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   ☆    ☆


手をつなぎ、どこまでも行こう。
君となら、どこまでも行ける。

だから、どこにも行かないでほしい。
僕の手を離さないでほしい。
君と僕はどこまでも一緒だから――――。


   ★    ★


元々ネットカフェに向かっていた理由はただ一つだった。

鑢七花による思わぬ妨害を受けて、ぼくたちはランドセルランドに向かうための方法を思索していた。
あるいは向かわないにせよ、これからどうするのかとかも話し合っていたが、その話はいいだろう。

鑢七花を対峙するためにぼくは改めて、箱庭学園で見た腐敗した扉についての考察をしたり、
りすかが彼と箱庭学園で対峙したと言うので、その時の状況を聞いてみたり、
蝙蝠と彼はもともと顔を合わせたことがあると言っていたので、詳細を聞いてみたり。
考え得る限りあらゆる策は練ってみたものの、いまいちぱっとする案もなく過ごしていた。
ぼくとりすかが考えている傍ら、蝙蝠に他の死亡者DVDを見せて手掛かりがないか探させたが特に収穫はなかった。
そんなところに放送が流れた。

大半の面々はまあ、知り合ってもないし、粗雑な言い方だがこの際どうでもいい。
零崎双識だって、確かに拍子抜けこそしたが、死んだ分には問題ないので、特別言うことはない。
ただ、ツナギ。
彼女に関しては流石のぼくでも無視するわけにはいかない。
属性『肉』・種類『分解』の魔法使い。
はっきり言っておくが、ぼくは彼女が死ぬとは全くもって想定していなかった。
彼女に敵うものがいるとすれば、それはずばり魔眼遣いぐらいなものだと、勝手に思い込んでいた。
現にぼくは彼女がこの場で死んだと思われる原因が二つしか思い浮かばない。
一つは廃病院で遭った時、ぼくがそうしたように彼女に許容量以上の魔力を取り込ませること。
そうすれば実質彼女は無力化したも同然である。(とは言ったものの単純な肉弾戦も彼女はこなせるが)
そしてもう一つは、鑢七花と同じ。
あの腐る『泥』を――あるいは同じ原理のものを目一杯に浴びた。
同じ『分解』同士、どっちに強弱が傾くかは生憎ぼくにはわからないが――ぼくにはそれしか考えられなかった。
魔法使いは魔法に頼りすぎてしまう、という一般的な弱点こそあるが、並大抵のものがそんな隙を突けるとは思えないしな。

少し耽る。
そして、二人を見た。

蝙蝠はいつも通り。
りすかは少し悲しそうだった。
ぼくはりすかの頭を撫でる。
りすかから呆けた声を聞けたところで、ぼくは蝙蝠に命令を下す。
――ネットカフェに行くことを、命ずる。

「あ?」
「理由を聞きたいのがわたしなの」

いや、そうは言われても、ぼくとしても不甲斐ない事にこれと言った論拠はない。
ただ携帯端末から掲示板を作れるとは思えないし、
恐らく掲示板を作った人間はそれなりにスペックの整ったコンピュータの置いてある施設に居るんじゃないかって踏んでいる。
ぼくたちが訪れる頃合いに当人がいるかは定かではないが、それだけのコンピュータがあれば何かできるんじゃないかって思う。

「……」

蝙蝠は「意味分かんない」と言わんばかりの顔をして顔を伏せる。
代わりにりすかが「具体的に?」と問う。

具体的に――。
具体的には『ぼくたちの知らない死亡者のビデオ』が見れる、とか。
どういう意図で欠かしているかは知らないが、
今掲示板に貼られている動画だって『第一回放送までの死亡者』と考えても少し欠けている。
少し飛躍している発想かもしれないが、
相手が死亡者ビデオの情報を握っていると考えても決して考えすぎではないんじゃないか、とぼくは思う。
死亡者ビデオを自由に閲覧でき、選んだビデオだけを貼れる、と考えることもできなくはない。
だとすると、ぼくたちの立場云々もあるけれど、危険者を知れるという意味では大いにメリットになる。

結局、箱庭学園で遭った都城王土が告げた人間をぼくたちは把握できていない。
これは大変危険な状態だ。都城王土はああいったが、
むろん該当者が全滅しているって事態も起こり得る。
しかし裏を返せば、『それ以上』の実力者が君臨しているという事実になる。
それを知らないのは危険だ。
ツナギを殺すような人間の脅威を知らないのは、これ以上なく危険だ。
だから行く価値はあるんだと思う。
例え空振りだったとしても、どの道今は鑢七花が邪魔でランドセルランドには向かえないんだ。
時間潰しだと思えば、蝙蝠もいいだろう?

「……」

蝙蝠が黙りこむ。
ぼくは釘を刺す。
――裏切りを始めてぼくを殺すのは勝手だが、りすかはお前を許さないよ。と。
りすかの魔法を具体的には告げてない。
けれど、だからこそ、か。

「きゃはきゃは……まあいいぜ。付き合ってやんよ」

素直に応じた。
こうしてぼくらは無事にネットカフェに到着した。
そして蒼色と遭遇する。


  ☆    ☆


雲仙冥利とは風紀委員長である。
実年齢十歳にして我が箱庭学園に通い、表に住まう『異常』の代表格とも言える存在だ。
尤もそれは一年前の話であり、今年は同じく『十三組』であり生徒会長――黒神めだかの方が日の目を浴びているにしろ、
しかし今でも、彼の『伝説』は学内ではそれなりに広まっている。
『モンスターチャイルド』と呼ばれる由縁である『やりすぎな正義』は、一年そこらで風化するものではなかった。
現に今年も吹奏楽部を壊滅状態に陥らせたというのだから、ぞっとする話だ。
(とはいえ保健室に連絡して、何やら極めて手際のいいらしい保険委員を手配するあたり決して非情と言うわけではないようだが)

今現在正義を標榜に掲げる僕としては、否応なしに存在を想起させる存在である。
『バトル・ロワイアル』に参戦してなく、状況が状況だった故に『正義』と聞いて黒神さんを安直に連想させたが、
改めて考え直すと、いやいや『正義』と聞いて彼女を連想するのは大いに間違いであることは明瞭だった。
曰く黒神さんは『聖者』――だったか。


いい機会なので、昔話をさせてもらおう。
あれはまだ雲仙くんが『フラスコ計画』に携わっていた時のことである。
偶然とでも言うべきか、『拒絶の門』の前にて彼と遭遇する機会があった。
普段は風紀委員長として活動していて顔を出さなかったり、
そうでなくとも例外的に時計塔のエレベーターを使える彼と遭遇する確率は極めて低いのだが、何かの『縁』だろう。
僕は偶然と思うことにして、特別気にかける素振りを見せず『拒絶の門』のパスワードを入力する。
出来るだけ人間と関わらないことにしていた僕にとっては、まあ、いつも通りの対応をしたまでだった。

「あ? テメーは確か『枯れた樹海(ラストカーペット)』の宗像くんとか言ったっけか」

最中、(僕からしたら)意外なことにの雲仙くんの方から絡んできた。
『拒絶の扉』は重たい音を立て開く。
丁度パスワードの入力を終えていたのだ。
無視(言い訳がましいが他人と接点を持つことは、当時の僕には避けるべきことだった)しても良かったのだが、
雲仙くんの『正義(やりすぎ)』を知っていた僕は火憐さんに対してそう思ったように、
いざとなったら彼が止めてくれるだろうと考え、彼の言葉に素直に応じる。

時間が経ち『拒絶の門』は閉まる。
これが僕の答えだと判断した雲仙くんは愉快そうに笑みを浮かべた。
小学生の浮かべる目じゃなかろうに。
さて、門番の目もあることだし場所を移そうか。
僕はそう提案して雲仙くんを地上まで誘う。
雲仙くんは異論を呈すこともなく、僕の誘いに乗った。

道中は静かなものだった。
彼にとって僕の立場は――有体に言ってしまえば処罰の対象である。
そりゃあそうだ、僕はこれでも世間では凶悪殺人鬼として名を広めている立場なのだから、風紀委員としては快いものではない。
緊張しないと言えば嘘になる。

「ケケケ! まあそんなに畏まるなよ」

地上に着いたところで彼はこちらを向き、一言。
……今はまだ処罰する気はないってことなのかな。あるいは、僕が凶悪殺人鬼でないと知っているのか。
どちらでも構わないが、攻撃の意思がないことは素直にありがたく受け取っておこう。

「テメーの『異常性(アブノーマル)』はイヤってぐれー知ってんだし、
 エレベーターも動かせねえテメー程度の『異常』に殺されるほどヤワじゃねーぜ。残念だったな」

その通り。
だからこそ、『いざとなった』時なんとかしてくれると信頼を置いて会話をしている。
『いざ』とならないことを願うばかりだ。ただ、一方的に降伏するほど僕も人が良いわけではないけどね。

「『いざとなった』時は、オレの正義がオメーをぶっ潰してやるから、安心して悪ぃーことしてろよ」

なるほど、心強い限りだ。
僕が本気で挑んでも、確かに彼なら返り討にしてくれる。
確信するのに容易いほど、自信満々の返事であった。
しかし僕はその言葉に、ふとした疑問を感じる。
――『悪』は救うのではなく、裁くものなのか。

「はっ! テメーはあれかー? 最近名を馳せる黒神めだかの信者にでもなったんか?
 いけねーぜぇ。正義と聖者をいっしょくたにしちゃあ。オレとヤローは相容れねえよ」

『正義』、『聖者』――僕にはその違いが理解できなかった。
思えばこの時から玖渚さんの言う『正義を捨てるか』、『神を棄てるか』
その意図を理解できていなかったということになるんだろう。まるで成長していない。
ともあれ、不思議そうな顔をした僕を見かねたのか、雲仙くんはこんな話題を振ってくる。

「テメーはよ、日曜日にやってるような特撮ヒーローをなんとなくでも知ってるか?」

なんとなくならば。
古賀さん辺りは割と頻繁に仮面ライダーのポーズをとっていたりしていた。
連れ添う名瀬さんは何やら平成ライダーの方が好きだとかなんとか反論していたが、およそ関係ないことだろう。

「だったら話ははえー。宗像くんはよー、特撮ヒーローが町を襲う怪人をぶっ殺すのを咎めるか?」

どうだろう。
単純なようで、考え出したらキリがないような気がするけれど。

「難しく考えなくていーぜ」

ならば咎めやしない。
それで町に住む者、ひいては地球そのものを救ったんだから咎める必要はない。
そりゃあ相手を殺す結果になるとは言え――あ。

「そうだ、世間一般において『正義』とされる特撮ヒーローは決して相手を救ったりしない。『裁き』を下すんだ」

それが、彼の正義。
もう悪さが二度と起きないように、と。
母が悪戯をした子供を叱るのと、元を糺せば同一なのだ。
今となっては、彼の言う『正義(うんぜんくん)』と『聖者(くろかみさん)』の違いは明確に分かるけれど、
それを知らない、恐らく間の抜けた顔をしていたであろう当時の僕に対して、雲仙くんは語りかける。

「対して、黒神めだか(ヤロー)は違う。あいつは怪人さえも殺してはならねーっつってんだ。
 まあオレも未だ口づてでしか知らねーが、聞いた限りじゃあとんでもねー聖者だよ。
 ヤローは怪人にこう言うんだ。『これからは人を殺すのではなく人を活かす道を歩け』と」

そこだけを聞くと、黒神さんの人望の高さも頷ける思想なんだろう。
怪人をも更生させる。
実に真っ当な主義だとは感じる。
けれど雲仙くんの態度はまるで違った。
忌々しげに、吐き捨てるように。
紡ぐ。

「バカ言ってんじゃねーぜ! そいつは既に悪事を犯したんだ!
 ルールを破った奴が罰を受けるのは当然なんだ!
 それをなあなあでボカシて、贖罪さえすりゃあ許してもらえるって『悪』が図に乗るだけじゃねーか!」

……。
その通りだろう。
掌を返すつもりもないのだが、雲仙くんの訴えは至極尤もなものだった。
故に大半の国々では法律というルールが敷かれている。
別段黒神さんが間違っていると声を荒げて唱えるほど、黒神さんのやり方に賛同できないわけではないが……。

「っと……ケッ。感情的になっちまったぜ」

我に返った雲仙くんは当初のように愉快に挑戦的な笑みを浮かべた。
まったく。背丈が僕の腰ぐらいしかない相手とは言え敵に回したくない男だ。
しかし、どうして彼はこんな話をしたんだろうか。
最初から疑問には思っていたが、話がひと段落した今、改めて質す。

「あー? いやいやテメー自身も分かってんだろ。てゆーか、もう言いたいことの大半はもう済んでんだ。
 要するにだ、警告だよ、ケーコク。確かに今はテメーをぶっ潰すことはしねーが、テメーがオレのテリトリーで殺人を起こした日にゃあ」

瞬間、雲仙くんの眼が僕の眼を捕らえて、射る。

「覚悟しとけよ。オレは黒神のヤツと違って、テメーの異常(じじょう)なんざ省みねー」

恐ろしい子供だ。
僕が殺人を犯せない理由がまた一つ増えてしまった。
当時の僕はきっとここで、『だから殺す』と考えたのだろう。

「やりすぎなければ、正義じゃないんだよ」

彼が最後に呟いた一言は、やけに鮮烈な印象を残した。
だからこそ、今思い出すに至ったのだろう――。


  ☆    ☆


空調の音が煩わしい。
背中を預けるソファーが固い。
不快感と共に、僕の意識は現実へと戻ってきた。

眩しい。
意識が徐々に、現を掴み始める。
なんだか夢を見ていた気がするな――。
どこか懐かしい、覚えておくべきようなこと――なんだっけ。
夢とは往々にしておぼろげなものではあるが、少し気になるな。
僕には予知夢なんて大それたことはできないにせよ。

瞼を閉じたまま、蛍光灯の光に目を慣らす。
そこまで長く寝ていたつもりもないのだが、体感とは反してそこそこの時間を睡眠に費やしたようだ。
片腕がもがれたことも相まって、身体がどことなく重く感じる。
……まあ、千刀なんてもんを携えながら寝たんだから重く感じるのも止むをえまい。

さて。
そろそろ起きようか。
ゆっくり身体を休めるのもいいかもしれないが、そんな猶予は残されていないんだ。
そもそもどうして僕は眠っていたんだっけ――?

しかし、そんな些細な疑問は次の瞬間には吹き飛んだ。
瞼を開き、身体を起こす。
そこはネットカフェのフロント。
奥には玖渚さんがいるであろう個室や、シャワールームに続く通路が見える。
僕はソファーの上で横たわり眠っておったようで、机を挟んで向かいのソファーには、

「――やあ、宗像先輩。おはようございます」

驚いた。
言葉にすれば、この一言に収斂してしまうが、
僕の身に降り注ぐ衝撃は並々ならぬものだった。

「やだなあ、そんな顔してどうしたんですか?」

今、僕はどんな顔をしているのだろう。
分からない。
状況が整理できない。
どうして僕の目の前に――というよりも、『今』、この場に!

「本気でどうしたんですか? 俺ですよ、俺。阿久根高貴、生徒会の阿久根です」

知っている。
だから僕の頭の中で強烈な混乱が生じているのだ。
彼はもう、死んでいるはずなのに!!

僕は幽霊でも見ているのか。
そんなわけあるか。――幾らなんでも非現実が過ぎる。
それはアブノーマルでもマイナスでもない、ただのオカルトだ。
……まあ、代々僕の家は『魔』を討つ家系故に「オカルトは信じられない!」なんて声を大にして叫ぶ真似こそしないが、
唐突に幽霊が現れて、受け入れられるほど、僕の器は大きくない。

「まあこんな場ですからね。気持ちが荒ぶるのも分かりますが、一回落ち着きましょう。
 ほら、これ。あそこにあったどりんくばーから注いできましたから。飲んでください」

彼の言葉に従うわけではないが、確かに落ち着くべきだ――少し落ち着くんだ。
……うん、大丈夫。大丈夫だ、頭は正常に働く。
僕は差し出された飲み物は飲まず、改めて注視する。

改めて見ると――まず間違いなくそこにいるのは『阿久根高貴』くんに違いない、
彼と会話を交えたことなど数えるほどしかないが、その点に関しては保証できる。

しかし、だからといって彼を阿久根高貴だ、と断言するわけにはいかないだろう。
繰り返すようだが彼はもう、この世に居ない。死んでいるのだ。
定時放送だけでなく、死亡した瞬間をとらえたビデオまで目を通した上で理解しているのだから、揺るがない事実だ。
すべて主催者からの虚偽だというのなら、彼がここにいる理由もギリギリ通じるが、そこまで懐疑的になる必要もないだろう。

スリーブレスの血染めの白シャツに、サイズのでかいだぼだぼのズボン。
首には同じく赤く染まったタオルが巻かれ、手には麦わら帽子が握られていた。
その血に塗れていること以外に関しては、牧歌的な服装でこそあれ、その風体はまるで似つかわしくない。
目まで垂れた男にしては長い金髪に、爽やかな顔。
牧歌的とはまるでかけ離れた今風な男の姿である。
僕は彼の名前を知っている。阿久根高貴くんだ。
箱庭学園現生徒会書記の、特別(スペシャル)――そしてプリンス、か。
彼に付けられるあだ名と言うのは生徒間でも多々あるが、しかしそれも過去の話だ。
今、彼に付けられる呼び名は唯一つ、『死人』、である。

死んだ人間は、元に戻らない。
例外こそいるが――球磨川禊の様な埒外こそいるが、阿久根高貴にそんなスキルはない。

もしかすると後に球磨川禊が、阿久根高貴の蘇生を行ったのかもしれない。
それでも疑問は残る。
何故彼は、零崎軋識の服装をまとっているのか。
この服装は間違いなく、零崎軋識のものだ。今でも僕は、あの時の、本物の殺人鬼と邂逅した時のことは鮮明に覚えている。
圧倒的な実力差をもってして死ぬところだったのだ。忘れるわけがない。

まあ別に阿久根くんがそんな似合わない服装をしていることに疑問を抱いているわけでもなく、
『どうして死人の、それも血塗れである他人の服装をわざわざ着るような真似をしているのか』。
はっきりとは認識できなかったが、確かに阿久根くんの服装は、死ぬ間際斬られたこともあり血塗れだった(僕と同じ箱庭学園の制服だ)。
蘇生したとして、着替えたいという気持ちは分からなくもない。
けれど仮に球磨川禊が蘇生させたというのであれば、服装の傷や汚れを『なかったこと』にするのぐらい、容易いことだろう。
わざわざそんな血塗れの服を奪うことはない。
服装の傷や汚れをなかったことにできない事情があったにせよ、それでも他の施設をあたって工面すればいい話だ。

きっとこれは球磨川くんによる蘇生じゃない。
というよりも、蘇生と言うわけではないだろう。
蘇生であれば、こんな服装に関する違和感なんて生じないはずだ。
阿久根高貴くんは、特別だ――スペシャルだ。
ある意味では生徒会一の切れ者と言ってもいいだろう。
そんなヘマ、と言うよりも愚かな行為は絶対にしない。
必要もなく波風を立てる阿久根高貴くんではない
というのは実際に会った印象もあるにせよ、学校での評判や、先の詳細名簿からくるものだが。

ならばなんだ。
零崎軋識の服装を着ている理由はなんだ。
……僕はそれを知っている、と思う。
それらしい記述を、僕は『見た』覚えがある。
あれ――は。
確か。

「真庭、蝙蝠」

呟き、確かめる。
忍法・骨肉細工。
肉体変化のスキル。
真庭蝙蝠と言う参加者は、そんなスキルをもっていたはずだ。
だとすると――だとすると。
条件には、当てはまる。
彼が阿久根高貴と、零崎軋識に変態できるとするならば、この異様な組み合わせに、説明も付く。

「きゃは――」

阿久根くんの姿をした彼は。
そして。

「きゃはきゃはきゃはきゃは!!」

阿久根くんの声で、不愉快な甲高い哄笑をあげる。
ミスマッチ。
間違っても、阿久根くんならこんな声は出さないだろう。
こいつは、阿久根高貴じゃない。
今なら断定できるだろう。
こいつは――――。

「申し遅れたな。おれは真庭忍軍十二頭領が一人――真庭蝙蝠さまだ。おはようってところだぜ、宗像先輩」

真庭蝙蝠。
――真庭忍軍、か。
今の世になって、まさか忍者と遭遇するとは思っていなかった。
記述にも遭った通り、史実の忍者と言うよりは、週刊少年ジャンプにでも掲載されていそうな忍者なのだけれど。
まあそれでも忍者は忍者である。
油断ならないことこの上ない。

戦うつもりだろうか。
僕はこいつを払いのけることができるか。


ぱんっぱんっ――――


と、興ざめ。
或いは救済の手拍子が鳴った。
蝙蝠の背後から手拍子は鳴る。
ソファーの裏に座っていたらしい。
まるで名探偵コナンのようなポジションにいるな、と考えていると『その子』は姿を現した。
そこには一人の子供がいる。
小学生ぐらいの背丈だが、それに似つかわしくないほどの意志の強さを、瞳の奥から感じ取れた。
そんな毅然とした小学生を、これまた僕は知っている。
供犠創貴
『魔法使い』使い。
幸せの追求者。
小学生離れをした思考回路の持ち主である。
彼は僕から見て蝙蝠の右隣に座す。

にしても幸せの追求者、か……。
それは、僕――火憐さんの正義に通ずるものがある。
能動的か、受動的か――そんな差があるとはいえども。

「ふん」

ぱち、ぱち、ぱち。
一度鼻を鳴らし、供犠くんは手を打つ。
拍手、と見做していいんだろうか。

「すごいね、あんた。称えるに値するよ――宗像」

褒められて疑るていうのも何だか人が悪いようだ。
しかし僕の立場からしたら、今この場で褒められる、というのは甚く気持ち悪いものだった。
場違いにも程がある。
第一、どうして彼がここに。

「確かに阿久根高貴は死人――偽物だと断ずるには易いけれど、見事蝙蝠だと見破った」
「まあ阿久根高貴に変態してたのは、知り合いである宗像先輩への御心遣いっちゅーわけよ」

いらない気遣いだ。
余計なお世話も甚だしい、胸中で返しながら疑り深く供犠くんを見る。
――見たところ、懐に拳銃が仕舞いこんであるようだ。今、一度触った。
どういうつもりだ。
蝙蝠と同盟でも組んでいるのは別段構いはしないのだが、どうして今この場に現れた。

「暗器に加えその冷静な観察眼は実に有用だ。
 だがどうしてもその力を活かしきれてないんじゃないか――あんたならもっと凄いことが出来る」

回りくどく供犠くんは褒めたたえる。
もどかしい。言いたいことがあるなら、早く告げて欲しい。
僕としては『真庭蝙蝠』のスタンスが分からない以上気を抜けない。
名簿の記述通りの人間だとしたら、彼を倒すべきだ。
彼は『悪』――なのだから。
僕の杓子定規の判定とはいえ、人に命乞いをさせるのを愉しむ人間を善人とは言い難い。
今だって阿久根くんに変態して、まるで彼の死を侮辱しているかのような態度を取っている。
声には出さないが、どうしてそんな非道な真似が出来るんだか。僕にはとうてい理解が出来ない。

ふと窓から外を見る。
太陽は沈み切り、恐らくは月は未だ顔をのぞかせていないのだろう。
夕闇が窓の外で映えていた。
そういえば真庭と言えば様刻くんたちは大丈夫だろうか。
景色を見る限り放送の時刻は過ぎているようだが――難なくやり過ごせただろうか。どうにも心配だ。

いや。
今は様刻くんたちを信じよう。
僕は今、もっと心配すべき人間が他に居る。

「……ん? どうかしたのか」

供犠くんが問う。
そこで僕は改めて部屋一面を見渡す。
味気ない蛍光灯――粗末な備品の数々――虚しく照るドリンクバー――奥へとつながる通路――階段。
いない。
もしかしたら奥で作業をしているのかもしれないが、見当たらない。
青が。蒼が。
玖渚友が、いない。

「玖渚友……ああ、奥に居るよ」

良かった。
ひとまず胸をなでおろす。

「水倉りすか。知ってるだろ? 彼女と一緒に作業をしている」

水倉りすか。
『赤き時の魔女』、『魔法狩り』。
小学五年生。僕にはその意味合いは分からないが、属性『水』、種類『時間』、顕現『操作』の運命干渉系の魔法使い。
曰く時を操る魔法使いとのことだが――。
まあ、いい。とりあえずは彼を信じるとしよう。
断って奥を見に行くのも構わないが、……蝙蝠に隙を見せるわけにもいかないしな。
如何せん、なまじ情報を得ているが故に警戒せざるを得ない。
そんな僕の態度を見破っているのか、先ほどから蝙蝠は愉快そうに笑っている。

息を大きく吐く。
ひとまず、リセットだ。
視点を供犠くんと蝙蝠に戻そう。
今一度姿勢を正す。

「さて、話が逸れたがここでぼくから一つ提案がある」

左人差し指を伸ばし、僕の目を強く見つめる。
吸い込まれるような瞳に僕は一瞬意識を持っていかれた。
……油断ならない子だ。雲仙くんといい、最近の子供は発育が良いようだ。
そして供犠くんは提案を告げる。

「ぼくの奴隷になれよ、宗像形

……、……。
言葉が詰まる。
なんだかよく分からないが、今日はよく勧誘される日だ。
零崎軋識や無桐伊織さんからは殺人鬼と。
阿良々木火憐さんからは正義そのものと。
狐面の男、西東天からも勧誘を受けたし。
今度は供犠創貴くんから奴隷の勧告か。
降ろした左腕で銃に触れ、供犠くんは言葉を重ねる。

「あんたがぼくたちを知っているように、ぼくたちもあんたのことは知っていた。
 にしても、どうやらぼくは人を過小評価してしまう悪癖でもあるのかな。
 ただ大量の武具を仕舞えるという点以外に魅力を感じなかったが、大したもんだよ」

底知れなさ。
剛毅とした立ち振る舞いは人間離れしているかのよう。
そういう意味では、あの『最悪』とは表裏一体の存在である。
隙があるようで、隙のない。
毅然としているようで、飄々として。
この底知れなさは、相手を試すようなこの奥深さは、おぞましいものがある。
僕は答えなければいけない。
――お断りだと、狐面に対してそうしたように。
僕にはしなくちゃいけないことがあるんだ、と。

「安請け合いするつもりはないが、言ってみろよ。場合によっては手伝うぜ」

……。
うん、そう言ってもらえるのはありがたいけれど。
これは僕が成すべきことであって、僕にしか成しえないものだ。
『正義そのもの』になるだなんて他人に手伝わせることじゃないしね。

「……」

供犠くんの表情は変わらない。
試すような瞳からは何も窺えない。
そんな時だった。


「――きゃは」


蝙蝠が笑った。
だが阿久根高貴の声ではなかった。
僕はこの声もまた知っている。
これは――これは! ――――零崎軋識の!
供犠くんに引っ張られていた意識を蝙蝠に移す。


「面白い事をいう奴だ。――青髪のあいつを守れなかった奴がそうもぬけぬけと、よく言えるぜ。
 ――きゃはきゃは、あー愉快ったらありゃしねー。抱腹絶倒もいいところだ」


そう言って、蝙蝠は口に手を突っ込む。
明らかに顎が外れたようにしか見えないその光景を見ながら、僕は押し黙っていた。
無論のこと蝙蝠の奇怪な身体の仕組みに驚いて絶句している訳ではない。
彼の発した言葉に、僕は黙らざるを得なかった。

玖渚さんが死んだ――。
僕は無意識のうちにその言葉を反芻していた。
口からスラリと直刀を取り出した蝙蝠は、さも当たり前と言わんばかりに、返す。

「いやいや、当ったりめーだろーが。おれさまはしのびだぜ?」

明瞭で明白。
これ以上ないほどの模範回答だった。
しのびが無力な人間をむざむざと野放しするわけがない。
そっか……。玖渚さんは逃げれなかったのか。
僕は守れなかった。
反芻する。
玖渚さんが死んだ。
守れなかった。
正義。
正しく義しい。
僕は。
僕。
宗像形。
正義そのもの。
守れない。
何一つ。
火憐さん。
玖渚さん。
様刻くん。
伊織さん。
何一つ。何一つ。何一つ。
何一つ。何一つ。何一つ。
伊織さん。
様刻くん。
玖渚さん。
火憐さん。
何一つ。
守れない。
正義そのもの。
宗像形。
僕。
僕は。
正しく義しい。
正義。
守れなかった。
玖渚さんが死んだ。
巡る。――思考が巡る。



























――――――――――――――――ああ。


































そうか。
そうだったんだ。

供犠くんが溜息を吐く。
そして――拳銃を懐から抜き出し僕をめがけて撃つ。
事前に行動が読めていたので、このぐらいだったら避けるに容易い。

――そっか。
呟き、自覚する。
供犠くんが僕を攻撃するってことは、つまりはそういうことだ。
僕の中で、灯る。
『炎』が音を立てて。

なんで僕は凶悪犯罪者と騙り、閉じこもっていた?
それは人を殺したくないから。
人を殺したくない理由は、それは悪くて悲しいことだから。
僕は知っている。
かつて僕が僕を『悪』とみなし、閉じこもっていたように。
殺人鬼は悪であることを、殺人者は悪であることを、殺人犯は悪であることも。
だとしたら伊織さんも軋識さんも人識くんも様刻くん、勿論僕も黒神さんも、当然きみも、裁かれてしかるべきだ。

簡単だったんだ。
殺して思わず救われてしまったから、勘違いをするところだった。
殺すのは、何がどうであろうとも――『悪』だ。
『悪』は救うのではない、『悪』は裁くべきである。

真庭蝙蝠、供犠創貴。彼らは玖渚友を殺した。
この事実が示すものは極めて単純。
炎がめらりと揺らぎ立つ。
心にともる焔が僕へ命ずる。
正義を執行しろ――正しくなくとも義しくなくとも真っ当しろ――。
僕は神になるつもりはない。
ただただ、悪を裁けばいい。

炎が、僕を焼く。
これまでの戯言に翻弄される僕を抹消するように。
言葉を紡ぐ。


だから殺す――――と。


甘さを捨て、あまつさえ格好良くもないけれど。
僕はどこまでも行こう。
火憐さんが目指した、『悪』のない世界へと。
マシュマロを溶かす様に燃え盛る。
僕の正義が、油を注いだように燃え盛る。

ごめんね火憐さん。
僕はきみのような『正義の味方』でありながらも同時に『神の味方』であるような生き方は出来ない。
僕はきみの言う通り――――――『正義そのもの』になる。
神を棄てることを、僕は選択する。

なるほど、玖渚さんはすべてお見通しだったということか。
――僕がこれほどまでに人を殺さなくちゃいけないと思ったのは、初めてだ。

「おいおい、殺すってことはあんたの言うところの『悪』なんだろ?」
「きゃはきゃは――正義のために悪に染まるってのは本末転倒じゃねーか?」

供犠創貴が呆れたように僕を見下し、
真庭蝙蝠が極めて楽しそうに、僕を見下した。
なんだっていい。
きみらがどう言おうとも関係ない。

これまで忘れていた、雲仙くんの言葉を借用する。
きみたちは畑に住まう害虫を駆除するのを悪いことだと言うのか?
特撮ヒーローが敵を爆死させるのを悪だと言うのか? ――誰もそんな非難を浴びせない――なぜか?
なぜならそれらは正しいことを目的とし、正義を掲げて執行するからだ。断言する。

僕は、清く、正しく、
めだかさんのようにいかなくとも、潤さんのようにいかなくとも、火憐さんのようにいかなくとも、胸を張って正義を執り行う。
正しければどんな行為も『悪』じゃない。
友達のために――正義のために戦う僕が、火憐さんや潤さんが正義だと認めた僕が、『悪』であるはずがない。


人殺しは悪いことだ。
だけど、悪を裁くことに罪はない。


供犠くん知ってるかい?
僕は投げかける。
極めてよく聞く、この世の摂理を。

なにを、と彼が返したので、僕は直ぐ様答えを返す。
正義は必ず勝つんだよ、って。

初めてあった時の凛とした火憐さんの顔が脳裏をよぎる。
そうだね。
決して驕るわけではないけれど、――間違ってるこいつらなんかに、僕は負けない。


「知ってるよ、だからあんたが負けるんだ」


そんな僕をつまらなそうに、
供犠創貴が言葉を返した。だから殺す。
――僕の名前は宗像形。唯一つの十字に基づき、これより『正義』を、死刑執行する。



【1日目/夜/D-6 ネットカフェ】

【宗像形@めだかボックス】
[状態]身体的疲労(小) 、精神的疲労(中)、殺人衝動喪失?、左腕(肘から先)欠損、腹部に切り傷、各部に打撲と擦過傷(怪我はすべて処置済み)
[装備]千刀・ツルギ×536@刀語、スマートフォン@現実、ゴム紐@人間シリーズ
[道具]支給品一式×3(水一本消費)、薄刀・針@刀語、トランシーバー@現実、「包帯@現実、消毒用アルコール@現実(どちらも半分ほど消費済み)」(「」内は現地調達品です)
[思考]
基本:阿良々木火憐と共にあるため『正義そのもの』になる。
 0:『悪』を殺す。
 1:供犠創貴と真庭蝙蝠を殺す。
 2:伊織さんと様刻くんを殺す。
 3:『いーちゃん』を見つけて、判断する。
 4:黒神さんを殺す?
 5:殺し合いに関する裏の情報が欲しい。
[備考]
※生徒会視察以降から
※めだかボックス、「十三組の十三人」編と「生徒会戦挙」編のことを玖渚から聞いた限りで理解しました
阿良々木暦の情報はあまり見ていないので「吸血鬼」の名を冠する『異常』持ちだと思っています
※無桐伊織を除いた零崎四人の詳細な情報を把握しています
※参加者全員の顔と名前などの簡単な情報は把握しています
※携帯電話のアドレス帳には櫃内様刻、玖渚友が登録されています
※第一回放送までの死亡者DVDを見ました。誰が誰にどうやって殺されたのかは把握しています



   ★    ★


「あんたは大物になるよ」

そんなことをぼくに言った女がいる。
彼女の一言で、昔の愚かしいぼくは“更生”させられた。
この世のすべてを下らないと謗り、だからといって特別なにかを志している訳でもなかった、
それこそ下らない人間だった昔のぼくを更生した。

「あたしとあんたはいい親子になるよ」

彼女はぼくの母親になりたかったらしい。
今までの、そしてそれ以降の名義上の母とは違う、真の意味でぼくの母親になりたかった。
結局その言葉に意味がどれほどあったのかは定かでないが、
確かに――確かに『彼女』はぼくが今までで唯一『母』と呼んだ人間である。

『彼女』のことが頭をよぎる。
宗像形を見ていたら、ふと思い出した。
『彼女』の存在を。
『折口きずな』という母親の存在を。


宗像形は阿良々木火憐という女性の言葉で“更生”されたらしい。
立ち合わせたわけでもないし、聞き伝えであるため詳しいことはぼくも分からないが、
誰かの言葉を契機に“更生”した、という点において、ぼくと彼は極めて類似している。

宗像形は阿良々木火憐から『正義そのもの』と。
供犠創貴は折口きずなから『みんなを幸せにする人間』と。

そういった面では、比較的ぼくは彼に対して複雑な心境である。
加えぼくは目的に向かい邁進する人間は大好きだ。
支えて、援助して、使ってあげたくなる。
宗像形は聞いたところによると、『正義になりたい』とはっきりと目標に向かっているようだ。

好感が持てる。
普段だったら応援してやっても十分良かった。
けれど、今回ばかりは駄目だ。
それは彼女に対する謀叛となる。
曰く「余計なものは処分しておいていい」とのこと。
本来であれば彼女としては宗像形、彼をそのままコキ使うつもりだったらしいが……、
ぼくたちがネットカフェに訪れたことでおじゃんとなった。
まあ、むろんぼくの駒として宗像形を迎え入れるという選択もあったが、彼女は「それは無理だ」と返した。
実際あってみると、彼女の言い分はよくよく理解できる。
ぼくや彼女はともかく――蝙蝠やりすかは彼とは相容れないだろう。

蝙蝠だけならば、そろそろ向こうも裏切りを考えている頃合いだろうし、
ぼくも今後についてどうしようか悩んでいたところだから、別段困りはしない。
しかしりすかは別だ。りすかだけは手放すわけにはいかない。
ただでさえ――ただでさえツナギというぼくの愛すべき駒が死んで苛立っているのだ。
りすかさえも喪うわけにはいかない。

それでも――万が一に蝙蝠やりすかをも上回る逸材だって可能性だってある。
現実には叶わなかったにしろ、できるだけ多く彼女の情報を聞いておきたかった。
故にぼくは彼が起きるまで待っていた。
見計ろうと。
この行為は、ぼくがどこか心の奥底で、彼に対して感じたシンパシー故の温情だったんだろう。
甘いとは思う、思うが――どうしても重ねてしまう。

結果的には蝙蝠の嘘の所為でご破算になったが、ある意味では助かったとも言える。
これで和解の道はなくなった。
吹っ切れれる。

ぼくは見方を変える。
宗像形は『ぼくの越えるべき壁』と。
あまりに在り方が似ているが故に。
同族嫌悪と言う言葉はある――あまりに似ているもの同士は相容れない。
そう思えば、ぼくは彼を容赦なく殺せる。
そうだね――、りすかと彼。どちらをとるかと言われたら天秤にかけるまでもなく、ぼくをりすかを選ぶ。

だからぼくは――表裏一体の存在、宗像形だって殺してみせる。

ぼくは、後悔なんて、しない。
後悔なんて、ありえない。
やり直すには、ぼくはあまりに手を汚しすぎた。
悔むことさえ偽善的に、独善的に成り下がる。
星空の下、りすかはそんなぼくを許してくれた――許してくれた、けれど。
血に染まったぼくの手が雪がれるわけではない。
今更遅い。
犠牲は犠牲。生贄は生贄。
踏み越えた者として、踏み越えた屍を、矜持を持って見下してやる。
だから必要となれば宗像形だって、ぼくは踏み越える。

この観察眼は、この頭脳は、この度胸は、この器用さは、ぼくの全ては――この世を幸せにするためにあるのだ。

――――ぼくは負けない。
こんなところで腐るつもりもない。
ぼくに似た存在を倒せないようでは、水倉神檎だって越えられない。
どころかぼくの目指すはその先だ。
水倉神檎だって過程の一つ。
向こうがどんな信念を持っていようとも、ぼくは負けない。
彼が己の『正義』のために闘うならば――ぼくは世の『幸福』のために。


【1日目/夜/D-6 ネットカフェ】

【供犠創貴@新本格魔法少女りすか】
[状態]健康
[装備]グロック@現実
[道具]支給品一式×3(名簿のみ2枚)、銃弾の予備多少、耳栓、書き掛けの紙×1枚、「診療所で見つけた物(0~X)」、心渡@物語シリーズ、シャベル@現実、
   アンモニア一瓶@現実、携帯電話@現実、スーパーボール@めだかボックス、カスタネット@人間シリーズ、リコーダー@戯言シリーズ
[思考]
基本:みんなを幸せに。それを邪魔するなら容赦はしない
 0:宗像形を倒す。
 1:ランドセルランドで黒神めだか、羽川翼と合流する、べきか……?
 2:行橋未造を探す
 3:このゲームを壊せるような情報を探す
 4:蝙蝠の目的をどう利用して駒として使おうか
 5:掲示板の情報にどう対処すべきか
[備考]
 ※九州ツアー中、地球木霙撃破後、水倉鍵と会う前からの参戦です
 ※蝙蝠と同盟を組んでいます
 ※診療所でなにか拾ったのかは後続の書き手様方にお任せします(少なくとも包帯や傷薬の類は全て持ち出しました)
 ※主催者の中に水倉神檎、もしくはそれに準ずる力の持ち主がいるかもしれないという可能性を考えています
 ※王刀の効果について半信半疑です
 ※黒神めだかと詳しく情報交換しましたが蝙蝠や魔法については全て話していません
 ※掲示板のレスは一通り読みましたが映像についてはりすかのものしか確認していません
 ※心渡がりすかに対し効果があるかどうかは後続の書き手にお任せします
 ※携帯電話に戦場ヶ原ひたぎの番号が入っていますが、相手を羽川翼だと思っています
 ※黒神めだかが掲示板を未だに見ていない可能性に気づいていません



   ★    ☆


到着。
玄関からネットカフェ内に入ると、一人寝ていたの。
死んでるんじゃないみたい。
寝ている宗像さん(というのは後から知るの)を蝙蝠さんに見張らせ、
わたしとキズタカが奥の探索を始めたところに現れたのが――彼女・死線の蒼――玖渚友なの。
キズタカは拳銃を構える。
そこでクナギサさんは椅子を回し、こちらを向いたの。
その瞳は青く――蒼く――碧い。深い深い群青色。
まるでわたしと対を成すような青い少女だったの。

「きみは?」

キズタカが尋ねる。
わたしは何も言わない。
いつも通りなの。

「私? 私は玖渚友。きみのことは知ってるよ。『「魔法使い」使い』。後ろのあの子は『赤き時の魔女』、でしょう?」
「…………そうか。だったら話は早いね。ぼくの名前は供犠創貴。彼女の名前は水倉りすかだ」
「うん、知ってる。ランドセルランドで黒神めだかと合流するっていう手筈だったのも、私は知ってる」

キズタカもわたしとおんなじように押し黙る。
黙らざるを得ないっていう状況なのが今なの。
けれど引いているだけじゃ話は進まないのも、分かっているつもり。
キズタカが話し始める。

「そう、羽川翼さんと交流があるんですね」
「羽川翼……? ああ、うん。まあ交流はあるね。
 まあそんな話はいいんだよ。私がしたいのは、これからの話なんだからさ」
「……ご尤もで。じゃあ単刀直入に切り込むけどきみが掲示板の管理人、でいいのかな」
「ふうん、どうして?」
「いや、これといった理由はないよ。ただ情報をかき集める一環として『トリップ』の構造っていうのは知っているんだけど、
 『◆Dead/Blue/』なんて意味のとれる『トリップ』は滅多に作れない。
 偶然の産物と言われればそれまでだけど、きみの外見も合わさってあまりにこれは出来すぎている、と思わないのか?
 そんな都合のよさそうなトリップを瞬時に作成できるだなんて、地味だけど並大抵の人間にはできない。
 プログラムから隙にいじれる管理人だったら、あるいはそれぐらい容易なことじゃないかなって」

偶然と言うのはそれほど嫌いでもなかったが、先日大嫌いになったもんでね。と忌々しげに小声で呟く。
お兄ちゃんの『魔法』のせいかな。確かに、少なくても『今』のわたしとしてもあの魔法はおぞましいものなの。

「それに、管理人でもない人間がこんなところでネットを開いて何をしているのか、ぼくは逆に不思議に思う。
 確認してないけど、おそらく回線はロクに繋がらないだろう。これは試したけど警察だって呼べないし。
 『掲示板を作れるほどの技術』を有する人間でない限り、この場に限りはネットカフェにいる理由なんて取り立ててないだろう」
「うん――その通り。うーん、いーちゃんに分かればそれでいいって思ったけど、どうもあからさま過ぎたみたいだね。
 別に嘘をついてもしょうがないからばらすけど、私が管理人だよ」

思いのほかあっさり白状したことに、共々内心驚いたの。
キズタカの弁は確かにその通りなのかもしれないけれど、どれもこれといった決定的な論拠のない言葉。
返しようによってはどうにも覆せるのがキズタカの弁なの。

「だったら、どうしたいのかな? きみたちは」

そこでクナギサさんは切り込んできた。

「そうだね、知っている情報を吐いてもらう。さもないと撃つよ」
「私もまだ死にたくはないからね。別段それは構わない。
 ――ただ一つ。協定を契らない? きっときみたちにとっても有益になるだろうし」
「協定?」
「きみたちが口にした通り、『私がたくさんの情報を有している』からこそ接近してきたんだと思う。
 実際それは間違いじゃないし、私がきみたちに与えれる情報はきっといっぱいある」
「だから、それを無条件で教えろとぼくは言ったつもりだ」
「嫌だよって言ったらきみは私を殺すんだよね?」
「……そうだ」
「けどさあ、それってきみたちを不利にするってわからない?
 ――私を殺す姿は知っての通りビデオで撮られるんだよ?
 確かに参加者は残り半分以下――怪しまれても『優勝』するだけならあるいは可能かもしれないね」

と。
クナギサさんに指を指されたのがわたしなの。
わたしを指さして、つまんなそうに続ける。

「それはりすかちゃんを殺すことに繋がるんだけどね。きみはそれでいいの?」
「――――」

キズタカは答えない。
わたしは何も思わない。

「あくまで主催者を打倒することを目的とするんならさ――。
 互いに平和的にいきたいと思わない? 思わないの? 『「魔法使い」使い』。
 それともきみには、周囲から孤立してもりすかちゃんと二人だけで主催者を打倒できる作戦でも練れているのかな?」

嫌味な言い方なの。
色合いも含めて仲良くできる気がしないの。

「……生憎ぼくには『誰』が『どうやって』死亡場面を映したDVDを添付しているのか、さっぱり分からない。
 今のところ有力な説はあんたが何処かから探り出して添付しているって説だ。
 つまりぼくはきみを殺せばそんな事態は起こり得ないって信じて疑わない。
 ――死にたくなければ、そのぐらいは教えておいた方がいいんじゃないのかな」
「自分の無知をそんな胸を張って言われても困るよ。ただまあ、その通りだね。――教えてあげる」

クナギサさんはそこで、図書館の役割なんかを話してくれたの。
確かに添付そのものはクナギサさんがやってたけれど、ビデオそのものは第三者が簡単に見れる。
真偽はともあれ、合理には叶っている話なの。
辻褄が合うのが第一回放送までの死者しか添付できない理由。
キズタカも同じように考えたみたい。

「できれば自分の目で確かめたいところだけど、一応信じるとするよ。
 それにそうだね。そのDVDを取りに行った人間がぼくたちの悪評を広めたら立ち回り辛い。
 なるほど――あんたの言い分はよく分かった。ただぼくからも一つ条件がある。とっても簡単なことだ」
「何かな?」
「あんたは情報をたくさんもっていると言った。無論一個の情報を出してネタ切れなんてわけがないだろう。
 だから協定の提案者として誠意を見せてほしいんだ――ぼくたちの知らない情報を一先ず一つでいい、教えてもらおう」
「……うーん」
「結局図書館にあるってことは、図書館で誰かがDVDを見つけなきゃいいって話だろう?
 確率的には決して高いわけではないんだ。『ビデオに撮られる=ぼくたちの悪評が出回る』でない以上、
 決してそれはぼくがあんたを殺してはならない理由には成りえないんだ」
「……この辺りが限界かな。いいよ一つ教えてあげる」

そう言って、クナギサさんはその細い指でパソコン本体のスイッチを入れる。
機械音がして――CDを入れるところが開いた。
その中に入っていたCDを――ハードディスクを――『ディスク』を!

「これはちょっとわけあって入手した――――」
「――――お父さんからの『ディスク』ッ!?」

……あ。
思わず叫んでしまったの。
思わず叫んでしまったのがわたしなの。
露骨に思わず分かり易くどうしようもなく叫んでしまったのがわたしなの。
隣でキズタカがやれやれ、呆れた表情で溜息をついて。
クナギサさんが――にんまりとした表情で。おぞましい表情で。

「――協定に則らない場合、データ消去して、これ真っ二つに折るから」


   ★    ☆


『デバイス』
一口に言ったらたくさんあるのがその言葉なんだけど、
この場合クナギサさんのもっていたハードディスクを指すの。
同時に、一致するのがわたしたちの探していた『ディスク』。
水倉神檎の残した『ディスク』。

分かれているのが、わたしは魔法的見解。
クナギサさんは科学的見解という『解析』の方法なの。
欲を言うなら、黒神真黒なる人が生きていたら楽だって聞いた。
けど、死んじゃった。
わたしが巻きこんだ――巻き込んだ。
影谷蛇之の戦いの時のように、多くの人間を巻き込んだのがわたしなのかもしれない。
ツナギ……さんも。
正直怖かったのが彼女だけど、それでも。それでも。
知り合いが死んだというのは辛いことなの。

約束を守っているのがキズタカなの。
嘘を吐かないって。
わたしの気持ちを考える――って。
ツナギさんが死んだことをわたしが悲しんでいると慮って、わざわざネットカフェまで来てくれた。
キズタカはそれを言葉にしないけど、なんとなくわかる。
わたしの頭を撫でてくれたキズタカの手から、そんな思いが伝わったの。

だから、応えるべきなのが、わたし、水倉りすか。
キズタカの期待に応えたい。
わたしを必要としてくれたキズタカの気持ちに応えたい。
それに、お父さんが絡んでいるって言うのならば――なおさら。

「んー……。本当にこれ、水倉神檎の『ディスク』なの? 僕様ちゃんは未だに信じがたいんだけどなー」

クナギサさんが尋ねる。
ほんとう。と答える。
一人称が変わったのは蝙蝠さんに協定の話やら情報交換が済んでからなの。
詳細名簿やら――不知火やら。

「いやーうん。不知火袴が水倉神檎の影武者って言われれば、確かにそんな可能性はするんだよねー。
 『黒神』と『不知火』――『白縫』の対関係のように、『水倉』と『不知火』――『火を知らず』は関係性はありそう。
 勘ぐりすぎだと思うんだけど、判断するには難しいところだよ」

うんうん、と頷きを繰り返す。
ディスプレイから目を離すのがクナギサさんで、それを見つめるのがわたしなの。

「まあ僕様ちゃんは一度調べきったつもりでいたからね。
 元々新しい情報が見つかることに期待はしてなかったんだけど、その分だとあなたも同じようだね」

頷く。
『ちぃちゃん』が欲しいよ、とぼやいているの。
だれだろう。

「けどね、一つ分かったことは多分この『ディスク』一つで情報は『完結』してないみたい。
 改めて考えると、『不知火』の意味や『箱庭学園』の諸々を知ったところで、事態が好転するってわけでもないし。
 黙って見ていろとは言われたけれど、だからといって今回ばかりは静観してる場合じゃないよね。
 もっと違う――鍵となる『断片』は他にもきっとどこかに『落』とされてるよ」

まったく、『破片拾い(ピースメーカー)』の名は伊達じゃない、とか言ってみたいなあ。
と、どこかに向かって送られる期待の眼差し。……なんだか可哀相なの。

ここで転換するのは話題。

「それで、あなたは創貴ちゃんを助けに行くの?
 僕様ちゃんときみたちの協定はこう。
 1:創貴ちゃんたちが僕様ちゃんを殺さない、代わりに僕様ちゃんの持ってる情報のほとんどをあげる。
 2:ついでに僕様ちゃんをランドセルランドまで送って、『いーちゃん』に合わせてほしいこと。
 大雑把に言っちゃえばこんなもんだよね」

また頷く。
あれから結局立場対等に協定は組まれることになったの。

「だから、別に僕様ちゃんとしてはどっちが死のうが構わないわけ。
 形ちゃんが生き残ったらふつーにそのまま頼りにさせてもらうし、
 創貴ちゃんらが生き残ったら、協定通りにしてもらう。
 だけどさあ、起きたら困っちゃうことが一つあるんだよね。
 つまりは同士討ちってやつなんだけど、そうしたらいろいろと絶望的じゃん?」

また頷く。
加えて言うなら。
宗像形さんが起きる前に退散する案も無論あったの。
あったけれど――蝙蝠さんが断った。それにキズタカも同意した。
蝙蝠さんの理由は聞けなかったけど――キズタカは一度話がしてみたいって言ってたの。
ちなみに初めに宗像形を殺してもいいんじゃないのかって言いだしたのはクナギサさんなの。
『死ななくても支障はないとは言え――ぶっちゃけ形ちゃんを一人野放しにするぐらいなら殺した方がいいよ』って言ってた。
『殺人衝動がいつ爆発するか分からない代物を目の届かない場所に放置するのはよくない』って言ったのもクナギサさんなの

「よーって僕様ちゃんは、どっちかに圧倒的に勝利して欲しいわけ。
 そーゆーわけでさっき創貴ちゃんには宗像くんの情報をたくさん与えたんだけど、
 蝙蝠ちゃんに関しては、僕様ちゃんも読めないんだよね。一応同盟は組んでるって言ってたけどいつまで持つか分からないし。
 場合によっては裏切られるって可能性もあるわけ。それぐらいだったらきみが舞台に立ってとっとと片付けたほうがいいんじゃないって」

その通りなの。
あの人の『暗器』にとって天敵なのが、わたしの『魔法』。
同じく蝙蝠さんの考えが読めないのがわたし。
だけど、キズタカは言ってくれた。
――お前の魔法は制限が課されている。下手に『殺されない』ほうがいい――って。
命じられたら、従わないわけにはいかない。
キズタカを信じるのがわたしの仕事だから。

だからわたしは。

「ん? 僕様ちゃんからもっと情報を引き出しとけって?
 ……うにー。信用されてないなあ僕様ちゃん。帰ってきたら教えてあげるのに。
 まあいいよ。じゃあ、創貴ちゃんと蝙蝠ちゃんと形ちゃんを信じて、水倉神檎の娘――私と一緒に考察しようか」

それがいいの。
それにキズタカがわたしを必要とするならわたしはそれが分かるから。


【1日目/夕方/D-6 ネットカフェ】
【玖渚友@戯言シリーズ】
[状態]身体的疲労(小)
[装備]携帯電話@現実
[道具]支給品一式、ハードディスク@不明、麻酔スプレー@戯言シリーズ、工具セット@現実、首輪、ランダム支給品(0~5)
[思考]
基本:いーちゃんに害なす者は許さない。
 1:もう黒神めだかの悪評を広めなくても大丈夫かな?
 2:黒神めだかと『魔法使い』使いに繋がり?
[備考]
 ※『ネコソギラジカル』上巻からの参戦です
 ※箱庭学園の生徒に関する情報は入手しましたが、バトルロワイアルについての情報はまだ捜索途中です
 ※めだかボックス、「十三組の十三人」編と「生徒会戦挙」編のことを凡そ理解しました
 ※言った情報、聞いた情報の真偽(少なくとも吸血鬼、重し蟹、囲い火蜂については聞きました)、及びそれをどこまで理解したかは後続の書き手さんにお任せします
 ※掲示板のIDはkJMK0dyjが管理用PC、MIZPL6Zmが玖渚の支給品の携帯です
 ※携帯のアドレス帳には櫃内様刻、宗像形、無桐伊織、戦場ヶ原ひたぎ、戯言遣い(戯言遣いのみメールアドレス含む)が登録されています
 ※ハードディスクを解析して以下の情報を入手しました
  ・めだかボックス『不知火不知』編についての大まかな知識
  ・不知火袴の正体、および不知火の名字の意味
  ・主催側が時系列を超越する技術を持っている事実
 ※主催側に兎吊木垓輔、そして不知火袴が影武者を勤めている『黒幕』が存在する懸念を強めました
 ※ハードディスクの空き部分に必要な情報を記録してあります。どんな情報を入手したのかは後続の書き手様方にお任せします
 ※第一回放送までの死亡者DVDを見ました。内容は完全に記憶してあります
 ※参加者全員の詳細な情報を把握しています
 ※首輪に関する情報を一部ながら入手しました
 ※浮義待秋の首輪からおおよその構造を把握しました。真庭狂犬の首輪は外せてはいません
 ※櫃内様刻に零崎人識の電話番号以外に何を送信したのかは後続の書き手にお任せします


【水倉りすか@新本格魔法少女りすか】
[状態]零崎人識に対する恐怖
[装備]手錠@めだかボックス、無銘@戯言シリーズ
[道具]支給品一式
[思考]
基本:キズタカに従う
 1:クナギサさんと話す
[備考]
 ※九州ツアー中、蠅村召香撃破直後からの参戦です。
 ※治癒時間、移動時間の『省略』の魔法は1時間のインターバルが必要なようです(現在使用可能)
  なお、移動時間魔法を使用する場合は、その場所の光景を思い浮かべなければいけません
 ※大人りすかについての制限はこれ以降の書き手にお任せします



   ■    ■



――――きゃは。
きゃは――――――きゃは―――。
斬りたい、この、刀で、人を、思い切り、ぶった切りたい。
おれさまが嘘をついた理由なんて簡単だ。
いつものような接待であり――――どうせ斬るなら、しょせんは餓鬼の供犠創貴じゃなく、腑抜けたスカスカの正義やろーでもなく、
おれに対して全力で歯向ってくる奴を倒した方が――――面白い。そんなおれの欲。

案の定キレやがったぜ。
それでいい。
それでこそ、『斬り甲斐』があるってもんよ。
今はまだ創貴の同盟には応じておこう。こいつを斬りてえ。

……きゃは。
刀の毒、ねえ。
子猫ちゃん。言い得て妙じゃねえか。
鉛の鈍器でも、まらかすっちゅー代物でもねえ……この刀で斬ってみてえ。


きゃは、きゃは――――きゃは。



【1日目/夜/D-6 ネットカフェ】

【真庭蝙蝠@刀語】
[状態]健康、零崎軋識に変身中
[装備]軋識の服全て、絶刀・鉋@刀語
[道具]支給品一式×2(片方名簿なし)、愚神礼賛@人間シリーズ、書き掛けの紙×1枚、ナース服@現実、諫早先輩のジャージ@めだかボックス、
   少女趣味@人間シリーズ、永劫鞭@刀語
[思考]
基本:生き残る
 0:宗像形を斬る
 1:創貴とりすかと行動、ランドセルランドへ向かう
 3:強者がいれば観察しておく
 4:完成形変体刀の他十一作を探す
 5:行橋未造も探す
 6:危なくならない限りは供犠の目的を手伝っておくがそろそろ裏切ってもいい頃かもしれない
 7:黒神めだかに興味
 8:鳳凰が記録辿りを……?
[備考]
 ※創貴と同盟を組んでいます
 ※現在、変形できるのはとがめ、零崎双識、供犠創貴、阿久根高貴、都城王土、零崎軋識、零崎人識、水倉りすか、元の姿です
 ※都城王土の『異常』を使えるかは後の書き手の方にお任せします
 ※放送で流れた死亡者の中に嘘がいるかも知れないと思っています
 ※鑢七実の危険性について知りましたが、嘘の可能性も考えています
 ※絶刀は呑み込んでいます
 ※供犠創貴に変態してもりすかの『省略』で移動することはできません。また、水倉りすかに変態しても魔法が使えない可能性が高いです
 ※宇練銀閣の死体を確認しましたが銀閣であることは知りません


一足一動 時系列順 冠善跳悪
一足一動 投下順 Velonica
君の知らない物語(前編) 玖渚友 玖渚友の利害関係
君の知らない物語(前編) 供犠創貴 変態、変態、また変態
君の知らない物語(前編) 水倉りすか 玖渚友の利害関係
君の知らない物語(前編) 真庭蝙蝠 変態、変態、また変態
君の知らない物語(前編) 宗像形 変態、変態、また変態

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最終更新:2015年01月17日 15:44