アドルフが告ぐ





鮮血が、どれだけ抑えてもドクドクと零れ落ちていく。
周囲の叫び声が耳に痛いわい。
…何故じゃろう、血がどんどん出て体が軽くなる筈じゃのに、動くのが重たい。
意識もどんどん、薄くなっていく。

ワシは死ぬのじゃろう。
本当にもう今回ばかりはダメなようじゃ。
なぜこんな奇妙な運命に翻弄されることになったのか――。
その理由さえも知れぬままじゃな…。

わしの眼に、過去の記憶が浮かび上がる。
走馬灯、か…。この殺し合いでの出来事が次々と鮮明に映し出す。
青い空に輝く太陽、幸せそうな人々の笑顔、そしてあの人――愛しき人の微笑み。

「もう少しだけ…もう、少し……だけ一緒にい、たかっ…た……………………。」

壮観、じゃな…。


―――統…っ、総統……っ!!しっかりしてください!…………


世界征服を、達成したかった。
もっとデラックスファイターと戦いたかった。

神様、
どうか子供たちの涙のない世界を。
哀しい戦争のない世界を、作ってください。

そして、この殺し合いに抗った同志たちよ。
ワシら人間はお互いを慈しみあい、助け合わなきゃいけんのじゃ。
だから、どうか、ファイナル……ウォーズを、終戦に……―――。


【総統@秘密結社鷹の爪 死亡確認】
【残り…




『この物語は、総統という男が死の間際に見た「走馬灯」の一部始終である。
 時間はゲーム開始直後に遡る。』


 以下、囘想
   ▲
  FINAL WARS
   #07 
「アドルフガ告グ」



☆ ☆ ☆


「んんあぁあああ~~~~~~~……!覚めてくれぇぇ~~!夢なら覚めるんじゃああ~っ!!」

さて、つねるぞ~っ…。
かれこれ65回目のほっぺつねり…!痛ぁっ!!
……
…………。
…あっ~~~~~~~~~!!!まだ覚めない!
文末の三行状態表で「[状態]:顔面ズタボロ」って書かなきゃいけないくらいつねりまくりじゃが、まだ悪夢のままじゃ…。
……やっぱり、これは夢じゃないのか…?現実…。

「わああ~~~~~~~~~~~!!!嫌じゃああ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!
 殺し合いなんてしたくないぞぉ~~~~~~~~~~~っ!!!!
 助けてー!!吉田くぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん!!!」

あぁぁ…大変なことになってしまった。
何故、ワシがこんな目に…。
…ぐすんっ。涙が止まらないわいっ…。
憎っきデラックスファイターに吹き飛ばされたと思ったらいつの間にかお城にいて、
殺し合いをしろと言われて、また次の瞬間にはまるでワープしたかのように恐ろしい深夜の大森林の中にいて…。
何もかもが常識範囲外の荒唐無稽で、頭が理解を止めてしまうわい…。

「まあ、荒唐無稽極みの「鷹の爪」キャラであるワシがそんなこと言うのもあれじゃがな…。
 てか、大体何故、鷹の爪がパロロワに入れられてるんじゃ~っ!?
 普通にFateかなのはでいいじゃろうが~!枠の無駄使いじゃ!
 まったくバトル向きじゃないぞワシらは~!!」

なあ、吉田くん?

……
っておらんのか、吉田くん…。
彼なら「全くその通りです総統。まるでDLCの追加ファイターにパッ〇ンフラワーをチョイスするN天堂様と同じですよ」とか言ってくれるものじゃが…。
う~む、むず痒いわい…。
ま、メメタァな話はこれくらいにしておいて、とりあえずお決まりのデイパック整理でもするかのう…。
この殺し合いの中、如何に生き延びるかを重点的に考えるべきじゃしな。
わしが最初に目を通したのは参加者名簿じゃった。
「菩薩峠くんに、吉田くん、そしてフィリップ。とりあえず彼らの名前の名前がなくてよかったわい…。」
大切な、鷹の爪団の戦闘員たち。
彼らといがみ合い殺生を繰り広げることをしなくて済んだ点は主催者に感謝じゃな…。
吉田くん…、もしワシが死んでしまったら、ワシの分も世界征服を精進するんじゃぞっ。うぅ……。
しっかし、反面、知人の名前が名簿に載っているのも事実じゃ。
レオナルド博士」…。死ぬんじゃないぞ。
ワシらは『世界征服』という共通のの夢を追い、同じ釜の飯を食べた同士…。
博士、絶対あきらめずに生き延びるんじゃよっ!!お前の天才的発明力はこんなところで終わってはならないんじゃ!!

…あっ、デラックスファイターは………。こんなやつどうでもいいか。
コイツはむしろここで野垂れ死ぬのがお似合いだわい。

名簿は見終わったことだし、とりあえずデイパックの物を全部出すことにするか。
まず目に入ったのは、ワシの身長はあろう程の真っ赤な槍。どうやらこれが支給武器ってことじゃな…。
まるでロン●ヌスの槍のような大きなコイツ…。ワシに扱えるじゃろうか。(あっ、エヴァ普通に参戦してるからロンギヌスに伏字いらんな)
あとは缶詰に、ドクペ、お菓子のエアリアル。
で、以上。んんん…少なすぎるわっ!
年寄りに優しくないバトルロワイヤルなことだわい!
フン、まあいいわ。
これでワシの「生き延びるための基本スタンス」が決まったんじゃからな。
荷物確認も終わったことじゃ。
さっそく行動に移させてもらうぞ───。

「……よっこらせっと………。重すぎじゃな、これ…………。」

ロンギヌスの槍、うまく振るう練習するか。
う、くそおっ…重すぎじゃろ…!これ……。持ちにくっ!
うー…こうやって振って…。おっとと…。あー難しい……。
なんて武器なんじゃまったく…おっと

「へっへっへっへーー!死体が動いてやがるぜっ!ファックイエー!」
「なっ…!」

冷汗が垂れ落ちた。
背中に筒のような細いものが突きつけられている感触がする。
…銃、じゃ。状況的に…っ。
ま、ままま、まずいぞ…非常にまずい…。やばい奴にエンカウントしてしまったわい……。
ど、どど、どうすればいいんじゃ、ワシ~!

「ま、ま、待つんじゃ!君~!ワ、ワシは善良な一般市民で殺すにも足らん虫みたいな人間じゃ…」
「オイラの許可なしに喋ってんじゃねぇぜっ!ぶっ殺すぞ死体がっ!!」
「ヒィィイイイ~~~~~~~~~~~~~~!!!お、お許しを!!!」

絶体絶命じゃ。完全に背後を取られている…。
…声からして奴は子供…か?
動こうと思えば力の差でやれるかもしれん…。が、それは勝算のない賭けでしかないのじゃ。
銃の脅威、失敗したらハチの巣確定じゃ…。恐ろしい。
ならば言葉巧みに誘導するまでじゃが…ど、どうすればいいんじゃあ…。
何を言えばいいか全く思いつかんぞお……。
あぁあ~~~~……、第1回放送までの死亡者一覧に名前を書かれたくないぃ~~!!嫌じゃ~~~!

「お慈悲を~~~~~!本当にお慈悲を~~~~っ!!
 殺すとしてもせめて優しく殺して~~~!お願いしますぅう~~~!うわああんん~~~!!」
「ハッアア?テメェ泣きやがってんのか!なっさけねぇ野郎だぜ!死体さんよ!」
「うわあああああんん~~~!お慈悲をください~~~!!お慈悲を~~~!」
「ヘーッハッハッハ!オイラのケツ穴でも舐めたら許してやってもいいぜっ?
 ぎゃはっはっはあーーはっはっはあーーーーーー!!!あっはっはっはっはーーーーーー!!」

紙ヤスリでもマグマでもなんでも舐めるから許しておくれ~~!!
ひぃ~~~~~~~~~~…。
背中を銃の先で何度も小突いてくる…っ。-
言うこと為すこと何もかも最低ななんて子供じゃっ…~!

「こちらカートマン将軍、ただ今、ユ卍ヤの小汚い残党を発見したため、弄んだのち殺処分致します。ぎゃーはっはっはっはっは!!
 こっち向け!オラッ!死体!」
「おおおおお仰せの通りにぃ~~~~!」

ワ、ワシが何故こんな目に…。
なんとかしないと~!この振り返る間に何か得策を思い浮かばないと…。

得策1:『銃を力づくで奪い取る』…
いやさっきも言ったが最悪自滅じゃこれは~!却下!!
得策2:『相手の注意をそらす』…
…な、なな、なんて言えばいいんじゃ~?「あっ、オカピがあんなとこにいるぞ」とか…?
あーーーーっ全然思いつかんぞいっ!!
得策3:『あきらめてただ死ぬのみ。現実は非情である。』…
だだだだ、だが断るぞこれだけは絶対~~っ!!
まず、殺される前に本当におケツ舐めをさせられて舌をおしゃかにする可能性あるわいっ!!

…脳裏に浮かぶアイデアは次々と否定される。
もう駄目だわい…。大体そんな簡単に機転効いてたら今頃世界征服なんて達成できてるしな…。
あああ…、ワシはなんて男じゃ…。

タイムオーバー。とうとう得策0のまま振り返ってしもうたわい…。

銃を突きつけているのは…やはり子供じゃった。
小太りで、陰険にもほどがあるその目つきの少年は、さっきまでの極悪非道なセリフを象徴する見た目じゃ…。
ワシはこれからどんな末路に陥るのか…。
はぁああ……、これが本当にただの夢じゃったら、どんなにいいことか……。
ワシの優勝記念の願い事「夢から覚ましてください」を前払いで叶えてほしいものじゃ…。
捨てられた子犬の10倍哀れな目でワシは少年を見つめた……。

「おっ…おいっ…おいおい、マジかよ?セニョリータ…。」

少年はぶつぶつなんだか言い出した。
…あーああ~~…
撃たれたくないよ~…!現金は2800円までなら出すよ~…(全財産)!

「ありえねぇっ、ありえねぇって!おいおいおい…。」

うぅう……。神様~!
目を瞑って、お祈り申し上げます~!!
なんとかしてえ…、嗚呼、神さま、仏さま、スーパーマン、バットマン、正義の味方、お豆腐屋さん、焼き芋屋さん、おそっさまに書き手様…。

「…ハイルーヒッ卍ラー!!!!!
 知らなかったとはいえ恐れ入ったぜ…!!我が愛しの総統閣下ぁ!!」

…殿さま、博士さま、フィリップ、吉田さま……
って、なんじゃいきなり!?
「入るヒ卍ラー(?)」ってこの少年は。
うーむ。気になる。
恐る恐るじゃが、目を開けることにするか。

……って、なっ!!何をしてるんじゃ君っ!!

「おいおい、まさかあんたが生きてるとはな…。
 学校のクソったれ教材ビデオで嫌というほど見せられたぜ。あんたの極悪外道っぷりをよ。」

なんと予想外なことに銃の少年はワシに敬礼をしていたのじゃ…。背筋をピンとたてて礼儀正しく。
な、なんじゃその変わり様は??突拍子なさすぎるぞ。
ん?ていうかなんじゃ。ワシの極悪非道っぷりって。
教材ビデオで見た?ワシを?誰と勘違いしているのじゃこやつは…。

「ハァァァァ~~~イルッ………」

いやいや待つんじゃ少年。
まさかまさかワシをアイツと勘違いしているのかね…?!
「ヒ卍ラー」ってわざわざ伏字にするって、絶対にネタにしちゃいけないあの独裁者のことかね?!
そんな最低な勘違いをしているのかね、キミはっっ?!?!?

「我が祖国ドイツの大英雄に敬礼っ!!!ヒッ卍ラーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」



☆ ☆ ☆


さて、小説の途中ですがここでリラックスタイムに入ります。
どうも天の声(CV吉田)です。
ssというものは目と空想力の酷使により、必然と疲労を引き起こす娯楽なので、休憩タイムを設けました。
キューブリック監督のSF映画「2●01宇宙の旅」では、30分ほど何も映さない「休憩時間」のシーンがあることで有名ですが、それと同様のものです。
そうそう、FROGMAN監督の超傑作SF映画「秘密結社鷹の爪THE MOVIE2~私を愛した黒烏龍茶~」でも休憩シーンが用意されていますね。

まあ、それはたておき、(別によこおきでも構いません。)
今回は特別に指先だけで全身の疲れをほぐすリラックス方法を教えしましょう。

『島根じゃ常識!!座ってできるリラックス講座』

1.指を手のひらに置き、優しく握ります。
2.ゆっくりと指を回転させるように動かします。指全体が軽く揺れる程度で十分です。
3.指の先端まで意識を集中させ、指先のエネルギーを感じながら、5回反時計回りに回転させます。

指と首は神経がつながっているので首の凝りや背中の張りに効能があります。
皆さんも目の奥がガンガン痛くなる経験があるのではないですか?そんな時こそ上記のマッサージがお薦めなんです。
またもう1つ、

1.指の第一関節(指先から数えて一つ目の関節)に、小さな架空の宝石をイメージします。例えば、ダイヤモンドやルビーなど自分が好きな宝石を選んでください。
2.選んだ宝石を指先にのせたイメージを持ちながら、他の指でその宝石を優しく圧迫します。
3.宝石を圧迫する指をゆっくりと回転させながら、指先のエネルギーが宝石から手のひら全体に広がっていくのを想像します。

これは「宝石指圧法」というマッサージで、前頭葉につながる神経を直接ほぐすことで、ゴチャついた頭を整理できるのです。
さあ、最後に仕上げです。

1.両手を組み合わせ十分に手首を柔らかく回しましょう。
2.できるだけ力を抜いて、ゆっくりゆっくり。
3.では、手を前に向いて振ってください…。何度も何度も。ほら、だんだんわかってきたでしょう…?







(=f・Д・)=f た~か~の~つ~め~

             /        `ヽ、
             ヽ  ,、_)ヽ     `ヽ―-、
              ヽ-ヽ_ノニ=-、、 `   〉
               ィ´ ̄     _二ミ/`ヽ_ノ
            (___ェ¬¨ヽ゚‐' L/  ノ___
               (  rレiiiiー'ヽ、 -r‐' __ノ!
   __        r¬ヽ!Liニニl├‐┴''´  l
  /,,-‐  ヽ      ヽ、 r‐^ヾ、;;;ノ,;;|      ト、
 !_人/,   l    / ヽ`ー,ニ― 、!        ヽ
  (ノヽ<ノ-‐‐、   /    〉 // _  ヽ        ヽ、
     l    l  /     l(〈〈_r'´ーr―ヽ、        ヽ
      !    l/     l  |l   /l   l         l


はいっ!鷹の爪ポーズです!
引っ掛かりましたね!あなたがやったそれ、我々鷹の爪団のお決まり「鷹の爪ポーズ」ですよっ!!
シンアニロワで鷹の爪ポーズをやってしまった貴方。そう、貴方です!!!
この際開き直って、この後出てくる鷹の爪ポーズでは必ず参加してくださいっ!
以上、休憩時間でした!!

(※ちなみに上記のリラックス法は全部大嘘ですっ!やーい!ダマされましたね!!ごめんなさい。)


☆ ☆ ☆


……
………
「それでは、カートマンくん!今、ここに『新生鷹の団』結成を宣言するぞぉ~~っ!
 さあ一緒に!たーーーーーーかーーーーーのぉーーーーーつーーーー…」
「なあところで総統閣下!人体実験の時ってやっぱり興奮しただろ?ユ卍ヤの奴ら絶対泣きべそかいてたよな?」
「……………。カートマンくん、そ、それは置いといて。たーーーかーーの…」
「おいおいそのポーズは核のボタンを連打してる素振りか?!さすが総統!戦争って最高だよな!」

…はぁあ~。
ワシと現代義務教育の敗北じゃなこりゃ…。
この子供、人格破綻にも程があるわい……。

カートマンと名乗るこの少年、どうやらワシを某卍独裁者と勘違いして崇拝しているようなんじゃ。
おかげで命の危機からは救われたし、即席のチーム『新生鷹の団』に入れることはできたのじゃが…。
いや、本当にじゃが…じゃよ!
まあ確かにワシはちょび髭も生やしとるし、悪の組織のリーダーではあるよ。
それでもあんな独裁者と勘違いされるなんて最悪にもほどがあるわい!名前出すだけでいろんな方面に問題発生する歴史偉人じゃよ!
不本意にもほどがあるのじゃ!

「ちなみにオイラ、あんたが何でその髭生やしてるのか知ってるぜ?!
 第一次世界大戦にて防毒マスクにフィットする髭だったから、だよな!
 そういう諸々は「シ●ドラーのリスト」で履修しちまったんだよ~。オイラあの映画大好きだぜ?めっちゃ笑えるからなっ!!!
 ぎゃああーはっはっはっはっはっはーーーーっはーーーーー!!!!」

100歩譲るとしてなんでその独裁者を崇めてるんじゃ…こやつは。
それにどちらかと言うとワシのモデルはベガじゃよ。カプコンの殴り合いゲームのあやつじゃ。
「そいつのモデル、ヒ卍ラーだろ。」って突っ込まれたら何も言えんが…。
けども!けどもじゃよっ!

と、まあ、色々不満はあるが今は話を合わせた方が良いじゃろう。
倫理観なんか命に比べたらどうってことないわけじゃしな。
カートマンくんも実質的にはワシに従順していることだし今はこのままでいいんじゃ。
あくまで「今は」じゃが。

「…あとあとワシがみっちり教育してやるわい…。そのねじ曲がりまくった根性をな…。」
「あーなんて?!教育??…あっー、そうだよな!
 ほかの腐った参加者のユ卍ヤ人共に教育が必要だもんな!おいおい総統閣下いわれなくても分かってるぜ??」
「いやいやいやいや、カートマンくん!ただの独り言じゃ!話を大きくしないでくれ~~っ!」

うううっ…。にしても、問題発言メーカーじゃなこやつ。
まるで個室トイレでふと壁を見たら巨大な節足動物が張り付いてたときくらい、冷や汗がいちいち湧き出るわい…。

「ところで総統閣下よぉ?さっき『新生鷹の団』とか言ってやがったが、なんだあれ?」
「なんだあれ…って。ワシらの組織名じゃよ。」
「おいおいおいそりゃねぇ~~っぜ?素直に『ナ卍ス』でいいじゃねえか!
 だっせえーなあっ、ネーミングセンス0!鷹なんてオイラのチンポコほども脅威感じねーぜ」
「………んんん~~、あぁあ~~~~~~~~~~~~~~~~~~っ!!!!!!!!」

…だからそんな下劣な発言いい加減にやめるんじゃ~!
まったく…信じがたいゲスじゃな、カートマンくんは。
彼が毒発言するたびにワシの脳内細胞が1粒ずつ壊死していく…。
…とりあえず、今はこの「立場」を利用して静まらせるまでじゃなっ。

「よしっ、カートマンくん…」
「おっ!なんだい愛しの我が総統閣下殿!」
「ナチ…新生鷹の団総統として第一の【命令】を君に告ぐっ!」
「はいはい来ましたぜ!そのお言葉を待っていたんだよオイラはなぁ!
 さあ!なんでもご命令を…―――」
「とりあえず、黙らんか?うん。以上じゃ。」

………
………。
んん…さっきまでのハイテンションぶりが別人のように黙り込んだぞ…。
カートマンくんは失望とも悲哀とも捉えれる表情でこちらをただ見ていた。
少し、言い過ぎた…か?黙らんか、って。
まあ、いいわい。
「何とかとハサミは使いよう」、とはよく言ったもんで、これからも【命令】と称して躾していけばいいんじゃ。
ワシは大人として。彼に情操教育をせねばならんのじゃ。
――ふと、初めて吉田くんや菩薩峠くんにあった時を思い出す。
彼らも最初は愛を知らない心の子供たちじゃった。
それでもワシは世界征服という活動を通じて、心を開かせ、互いを信頼しあう仲になっていったのじゃ。
カートマンくんにも同様、相手を思いやる気持ちや命の大切さ、正しい知的好奇心などを「新生鷹の団」の活動で教えて、
これからを担う立派な大人にせ…。

「分かったぜ総統閣下!『ほかの参加者どもを永久に黙らせれば』いいんだろおっ!?
 さっそく2,3人の干し首をお持ちしてくるぜええーーーーーーーーーっ!!!
 ひゃっはほおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!」

ズガガガガガガッ――――――
ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!

うんうん、そうじゃそうじゃ。よく指示を聞いてくれた。
カートマンくん、ほかの参加者どもを永久に黙らせて、他人を思いやる心や生命を尊重する心を学ぶのじゃよ…。
彼は銃を天に乱射しながら森の奥へと駆け回っていった――。

「って、いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!
 違う違うぞおおーーーーーーーーーー!カートマンくぅぅーーーーーーーーーーん!!!!
 何も命令を分かっていないわいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!」

な、なにを解釈すればそんな結論に至るんじゃ?!!?
自分本位に捉えるにもほどがあるじゃろ!!!

「FOOOOOOOOOOO!!狩りだッ!!ベトナム戦争を思い出すぜっー!ギャーーーーハッハハッハッハHAHAHAHAHAHAHA!!!!!!!!!」
「いやいやいや世代じゃないじゃろ君ぃぃ~~っ!!!待て、待つんじゃああーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」

なんも聞く耳持ってくれない…。
脱兎のごとく飛び出した暴走少年兵をワシは懸命に追いかけた。
…今年50になるというのに、全力疾走を出させおって~~…!

「殺しなんてやめてくれぇーーー!カートマンくぅぅぅんーーーーー!!!!
 命令じゃぞーーーーーーーー?!?……ゼェエハア……ゼェゼェ……!!」


☆ ☆ ☆


前略。吉田優子です。
お母さん、元気ですか?
我が故郷、島根はすっかり春めいて、楽山公園も桜が満開の頃でしょうか。
…はい、冗談失礼しました。

私は今「ファイナル♡ウォ~ズ」という私の頭では到底理解できない遊戯に参加させられています。
いえ、本当は意味は分かっているのかもしれません。
あまりのリアリティのなさと残虐非道な現実に脳が自ら思考を停止させてる可能性もあります。
ですが、本能的に理解しないことが幸せだと分かっているので、今は全く考えないようにしているのです。
…え?あなたが頭カラッポなのはいつものことでしょ、って?
ははっ、お母さんそれに良子、島根はすっかり春めいて、楽山公園も桜が満開の頃でしょうかね。ふーははは。

「さて、私はここら辺でお眠としますかー。たまには森の中で寝るのもいいかもしれませんしねー。」

眠気が限界突破MAXです。私はゆったり目を閉じました。
にしてもー。あはははー…なんですか??『ころしあい』って?
まぞくの私には全く解せません~~~。
ま、どうでもいいことです。目が覚めたら案外元の我が家にいるかもしれませんからー……ムニャムニャ。

ズガガガガガガッ―――
ドンッ!ドンッ!

「うわぁああ!!!
 な、なんの音ですかぁーーー!!」

例えるなら近くに置いてあったねずみ花火に引火しちゃったみたいな大爆音が聞こえましたっ!
眠気はさっぱりサンジェルマンですよっ!
木々がその爆音を木霊し、揺れ動く様になんとも言えない感情をこみあげてしまいますっ。

ズガガガガガガッ―――

しかもだんだん音がこっちに近づいてきます~っ!
何が起きているのか、頭があまりよくない私でも察すことができますよ!
チョ~危機状態です!
と、とりあえず…私もその危機に対抗して、『危機管り…

「ナチス陸軍部隊将軍カートマン、売女を発見いたしましたっ。ぎゃーはっはっは!
 どうしますぜ?総統閣下。
 あっ、そういやさっきからオイラのチンコの先が乾きまくってんだよなぁ?!へっへへ!!」
「んんん~~ああああ~~!カートマンくぅぅん!!何を言ってるんじゃ!!やめてくれえええ!!」

はぎゃああああっーーー!!
エンカウントしちゃいましたっ!銃をこちらに向けられています!
凶暴面がヤバいチャイルドソルジャーと、ドイツのあの人が目前にーっ!
いやいや!こっちが「んんん~~ああああ~~!」ですよ!私の生涯一の大危機じゃないですかー!

「ようビッチが!おいビッチビッチビッチ!
 …ビッチ~…♪ビッチ~♪
 ウェ~ル…♪
 どうにもならないホントのビッチだ♪一緒に叫ぼうボーイズ&ガールズ♪
 朝から晩まで!月火水木!♪
 年がら年中♪ビッチ!ビッチ!!ビッチ!!!♪
 祝祭日にはスペシャルメニューで♪
 ビッチの王様、カメ・ハ・メハ!ビ~ッチ!♪」

少年兵くんライフルを突きつけて変な歌合唱しないでくださいぃ~~。
こ、これが殺し合いですかぁー…?!!
撃たないでぇ~~~…!!!

「んんあぁああ…~~~、ワシはどうしたらいいんじゃ……。もう抱えきれんくらい頭が痛いわい~~……」

ヒ〇ラーのお方、その言葉全面同意ですっ。
ですがっ!あなたが言うべきセリフではないと思いますーーーっ!!私のセリフですぅーーっ!!
…どしよどしよどうしよう!!

「誰か助けてくれぇえーーーーーー!!フィリップーーーーーーーーーー!博士ーーーーーーーーーーー!
 菩薩峠くんーーーーーーー!!ああああ~~あっーーーーーーーーーーーーー!
 吉田くぅぅぅーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!」

…あっ、はいっ!
吉田ですっ!

―――――to be continued…



【F4/森/1日目/深夜】
【新生鷹の団】
【総統@秘密結社鷹の爪】
[状態]:健康
[装備]:ロンギヌスの槍@新世紀エヴァンゲリオン
[道具]:食料一式(ナナチごはん、ドクターペッパー)、エアリアル@実在の菓子
[思考]基本:死にたくない
1:吉田くうーーーーーーん!!!
2:カートマン君や、やや、やめたまえ!!

【エリック・カートマン@サウスパーク】
[状態]:健康
[装備]:ライナーのショットガン@進撃の巨人
[道具]:食料一式(未確認)
[思考]基本:優勝
1:ヒトラー様の仰せの通りに
2:参加者皆殺し(特にユ卍ヤ人)

【シャミ子@まちカドまぞく】
[状態]:健康、制服
[装備]:不明
[道具]:食料一式(未確認)
[思考]基本:なんだ、ここーーー?
1:はいっ吉田です!!
2:目の前の子供とヒ●ラーに対処


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最終更新:2023年09月27日 19:09