紫苑の館(もんじゃ屋)編
二人の男女がもんじゃやき、とあざとい筆づかいで描かれたのれんをくぐりに入っていった。(改変余地蟻)暖かい空気に包まれ、女の頬に薄い紅色がぽう、とさす。店内のあちらこちらの鉄板からジュウッ、という食欲をそそる音が立ち上がっていた。女が一通りそれほど広くもない店内を見渡すとちょうど良い席を発見した、と男に一声かけその席、四、五人は座れそうな座敷席であった、に座るように促した。二人が腰を下ろすと初老の店員が水の入ったコップを運んできた。店員がご注文はお決まりになりましたら・・・。と言いかけたのを遮って
「店員さん、カップルデーコースでお願いしますね。」
と女が大きな声で、それも満面の笑みで、←(改変余地蟻)注文をした。店内の空気がどよめいた。仕事帰りであろうサラリーマンの二人組み、先ほどまで試合の反省会をしていた丸刈り頭が六つ、そして一見おとなしそうな(どちらかと言えば暗そうな)少女これらが一斉に彼らのほうに視線を注いだ。が一番泡を食っていたのは男のほうであった。
「まずはとにかくあんな目立つような声で注文したわけが聞きたい。」
開口一番に重い口調で尋ねると、男は掛けている眼鏡を押し込めるようにして顔を手で覆った。
「いや、かっこつけるふりしてその手の下にニヤケ面隠してるところ申し訳ないが今のオーダーには他意はない、君以外には。」
「店員以外の一般客にまで誤解される必要はないと思いますがね。」
「んにゃ、おかげで面白い状況になってきた。ほれ、あそこの一人スパイ大作戦を見ろ。」
そういうと女はテーブルの上にあったヘラで男の後方右翼空間を示した。
男がへらの示しているほうに振り返ると少女が焦った様子で顔をきょろきょろさせていた。ほかの客は平静を取り戻し、この場合は装いといったほうが適切か、自分のもんじゃ焼きを焼いているのだがこの少女だけの挙動が不審だ。
「で、あのシャイなお嬢様が何なんです。」
「うん、あれは魔界の皇女たる私の命を狙っている殺し屋だ。」
男は口にくわえようとしていたつまようじを取り落とすとウウム、とうなり顔を伏せてしまった。
ーもう何がなにやら。ー
彼は入店早々帰りたくなっていた。が女はそんなことなどどこ吹く風で少々お花を摘みに、と男に断ると壁のトイレ←と書かれた張り紙に従い彼をひとり残して行ってしまった。
ーまるで宇宙を漂うような二億光年の孤独のごとくの心細さ。ー
男は嘆息を漏らしたが女が羽織っていたダッフルコートが無造作に脱ぎ捨てられていたのを見つけるととほくそ笑んだ。
そしてポケットから女の虎の子を取り出そうとヤニはどこだ、と先程までの憂さを晴らすかのごとく豪快に漁り出した。
まさにそのとき背後より。
二人の男女がもんじゃやき、とあざとい筆づかいで描かれたのれんをくぐりに入っていった。(改変余地蟻)暖かい空気に包まれ、女の頬に薄い紅色がぽう、とさす。店内のあちらこちらの鉄板からジュウッ、という食欲をそそる音が立ち上がっていた。女が一通りそれほど広くもない店内を見渡すとちょうど良い席を発見した、と男に一声かけその席、四、五人は座れそうな座敷席であった、に座るように促した。二人が腰を下ろすと初老の店員が水の入ったコップを運んできた。店員がご注文はお決まりになりましたら・・・。と言いかけたのを遮って
「店員さん、カップルデーコースでお願いしますね。」
と女が大きな声で、それも満面の笑みで、←(改変余地蟻)注文をした。店内の空気がどよめいた。仕事帰りであろうサラリーマンの二人組み、先ほどまで試合の反省会をしていた丸刈り頭が六つ、そして一見おとなしそうな(どちらかと言えば暗そうな)少女これらが一斉に彼らのほうに視線を注いだ。が一番泡を食っていたのは男のほうであった。
「まずはとにかくあんな目立つような声で注文したわけが聞きたい。」
開口一番に重い口調で尋ねると、男は掛けている眼鏡を押し込めるようにして顔を手で覆った。
「いや、かっこつけるふりしてその手の下にニヤケ面隠してるところ申し訳ないが今のオーダーには他意はない、君以外には。」
「店員以外の一般客にまで誤解される必要はないと思いますがね。」
「んにゃ、おかげで面白い状況になってきた。ほれ、あそこの一人スパイ大作戦を見ろ。」
そういうと女はテーブルの上にあったヘラで男の後方右翼空間を示した。
男がへらの示しているほうに振り返ると少女が焦った様子で顔をきょろきょろさせていた。ほかの客は平静を取り戻し、この場合は装いといったほうが適切か、自分のもんじゃ焼きを焼いているのだがこの少女だけの挙動が不審だ。
「で、あのシャイなお嬢様が何なんです。」
「うん、あれは魔界の皇女たる私の命を狙っている殺し屋だ。」
男は口にくわえようとしていたつまようじを取り落とすとウウム、とうなり顔を伏せてしまった。
ーもう何がなにやら。ー
彼は入店早々帰りたくなっていた。が女はそんなことなどどこ吹く風で少々お花を摘みに、と男に断ると壁のトイレ←と書かれた張り紙に従い彼をひとり残して行ってしまった。
ーまるで宇宙を漂うような二億光年の孤独のごとくの心細さ。ー
男は嘆息を漏らしたが女が羽織っていたダッフルコートが無造作に脱ぎ捨てられていたのを見つけるととほくそ笑んだ。
そしてポケットから女の虎の子を取り出そうとヤニはどこだ、と先程までの憂さを晴らすかのごとく豪快に漁り出した。
まさにそのとき背後より。
「あなた様はベルウゼブ領の領主様、「滅殺炎(インフェルノ)」の紫苑様では御座いませぬか。」少女の一声。
神は天にいましというのに、全て世は事ばかり。明日の身があるのは果して何処にやら。
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僕が振り向くとそこには先程の殺し屋、いやシャイなお嬢さんが今にも僕に抱きつこうと両手を広げていた。
僕は寸でのところでそれをかわすと彼女は座敷の上に倒れこんだ。頭の中が混乱で渦を巻いていたが、とりあえず少女の安否を確認しようと倒れた彼女のそばに寄った。すると急に右腕に強い握力を感じて思わずアッ、と声を上げてしまった。
僕の右腕は白いきれいな肌をした手に掴まれていたのだ。先ほどのボディプレスによってセルフノックアウトした少女のそれであった。
お、女の握力じゃねえ、いやそもそもなぜ俺を掴む、それもこんなに強く。
少女が突っ伏していた顔を上げ、痛がっている僕を見るとハッとした表情になった。すると今度は頬に紅色がさし。
「お、お兄様っ失礼いたしました。とりあえず落ち着きになって。そして話をお聞きになって、ね。」
とっぴな一言。いやあまりにも奇抜すぎる。どういうことだか何一つワカラナイ。つまりこの子が僕の妹で、僕がこの子のお姉さん、
いや違う。とにかく手を離してくれ。本当に痛い。
僕が彼女の手を振り払おうとするとそれは更に締め付けを増してきた。
「痛い!痛い!わかったから!降参するから!とにかく手を離して」
いったい何に降参するというのだろうか。とにかくその一言により少女は僕から手を離した。すると徐々に彼女の大きな目が潤み出しとうとう大粒の涙がこぼれた。
「ここここ、これはとんだご無礼を。どうかお許しください。お兄様のご審判とあらばこの場にてこの命を・・・」
もんじゃ焼き屋でなんて物騒な。とにかくこの少女を落ち着かせなくては。
「落ち着いて。はい、深呼吸、、、、はいよくできましたー」
僕はいったい何をやってるんだろうか。大学生が女の子泣かせて、深呼吸させて、褒めて。
とにかく彼女の方は落ち着きを取り戻したらしく目をフリルのついた袖、たしかゴスロリといったファッションだったか、で目をこすると
「すいませんさっきからぜんぜんだめですね、私。」
「ともかく事情を教えてくれないか。さっきから何一つ分からない。」
「嗚呼やはり・・・その御様子だと何一つ覚えていないのですね・・・。あの二人で過ごした蜜月の日々。」
彼女は自分でその華奢な身体を抱しめると身震いをして恍惚とした表情となって饒舌に語りだした。
「ワテクシ、華鈴・フォン・キルヒルアイスルは彼方様、紫音・フォン・シェーンコルプと将来を誓い合った仲にして実は彼方様の血を分けた兄妹にして彼方様に血を吸われた眷属
そして魔界学園レベル死(フォー)の能力「デスマーチ(既死者の誘い)」の使い手で有名な才女、死美人草(ラフレシア)の名で知られています。
僕は寸でのところでそれをかわすと彼女は座敷の上に倒れこんだ。頭の中が混乱で渦を巻いていたが、とりあえず少女の安否を確認しようと倒れた彼女のそばに寄った。すると急に右腕に強い握力を感じて思わずアッ、と声を上げてしまった。
僕の右腕は白いきれいな肌をした手に掴まれていたのだ。先ほどのボディプレスによってセルフノックアウトした少女のそれであった。
お、女の握力じゃねえ、いやそもそもなぜ俺を掴む、それもこんなに強く。
少女が突っ伏していた顔を上げ、痛がっている僕を見るとハッとした表情になった。すると今度は頬に紅色がさし。
「お、お兄様っ失礼いたしました。とりあえず落ち着きになって。そして話をお聞きになって、ね。」
とっぴな一言。いやあまりにも奇抜すぎる。どういうことだか何一つワカラナイ。つまりこの子が僕の妹で、僕がこの子のお姉さん、
いや違う。とにかく手を離してくれ。本当に痛い。
僕が彼女の手を振り払おうとするとそれは更に締め付けを増してきた。
「痛い!痛い!わかったから!降参するから!とにかく手を離して」
いったい何に降参するというのだろうか。とにかくその一言により少女は僕から手を離した。すると徐々に彼女の大きな目が潤み出しとうとう大粒の涙がこぼれた。
「ここここ、これはとんだご無礼を。どうかお許しください。お兄様のご審判とあらばこの場にてこの命を・・・」
もんじゃ焼き屋でなんて物騒な。とにかくこの少女を落ち着かせなくては。
「落ち着いて。はい、深呼吸、、、、はいよくできましたー」
僕はいったい何をやってるんだろうか。大学生が女の子泣かせて、深呼吸させて、褒めて。
とにかく彼女の方は落ち着きを取り戻したらしく目をフリルのついた袖、たしかゴスロリといったファッションだったか、で目をこすると
「すいませんさっきからぜんぜんだめですね、私。」
「ともかく事情を教えてくれないか。さっきから何一つ分からない。」
「嗚呼やはり・・・その御様子だと何一つ覚えていないのですね・・・。あの二人で過ごした蜜月の日々。」
彼女は自分でその華奢な身体を抱しめると身震いをして恍惚とした表情となって饒舌に語りだした。
「ワテクシ、華鈴・フォン・キルヒルアイスルは彼方様、紫音・フォン・シェーンコルプと将来を誓い合った仲にして実は彼方様の血を分けた兄妹にして彼方様に血を吸われた眷属
そして魔界学園レベル死(フォー)の能力「デスマーチ(既死者の誘い)」の使い手で有名な才女、死美人草(ラフレシア)の名で知られています。