be caught in a trap.
樹海から吹き上げて来る風、キラキラと空高く舞い散って行く彼女の遺灰。
――真理ちゃん、もう天国に着いたかい?
かならず元の世界へ帰してあげるから……
このまま、後に訪れる殺人者達に踏み付けられ、絶望の染付いたこの地で、土に還すのは耐え難い。
遺灰を集め、食料の入っていた粗末なビニールに包む。
そんな弔いの仕方しか出来ない状況と、この戦いを仕組んだ神崎士郎を憎んだのは事実だ。
だが憎悪からは何も生まれない。
彼女が命懸けで望んだ願いと、夢を、俺たちで叶えなければならない。
それだけが、唯一残された光への道だから……
そして俺達は人目に付かない様、市街地へ続く道を避け、麓に見える白い建物を目指した。
「大丈夫だ。中には誰も居ない。医務室もある、取りあえず傷の手当てを。」
「麻生君、歩ける?」
足下がふらつく。支えられ長い廊下を歩く。
何かの研究施設?
案内された部屋は医務室と言うよりは、手術室に近い。
まだ真新しい器材、封の切られていない薬品類、他の部屋にも最新の設備が揃えてある。
方法さえ分かればここで首輪を解除できそうだ。でもなぜ戦いの場にこんな施設が?
いやなぜ神崎士郎はこの施設のある此所を戦いの場に選んだんだ?
首輪の解除がよほど困難なのか、それとも罠?
「大丈夫ですか?麻生さん。少し休んでいてください。俺はもう少し中を探ります。」
「響鬼さん、冴子さん有り難う。ウゥッ。」
ベットに横たわると、待っていたとばかりに体が痛みを訴えて来た。
冴子さんが手当てをしてくれているが、多分慣れていないのだろう。巻付ける包帯が少しキツい。
「少し力を抜いて。包帯も巻きにくいし、そんなに握り締めなくてもだれも取りはしないわ。それ預かるわ。」
堅く握締める手の中には、真理ちゃんの首輪。
好意はありがたいが……
「乾君か草加君に、渡そうと思っているんだ。真理ちゃんの為にも。」
「そうね。でも手当ての間だけ、ね?」
冴子さんは真理ちゃんの友人。彼女自身、辛い思いでいっぱいだろう。渡さなければ、彼女の気分を害する事になるか。
「そうですね。」
頷いて首輪を渡そうとした時、響鬼さんが部屋に戻って来た。
――邪魔が入ったわね。
惨殺された
園田真理の首輪、乾君を手懐けるいい材料になると思ったんだけど。まぁ彼が生きていればの話だし。
ドラス君との関係にしたって、解除方法が分からなければ優位に立てない。
早く首輪を手に入れる必要がある、主導権を握るのはいつだって私。
「麻生さん、冴子さんこれ見てくれないか?」
空のデイバックが二つ。
「隣の部屋に在ったんですよ。誰か戻って来るかもしれないな。」
「でも、私達が此所に着くまでに1時間近く経っているわ。それにバックだけ置いて出て行ったままなら、
もう帰って来ないんじゃないかしら。放送で呼ばれた人達かもしれないわ。ねぇ麻生く……」
振り替えると麻生は微かな寝息を立てていた。
「激しい戦いの後だったから、仕方ないですよ。」
椅子に腰を下ろす響鬼から、大きく溜め息が零れた。
「しばらく寝かせておいた方が良さそうね。」
麻生に毛布をかけ、視線で響鬼を探る。床を見つめる眼差しは何か思い悩んでいる。
心配事は麻生君だけでは無い様ね。わざと隣に座り顔を覗き込む。
「バックの持主が気になる?」
「それもありますけど。」
「そう。ならさっき言っていた明日夢君とあきら君のこと?」
表情が曇り、更に大きく溜め息をつく。
「えぇ、まぁ。あきらは女の子なんですけどね。あの子達には戦う術がない。
それに、実は明日夢は今、誰かに囚われているらしいんです。」
「どういうこと?」
響鬼はここに辿着くまでの経緯を語り始めた。
「そこで草加と秋山、彼等と落ち合う約束をしていたんですよ。」
――
草加雅人、カイザの装着者。
「響鬼君。助けに行った方がいいんじゃない?」
あなたが居なくなれば首輪を奪い易くなるわ。麻生君の体力が回復する前にドラス君に引き渡す事も出来るし。
話声に気がついたのだろう。麻生がゆっくりと体を起こす。
「響鬼さん、俺なら大丈夫です。早く明日夢君を。それに……草加君には謝らなければならない。」
「麻生さん。寝てなきゃだめですよ。」
草加君に謝りたいですって。手を組まれるよりは、先に始末した方が良さそうね。
「待って、私も行くわ。2人の方が早く見つかるかもしれない。」
隙を見て響鬼君を殺して首輪を奪えば良い。
「多分、その方が良い。俺はもう少し休めば体力も回復する。だが、それまでの間に誰か来たら…
冴子さんを守り切れるかどうか。」
響鬼の視線が壁の掛時計で止まる。時刻は10時を少し回った所だった。
「麻生さん。1時間だけ待っていて下さい。俺の支給品はバイクでした。1時間あればかなりの範囲を探せるはずです。
歩いて探すよりは冴子さんに危険を及ぼす事も無いだろうし。バイク、取って来ます。」
「頼みます。」
バックを手に慌しく出て行く背中を見送った。
「乾君達のことを教えてくれませんか?」
――オルフェノクでありながら人間を守ろうとする男のこと?なんて、あなたには言えないわね。
「真理ちゃんはなんて言っていたのかしら?」
そして、語られたのは、すべて過去にあった出来事。
まさか、記憶を失っているの?それなら、それで都合が良い。
「そう、真理ちゃんがそんなことを。」
わざと躊躇いがちに俯く、心に冷酷な微笑み隠しながら。
「驚かないで聞いてね。その狼のオルフェノクの正体は乾君よ。」
「そんな、まさか!」
ドラス君より先に、乾巧が
園田真理の亡骸を探して此所に辿着くことが無いとは言い切れない。
「オルフェノクに覚醒する前の乾君はあなたが言っていた通りの人だった。
でも、今の彼は心までオルフェノクになったの。もう真理ちゃんの知っている、乾君では無くなってしまったの。」
バイクの音が近付く。
「戻って来たみたいね。行くわ。ごめんなさいね。でもあなたには知っておいて欲しかったの。」
驚愕する麻生を背にドアを閉めた。
私のシナリオは出来上がった。ドラス君、あとは好きにするといいわ……
丘の上からバイクを見下ろす一つの影
――早速、お兄ちゃんと二人になれる時間を作ってくれたんだね。
さすが冴子お姉ちゃんだ。きっと首輪の解除方法もすぐ見つけて来る。
お兄ちゃん、今、行くよ……
◇
――うそだろ?真理!その瞬間、ウルフオルフェノクから乾巧へ戻って行く。
獣の姿で駆けるスピードに耐え切れず、体は空を切りアスファルトを転がる、血痕と言う足跡を残して。
拡声器から聞こえた声は、たった少しだけ見えていた希望の光消し去り、暗く冷たいアスファルトの色へ心を塗り替えて行った。
麻生を探す、そう思う度。
真理ちゃんは命を落としました……
その言葉が呪文の様に立ち上がる気力を奪っては消え、覆い被さる絶望が思考を遮断する。
頬に伝わるアスファルトの温度が温もりを帯びるほどの時間、立ち上がることも、歩み出す事も出来ずにいた。
心の闇を切り裂いたのは窓ガラスから反射する太陽の光。
一軒のクリーニング店の窓から放たれた光に、吸い込まれるようにそのドアを開けた。
オイルクリーニングの匂い、畳まれた白いシャツ。
「たっくん!おかえり。」
笑顔で自分を迎える啓太郎と真理がそこにいる気がした。
――居るはず無い。
当たり前の毎日はもう戻って来ない。
洗立ての白いシャツを手に取り、丁寧にシワを伸して行く。白さが眩しい、真理の笑顔が重なる。
傷だらけになっちまったんだろ?そのままじゃ、嫌だよな。今、これ持って行ってやるよ。
◇
乾さん、何処ですか?さすがに息が上がる。
此所まで路地や目に付く所はすべて探して来た。やっぱり、真っ直ぐ追いかけた方が良かったかも。
ごく普通の街並み、立花に良く似た甘味処や、クリーニング店が建ち並ぶ。ただ、路上に転がるフライパンと血痕を除いては。
乾さんが巻き込まれていなければ良いけど……
もう、此所には居ないみたい、急がなきゃ。 呼吸を整え、走り出す。
大通りに差し掛かった時、近付いて来るバイクの排気音に気付く。
――響鬼さん!
「あれは、誰?女の子みたいね」
「えっ!?」
暫く走り、やっと目に捕らえることが出来た。通りの真ん中に飛び出し手を降ってきた姿、あきら!
「無事だったか、良かった。もう大丈夫だぞ。」
「響鬼さん、私の事なんかより……」
今まであった事を一息で話す。同乗している女の人には悪いが、のんびり紹介しあっている余裕は無かった。
――そう、乾君がこの近くにいるの。辺りに視線を走らせる。通りの向こう、此所から少し離れたクリーニング店の窓辺に佇む後姿。見つけたわ。
「私も、一緒に探すわ。」
「それはだめだ、危なすぎる。」
「来た道を戻るだけよ。行きましょう。」
後少しで禁止エリア、誘き出すには丁度良い。
「は、はい。待って下さい。」
響鬼さんならきっと扱える。天道から預かっていたディスクアニマルを手渡し、2人の特徴を話す。
「そうか、わかった。冴子さんを頼む。多分言い出したら聞かないタイプだな。一つ聞いていいか、閻魔を何であきらが?」
「すみません。私の身を守る為にと乾さんが……」
「おい、謝るなよ。まぁ、あれだ。裁鬼さんは、いつも皆のフォロー役だったからな。」
一瞬、とても悲しそうな目をしていた。すぐにそれを隠し、ポンッと私の肩を叩く。
「さてと、明日夢を探して俺もすぐに戻る。じゃあな。シュッ」
響鬼さんのいつものポーズ、少しだけ不安が和らいだ。後で冴子さんが、腕を組んで待っている。行こう……
◇
クリーニング店の中、アイロンのスイッチをOFFにする。
(やっぱ、草加の方が上手いな。)
アイロンを掛け終わったシャツをバックにしまう。
真理、遅くなって悪いな。
さっき聞こえたバイクの音、遠ざかっては行ったが……
表に誰も居ないのを確認し走り出した時。
――乾さん!乾さん……
あきらの声が自分を探していた。
◇
市街地の外れ、開発途中で時の止まった採掘場。堀尽くした跡、古い坑道や山積みの土砂が、錆びたフェンスで囲われている。
人目に付く市街地を避けて、迂回しているんじゃない?
とりあえずの自己紹介の後、冴子さんの言葉に従った。確かに、禁止エリアになってしまえば、もう此所は捜せない。
無造作に積まれた石山を歩く。焦りからか足を踏み外した。
「アッ!」
咄嗟に腕をつかまれ転がり落ちずに済む。
「有り難うございます。」
無表情で腕をつかんだままでいる。
「あなたが必要なのよ。乾君と私の為に……」
そう言うと、先へ進んで行く。乾さんと冴子さんの為?言っている意味が良く分からない。
「首輪を、手に入れなくちゃならないしね?」
首輪本体がなければ、解除方法を見つけるのは難しい。
だけど、手に入れるには、それには。頭を過る嫌な想像、冷たい微笑みと重なる。
「でも、どうやって?」
なんでだろう……次の言葉を聞きたくない。
「フフッ、簡単よ。乾君をおびき寄せた後、あなたの首を切り落とせばいいのよ。」
えっ!?
「フフッ、冗談よ。あきらちゃんかわいいのね。そんなこと出来る訳ないでしょう。フフッ。」
馬鹿にされてる?
こんな時に冗談ですか?頭に血が登る、でも冷静にならなきゃ。
閻魔にバックの肩紐を巻き付け、斜め掛けにしてみる。これなら落ちないし、両手も使える。
高い所から見てみよう。
「待って!あれバックよ!それに乾君の上着じゃない?」
「えっ、何処ですか?乾さんっ、乾さん!」
木枠で型られた炭鉱の跡、数十メートル続く縦穴と朽ち果てた階段。暗くてよく見えない……
「そこよ、わからない?」
すぐ耳元で囁かれた声にゾッとした。
メキメキメキメキメキメキッ
殻を破るような音。
――変だ。それに乾さん上着なんて着てなかっ……アアッッ。
綺麗にネイルが塗られていた華奢な指が、今は土蜘蛛の爪先の様に醜く銀色に変化し、凄まじい力で首を掴み持ち上げられる。
「来たわ、乾君。」
◇
一秒でも速く!駆けながら押すNo.555。
起動するベルト、赤いフォトンブラッドが身体を巡る。
「あきらを放せ!」
フォンブラスターの照準を定め叫ぶ。
「止まりなさい。でないとこの子殺すわ。それとベルトは外して貰おうかしら。」
承諾しても命の保証はない。だが……ベルトを外し、変身を解く。
「わかった。これでいいだろ、あきらを放せよ。」
フフッ、残酷な笑顔を浮べゆっくりと手を放す。
落下する身体、だが辛うじて朽ちた木枠を掴む。
――お前まで死なす訳には行かねーんだよ!走り寄りその手を掴んだ。
「なぜ救おうとするの?」
考えられないほどの滑稽な行為。
「
園田真理は死んだのよ。あなたが勝ち残れば生き返らせられるじゃない。」
掴んだ手が一瞬弛む。その一言が引き金となり、禍々しい何かが身体の中で増幅を始める。
「乾さん?」
――ミンナ、殺セバ、真理ハ生キ還エル。
(もう一押しね。)
「ねぇ、乾君。仲間にならない?最後の2人になるまで。真理ちゃんの為よ。この子はもう、要らないわよね。」
巧の頬にサーベルを当てる。
「それとも2人で落ちる方が良いかしら?」
バックの隅の鬼笛にせめて手が届けば、でもこのままじゃ乾さんまで。
「もうやめて、乾さん、放して下さい。」
「……ば…いい。」
弛み掛けた手を、再び強く握り直す。
「何ですって?」
「滅べばいい!……オルフェノクなんて、俺も含めてな!」
――これで良いんだよな。真理! 渾身の力で引上げる。
「滅べばいい……そんなこと私に言える?あなただってオルフェノクじゃない。滅ぶのはオルフェノクじゃない人間よ!」
シェルグラブが、2人の体を弾き飛ばす。
冴子の幽体は無表情のまま、あきらを庇う巧の肩へ、腕へとサーベルを突刺して行く。
「ウァッ、グッ。」
徐々に、巧の身体から力が抜けて行くのが分かる。
私の為に……乾さん。
「馬鹿じゃない?あなた達も、
園田真理も。綺麗事を並べて虫けらの様に殺されて行く。フフッ、フフフッ。」
「笑わないで……乾さんは、あなたと同じなんかじゃない。」
憎悪が心を浸食して行く。
戦うつもりなんてなかった。間違った正義かもしれない。でも、乾さんを、真理さんを、人間を踏みにじったあなただけは……
「許せない……あなただけは絶対に許さない!」
静かに深く息を吐く。極限まで高まる集中力。
――変身!
鬼笛から流れる澄んだ音色に共鳴し、水面の如く漣を立て虚空に広がり行く波紋を手刀が斜めに切裂く。
「ヤアァッ!」
黒き仮面に紺碧の隈取が彩る、名も無き鬼が誕生した。
鬼爪を構え、素早い動きで接近戦を仕掛ける。
しかし切り裂く動作は大きく、打ち下ろすシェルグラブに簡単に捻じ伏せられる。
闇雲に振り下ろす閻魔も回避され、サーベルの高速連撃が飛んでくる。
そう簡単に倒せるわけ無いと思っていたけれど、戦いの経験も技もない私に、勝機があるとすれば……
「ウウッ。」
何回打撃を放ったか分からない。だが、何度でも立ち上がり向かって来る。
――遊びは御終いね。
攻撃を避け、一気に間合いをつめる。無防備な腹部の中心を下方からサーベルが貫く。
その時、あきらの左手がロブスターオルフェノク体を掴んだ。
「クウッ……この時を待っていたんです。ウァッアアアアアッ!」
振り上げる閻魔。
ザシュッ。
切っ先が肩へ突き刺さった。右手で弦を掻き鳴らす。
――清めの音よ、響け!
しかし願い空しく、奏でる旋律は音撃と成る事無く、側頭部にパンチを受け、体は地面に叩き付けられる。
頭がふらつく。だけど、まだ立ち向かう私にきっと止めを刺しに来る。手を伸ばし、再び閻魔を掴む。
――もう時間も無い。首輪で吹き飛ばされたら洒落ならないわ。
焦りが隙を誘う。狙いが定まらず繰出されるサーベル。
上体を反転させ避け、そのまま勢いを乗せた足が弧を描き、鞭の如くしなりロブスターオルフェノクを打つ!
低い位置から放たれたキックに足元をすくわれ、バランスを崩す身体。
その肩口を目掛け閻魔を突き上げる。寸分狂わず先程の傷口に刺さった刃が亀裂を広げていく。
パキ……バキッバキグシャッ。
甲殻を破り、深く深く刃が沈む。あきらの全身から力が抜けて行き、地面に倒れこんだ。それと同時に2人の変身が解ける。
「冗談じゃないわ。王の復活を目の前にしながら、こんな所に連れてこられて……このまま死ぬ訳にはいかないのよ!」
鮮血に染まりながら肩から閻魔を両手で引き抜き、地面に置かれたあきらの手の甲へ突き立てた!
「イヤアアアアアアッ!」
「フッ、引き抜いて自分だけ助かる?いいえ、二人で仲良く吹き飛ばされてしまうがいいわ!」
肩を押さえ、よろめきながら冴子は遠ざかって行った。
鼓動に合わせて流れ落ちていく血、灼熱の痛みに負けそうになる。
――私は生きる道を選ぶ、一人では無く皆で……
力を振り絞り閻魔を引き抜く。傍らに有った2人のバック肩に掛け、ファイズドライバーとファイズフォンを入れた。
時折、膝を突きながら、巧を抱え市街地を目指す。
「……あきら?」
「気が付いたんですね。早くここを出ないと、もう時間が無いんです。」
目の前のフェンス、足元は悪く傷は深い。間に合いそうも無いですけど、諦めたくは無いんです。
「今だけ、怖がらないでくれよな……」
――どんな姿だって巧は、巧だから。なら、この姿でも誰かを救えるはずだよな。再び、ウルフオルフェノクへ姿を変える。
「しっかり掴まっとけよ。」
「はい、でもちょっと片手に、力が入らなくて。」
鋭い牙と銀色に輝く獣皮、だが、ウルフオルフェノクの姿をしていても不思議と怖くは無かった。
「そうか。」
あきらの深く傷ついた手、傷口に触れぬよう手首を軽く咥え引き寄せた。
石山を駆け上がる。
――あのフェンスを越えれば……
後足で蹴り上げ、高くジャンプした。
◇
嫌な予感がする、やっぱ引き返すか。
響鬼の胸中には、珠純子を死なせてしまった事への回顧と、そして冴子へ抱く疑念が強くなっていた。
しゃべり方や行動はともかく、最初出会った時の気配、それに何故あんなに早くあきらを見つける事が出来たんだ?
幾らあきらが鬼笛や閻魔を持っているとしたって、序の六段では魔除け程度ってぐらいか……
バイクをターンさせ、更にスピードを上げる。
だが、戻った響鬼が見たのは、血まみれで倒れている冴子だった。
「冴子さん!」
駆け寄り冴子を抱き起こした時……
フェンスを飛び越えて来た影。銀色の狼はあきらの片腕を咥え、一瞬で身を翻すと市街地の路地へ姿を消した。
「待て!」
追い駆ける隙を与えず聞こえてくるビルの倒壊音。
少女の命がけの願いの後もなお終わらない、自分が経験して来たよりも残酷で異質な戦い。
――何の為の鬼だ、何のために鍛えてたんだよ!
冴子を抱きしめ、響鬼は自分自身への憤りに心を震わせた。
【麻生 勝@仮面ライダーZO】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地D-6エリア】
[時間軸]:本編終了後
[状態]:負傷大(打撲、裂傷、やけどなど)。疲労大。大きな悲しみ。
[装備]:ホッパーゼクター&ホッパー用ZECTバックル。
[道具]:ラウズカード(ダイヤの4、8。クラブの7。ハートの3、4、7。スペードの4)。拡声器。 真理の首輪。ビニールに包んだ遺灰。
[思考・状況]
1:乾巧がウルフオルフェノク? 信じられない。
2:
園田真理の願いを叶え、救世主になる。
3:仮面ライダーとして戦う。
4:ドラスを再び倒す。
5:望月博士を探す。
[備考]:ウルフオルフェノクを敵と認識しています。
【
天美あきら@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地E-7エリア】
【時間軸】中盤くらい
【状態】全身のダメージ大、腹部と片手の甲に深い裂傷。2時間変身不可。
【装備】破れたインナー、鬼笛・ディスクアニマルアカネタカ、音撃弦・閻魔
【道具】変身鬼弦(裁鬼)
【思考・状況】
1:戦いに生き残り皆で元の世界に帰る。
2:天道さんと合流する。
3:どんな姿でも乾さんは人間だと思う。
【乾巧@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地E-7エリア】
【時間軸】中盤くらい
【状態】肉体的大ダメージ。 2時間ファイズにもオルフェノクにも変身不可。
【装備】ファイズドライバー、ファイズフォン 、
【道具】ミネラルウォーター×2(一本は半分消費) カレーの缶詰 乾パンの缶詰 アイロンを掛けた白いシャツ。
【思考・状況】
1:傷だらけになった真理をそのままにしておきたくない。
2:あきらを天道に預けに行く。
3:麻生って奴を捜す。
【
影山冴子@仮面ライダー555】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地F-7エリア】
[時間軸]:本編最終話あたり
[状態]:肩にかなりの深さの裂傷。2時間は変身不可。
[装備]:なし
[道具]:アドベントカード(SEAL)
[思考・状況]
1:気絶中
【ドラス@仮面ライダーZO】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地D-6エリア】
[時間軸]:仮面ライダーZOとの戦闘で敗北し死亡した直後
[状態]:中程度の負傷。
[装備]:怪魔稲妻剣、GM-01改4式(弾数中消費)
[道具]:首輪、配給品一式×2(自身に支給された物と立花藤兵衛に支給された物)
[思考・状況]
1:首輪を外しこの世界を脱出する。
2:麻生勝=仮面ライダーZOを吸収する。
3:首輪の解除とZOの吸収のため、冴子を利用する。
4:他の参加者は殺す。ただし、冴子には興味あり。
5:可能ならこの戦いに関する情報を得る。
[備考]:ドラスの首輪は胴体内部のネオ生命体本体に巻かれています。(盗聴機能は生きています)
ドラスはドクトルG、ヨロイ元帥、ジェネラルシャドウ、マシーン大元帥の情報を得ました。
【
日高仁志@仮面ライダー響鬼】
【1日目 現時刻:昼】
【現在地:市街地F-7エリア】
[時間軸]:四十一乃巻。明日夢と桐矢を弟子にした後。
[状態]:軽いやけど。
[装備]:音撃鼓、音撃棒、変身音叉・音角、戦国時代のディスクアニマル、HONDA XR 250。
[道具]:配給品一式。
[思考・状況]
1:自分が関りながらも救えなかった事に対する後悔
2:麻生と協力し、闇を切り裂き、光をもたらす。
3:人質にとられている少年を助ける。
4:裁鬼の仇をとる。
5:ゲームをから脱出する。
[備考] シャドームーンを魔化魍、もしくは闇に堕ちた鬼だと思っています。草加達を信頼しています。
※HONDA XR250は制限により、あらゆる能力で変化することが出来ません。
※あきらを連れ去ったウルフオルフェノクを敵と認識しています。
最終更新:2018年11月29日 17:29