自己満足だ ◆VxAX.uhVsM
「どういう事ですか?阿久根先輩」
本当にどういう事か分からなかった、
落ち着いて思い返しても、何があるか分からなかった。
いや、落ち着き切れてなかったかもしれない。
落ち着いて、落ち着いてもう一度考えよう。
どのあたりからだろう、とりあえず最初から思い返すしかないな。
◆ ◆ ◆
「……はぁ」
俺はあるマンションの前に立っていた。
深夜でもマンションの明かりで視界は悪くなかった。
急に眼が覚めれば理事長が目の前にいて殺し合いをしろと言う。
そして、自分の近くにいた少女の首が爆発して殺された。
そして、気づいたらここにいた。
「くそ……ふざけやがって!」
善吉の目が変わった。
「何が殺し合いだ……」
善吉の目がはっきりと意思を持ち始めた。
「足掻いてやるよ、俺なりに、やる事をやるんだ!」
善吉が歩き始めようとしたその時。
パリーン
何かが割れる音がした。
そして、ガラスの欠片が上から降ってきた。
「マンションからだ!くそ、階段登ってる暇なんかねぇ!」
善吉は壁を駆けのぼっていった。
◆ ◆ ◆
時間は少しさかのぼる。
「ハァ…ハァ…」
マンション内を走っている女が一人。
彼女はとある一人の男から逃げている途中で501号室前の壁にもたれていた。
元陸上部という事もあり逃げ切れていたのだがスタミナ切れで休憩していた。
「見つけた」
とうとう捕まってしまった。
「私をどうするつもりなのかしら?」
「死んでもらう、それだけだ」
「女の子に手を出すなんて、最低ね」
男は笑った。
「なんとでも言えばいいさ、僕はやる事をやるだけだ」
彼は手に持っていた巨大な純銀の十字架を彼女に向かって叩きつけようとした。
しかし
彼女はそれをしゃがんで避けた。
パリィィン!!
轟音が響いた。
ガラスの欠片がマンションの外に落ちていく。
「一回避けたとしても、何回も壊せば問題ない」
そして、今度は十字架を上から下に振り下ろした。
「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
阿久根のその攻撃はまた失敗に終わった。
下からのぼってきた男に十字架をはじかれてしまったのだ。
「はぁ……ガラスが割れた音が聞こえたと思えば」
上ってきた男は眼の色を変えた。
「どういう事ですか?阿久根先輩」
◆ ◆ ◆
「……人吉君じゃないか、やはり君も来ていたか」
「は?やはりっていう前に、女の子に手を出すなんて阿久根先輩らしくないぜ」
「何となくわからないか?僕が動く理由」
阿久根は飛ばされた十字架を拾い体勢を整える。
「めだかちゅんがいるだろうから殺す、とかじゃないですよね?」
「ビンゴ、いやーさすが人吉君だね」
苦笑のような感じに笑う。
「……もしここにいたとして、こんなことしてめだかちゃんが泣いて喜ぶとでも?」
「しないだろうね、でもこれはね」
「僕の自己満足だ」
「……自己満足ですか」
ここでさっき助けた少女から質問が来た。
「ねぇ、助けてくれたのはうれしいけどどういうことなのかしら?」
「ああ、あとで説明するから待っててくれ」
善吉は戦闘態勢に入る。
「人吉君、僕は君と戦う理由はない」
「俺にはあるんですよ、先輩の性根を叩き直すっていう理由が」
「……そうか」
阿久根は背を向けて歩き出していった。
「阿久根先輩!」
「なら僕は逃げるまでだよ、尻尾を巻いて逃げるまでだ」
「先輩」
「なんだい?人吉君」
「次あった時に代わってなかったら、ぶち殺しますよ」
「上等だ」
そうして阿久根は階段を下りていった。
「で?いったいどういうことなのかしら?」
戦場ヶ原が善吉に問う。
「ああそうだな、まずは自己紹介といこうか」
「俺は
人吉善吉、箱庭学園の生徒会執行部だ」
「いかにもミニチュアが配置されてそうな所ね」
「関係ねぇよ」
その箱庭とは違う、と言っておく。
「そうね、私は
戦場ヶ原ひたぎ、直江津高校の三年生よ」
「年上かあ、じゃあ先輩だな戦場ヶ原先輩」
「そう呼ぶと私の後輩とかぶるからやめてくれない?」
ギッと睨みつけられ恐怖を覚えた。
(やべぇ……怖い女だな)
「怖い女じゃないわよ、失礼ね」
「心を読まれたっ!?」
「あら、図星なの?思ってそうな事を言っただけなのだけれども」
「下手な読心術使うやつよりはよっぽどおそろいしいよ」
「そう、ほめことばとして受け取っておくわ」
「ほめてねぇよ…」
本当に恐ろしい、めだかちゃんとは別の意味で恐ろしい。
「で?さっきの人とはどういう関係なの?」
ああ、やっぱりか。
「先輩だよ、本来はあんなことやりそうにない先輩なのにな……」
そう言うと善吉は立ちあがった。
「どうしたの?ヒトキチ君」
「なんかその言われ方懐かしいな、あと間違えやすいかもしれないが俺の名前は人吉善吉だ」
「失礼、噛んだわ」
「絶対にわざとだろ」
「へぇ…すごいわねなんでわざとって分かったの?あなたみたいな知能で」
「それ、すごく失礼な事言ってないか?」
気のせいよ、と戦場ヶ原も立ち上がる。
「じゃあ行きましょう」
「そうだな」
二人は、行動を共にすることになった。
(阿久根先輩…次に会ったら…元に戻ってくれよ)
【一日目/深夜/C-5マンション5階】
【人吉善吉@めだかボックス】
[状態]軽度の動揺
[装備]なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:戦場ヶ原と行動する。
2:めだかがいるのならば合流したい。
3:次に阿久根に会った時変わっていなければそれなりに対処する。
[備考]
※庶務戦終了後からの参戦です。
※「欲視力」は規制されてないようです。
【戦場ヶ原ひたぎ@化物語】
[状態]走った事による軽度の身体的疲労
[装備]なし
[道具]支給品一式、ランダム支給品(1~3)
[思考]
基本:殺し合いには乗らない。
1:人吉と行動する。
2:
阿良々木暦がいるのならば合流したい。
[備考]
※つばさキャット終了後からの参戦です。
◆ ◆ ◆
彼は歩いていた。
マンションから逃げてただ歩いていた。
「僕は……間違った事をしている……」
それくらいは分かっていた。
分かっているつもりだ。
「でも、やらなきゃいけない事なんだ」
もしめだかがいなければ、善吉を優勝させればいい。
「人吉君……死なないでくれよ」
そして、自分の大切な人の事を思い出す。
「めだかさんには、知られたくないな」
【一日目/深夜/D-5】
【阿久根高貴@めだかボックス】
[状態]健康
[装備]エピソードの十字架
[道具]支給品一式、ランダム支給品(0~2)
[思考]
基本:めだかを優勝させる(めだかがいなければ善吉を優勝させる)。
1:この周りを探索する。
[備考]
※庶務戦開始前からの参戦です。
最終更新:2012年10月02日 07:50