一斉学習


学習指導の形態は、基本的に次の三つが考えられる。一斉学習(1集団40人前後)、グループ学習(1集団20人前後)、個別学習(1人)である。
 このうち、学習集団の全員に同じ内容を同じ時間の中で同じように指導する形態のことを一斉学習という。一般に、学習への方向付けを図る導入段階や、学習をまとめ新しい課題を見つける週末段階などにおいて有効に機能し、近代の学校において最も多く取り入れられてきた形態である。またこれは、指導を主体として考えた場合に一斉教授(指導)とも呼ばれる。
 一斉学習の長所と欠点を以下にまとめる。
[長所]
①「どの子どもも共通に学ぶ」という国民の共通の期待に沿っている。
公教育として、実質的な平等性の確保ができる。
③同一課題、同一手段、同一歩調のために時間的制約を受けず効率的である。
④同一教材(教科書や副読本、プリント類)のため、準備が簡単である。
⑤同じ学習目標に向かって、同じ経験をしながら学習を進めることができる。
⑥集団の力で、個を支えたり引き上げたりすることができる。
⑦集団の中で、多様な生徒の異なった意見や考え方を知ることができる
⑧教師と生徒たちの問答や生徒同士の討論や話し合いを通して、教師と生徒、生徒同士の間に好ましい人間関係や相互理解が深まる。
[短所]
 ①一斉指導の中では、一人一人の個性が埋もれてしまう。
 ②基礎・基本=教え込み という指導になりがちである。
 ③教師中心であり、一方向的な情報伝達の指導になりやすい。
 ④生徒の能力差を固定化しやすい。
 ⑤生徒の実態に関係なく、画一化されてしまう。
 ⑥画一化された一斉指導では、学習から取り残される生徒がでてくる
 ⑦画一化された一斉指導では、教師の指導に満足しない生徒もでてくる。

 これらを総合的に照らし合わせ、一斉授業をより機能的に行うことが求められている。この形態の欠点が先行してしまうと、児童生徒が受身になり、機械的に知識や技能だけを習得するということになりかねない。それを防ぐためには、教師の説明を主とした注入的な指導だけではなく、児童の興味・関心・意欲を触発するような工夫が必要なのだ。そこで現在、視聴覚機器(VTR、OHP、TVなど)を使ったり、発問を工夫したり、他の学習と組み合わせたりする配慮が進められている。
 また、助教法モニトリアル・システム)は一斉学習の典型である。
最終更新:2007年03月22日 14:50