一足一動 ◆mtws1YvfHQ



歩く。
同時に、最善の策を考えねばなるまい。
この場合の策は奇策などである必要はない。
純然たる、策だ。
生き残るための方策とも言える。
即ち、何処に行くか。
あるいは何処に行かないか。
これが問題だ。

「何せ」

見下ろせば。
脆弱な体を、三肢を使っている状態。
一撃必殺として元通りの足は出来るだけ温存するとしよう。
その場合、使うのは道具と限られる。

「否」

足を温存するなどと始めから考えるべきではない。
奇襲で殺す必要を感じれば。
そう言う時に温存するのは愚。
罷り間違って仕留め損なうなどと言う事があれば、

「否」

罷り間違う事など十二分に考えられるのだ。
事実、あの時、我は勝ち掛けていた。
そして今は万全でない以上。
なればこそ。
温存すると確定する必要はない。
必要に応じて考える。
それでよしとすべきだろう。
何はともあれ策だ。
行動をどうするか。
最も隙の少ないのは、動かない、と言う事だ。
動けばどうしても隙は生じる。
特に今。
この体で生じる隙は不味い。
何かあっても対処が遅れる可能性はかなりある。
幸いにして頭の中にある地図で言えば端。
寄ってこようなどと考える者はまず、

「否」

そうは、居ない、かも知れない。
それだけだ。
だからレストランに籠るのはありだ。
考えながら振り返る。

「だが」

同時に危険も付き纏う。
レストランまでは、這った跡がある。
決死で這ってきた。
痕跡など気にしていない。
つまり動かなければ何れ場所が割れる可能性がある。
来るならば罠を張って、とも行く。
しかし外から炙り出される事はなきにしも有らず。
炙り出されれば、

「簡単に」

まな板の上の鯉に同じ。
鯉と言えば魚。
そう言えば喰鮫はどう死んだのやら。
傍若無人が服を着たような物だが、実力は確かだった。

「否」

その実力の確かさに、付け入られたのだろう。
慢心。
それが怖い。
あの時の我もあるいは。

「……さて」

唇の端を噛み、頭を切り換える。
動くのならばどう動くかだ。
まず不要湖方向は論外。
這った跡がある。
だから図書館にあるはずの、あの少女の死体は後回しにせざるを得ない。
あの二人に会う可能性もあって、逸れる必要が不可欠だった。
仮に行くとしても、別方向から向かう方が良い。
次いで因幡砂漠は問題外。
砂漠ではあまりにも姿が目立つ。
それに、胴元もとい大元は我でも、否定姫の足が耐え切れると思えない。
つまり二ヶ所。
薬局か、骨董アパート。
そのどちらかを選ぶ。
二択と簡単に言えるが、難しい。
今、最も必要な物を選ぶべきか。
それとも、崩れた廃屋を見に行くか。
意味を求めるか無意味に行くか。

「だが」

一概には決め難い。
しかし、だ。
何もせずに終わると思えない。
動かなければなるまい。
水面に波紋を起こさねばなるまい。
蝙蝠にのみ頼らず。
ならば、我のみならず、経過と共に増えるであろう怪我人が欲する物は、

「……薬」

つまりは薬局。
薬があるはず。
誰かしら居る可能性もあるが、対処次第。
それに薬を幾らか持っていれば、近付き易い。
懐に潜り込みさえ出来れば、隙を突くのも容易い。
否。
こう言う考えがいかぬ。
窮鼠猫を噛む。
残った我の足まで奪われれば堪った物ではない。
なかなか思い通りに考えられないものよ。

「では」

卑怯卑劣も委細問わず。
油断間断抜からず断とう。
隙を空かさず余さず突こう。
強も弱も全て、食らい尽くしてくれようぞ。

「真庭鳳凰、いざ罷り通る――」



【1日目/夜/G-7】
【真庭鳳凰@刀語】
[状態]身体的疲労(中)、精神的疲労(小)
[装備]矢@新本格魔法少女りすか、否定姫の着物、顔・両腕・右足(命結びにより)、真庭鳳凰の顔(着物の中に収納)、「牛刀@現実、出刃包丁@現実、ナイフ×5@現実、フォーク×5@現実、ガスバーナー@現実」
    (「」内は現地調達品です)
[思考]
基本:優勝し、真庭の里を復興する。
 1:真庭蝙蝠を捜し、合流する。
 2:櫃内様刻を見つけ出し、必ず復讐する。
 3:戦える身体が整うまでは鑢七花には接触しないよう注意する。
 4:まず薬局に行き、状況を見る。
 5:可能そうなら図書館に向かい、少女の体を頂く。
 6:否定する。
[備考]
 ※時系列は死亡後です。
 ※首輪のおおよその構造は分かりましたが、それ以外(外す方法やどうやって爆発するかなど)はまるで分かっていません。
 ※記録辿りによって貝木の行動の記録を間接的に読み取りました。が、すべてを詳細に読み取れたわけではありません。


共犯者(教範者) 時系列順 牲犠
共犯者(教範者) 投下順 牲犠
不死鳥(腐屍鳥) 真庭鳳凰 鉛色のフィクション

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最終更新:2015年05月19日 19:33