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想いはどこまでも広がっていく ◆P2O1FPP.Gg




ガンマ=ハングドクロスは夢を見ていた。
自分がどこか遠い場所で、人を殺していた夢だ。

「……馬鹿馬鹿しい。そんな光景、今までに飽きるほどに見てきたというのに」

ガンマは逆十字軍という私設軍隊のトップを務めている。
世界を敵に回すことすら可能なその軍事力を以って――ガンマは、全人類の征服をその目的としていた。
何故彼がそんな大それた野望を掲げていたのか。
それは、彼の側近であるクラロスが――彼を傀儡として扱うために、洗脳といっていい教育を行なっていたからだ。
ガンマは物心ついた頃、とある機械仕掛けのカプセルの中へ入れられた。
彼をその中に入れたクラロスは、良い夢を見るための機械なのだと――彼をその中へと押し込んだ。

そして。そのカプセルの中でガンマは――人が人を殺すさまを、延々と見せられ続けたのだ。
恨みつらみのために。戦争のために。金銭のために。快楽のために。
銃殺を、絞殺を、刺殺を、毒殺を。
ありとあらゆる殺人行為を――強制的に見せられ続けた。
まだ幼かったガンマにとって、それは価値観を決定づけるに充分過ぎるほどの衝撃だった。

『人は、生きていてはならない』

ガンマは人間を憎んだ。憎み、世界からの抹消を望み、それが叶わないならばと全人類を自らの管理下に置こうとした。
その思想は、そう、スーパーコンピュータ=ノアの目的と一致する。
だからあの刹那の世界の中で、ガンマはノアの思想にもっとも准ずるキャラクターとして行動を――?

「……どうやら、まだ寝ぼけたまま目が覚めてないようだな。
 オレがゲームのキャラクターとして――なんて、そんなのはただの夢だ」

だが、どうしてだ? どうしてオレは、今――こんなに心が清々しい?
逆十字軍の世界侵攻開始は、既に秒読み段階に入っている。
下準備の最終段階として、『優良な兵士の確保』のために狼獣高校という落ちこぼれ――しかし、戦闘力は平均して高い――集団を制圧しようとしていた。
この学校の生徒達を逆十字軍の戦力として計上することが出来れば、ガンマの目的達成はより確実なものとなる。
スパイとして送り込んだはずのギャリック=ライダーが狼獣高校側に付いたのは誤算だったが、あくまで誤差の範囲。
徹底抗戦を謳う狼獣高校との全面対決を経て、ガンマは遂に世界を手に入れる――はずだった。

しかし今、その行動の根底にあったはずの人類の憎しみが、

「消えて……いるだと……?」

何が起こったのか、分かるものはいないだろう。
ノアはガンマを模して電脳世界の中に『ガンマ=ハングドクロス』というキャラクターを作り上げた。
それはあくまで一方的なクリエイト。『この世界』にいる『ガンマ=ハングドクロス』に対して、なんの影響もないはずの行動。

だが無限に連なるループの中で生まれた綻びは、不可逆を可逆に変えた。
とある少女の願いは“電脳の晶霊”の力を借りて、外の世界へ飛び出した。

少女が願った、忘れてほしくなかった想い。
人に愛され、そして人を愛する、想い。その形。
飛び出していったそれは、きっと、あのゲームが置かれていた世界だけではなくて――もっと、遠く。広く。


世界の壁を超えて。

次元の壁を超えて。


あなただけじゃなく、他の誰かの元へも届いて、少しだけその人を変えていく。
楽しいという気持ちが、世界を少しだけ幸せの方向へと変えていく。
世界の理不尽さも伝えながら、でもそれだけじゃないから世界は楽しいんだと、伝えていく。

あのゲームの中にあった色んな想いと願いが、広がっていく。

どんどん広がる。加速していく。そう、爆発的に――――――――――



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【テイルズ・オブ・モーメント 想いは広がっていく】


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最終更新:2013年01月26日 07:46