、バックルから剣を引き抜く。
その瞬間――アギトの姿が赤く染まり、フレイムフォームへとチェンジする。
「ハッ!」
互いの剣と剣が触れ合う。
ガキィィンッ!!
金属同士が強い力でぶつかる音。
誰か来るかもしれないな――アギトはそう思いながら、鍔迫り合いを続けた。
このままじゃ埒が明かない。 両者同時に飛びのく。
すると向こうが話しかけてきた。
「何をしている……本気で来い!!」
意外だった。手加減していたのが読まれていた。
「……あなたの為です。それより、どうしてわかったんですか?気付かれないようにしてたんですけど……。」
疑問を投げかければ、答えが返ってくる。それが普通だ。
その後の行動より、まずは質問に答える。それが普通だ。
が、答えるよりその後の行動が先に出る。それは普通じゃない。
―STRIKE VENT―
まただ。さっきと同じ電子音声と共に、今度は龍の頭の形をした篭手が備わっていた。
今度は、先程のより距離が短すぎる。
防ぎようにも時間が無い。
これまでか――――
そう覚悟したとき、男の声が聞こえ、別の電子音声が流れた。
「変身ッ!」<Turn up>
刹那――――二人の間に割って入る赤い影があった。
物陰から見ていた橘は、たった数分の出来事に圧倒されていた。
見たところ、赤いライダーは殺す気が無い様だが、黒いライダーはかなり殺気立っていた。
どうする?このまま見ているか?それとも出て行って助けるか?
自分の手札を確認する。今現在、持っているカードは4枚。
ダイヤのA。変身用に使うカードで、問題は残りの三枚。
同じダイヤの、2、5、6。
パレット、ドロップ、ファイアのカード。
技を出すにはこのカードだけで十分だが、若干心細い。
気がつけば、黒いライダーが赤いライダーに向かっていた。
もう、躊躇っている時間は無い。
自分の目の前で、もう誰も死なせはしない。
そう決意した橘は、バックルにAのカードを入れ、叫ぶ。
「変身ッ!」
自分の声と共に、ベルトをひっくり返す。<Turn up>
聞きなれた電子音声と共に、ベルトから光の板――オリハルコン・エレメントが現れる。
それをくぐり抜け、赤いライダーのもとへ走り、黒いライダーへと銃口を向ける。
二度三度引き金を引く。それを受け、
リュウガの動きが止まる。
だが、新たな敵など、意にも介さぬようにまた向かってきた。
今のおかげで、わずかだが時間が稼げた。
アギトは先程とは逆のボタンを押し、ベルトから槍――ストームハルバードを引き抜く。
その瞬間、赤く染まっている腕と逆の腕が青く染まり、胸の装甲が黄色くなる。
記憶を取り戻したときにのみ変身できる姿――トリニティフォームへと姿を変えた。
――今は、記憶を「知った」というのが正しいが。
「ハァッ!」
両腕の武器を振りかざし、
リュウガをなぎ払う。
その衝撃で、
リュウガの篭手が外れた。
「ありがとうございます。おかげで助かりました。」
「危ないところだったな。ところで、君の名前は?俺は橘。ギャレンだ。」
「俺は津上翔一……アギトです。」
早速二人は自らの自己紹介を済ませる。
「――――――来る。」
ギャレンの言葉で、アギトも振り向いた。
リュウガは、ベルトからカードを引き抜き、左手の篭手へと装填する。
―FINAL VENT―
背後に漆黒の龍――――ドラグブラッカーが現れる。
徐々に構えをとり、それに合わせて龍も廻る。
橘は、即座に身構えた。
「不味い…………次の攻撃で決めるぞ、翔一君!」
「はい!橘さん!」
その言葉に、威勢良く答える翔一。
ギャレンラウザーから二枚のカードを取り出し、ラウズする。
<Fire> <Drop>
5と6。本当は、9――ジェミニがあるといいのだがな。
<BURNING SMASH>
自分の爪先に炎の力が宿る。
両腕を構える。足元に、アギトの紋章が現れる。
だんだん腕を動かしていく。紋章の力が自分の中に入ってくるのがわかる。
全員同時に跳ねる。
「ハァァァァァァッ!」
紋章を蹴り上げて、
「ウアァァァァァッ!!」
空中で回転し、
「ダァァァァァァッ!!!」
相手目掛けて進む。
刹那――――閃光が走り、巨大な爆発音がした。
意識が戻ったとき、皆は遥か後方に飛んでいた。
翔一は気を失っている。橘は、動きたくても動けないといった状況だ。
そして――――
リュウガ。
かなりのダメージを負っていたが、それでもまだ立ち上がっている。
一歩一歩、確実にこちらに迫っている。
「時間切れか…………」
リュウガはつぶやくように言って、こちらを見た。
「どうやら、引き分けってところだな。」
橘は、そう言った後変身を解く。
翔一は意識を失って、橘自身も動けない。
「…………そいつに伝えて置け。“あんまり甘いと、すぐ死ぬぞ”ってな。」
【橘朔也@仮面ライダー剣】
【1日目 現時刻:早朝】
【現在地:樹海A-7】
[時間軸]:Jフォーム登場辺り。
[状態]:命に別状は無いが、しばらく動けない程度の怪我。。
[装備]:ギャレンバックル。
[道具]:Gトレーラーの鍵。
[思考・状況]
1:翔一君を助ける。
2:神崎を倒す。
3:剣崎達との合流。
4:仲間を傷つける奴を許さない。
【津上翔一@仮面ライダーアギト】
【1日目 現時刻:早朝】
【現在地:樹海A-7】
[時間軸]:本編終盤。
[状態]:橘より重症。でも命には別状なし。。
[装備]:カードデッキ(オルタナティブ・ゼロ)
[道具]:ドレイクグリップ@仮面ライダーカブト
[思考・状況]
1:元の世界へ帰る。
2:橘さん……頼りになる人だ。
3:木野、氷川、小沢と合流する。
尚、現在全ての思考がストップしています。
※首輪の能力制限により、一日目のみバーニング、及びシャイニングフォームへの変身は制限されています。
※ドレイクゼクターは島のどこか、もしくは支給品として誰かに配られているかもしれません。
【
リュウガ@仮面ライダー龍騎】
【1日目 現時刻:早朝】
【現在地:樹海B-6エリアへ移動中】
[時間軸]: 劇場版登場時期。 龍騎との一騎打ちで敗れた後。
[状態]:かなりのダメージ。
[装備]:ファイズショット@555
[道具]:拳銃(元は明日夢の物)
[思考・状況]
1:自分自身に違和感。
2:もう一人の自分と融合し、最強のライダーになる。
3:殺戮を繰り返す…………?
※参加者の中で
リュウガの正体に気付いているのは、今のところ北岡弁護士のみです。
最終更新:2018年03月22日 23:39