なお完成したゲームのゲームバランスは ◆Vj6e1anjAc
「は!? キャラデザ、ですか!?」
かのバトルロワイアル(仮)事件から、およそ数ヶ月が経った日のこと。
人気イラストレーター・溝口KG(もちろんプライバシー保護のための仮名)は、スタバで素っ頓狂な声を上げていた。
「そうなんだ。アークさんからのたってのお願いでな」
「聞けば溝口さん、貴方は弊社の『北斗の拳』を、大層熱心にプレイなさっているとか」
彼の向かい側に座っていたのは、電撃文庫の担当編集と、あのアークシステムワークスの社員の2人だ。
先日のロケテに参加した際に、溝口が来ていたことを知ったアークの社員が、どうやら彼の格ゲー趣味について、色々と調べてきたらしい。
結果、そのことが巡り巡って、アークの新作格闘ゲームのキャラクターデザイナーとして、溝口を指名してきたというのだ。
「ええ、まぁ、多少は」
「ニコニコ動画へ投稿された動画も拝見しました」
「いつぞやのアレだな」
「……はい」
多少トゲの生えた担当の声音に、溝口はしゅんとした様子で答える。
「(その動画が)担当さんに見つかったらワンチャン僕が浮かされるまである」とは溝口の言だが、どうやら本当に浮かされたらしい。
「溝口様が弊社のゲームを、それほどに愛していただけていることは、我々も大変喜ばしく思っております。
だからこそ、弊社の開発する新作ゲームのキャラクターを、溝口様にデザインしていただきたいのです」
「ええっと、僕に依頼するってことは、アルカナハートのような萌え格ゲーということでしょうか」
「その通りです。
不幸中の幸いという形にはなりましたが、あの事件がきっかけとなって、
再びゲーム業界に、アーケードゲームの波が押し寄せつつあるのは事実です。
これからアーケードシーンは、かつてそうだったように、熾烈な覇権争いを迎えることになるでしょう。
その激戦区を勝ち残るためには、様々なニーズを取り入れた、多様なゲーム展開が必要となるのです」
そして溝口KGには、その第一陣を担って欲しいのだと。
「貴方のゲームに対する愛情を、私達にお貸しください」
熱のこもった願いだった。
言葉は冷静なものだったが、アーク社員の下げた頭には、確かな情熱が感じ取れた。
それだけの明確な熱意を、この人は自分に向けてくれているのだ。
「………」
正直、涙が出そうになった。
1人の格ゲーマーとして、コインを投じた幾星霜。
積み重ねてきた強さと想いが、瞳の向こうでリフレインする。
いつの間にか絵を描き始め、いつの間にか大人になった。
絵を仕事とするようになってから、心のどこかの片隅では、こんな未来を思い描いていた。
それが今、目の前にある。
明確な熱と形を持って、夢見た未来がそこにある。
「……やりましょう!」
断る理由などなかった。
若干涙ぐんだ声で、溝口は力強く頷いた。
夢を夢のままにして、眺めているだけの日々は終わったのだ。
これまで積み重ねてきた愛の全てを、感謝と共にペンに込め、お返しする時が来たのだ。
足しげく通ったゲームセンターに。
切磋琢磨し合った修羅達に。
最高の遊び場を与えてくれた、アークシステムワークスに。
ゲーマー・溝口KGを支えてくれた、全ての人々に対して、恩返しをする時が来たことを、彼は確かに感じていた。
【溝口KG(ジョインジョイントキィのプレイヤー)@AC北斗の拳 新たな戦いのステージへ】
最終更新:2013年01月28日 15:38