だがこの翌日には―― ◆rgd0U75T1.
荒野となった球場で、
暗闇の帳が降りた世界が華やかなはずの球場で息をする。
包帯を全身に巻きつけた二人の男が歩いてきた。
その先で彼らを待つのは最強の師弟、イチローと川崎宗則。
「待っていたよ。二人とも」
穏やかな笑みの奥でぎらつく眼光。
これこそが最強の戦士、イチローその人である。
包帯の男たちは同時に虚空にてバッドを産みだした。
「イチローさん、ここは僕に任せてください」
そう言ってバッドを強く握りしめ、
二人に対峙したのは川崎宗則。
「ジャマ ヲ シナイデ モラエナイカ」
電子的なカタコトの喋り方をする包帯男に川崎宗則は眉を顰めるが
イチローはわずかに口の端を持ち上げただけで何も言わない。
「じゃあ、始めようか。村田に吉村」
パチン、とイチローが甲高く指を鳴らすと
暗闇が一瞬で掻き消され、球場には歓声と照明が戻ってきた。
天にも昇る足踏みの地鳴りと熱狂によるジュール。
これこそが球場。イッツアベースボール。
イチローの眼光が吉村と村田を威圧する。
ッ!と息を呑んだのは隣の宗則。
ツヨサも名誉も兼ね備えたイチローの前で士気を維持できるものはそういない。
アア、とだけ答えた吉村と村田。
ベールを脱ぐと包帯に隠された彼らの姿がスポットライトに照らされてあらわになった。
えぇ!? というどよめきが球場を包んだ。
スポットライトの下で、吉村は金ピカに光っていた。
ボーシに隠れて吉村の眼はよく見えないが、確かに金ピカだった。
おお、凄い。それだけを感想程度に述べて、イチローもバットを抜いた。
ルイズ可愛いよルイズ。
「ニセンイチローインストール!!」
そう叫んだのは村田修一。
真っ赤な波動に包まれて、村田の潜在戦闘力が53万に跳ね上がった。
「金ヨシムラにイチローインストール村田か。
君達、どこでその力を身につけたんだい?」
「キエユク キョスウクウカン ノ ナカデ シニイク セカイガ クレタノダ」
吉村と村田は同時に観客席の一点をバットで示した。
「デテイク ヨロコビ ハ ジュウブン 二 アジワッタダロウ。
サア コイ! ウチカワ! カエッテコイ! ムカエニキタゾ!」
名指しで呼ばれた当の本人、内川は未だ戸惑いを隠しきれず、事態を把握しきれない。
だが、たった二人でイチローに立ち向かう姿を見て、消えたはずのベイスターズ魂がもたげてくるのを内川は感じた。
「勝てる。勝てるんだ! 勝ちましょう!!」
バットを抜き放って内川もまたベイスターズのユニフォームとともに球場へ飛び込んだ。
これは滅びかかったある世界。
人の可能性にほんのすこしの可能性を見た超AIノアが遺したギフト。
ベイスターズは、この日より、星のように輝かしい戦績を残していくこととなる。
【吉村 金化】
【村田 ニセンイチローインストール】
最終更新:2013年01月26日 07:41