原作設定を重要視するゲーム会社の鑑 ◆hqLsjDR84w
深夜の学校を背景にして、二人の学生服を着た少年が見合っている。
小柄なほうが織田敏憲で、ツンツン頭のほうが夜科アゲハであるのは、画面上に表示された名前から明らかであった。
「下品な有象無象は、高貴な俺のために死んでくれ」
左(1P)側にいる織田が名乗るのを待ち、右(2P)側のアゲハが一歩前に出る。
「俺の実験第一号になってくれる?」
言いながら手をかざすと、傍らに小さな黒い球体が出現した。
それこそが、彼の持つPSI能力『暴王の月(メルゼズ・ドア)』である。
凄まじい威力と無限の汎用性を持つ代わりに、使用者への負担が大きく、制御するのも難しい。
――という設定のはずだが、『暴王の月』を発現させたアゲハは平然としている。
どうやら、通常モーションの時点で出現しているものらしい。
『デデデデザタイムオブレトビューション バトーワンデッサイダデステニー』
「はァァ――――ッ!」
どこからか声が聞こえるや否や、アゲハは手刀で空を薙いだ。
その動作に呼応するようにして、『暴王の月』が一直線に飛んで行く。
織田は両腕で身体を庇うようにしてガードするが、弾かれた『暴王の月』が下段攻撃に変化する。
通常ガードでは防ぎきれず体勢を崩した織田に、さらに攻撃が続く。AIだけあってすでにある程度コンボを熟知しているようだ。
打ち上げられてしまった織田に、アゲハ自身が飛びかかる。
空中で軽い蹴りを二回浴びせてからのカカト落としで、校庭の柵(画面端)へと叩き付ける。バニシングストライクだ。
着地してすぐさまブーストゲージを消費して、ようやく体勢を立て直した織田の元に辿り着く。
「オマエはなにを言っているんだッ!!」
戦闘開始セリフ以外呻き声しか漏らしていない織田に言い放つと、アゲハを包むように黒い光が溢れ出す。
画面全体を一瞬ブラックアウトさせる派手な演出ののち、アゲハの身体は黒く染まっていた。
変化はそれだけではない。
『暴王の月』は巨大に膨れ上がり、さらにその巨大な『暴王の月』の周囲をいくつもの小さな『暴王の月』が回っている。
漆黒に染まったアゲハが手を前に出すと、膨れ上がった『暴王の月』は弾けて無数のピンポン玉サイズのものに分裂する。
「『流星(ランス)』」
無数の『暴王の月』のすべてが織田へと飛来する。
当たり判定が小さいため、いくつかは背後の壁に当たったが、それでも八割方命中した。
織田が仰け反ったところに、高速回転させた『暴王の月』を纏ったアゲハが飛びかかる。
織田が弾き飛ばされるも、すでに画面端だ。連撃からは逃れられない。
56ヒットしたところで、アゲハは再び巨大化させた『暴王の月』を撃ち出す。
それが57ヒット目となり、彼の身体は肌色へと戻った。オーラゲージを使い切ったのだ。
しかしアゲハは、勝利ボイスを口にしない。
相手の体力ゲージは、未だ数ドットくらいしか減っていないのだ。
ここで織田敏憲というキャラクターの説明をしよう。
彼は、この格闘ゲームのタイトル元ネタにもなった『バトルロワイアル』という小説に登場する。
その小説内において、彼は防弾チョッキにて命を救っている。
アークシステムワークスは、それを重要視した。
防弾チョッキを使って生き長らえたキャラクターである。
ならばゲームに登場させるにあたって、防弾チョッキを有効に使わぬ手はない。
つまりッ! 織田敏憲をやったら固いキャラとして作ってみて、ロケテに臨んだのだ――!
実稼働後もこの仕様なのかは、アンケート次第である。
なんならロケテ中に修正が入るかもしれない。
【G-5 学校(校庭)/一日目 深夜】
【夜科アゲハ】
[状態]:オーラゲージ尽きた
[装備]:『暴王の月(メルゼズ・ドア)』、他不明(あるかもしれないし、ないかもしれない)
[道具]:不明(あるかもしれないしないかもしれない)
[基本方針]:通常攻撃でオーラゲージ回収。
【織田敏憲】
[状態]:体力ゲージが数ドット減った
[装備]:防弾チョッキ、他不明(あるかもしれないし、ないかもしれない)
[道具]:不明(あるかもしれないしないかもしれない)
[基本方針]:立て直したい。
最終更新:2013年01月21日 02:39