不可逆の螺旋軌道 ◆L62I.UGyuw
水面に顔を出すと、そこは完全な暗闇だった。
壁伝いにゆっくりと足の着くところまで泳ぎ、暗い水に浸かった階段を上がり切ってから、結崎ひよのは軽く息を吐く。
壁伝いにゆっくりと足の着くところまで泳ぎ、暗い水に浸かった階段を上がり切ってから、結崎ひよのは軽く息を吐く。
「ふう、今度こそどこかに通じているといいんですけど」
鉄砲水さながらの激流に呑まれ、気付けば独りになっていた。
沙英と銀時もひよのと同じく流されたはずだが、果たして彼らがどうなったのかは判らない。
何しろ他人の行方に気を配れるような状況ではなかったのだから。
自身が無傷だっただけでも僥倖である。
沙英と銀時もひよのと同じく流されたはずだが、果たして彼らがどうなったのかは判らない。
何しろ他人の行方に気を配れるような状況ではなかったのだから。
自身が無傷だっただけでも僥倖である。
「沙英さん、無事でしょうか。……坂田さんは……まあ」
やたらとしぶとそうな銀時はともかく、沙英のことは少々心配だったが、とはいえ心配してどうにかなるものでもない。
頭を切り替える。
頭を切り替える。
デイパックからランタンを取り出して点け、高く掲げる。
揺らめく赤橙色の光が放射状に辺りを照らし、ひよのの姿が浮かび上がった。
ひよのはワンピースの花柄水着を着ていた。水着は旅館で銀時が適当に持ってきた服に紛れていたものだ。
こんなこともあろうかと……と言いたいところではあったが、実際は特に深い考えもなく、単にデザインが可愛かったからデイパックに突っ込んだだけである。
全く、何が役に立つか判らないものだと思う。
揺らめく赤橙色の光が放射状に辺りを照らし、ひよのの姿が浮かび上がった。
ひよのはワンピースの花柄水着を着ていた。水着は旅館で銀時が適当に持ってきた服に紛れていたものだ。
こんなこともあろうかと……と言いたいところではあったが、実際は特に深い考えもなく、単にデザインが可愛かったからデイパックに突っ込んだだけである。
全く、何が役に立つか判らないものだと思う。
それにしても、である。
携帯電話が水に浸かったのは痛い。
元々電池の節約のため電源を切ってあったし、バッテリーとSIMカードはすぐに抜いておいたが、果たして再起動出来るかは判らない。
いずれにせよ、今電源を入れればお釈迦になることは間違いなく、乾燥させる手段がないことには使いようがないことは確かだ。
軽い溜息を吐く。
携帯電話が水に浸かったのは痛い。
元々電池の節約のため電源を切ってあったし、バッテリーとSIMカードはすぐに抜いておいたが、果たして再起動出来るかは判らない。
いずれにせよ、今電源を入れればお釈迦になることは間違いなく、乾燥させる手段がないことには使いようがないことは確かだ。
軽い溜息を吐く。
「どうにかして新しいのを見つける方が現実的ですかねー」
市街地に戻れれば何とかなるだろう。そう考えておくことにする。
何にせよ、ここを脱出するのが先決だ。悩むのはその後でいい。
何にせよ、ここを脱出するのが先決だ。悩むのはその後でいい。
ランタンの光に照らし出された通路は三方に伸びていて、どの方向も一様に無機質だった。適当に右の道を選んで進む。
光が行く手の闇を掃いていき、壁に沿って走るパイプの群れが現れた。
ここまでひよのが通ってきた通路とあまり変わらない単調な景色だ。
光が行く手の闇を掃いていき、壁に沿って走るパイプの群れが現れた。
ここまでひよのが通ってきた通路とあまり変わらない単調な景色だ。
軽く数時間は彷徨っているような気がするが、時計を出して確認してみると実際には三十分も経っていない。
地下フロアでは非常用シャッターは降りていないらしく、道が片っ端から塞がれているというようなこともなかったし、広いといっても所詮は工場の一部に過ぎない。
にも拘らず、やたらと複雑で広大に感じられるのは、主に水と暗闇のせいだ。
周囲を確認しつつ闇の中を、時には水に潜りながら慎重な移動を強いられるのは、体力と神経を削る。
時折、闇の向こうに妙な気配を感じたり、誰かの呻き声のようなものが聞こえたり、水の中の足を触られたりもした。
それらは単に気のせいだったり、あるいは自分の発した音が複雑に反響して戻ってきた結果だったり、水温の不均一性が生み出す幻想だったりするのだが、そう思ってはいても全く無視し切れるものではない。
死と隣り合わせの戦場の最前線では兵士達の間でしばしば怪談が流行るというが、今ならその滑稽な状況も理解出来るとひよのは思った。
地下フロアでは非常用シャッターは降りていないらしく、道が片っ端から塞がれているというようなこともなかったし、広いといっても所詮は工場の一部に過ぎない。
にも拘らず、やたらと複雑で広大に感じられるのは、主に水と暗闇のせいだ。
周囲を確認しつつ闇の中を、時には水に潜りながら慎重な移動を強いられるのは、体力と神経を削る。
時折、闇の向こうに妙な気配を感じたり、誰かの呻き声のようなものが聞こえたり、水の中の足を触られたりもした。
それらは単に気のせいだったり、あるいは自分の発した音が複雑に反響して戻ってきた結果だったり、水温の不均一性が生み出す幻想だったりするのだが、そう思ってはいても全く無視し切れるものではない。
死と隣り合わせの戦場の最前線では兵士達の間でしばしば怪談が流行るというが、今ならその滑稽な状況も理解出来るとひよのは思った。
しばらく歩くと、若干広い区画に出た。
前方にランタンのものとは異なる光が見える。
上階への階段。その途中にある非常灯だ。
どうやら無事に脱出出来そうである。
前方にランタンのものとは異なる光が見える。
上階への階段。その途中にある非常灯だ。
どうやら無事に脱出出来そうである。
ひよのの足を止めたのは、小さな違和感だった。
見られている。そう感じた。だがここに至るまでに似たような感覚には何度も陥っている。
また錯覚だろうとは思いつつ、視線を感じた方に目を遣る。
見られている。そう感じた。だがここに至るまでに似たような感覚には何度も陥っている。
また錯覚だろうとは思いつつ、視線を感じた方に目を遣る。
妙なものが見えた。訝って、目を凝らす。
錯覚ではない。のっぺりとした白っぽい影が、切り絵のように闇に貼り付いている。
誰かがいる、と思った途端にぬらりと闇が揺れ、影が色彩を得て妙齢の女性に変じた。
それを見て、ひよのは、怯んだ。
錯覚ではない。のっぺりとした白っぽい影が、切り絵のように闇に貼り付いている。
誰かがいる、と思った途端にぬらりと闇が揺れ、影が色彩を得て妙齢の女性に変じた。
それを見て、ひよのは、怯んだ。
女はやたら派手で、妖艶だった。
頭には王冠といっても通じる煌びやかな四角い冠。
露出の多いレオタードにガーターベルトを付け、色とりどりの刺繍と宝飾が施された豪華な外套を纏っている。
何より、彼女自身の長く艶やかな髪、ぞっとするほどの美貌、完璧に均整の取れた官能的な肉体。
それら全てが相まって、この世に在らざる色香を彼女に与えている。
首に光る鈍色の輪すらも倒錯した美を構成する要素にしかならない。
頭には王冠といっても通じる煌びやかな四角い冠。
露出の多いレオタードにガーターベルトを付け、色とりどりの刺繍と宝飾が施された豪華な外套を纏っている。
何より、彼女自身の長く艶やかな髪、ぞっとするほどの美貌、完璧に均整の取れた官能的な肉体。
それら全てが相まって、この世に在らざる色香を彼女に与えている。
首に光る鈍色の輪すらも倒錯した美を構成する要素にしかならない。
「――妲己」
知らずその名が唇から漏れた。直感だった。『これ』がそうなのだ。
傾国の美女――国を傾ける美貌。それがいかに狂気染みたものなのか、ひよのは理解した。
太公望や銀時に聞かされた通りの容姿であることは、後付けの判断材料に過ぎなかった。
傾国の美女――国を傾ける美貌。それがいかに狂気染みたものなのか、ひよのは理解した。
太公望や銀時に聞かされた通りの容姿であることは、後付けの判断材料に過ぎなかった。
「だっき……妲己。わたし――わらわはそう、妲己」
揺らぐ声。
極上の月琴を鋸で掻き鳴らすような、とても厭な響きだった。
極上の月琴を鋸で掻き鳴らすような、とても厭な響きだった。
女がすらりと長い脚を前に出した。赤いドレスシューズが水面を滑り、しかし全く濡れることはない。
当たり前に水面を歩くその姿が、彼女がこの世の法理から外れた存在であることを端的に表していた。
死者の中に妲己の名があったことをようやく思い出す。つまり彼女も『戻ってきた』のか。
当たり前に水面を歩くその姿が、彼女がこの世の法理から外れた存在であることを端的に表していた。
死者の中に妲己の名があったことをようやく思い出す。つまり彼女も『戻ってきた』のか。
喉が鳴る。
倒す――というのは現実的でない。
デイパックに強力な武器は入っているが、それを取り出すまで待って貰えるはずもなく、そもそも太公望の言を信じるなら妲己はただの人間が敵う相手ではない。
少なくとも、こうやって向き合ってしまった時点で既に後手に回ってしまっているのだ。正面から戦うのは無謀に過ぎる。
デイパックに強力な武器は入っているが、それを取り出すまで待って貰えるはずもなく、そもそも太公望の言を信じるなら妲己はただの人間が敵う相手ではない。
少なくとも、こうやって向き合ってしまった時点で既に後手に回ってしまっているのだ。正面から戦うのは無謀に過ぎる。
今のところ殺意は感じないが――というか、女がひよのを殺す気ならもう殺されているだろうが――危険な相手であることには変わりがない。
穏便に済ませることが出来ればそれが一番良いのだが。
穏便に済ませることが出来ればそれが一番良いのだが。
「何か――私に御用ですか?」
「そうねぇん。用っていう訳じゃないんだけどぉん……折角出会ったのに挨拶しないのは悪いと思わないかしらん♪」
「はぁ」
「そうねぇん。用っていう訳じゃないんだけどぉん……折角出会ったのに挨拶しないのは悪いと思わないかしらん♪」
「はぁ」
ちらりと右方に視線を走らせる。暗くて距離感が掴み辛いが、階段まで二、三十メートルといったところだろう。
逃げられるかは微妙なところだ。
逃げられるかは微妙なところだ。
女が一歩前に出て、ひよのは一歩下がる。
「ここで何を」
女は白磁の指で下を指した。
「ここの下の方から、とってもとっても素敵な力を感じるんだけどぉん……貴女、何か知らないかしらぁん?」
ひよのの瞳が毛筋ほど揺らいだ。
下の方。思い当たるものはある。魔子宮――のようなもの――だ。
ここに来る前に博物館で解説文を確認してみたので、その概要は把握している。
曰く、人を人にあらざるものに変じさせる『転生器』であると。
下の方。思い当たるものはある。魔子宮――のようなもの――だ。
ここに来る前に博物館で解説文を確認してみたので、その概要は把握している。
曰く、人を人にあらざるものに変じさせる『転生器』であると。
教えてはいけない気がした。
「いえ、知りませんよ」
「そう……それなら、仕方ないわねぇん」
「そう……それなら、仕方ないわねぇん」
いきなり背に強烈な衝撃が加わった。
前のめりに転んで水に突っ込む。取り落としたランタンが水中に沈む。
急な暗闇。何も見えない。一体何が。
立とうとして、何者かの気配がすぐ横にあることに気付く。
次の瞬間、棒のような物がひよのの胸を狙って振り上げられた。
咄嗟に両腕を交差して胸を庇う。
巨大なハンマーでぶん殴られたような衝撃。体が大きく浮く。
殺し切れなかった力が、乳房を潰し、肋骨を軋ませ、肺の空気を絞り出して背中へ抜ける。
呻き声が漏れ、尻から水に落ちる。
立たなければと思った瞬間、右脚に強く引っ張る力を感じ、ぐるりと重力が逆転した。
前のめりに転んで水に突っ込む。取り落としたランタンが水中に沈む。
急な暗闇。何も見えない。一体何が。
立とうとして、何者かの気配がすぐ横にあることに気付く。
次の瞬間、棒のような物がひよのの胸を狙って振り上げられた。
咄嗟に両腕を交差して胸を庇う。
巨大なハンマーでぶん殴られたような衝撃。体が大きく浮く。
殺し切れなかった力が、乳房を潰し、肋骨を軋ませ、肺の空気を絞り出して背中へ抜ける。
呻き声が漏れ、尻から水に落ちる。
立たなければと思った瞬間、右脚に強く引っ張る力を感じ、ぐるりと重力が逆転した。
要するに、もう一人いた。ただそれだけだ。
女のあまりに異質な存在感に気を取られて他への注意が疎かになっていた。
痛恨のミスだ。ひよのは逆さに吊られながら歯噛みする。
女のあまりに異質な存在感に気を取られて他への注意が疎かになっていた。
痛恨のミスだ。ひよのは逆さに吊られながら歯噛みする。
呼吸が酷く苦しい。
胸に食らった一撃のせいで、上半身全体がろくに言うことを聞かない。
垂れ下がった両腕に至っては、鉛の塊にでもなってしまったかのようだ。
抵抗のしようもなかった。
胸に食らった一撃のせいで、上半身全体がろくに言うことを聞かない。
垂れ下がった両腕に至っては、鉛の塊にでもなってしまったかのようだ。
抵抗のしようもなかった。
「ははは、捕まえた」
まだ若い、少年と思しき声。
吊られたまま上に眼を向けると、おぼろげに人影が見えた。割と小柄だ。
だが少年は、片腕の力だけで軽々とひよのの身体を持ち上げ、宙吊りにしている。
俄かには信じられない怪力だ。
吊られたまま上に眼を向けると、おぼろげに人影が見えた。割と小柄だ。
だが少年は、片腕の力だけで軽々とひよのの身体を持ち上げ、宙吊りにしている。
俄かには信じられない怪力だ。
女が悠々と歩み寄ってくる、そんな気配がする。
「じゃあ、任せるよ」
大きく育った大根を手渡すような感じで、少年は女にひよのの身を預けた。
人間扱いされている気はしない。
人間扱いされている気はしない。
「私を――どうするおつもりで?」
女は怖気の走る声で哂った。
そしていきなり、股間に鋭い熱が生まれた。反射的に腰を引こうとするが、脚をがっちりと押さえられていて動かせない。
熱は下腹部から臍に向かってじわりじわりと移動していく。
そしていきなり、股間に鋭い熱が生まれた。反射的に腰を引こうとするが、脚をがっちりと押さえられていて動かせない。
熱は下腹部から臍に向かってじわりじわりと移動していく。
「さあ、どうしようかしらん♪」
女の眼が闇の中に爛々と輝いている。
くるくると動く猫のような瞳が、酷く邪に感じられた。
くるくると動く猫のような瞳が、酷く邪に感じられた。
**********
水面に顔を出した銀時は、代わり映えのしない景色にうんざりした表情を浮かべた。
「オーイ。さ~えちゃ~~ん、い~まりさ~~~ん。ど~こで~すか~~」
暗く単調な通路に気だるげな声が響く。
声に諦めの色が混じっているのはこれが最初の呼びかけではないからで、実のところ既に十度目の呼びかけだからなのだが、案の定返事はない。
大量の水によって細かく分断された地下階層では、声が遠くまで届かないのだ。
水を掻き分けながら進んでいた銀時は、分岐路で立ち止まって濡れた白髪をわしゃわしゃと掻き回す。
声に諦めの色が混じっているのはこれが最初の呼びかけではないからで、実のところ既に十度目の呼びかけだからなのだが、案の定返事はない。
大量の水によって細かく分断された地下階層では、声が遠くまで届かないのだ。
水を掻き分けながら進んでいた銀時は、分岐路で立ち止まって濡れた白髪をわしゃわしゃと掻き回す。
「んだよオイちょっとマジでそろそろ出てきて下さいよっつーの。つーかここどこよ。なんか不安になってきたんですけど。
もしかして俺無視して外出てんじゃねーよな。……イヤイヤこんな頼りになる銀さん置いてなんてそんなまさかそんな。
…………オ――――――――イ! もう誰でもいーから出てこいやァァァァァァァァ!」
もしかして俺無視して外出てんじゃねーよな。……イヤイヤこんな頼りになる銀さん置いてなんてそんなまさかそんな。
…………オ――――――――イ! もう誰でもいーから出てこいやァァァァァァァァ!」
残響が闇に溶けて空しく消える。
溜息。
ぶつくさと呟きながらも、また歩き始める。
行き止まりに突き当たっては引き返し、水没した通路を潜って抜け、水の迷宮を探索していく。
何度目かの水路を抜け、何度目かの分かれ道を通り、そして銀時は何度目かの行き止まりにぶつかった。
金属製の扉だ。鍵が掛かっている。ここに来るまでにも似たような扉は何度か見た。
これまでなら諦めて引き返すところだったが、いい加減イラついていた銀時は、おもむろに腰の刀を抜き、
溜息。
ぶつくさと呟きながらも、また歩き始める。
行き止まりに突き当たっては引き返し、水没した通路を潜って抜け、水の迷宮を探索していく。
何度目かの水路を抜け、何度目かの分かれ道を通り、そして銀時は何度目かの行き止まりにぶつかった。
金属製の扉だ。鍵が掛かっている。ここに来るまでにも似たような扉は何度か見た。
これまでなら諦めて引き返すところだったが、いい加減イラついていた銀時は、おもむろに腰の刀を抜き、
「うるァァァァァァァァァァァァァ!!」
気合一閃。八つ当たり気味に扉をぶった斬った。
「へっ、ハナっからこーやって進めば……えっ、アレッ、ちょっっ」
少し考えれば解ることだが、扉の両側で水位が等しいとは限らない。
どばんと、扉の斬り口を抉じ開け、水が勢いよく溢れ出た。
当然ながら、銀時はそれを全身でもろに食らうことになる。
どばんと、扉の斬り口を抉じ開け、水が勢いよく溢れ出た。
当然ながら、銀時はそれを全身でもろに食らうことになる。
「あばっばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばばば!!」
なす術なく押し流され、銀時は無様に転がっていった。
少しの間、土左衛門の如くぷかり、ぷかりと浮かんでいた。
散々である。クソったれな神様は、どうやら本格的に自分を嫌っているらしい。
散々である。クソったれな神様は、どうやら本格的に自分を嫌っているらしい。
ざぱんと派手な音を立てて立ち上がり、鞘に溜まった水を出して刀を納める。
そしておもむろに振り向いて、誰もいない十字路を見透かすようにした。
そしておもむろに振り向いて、誰もいない十字路を見透かすようにした。
「つーか、そこのオメーはさっきから何やってんだコラ。みせもんじゃねーぞ」
「いえ、面白かったもので、つい」
「いえ、面白かったもので、つい」
聞き覚えのある声と共に、十字路の左側からひょこっと顔だけが現れた。
「おう、何だ伊万里じゃねーか。無事だったか」
「ええ、まあ、どうにか。そちらも無事で何よりです」
「……そんだけ?」
「……何がですか?」
「いや、まーいいや。で、何で壁に隠れてんの?」
「えーと」
「ええ、まあ、どうにか。そちらも無事で何よりです」
「……そんだけ?」
「……何がですか?」
「いや、まーいいや。で、何で壁に隠れてんの?」
「えーと」
言い淀んで、ひよのがゆっくりと全身を現した。うお、と銀時が小さく驚きの声を上げる。
彼女は水着姿だった。
そのこと自体はさして驚くべきことではなかったが、しかしその水着が数箇所大きく切り裂かれて肌が露出し、血が滲んでいることは見逃せない。
彼女は水着姿だった。
そのこと自体はさして驚くべきことではなかったが、しかしその水着が数箇所大きく切り裂かれて肌が露出し、血が滲んでいることは見逃せない。
「おい、大丈夫か」
「怪我は大したことありません。ただまあ、ちょっと色々ありましてですね。
何があったかは後で説明しますから、取り敢えず何でもいいので服を頂けませんか?
荷物も失くしちゃって困ってるんですよ」
「怪我は大したことありません。ただまあ、ちょっと色々ありましてですね。
何があったかは後で説明しますから、取り敢えず何でもいいので服を頂けませんか?
荷物も失くしちゃって困ってるんですよ」
言われるままに、銀時はデイパックの中から適当に服一式を選んで手渡した。
「感謝します。それじゃ、ちゃっちゃと着替えますんで、ちょっと後ろ向いてて下さい」
へいへい、と言って銀時が後ろを向く。
白刃が閃いた。
白刃が閃いた。
まずひよのの爪が長く、鋭く、伸びた。無言で替えの服を背後に放った。
目を細めて軽く身を屈め、ひよのは小さな水音だけを残して床を蹴った。勢いを乗せて腕を振るった。
白い軌跡を引いて、ひよのの爪は銀時の背中の中央、心臓の位置に吸い込まれる。
硬い音が響いた。
目を細めて軽く身を屈め、ひよのは小さな水音だけを残して床を蹴った。勢いを乗せて腕を振るった。
白い軌跡を引いて、ひよのの爪は銀時の背中の中央、心臓の位置に吸い込まれる。
硬い音が響いた。
ひよのの顔が歪んだ。
銀時の背を貫く直前で、爪は鞘から半分抜かれた刀に阻まれていた。
銀時の背を貫く直前で、爪は鞘から半分抜かれた刀に阻まれていた。
「ヘ~イ、ちっとばかし爪伸び過ぎじゃねーか? 俺が切ってやんよ、ソレ」
首だけで振り向いて、銀時が意地の悪い笑みを浮かべる。
舌打ちをして、ひよのを騙る女は素早く後ろに跳んだ。
が、更に上をいく勢いで銀時が鋭く踏み込み、刀を一気に抜き放つ。
女の右脇腹に刀身がめり込んだ。肉の潰れる音。
細い喉からひしゃげた音を漏らし、女の体が宙で一回転して激しく水面に叩き付けられる。
舌打ちをして、ひよのを騙る女は素早く後ろに跳んだ。
が、更に上をいく勢いで銀時が鋭く踏み込み、刀を一気に抜き放つ。
女の右脇腹に刀身がめり込んだ。肉の潰れる音。
細い喉からひしゃげた音を漏らし、女の体が宙で一回転して激しく水面に叩き付けられる。
「フン、まァ峰打ちだから多分死んじゃいねーと思――ってうおったァ!?」
女が水飛沫を上げて跳ね起き、指先から電光を放った。銀時は慌ててしゃがんで避ける。
その隙に、女は銀時から大きく距離を取った。
その隙に、女は銀時から大きく距離を取った。
「てめっ、平気なツラしやがって。どーゆー体してやがんだコラ」
「いいや、結構効いたぜ。それよりテメェこそどういう鍛え方してやがんだよ、一体。本当に人間か?
下手なバケモンより馬鹿力じゃねえか、クソ」
「いいや、結構効いたぜ。それよりテメェこそどういう鍛え方してやがんだよ、一体。本当に人間か?
下手なバケモンより馬鹿力じゃねえか、クソ」
ごきごきと、その姿に全くそぐわない粗野な仕草で首を鳴らす。
「まァ、いいか。ところでよ――どうしてニセモンだと判った?」
「は? 勘だよバーカ」
「は? 勘だよバーカ」
半分は嘘だ。最初から何か変だと直観していたのは事実だが、偽者だと看破していた訳ではない。
しかし彼女が沙英のことを尋ねるどころか全く気にかけていない様子だったのは明らかに不自然であり、だからわざと隙を作ってやったらあっさり乗ってきたというだけだ。
しかし彼女が沙英のことを尋ねるどころか全く気にかけていない様子だったのは明らかに不自然であり、だからわざと隙を作ってやったらあっさり乗ってきたというだけだ。
「は、はは、ははははははははははは」
正体不明の女が、瘧にかかったように、震え始めた。
口が三日月のように裂け、赤い舌がべろりと覗いた。
身体が見る間に一回り、二回りと大きくなり、水着は繊維にばらけて金色の獣毛に変わる。
それにつれて、笑い声も少女のそれから野太く野獣染みたものへと変化していく。
そして現れたのは、獅子の変化とでもいうべき、金色の怪物。
口が三日月のように裂け、赤い舌がべろりと覗いた。
身体が見る間に一回り、二回りと大きくなり、水着は繊維にばらけて金色の獣毛に変わる。
それにつれて、笑い声も少女のそれから野太く野獣染みたものへと変化していく。
そして現れたのは、獅子の変化とでもいうべき、金色の怪物。
「げははははははははははははァ! ざァんねん。お前さん、マヌケっぽいから引っ掛かるかと思ったんだがねェ。
ま、仕方ねえな。次の機会を窺うとするか」
「オイオイ、次の機会なんざあるとでも思ってんのか? 逃がさねーよ」
ま、仕方ねえな。次の機会を窺うとするか」
「オイオイ、次の機会なんざあるとでも思ってんのか? 逃がさねーよ」
刃を返し、じりと銀時が一歩前に出る。
「ところでオメー、アイツに会ったのか?」
「ん? あァ、さっきの姿の女のことか。ククッ、まァな。何だ、あいつがどうなったのか知りてえのか?
そうだな、条件次第で話してやらんことも――」
「あ、もういいもういい。どーせ話す気なんかねーんだろ。
テメーをボコってからじっくり吐かせてやらァ――ってなッ!」
「ん? あァ、さっきの姿の女のことか。ククッ、まァな。何だ、あいつがどうなったのか知りてえのか?
そうだな、条件次第で話してやらんことも――」
「あ、もういいもういい。どーせ話す気なんかねーんだろ。
テメーをボコってからじっくり吐かせてやらァ――ってなッ!」
銀時の瞳に力が籠った。
腰を一気に落とし、怪物の脛を狙って水面ぎりぎりの一閃。
それを怪物は獣らしい俊敏さで跳躍してかわす。
互いの足元から生じた波紋同士がぶつかり合うよりも早く、銀時は刀の軌道を鋭角に変化させて斬り上げた。怪物は身体を丸めて縦に回転しつつ爪を振り下ろす。
両者の間に激しく火花が散る。
腰を一気に落とし、怪物の脛を狙って水面ぎりぎりの一閃。
それを怪物は獣らしい俊敏さで跳躍してかわす。
互いの足元から生じた波紋同士がぶつかり合うよりも早く、銀時は刀の軌道を鋭角に変化させて斬り上げた。怪物は身体を丸めて縦に回転しつつ爪を振り下ろす。
両者の間に激しく火花が散る。
「チィィ、てめえやっぱ人間じゃねえだろ」
「大人しくボコられとけって。今なら八分の七殺しで済ませてやっから」
「ほとんど死んでるじゃねえか、そいつはよ」
「大人しくボコられとけって。今なら八分の七殺しで済ませてやっから」
「ほとんど死んでるじゃねえか、そいつはよ」
軽口を叩きつつ、体勢を整え互いに間合いを測る。
と、怪物が顔の前に右手を翳した。雷光を警戒して、銀時は動きを止める。
怪物はにまりと笑って言った。
と、怪物が顔の前に右手を翳した。雷光を警戒して、銀時は動きを止める。
怪物はにまりと笑って言った。
「まァ、慌てんなって。いいこと教えてやるからよ」
「あァ?」
「上の色んなとこによ、面白ェモンがあったぜ。――コレよ。こんな四角いのが、そこら中にな。何だと思う?」
「あァ?」
「上の色んなとこによ、面白ェモンがあったぜ。――コレよ。こんな四角いのが、そこら中にな。何だと思う?」
いつの間にか怪物の左手には分厚いウエハース状の物体が握られている。
一瞥して、しかし知るかボケと言い捨てて間合いを詰める銀時。
一瞥して、しかし知るかボケと言い捨てて間合いを詰める銀時。
「おいおい、待てっつってんだろ。仕方ねえな、答えを教えてやるよ。こいつは時限爆弾ってヤツだ。
ま、どこのどいつが仕掛けていったのかまでは知らねェがな。傍迷惑なヤロウもいたもんだぜ。
あァ、ついでにもう一つ教えておくがな――そろそろ爆発する頃だぜ、こいつ」
ま、どこのどいつが仕掛けていったのかまでは知らねェがな。傍迷惑なヤロウもいたもんだぜ。
あァ、ついでにもう一つ教えておくがな――そろそろ爆発する頃だぜ、こいつ」
んだと、と銀時が言ったその途端、怪物がウエハースを放り投げた。
**********
戻ってきた。
周囲を何度も見回し、今いる場所が間違いなく元いた水族館であることを確認して、沙英はほっと肩の力を抜いた。
周囲を何度も見回し、今いる場所が間違いなく元いた水族館であることを確認して、沙英はほっと肩の力を抜いた。
工場地下を抜けるのは沙英にとっては非常に――向こう十年は夢に見るであろうくらいに――恐ろしい体験だったのだが、しかしともかく自力で元の場所まで戻ってこれたことに安堵する。
体力よりも気力が尽きかけた辺りで階段を発見し、それを上ってみると、自動車が乱暴に通ったと思しきタイヤの跡があった。
そしてそのタイヤ跡を辿っていったところ、水族館に繋がる非常口まで簡単に辿り着いた。
拍子抜けしたが、苦労を求めている訳ではないので素直に喜んでおくことにする。
それはいいとして。
そしてそのタイヤ跡を辿っていったところ、水族館に繋がる非常口まで簡単に辿り着いた。
拍子抜けしたが、苦労を求めている訳ではないので素直に喜んでおくことにする。
それはいいとして。
「うわ……」
思わず声が出てしまう。それほどに目の前の光景は惨憺たる有様だった。
見渡す限りの全ての水槽が壊れて、見るも無残な姿を晒している。
水の循環装置なども軒並み停止したらしく、機械音も聞こえない。水槽の照明も全て落ちている。
しかし電気系統が別なのか、フロアの照明はまだ生きていた。暗所に慣れた目には眩し過ぎるくらい明るい。
見渡す限りの全ての水槽が壊れて、見るも無残な姿を晒している。
水の循環装置なども軒並み停止したらしく、機械音も聞こえない。水槽の照明も全て落ちている。
しかし電気系統が別なのか、フロアの照明はまだ生きていた。暗所に慣れた目には眩し過ぎるくらい明るい。
銀時と伊万里はどこにも見当たらなかった。彼らの名を呼んでみても返事はない。
非常口から見える範囲をうろうろしながら、どうしたものか、迷う。
この場で銀時達を待つべきだろうか。
ピンポイントで合流しようと思ったら思い付くのはここくらいしかない。
非常口から見える範囲をうろうろしながら、どうしたものか、迷う。
この場で銀時達を待つべきだろうか。
ピンポイントで合流しようと思ったら思い付くのはここくらいしかない。
しかし、もしもいくら待っても二人とも戻って来なかったら――。
「きっと大丈夫――だよね。私だって大丈夫だったんだし……うん」
大丈夫のはずだ。
自分に言い聞かせるように呟いて、非常口の方へ戻ろうとする。
不意に視界の端で何かが動き、沙英はぎくりと固まった。
自分に言い聞かせるように呟いて、非常口の方へ戻ろうとする。
不意に視界の端で何かが動き、沙英はぎくりと固まった。
「え? だっ――」
誰、と言おうとして、気付く。
そこには誰かがいる訳ではなく、壊れた大きめの水槽が一つあるだけだった。
ただ、右側半分はガラスが割れずに残っており、中が暗いためにガラスの表面に沙英の全身がはっきりと映り込んでいる。
自分を驚かせたものは自分自身の像だったという訳だ。
ほっとして警戒を解き、しかしすぐに今度は別の要因で固まる。
意識していなかったが――というより、そんな余裕はなかったのだが――今の格好は長袖のシャツに下はパンツのみというお世辞にもまともとはいえないものだ。
おまけにシャツは沙英の痩身にぴたりと貼り付いて透けている。
誰もいないと解っていても、思わず周囲を確認してしまう。とても他人に見せられる格好ではない。
銀時がいなくて良かった、と思う。
そこには誰かがいる訳ではなく、壊れた大きめの水槽が一つあるだけだった。
ただ、右側半分はガラスが割れずに残っており、中が暗いためにガラスの表面に沙英の全身がはっきりと映り込んでいる。
自分を驚かせたものは自分自身の像だったという訳だ。
ほっとして警戒を解き、しかしすぐに今度は別の要因で固まる。
意識していなかったが――というより、そんな余裕はなかったのだが――今の格好は長袖のシャツに下はパンツのみというお世辞にもまともとはいえないものだ。
おまけにシャツは沙英の痩身にぴたりと貼り付いて透けている。
誰もいないと解っていても、思わず周囲を確認してしまう。とても他人に見せられる格好ではない。
銀時がいなくて良かった、と思う。
「いや、良い訳ないんだけど。う……それにしても――」
寒い。ずぶ濡れなのだから当然だ。ぶるりと全身に震えが走り、沙英は両腕で身体を抱える。
女性として、という点を抜きにしても、やはり現在の状態には問題がある。今の内に着替えておきたい。
事態がどう転んでも、濡鼠のまま行動する必要はあるまい。幸い着替えは十分な持ち合わせがある。
女性として、という点を抜きにしても、やはり現在の状態には問題がある。今の内に着替えておきたい。
事態がどう転んでも、濡鼠のまま行動する必要はあるまい。幸い着替えは十分な持ち合わせがある。
流石にこの場で着替えるのは躊躇われるので、適当な場所を探すことにする。
近くにあったトイレを覗いたところ、中は水浸しで滅茶苦茶に壊れていた。一階はどこも似たような状態だろう。
仕方なく二階に上がり、階段脇にあったトイレに入った。
ここもやはり壁や床は水に濡れているし、洗面台の鏡には罅が入っている。しかし一階に比べれば大分ましだ。
個室のドアが歪んでいたが、内側から無理矢理閉めて鍵を掛ける。
近くにあったトイレを覗いたところ、中は水浸しで滅茶苦茶に壊れていた。一階はどこも似たような状態だろう。
仕方なく二階に上がり、階段脇にあったトイレに入った。
ここもやはり壁や床は水に濡れているし、洗面台の鏡には罅が入っている。しかし一階に比べれば大分ましだ。
個室のドアが歪んでいたが、内側から無理矢理閉めて鍵を掛ける。
腹の底に響く轟音が建物を伝わってきた。
**********
女は明らかに、獲物を甚振って愉しんでいた。
女の爪が腹に突き立てられ、ひよのは力なく呻いた。
既にひよのの胸に、腹に、脚に、長い切り傷がいくつも走っているが、どの傷も致命傷には程遠く、ひよのに苦痛を与える目的で付けられたものであることが見て取れる。
着ている水着はズタズタで、既に原型を留めていない。
既にひよのの胸に、腹に、脚に、長い切り傷がいくつも走っているが、どの傷も致命傷には程遠く、ひよのに苦痛を与える目的で付けられたものであることが見て取れる。
着ている水着はズタズタで、既に原型を留めていない。
しかしひよのはまだ諦めてはいなかった。
自らの血に塗れながらも、努めて冷静に状況を確認する。
自らの血に塗れながらも、努めて冷静に状況を確認する。
少し前に少年の方は何故かどこかへ行ってしまった。
去り際の、近くにまだいるね、という台詞が気になったが、現状の危機の方が遥かに深刻なので取り敢えずその意味は考えないことにする。
敵が一人になったことで多少は生き延びる目も出てきた――と言いたいところだが、そうはいかない。
状況は変わらず絶望的だ。
去り際の、近くにまだいるね、という台詞が気になったが、現状の危機の方が遥かに深刻なので取り敢えずその意味は考えないことにする。
敵が一人になったことで多少は生き延びる目も出てきた――と言いたいところだが、そうはいかない。
状況は変わらず絶望的だ。
デイパックの中には強力過ぎるほどの武器や、詳細は不明だが明らかなオーバーテクノロジーの産物と思われる道具もあった。
それらを使えれば勝つ目も出てくるだろう。
しかしデイパックは最初の背中への不意打ちで破壊され、中身は全てそこらに散らばり、手の届かない位置に落ちている。
そして徒手空拳では逆立ちしても――今まさに逆立ちしているのだが――勝てはしない。
それらを使えれば勝つ目も出てくるだろう。
しかしデイパックは最初の背中への不意打ちで破壊され、中身は全てそこらに散らばり、手の届かない位置に落ちている。
そして徒手空拳では逆立ちしても――今まさに逆立ちしているのだが――勝てはしない。
それでもまだ諦めるには早い。ただ一つだけ、まだ可能性がある。
首輪だ。
『ゲーム』のルールを信じるなら、首輪を爆発させれば装着者は例外なく死ぬ。
首輪だ。
『ゲーム』のルールを信じるなら、首輪を爆発させれば装着者は例外なく死ぬ。
記憶を探る。最初のあの場所。ムルムルの説明。
首輪を無理に外そうとすれば爆発すると、確かにそう言っていた。
隙を突いて女の首輪を思い切り引っ張ることが出来れば、もしかしたら首輪が起爆するかもしれない。
無論、引っ張った腕は無事では済まないだろうが――このまま嬲り殺しにされるよりはマシだ。
首輪を無理に外そうとすれば爆発すると、確かにそう言っていた。
隙を突いて女の首輪を思い切り引っ張ることが出来れば、もしかしたら首輪が起爆するかもしれない。
無論、引っ張った腕は無事では済まないだろうが――このまま嬲り殺しにされるよりはマシだ。
両腕全体に意識を回して状態を確かめる。痛みはあるものの、腕の痺れは大分取れてきた。
手に神経を集中し、女に悟られないよう慎重に指先を動かしてみる。右手、そして左手。
問題なく動く。腕の機能はほぼ回復しているようだ。
手に神経を集中し、女に悟られないよう慎重に指先を動かしてみる。右手、そして左手。
問題なく動く。腕の機能はほぼ回復しているようだ。
しかし、焦って行動してはならない。
成功する可能性があるとしたらそれは不意打ちの一撃しかあり得ず、二度目はない。失敗すれば完全に打つ手がなくなる。
隙が欲しい。一瞬でいい。隙があれば。
成功する可能性があるとしたらそれは不意打ちの一撃しかあり得ず、二度目はない。失敗すれば完全に打つ手がなくなる。
隙が欲しい。一瞬でいい。隙があれば。
だが――自力でその隙を作る方法が思い付かない。
せめて何か一つ、『予想外の出来事』が起こらないとこのまま嬲り殺しにされる。
起こるかは判らない。いや、起こらない可能性の方が遥かに高いだろう。
しかしそれでも、その瞬間のために、神経を研ぎ澄ませておく。それが今唯一ひよのが出来ることだった。
起こるかは判らない。いや、起こらない可能性の方が遥かに高いだろう。
しかしそれでも、その瞬間のために、神経を研ぎ澄ませておく。それが今唯一ひよのが出来ることだった。
ひよのの身体に赤い線を刻んでいた女の爪が、右腿に差しかかったところで止まった。
傷を付けるのをやめ、おもむろに腿を手で掴む。
女が舌なめずりをしたのを、ひよのは見た。
傷を付けるのをやめ、おもむろに腿を手で掴む。
女が舌なめずりをしたのを、ひよのは見た。
「少しくらい、いいわよねぇん」
何が、という疑問が口に出る直前、ぶちりという音がして、焼き鏝を押し付けられたように腿が灼熱した。
「――っ!!」
喰われた。
肉体のほんの一部ではあるが、喰われた。
覚悟していなかった訳ではないが、それは途轍もなく恐ろしかった。
絶対的な捕食者に対する恐怖が心に滑り込んでくる。
肉体のほんの一部ではあるが、喰われた。
覚悟していなかった訳ではないが、それは途轍もなく恐ろしかった。
絶対的な捕食者に対する恐怖が心に滑り込んでくる。
「あらぁん、貴女、もう少し肥ってる方が魅力的よん♪」
「生憎、ダイエット中なもので」
「生憎、ダイエット中なもので」
強がりなのは明らかで、もしかすると声が震えていたかもしれない。
それでも何か言い返さないと勇気が萎んでしまいそうだった。限界が近かった。
女は血に染まった凄惨な笑みを浮かべ、再び容赦なく鋭い爪をひよのの身体に突き立てようとする。
それでも何か言い返さないと勇気が萎んでしまいそうだった。限界が近かった。
女は血に染まった凄惨な笑みを浮かべ、再び容赦なく鋭い爪をひよのの身体に突き立てようとする。
突如、凄まじい爆音が空気を震わせた。
工場全体が大きく揺れる。そこら中から建材が捻れ、折れ、砕ける音が響いてくる。
壁に亀裂が入り、天井から瓦礫がばらばらと落下する。
その一つが女の頭目掛けて落ちてきた。女は上を向いて手で瓦礫を打ち払おうとする。
工場全体が大きく揺れる。そこら中から建材が捻れ、折れ、砕ける音が響いてくる。
壁に亀裂が入り、天井から瓦礫がばらばらと落下する。
その一つが女の頭目掛けて落ちてきた。女は上を向いて手で瓦礫を打ち払おうとする。
来た。千載一遇の好機。ひよのから注意が逸れたその刹那に、猛然と身体を持ち上げ腕を伸ばす。
光が奔った。
首輪まであと数センチメートルのところで腕に衝撃が走り、動きが止められた。
女が放った、電撃だ。
首輪まであと数センチメートルのところで腕に衝撃が走り、動きが止められた。
女が放った、電撃だ。
「残念だったわねぇん」
女の顔がこちらを向いた。
その表情を見て、理解する。
女は敢えて抵抗の余地を残していただけだ。獲物に決定的な恐怖と絶望を与えるために。
おそらくはこの揺れも、起こると知っていたのだ。
最初から全て、女の掌の上で弄ばれていただけだったのだ。
その表情を見て、理解する。
女は敢えて抵抗の余地を残していただけだ。獲物に決定的な恐怖と絶望を与えるために。
おそらくはこの揺れも、起こると知っていたのだ。
最初から全て、女の掌の上で弄ばれていただけだったのだ。
「その顔――悪くないわよぉん♪」
愉しそうに、本当に愉しそうに、女は言った。
最悪だ。
どうやら自分は、女の期待通りに踊っただけだったらしい。
突き付けられた黒々とした銃口が、全ての希望を呑み込んでいく。
女が焦らすようにゆっくりと引き金を絞っていく。
これは、本当に終わりだ。ひよのはついに目を瞑った。
そして、炸裂音が、響いた。
最悪だ。
どうやら自分は、女の期待通りに踊っただけだったらしい。
突き付けられた黒々とした銃口が、全ての希望を呑み込んでいく。
女が焦らすようにゆっくりと引き金を絞っていく。
これは、本当に終わりだ。ひよのはついに目を瞑った。
そして、炸裂音が、響いた。
建物の振動が続いている。
まだ意識がある。死んでいない。
何が起こったのか解らなかった。
瞼を上げる。
何が起こったのか解らなかった。
瞼を上げる。
「……あらぁん?」
女は胡乱気に手元を見ている。
西洋彫刻のような彼女の手が、見る影もなく破壊されていた。
西洋彫刻のような彼女の手が、見る影もなく破壊されていた。
気付く。
静謐な青い光。
静謐な青い光。
太極符印。水面にちょこんと頭を出したそれが起動している。
女が撃った拳銃、エンフィールドNo.2。それはミッドバレイ・ザ・ホーンフリークが最初に太公望を襲ったときに用いたもの。
太極符印はその攻撃パターンを記憶しており、そのため放たれた銃弾に対して自動迎撃を行ったのだ。
勿論、ひよのにそこまでは解らない。
しかし起こった事象は正確には解らずとも、太極符印が、太公望が、致命的な一撃を防いでくれたことだけは理解した。
女が撃った拳銃、エンフィールドNo.2。それはミッドバレイ・ザ・ホーンフリークが最初に太公望を襲ったときに用いたもの。
太極符印はその攻撃パターンを記憶しており、そのため放たれた銃弾に対して自動迎撃を行ったのだ。
勿論、ひよのにそこまでは解らない。
しかし起こった事象は正確には解らずとも、太極符印が、太公望が、致命的な一撃を防いでくれたことだけは理解した。
「――太公望さん」
思わずひよのの口から漏れる命の恩人の名前。
そして、その名に、女は思いがけず過剰な反応を示した。
そして、その名に、女は思いがけず過剰な反応を示した。
「たい、こうぼう」
ずたずたになった手を見て、徐々に光が弱まる太極符印を眺め、そして女はもう一度、たいこうぼう、と反芻する。
ゆらりと女の頭が揺れ、ひよのの腿を掴む力が緩んだ。
何が起こったのかを考えるよりも先に、全力で女の胸を蹴り飛ばす。
女の爪が腿を浅く裂いて、そしてどぼんとひよのの体が水に落ちる。
ゆらりと女の頭が揺れ、ひよのの腿を掴む力が緩んだ。
何が起こったのかを考えるよりも先に、全力で女の胸を蹴り飛ばす。
女の爪が腿を浅く裂いて、そしてどぼんとひよのの体が水に落ちる。
拘束が外れた。
喜ぶ余裕もなく周囲に視線を走らせる。
見付けた。
光を失う寸前の太極符印。その隣に沈んでいる物。
ひよのの身の丈を超える巨大な十字架――パニッシャーだ。
喜ぶ余裕もなく周囲に視線を走らせる。
見付けた。
光を失う寸前の太極符印。その隣に沈んでいる物。
ひよのの身の丈を超える巨大な十字架――パニッシャーだ。
パニッシャーに跳び付いて引き起こし、十字の交差部に手をかける。ろくに狙いも付けずに引き金を引いた。
連なる爆音。それに伴う反動。ひよのは全体重をもってパニッシャーを押さえ付ける。
凶悪な鋼の弾が容赦なく女の肉体を削り取って血煙に変えていく様子を、ストロボに似たマズルフラッシュが余す所なく照らし出している。
連なる爆音。それに伴う反動。ひよのは全体重をもってパニッシャーを押さえ付ける。
凶悪な鋼の弾が容赦なく女の肉体を削り取って血煙に変えていく様子を、ストロボに似たマズルフラッシュが余す所なく照らし出している。
やがて、カシンと乾いた音がして、十字架は蓄えられていた銃弾の全てを吐き出したことを知らせた。
再び暗闇が戻り、銃声の残響も僅かな余韻を残して霧散する。
再び暗闇が戻り、銃声の残響も僅かな余韻を残して霧散する。
鉄錆の臭いがする。
女の全身は、昔の漫画に登場するチーズに似た惨状を呈していることだろう。
女の全身は、昔の漫画に登場するチーズに似た惨状を呈していることだろう。
だが、その穴だらけのヒトの形が、立ち上る煙の向こうで、動いた。
夢中だった。
十字架の長い部分を下に向け立ち上げる。
発射。
着弾。
予想を上回る規模の爆発が発生し、爆風で後ろに吹き飛ばされる。
爆炎が消えた後には、床に開いた大穴の他に残っているものは何もなかった。
十字架の長い部分を下に向け立ち上げる。
発射。
着弾。
予想を上回る規模の爆発が発生し、爆風で後ろに吹き飛ばされる。
爆炎が消えた後には、床に開いた大穴の他に残っているものは何もなかった。
ひよのは、太極符印とその近くにあった首輪だけを回収して、逃げ出した。
【A-3/水族館/1日目/夜中】
【沙英@ひだまりスケッチ】
[状態]:疲労(中)、腰に打撲、ツッコミの才?
[服装]:長袖のシャツ(濡れ)
[装備]:
[道具]:支給品一式、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲@銀魂、大量の食糧
輸血用血液パック、やまぶき高校の制服、着替え数点、九竜神火罩@封神演義
[思考]
1:何の音?
2:二人と協力して、ゆのを保護する。
3:銀さんが気になる?
4:ヒロの復讐……?
[備考]
※グリフィスからガッツとゾッドの情報を聞きました。
※会場を囲む壁を認識しました。
※宝貝の使い方のコツを掴んだ?
※ワープ空間の存在を知りました。
[状態]:疲労(中)、腰に打撲、ツッコミの才?
[服装]:長袖のシャツ(濡れ)
[装備]:
[道具]:支給品一式、ネオアームストロングサイクロンジェットアームストロング砲@銀魂、大量の食糧
輸血用血液パック、やまぶき高校の制服、着替え数点、九竜神火罩@封神演義
[思考]
1:何の音?
2:二人と協力して、ゆのを保護する。
3:銀さんが気になる?
4:ヒロの復讐……?
[備考]
※グリフィスからガッツとゾッドの情報を聞きました。
※会場を囲む壁を認識しました。
※宝貝の使い方のコツを掴んだ?
※ワープ空間の存在を知りました。
【E-6/工場(崩壊中)/1日目/夜中】
【坂田銀時@銀魂】
[状態]:疲労(中)
[服装]:いつもの服装に黒革のジャケット(濡れ)
[装備]:和道一文字@ONE PIECE
[道具]:支給品一式、大量のエロ本、太乙万能義手@封神演義、大量の甘味
大量の女物の服、スクーター
[思考]
1:二人を探す。
2:ゆのを探しに行く。
3:伊万里のボケに対し、対抗心
[備考]
※参戦時期は柳生編以降です。
※グリフィスからガッツとゾッドの情報を聞きました。
※会場を囲む壁を認識しました。
※デパートの中で起こった騒動に気付いているかは不明です。
※流を危険視。しばらく警戒をとくつもりはありません。
[状態]:疲労(中)
[服装]:いつもの服装に黒革のジャケット(濡れ)
[装備]:和道一文字@ONE PIECE
[道具]:支給品一式、大量のエロ本、太乙万能義手@封神演義、大量の甘味
大量の女物の服、スクーター
[思考]
1:二人を探す。
2:ゆのを探しに行く。
3:伊万里のボケに対し、対抗心
[備考]
※参戦時期は柳生編以降です。
※グリフィスからガッツとゾッドの情報を聞きました。
※会場を囲む壁を認識しました。
※デパートの中で起こった騒動に気付いているかは不明です。
※流を危険視。しばらく警戒をとくつもりはありません。
【結崎ひよの@スパイラル ~推理の絆~】
[状態]:全身に切り傷、腿に噛み傷。
[服装]:ズタズタの水着
[装備]:太極符印@封神演義、柳生九兵衛の首輪
[道具]:
[思考]
基本:『結崎ひよの』として、鳴海歩を信頼しサポートする。蘇生に関する情報を得る。
1:鳴海歩と合流したい。
2:エドワード・エルリックと連絡を取ってなんとしてでも合流しておきたい。場合によっては他の人間を撒いてでも確保。
3:あらゆる情報を得る為に多くの人と会う。出来れば危険人物とは関わらない。
4:安全な保障があるならば封神計画関係者に接触。
5:復活の玉ほか、クローン体の治療の可能性について調査。
6:ネット上でのキンブリーの言動を警戒。場合によってはアク禁などを行う。
7:安藤(兄)の内心に不信感。
8:できる限り多くの携帯電話を確保して、危険人物の意見を封じつつ歩の陣営が有利になるよう
掲示板上の情報操作を行いたい。
[備考]
※清隆にピアスを渡してから、歩に真実を語るまでのどこかから参戦。
※手作りの人物表には、今のところミッドバレイ、太公望、エド、リン、安藤(兄)、銀時、沙英の外見、会話から読み取れた簡単な性格が記されています。
※太公望の考察と、殷王朝滅亡時点で太公望の知る封神計画や、それに関わる人々の情報を大まかに知っています。
ハヤテが太公望に話した情報も又聞きしています。
※超常現象の存在を認めました。封神計画が今ロワに関係しているのではないかと推測しています。
※モンタージュの男(秋葉流)が高町亮子を殺したと思っています。警戒を最大に引き上げました。
※太極符印にはミッドバレイの攻撃パターン(エンフィールドとイガラッパ)が記録されており、これらを自動迎撃します。
また、太公望が何らかの条件により発動するプログラムを組み込みました。詳細は不明です。
結崎ひよのは太極符印の使用法を知りません。
※フィールド内のインターネットは、外界から隔絶されたローカルネットワークであると思っています。
※九兵衛の手記を把握しました。
※錬金術についての詳しい情報を知りました。
また、リンの気配探知については会話内容から察していますが、安藤の腹話術については何も知りません。
※プラントドームと練成陣(?)の存在を知りました。魔子宮に関係があると推測しています。
※島・それぞれがいた世界の他に第三のパラレル世界があるかもしれないと考えています。
※旅館の浴場とボイラー室のワープトラップの奇妙な関係に気づきました。
[状態]:全身に切り傷、腿に噛み傷。
[服装]:ズタズタの水着
[装備]:太極符印@封神演義、柳生九兵衛の首輪
[道具]:
[思考]
基本:『結崎ひよの』として、鳴海歩を信頼しサポートする。蘇生に関する情報を得る。
1:鳴海歩と合流したい。
2:エドワード・エルリックと連絡を取ってなんとしてでも合流しておきたい。場合によっては他の人間を撒いてでも確保。
3:あらゆる情報を得る為に多くの人と会う。出来れば危険人物とは関わらない。
4:安全な保障があるならば封神計画関係者に接触。
5:復活の玉ほか、クローン体の治療の可能性について調査。
6:ネット上でのキンブリーの言動を警戒。場合によってはアク禁などを行う。
7:安藤(兄)の内心に不信感。
8:できる限り多くの携帯電話を確保して、危険人物の意見を封じつつ歩の陣営が有利になるよう
掲示板上の情報操作を行いたい。
[備考]
※清隆にピアスを渡してから、歩に真実を語るまでのどこかから参戦。
※手作りの人物表には、今のところミッドバレイ、太公望、エド、リン、安藤(兄)、銀時、沙英の外見、会話から読み取れた簡単な性格が記されています。
※太公望の考察と、殷王朝滅亡時点で太公望の知る封神計画や、それに関わる人々の情報を大まかに知っています。
ハヤテが太公望に話した情報も又聞きしています。
※超常現象の存在を認めました。封神計画が今ロワに関係しているのではないかと推測しています。
※モンタージュの男(秋葉流)が高町亮子を殺したと思っています。警戒を最大に引き上げました。
※太極符印にはミッドバレイの攻撃パターン(エンフィールドとイガラッパ)が記録されており、これらを自動迎撃します。
また、太公望が何らかの条件により発動するプログラムを組み込みました。詳細は不明です。
結崎ひよのは太極符印の使用法を知りません。
※フィールド内のインターネットは、外界から隔絶されたローカルネットワークであると思っています。
※九兵衛の手記を把握しました。
※錬金術についての詳しい情報を知りました。
また、リンの気配探知については会話内容から察していますが、安藤の腹話術については何も知りません。
※プラントドームと練成陣(?)の存在を知りました。魔子宮に関係があると推測しています。
※島・それぞれがいた世界の他に第三のパラレル世界があるかもしれないと考えています。
※旅館の浴場とボイラー室のワープトラップの奇妙な関係に気づきました。
※妲己とひよのの荷物の一部が工場のどこかに落ちています。
妲己の荷物(支給品一式×3(メモを一部消費、名簿+1)、エンフィールドNO.2(0/6)@現実、趙公明の映像宝貝、大量の酒、工具類、真紅のベヘリット)
ひよのの荷物(支給品一式×3、綾崎ハヤテの携帯電話@ハヤテのごとく!、手作りの人物表、改造トゲバット@金剛番長
番天印@封神演義、乾坤圏@封神演義、パニッシャー(機関銃:0% ロケットランチャー0/2)@トライガン・マキシマム
若の成長記録@銀魂、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×2@トライガン・マキシマム、ロビンの似顔絵
秋葉流のモンタージュ入りファックス、水族館のパンフレット、自転車、着替え数点、エイトのレプリカのパーツ数個)
妲己の荷物(支給品一式×3(メモを一部消費、名簿+1)、エンフィールドNO.2(0/6)@現実、趙公明の映像宝貝、大量の酒、工具類、真紅のベヘリット)
ひよのの荷物(支給品一式×3、綾崎ハヤテの携帯電話@ハヤテのごとく!、手作りの人物表、改造トゲバット@金剛番長
番天印@封神演義、乾坤圏@封神演義、パニッシャー(機関銃:0% ロケットランチャー0/2)@トライガン・マキシマム
若の成長記録@銀魂、ヴァッシュ・ザ・スタンピードの手配書×2@トライガン・マキシマム、ロビンの似顔絵
秋葉流のモンタージュ入りファックス、水族館のパンフレット、自転車、着替え数点、エイトのレプリカのパーツ数個)
**********
堆く積み積み積まれた死の底で、魔を孕む胎に堕ち揺蕩う魔が一つ。
三界の狂人は狂を知らず。
四生の盲者は盲を識らず。
生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、
死に死に死に死んで死の終りに冥し。
四生の盲者は盲を識らず。
生れ生れ生れ生れて生の始めに暗く、
死に死に死に死んで死の終りに冥し。
――――――おぎゃぁぁあああぁぁぁ。
【E-6/工場(崩壊中)/1日目/夜中】
【字伏左半身(妲己)@封神演義&うしおととら&魔王 JUVENILE REMIX】
[状態]:???
[状態]:???
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| 172:己が選択に悩んだ軌条の上 | 妲己 | :[[]] |
| 172:己が選択に悩んだ軌条の上 | 結崎ひよの | :[[]] |