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「これは侮ってたわ……」

“目の前”に映る光景を見てその男は呟いた。
ラオウをプレイヤーキャラとして選択した彼は、割りと格闘ゲームは好きだが特に名を知られてるわけでもない一般プレイヤーである。
今回のアークシステムワークスの新作ロケテストにも(どうせクソゲーだし)冷やかしで来たにすぎず、プレイする意思はなかった。
だがその場に居合わせたことで幸か不幸か栄えある最初のテストプレイヤーの一員に選ばれることになったのだ。

プレイヤーキャラであるラオウの視点から見るゲームの中の世界はまさに絶景だ。
ラオウは今、洋城の頂上に立っているが見上げればそこには満天の星空があり、見下ろせば精細にモデリングされた城下町が見える。
まさかアークワークシステムにこんな3Dを作り上げる能力があるとは、それこそ夢にも見なかったことだ。
どうせネオジオ64みたいなくっそしょぼい3Dなんでしょwwww2ちゃんでボロカスに書くわwwwwとしか思っていなかった。

「ちょまじ、神ゲーかもなぁ……まじで」

コンパネを操作しラオウを動かす。
まるで自分の身体のように動く。自分がラオウになったみたいに動ける。まじパなかった。アークのどこにこんな開発力があったのか。

「すげぇしwww」

いやまじですごい。なにこの技術。バーチャリアリティすぎるだろ。一世紀間違えてるだろ。すげーすげー。まじ神ゲー。
もうこのグラと操作だけで神ゲーって言っちゃうわ。こんなん絶対他じゃ体験できないもん。いやまじで。もう絶対に。てなもんだった。

「とりあえず敵探そ」

一通り操作を確認すると男は城の頂上からラオウをジャンプさせた。
ちなみに彼は普段AC北斗の拳をプレイしている人間ではない。
ラオウを選んだのは有名プレイヤーのK.Iが弱パン連打で勝ってるのを見たからだ。空ダでつっこんで弱パン連打でおk。すごい簡単。
まぁ、それはともかくジャンプしたラオウは空中をふわりと降りていく。そして城のバルコニーに着陸してバタンとダウンした。

「あ、やべ。落ちたらダメージかよ……って、はああああああああああああああああああ!?」

そして体力が半分になった。

「ちょ、まじで、ええ……降りるとこ他になかったじゃん。えぇ……なんか降り方あったの……? えぇ……、えぇ……」

少しクソゲかなと思った。
でも、気を取り直してプレイを続行することにする。理不尽なダメージだがクソというほどでもない。即死しなかっただけましだ。

「これどっから降りるのが正解なんだよ…………って」



『デデデデザタイムオブレトビューション バトーワンデッサイダデステニー』



「ザベルきた」

下を覗き込んでいると下からザベル・ザロックがデスハリケーンでバルコニーの上へと上がってきたのだ。
そして、ザベルがバルコニーに着地すると同時に乱入アナウンスが流れて格闘モードがはじまる。なんかトバルのクエストモードぽいなと思う。

「まぁ、こっちのほうがリーチあるし牽制振って当たったら飛び込みからでいけるっしょ」

とか舐めた口をきいてるうちにザベルが突進してくる。
地上ダッシュからの中足スライディング。ものの見事にリーチあるしで振った牽制の蹴りを潜ってクリーンヒットした。
だがダメージは浅い。そして続く小足は冷静にしゃがみガードする。ラオウが膝をついたが仕方ない。ラオウだって膝くらいつく。
膝をつかないラオウが見たいならお前が作れよ、あ? ってアークの人も言ってた(言ってない)。

ザベルの低空ダッシュからの中パンチがラオウの顔面にグサリ。

「見えねーし!」

ザベルの低空ダッシュからの中段は見えない。しかたない。小足をアドバしないお前が悪いわ。え? 北斗にアドバない? 知らんがな。
だがこのザベルはまだ有情だった。中パンチからのコンボは小足→中足→大足でおしまい。ダウン追い討ちもしなかった。
ザベルのしゃがみ強キックにダウン回避はできないが、男はすばやく反応して特殊起き上がりで即座に復帰する。

「まぁ、安いしー、永パでハメ殺してやん……あっ」

バックステップしたらラオウが落ちた。バルコニーから。

「クソゲだろこれはああああああああああああああ!! ハァ!? ハァ!? 喧嘩売ってんの? マジで俺に喧嘩売ってんの? ハァ?」

ラオウは死んだ。
男は台パンする。バンバンする。まるでトキが憧れた剛の拳みたくコンパネを殴った。ガンガン筐体が揺れる。バシバシ蹴ってもいた。
彼の気持ちわからなくもない。けっこう理不尽だったとは思う。でも言うほどクソゲーかな? グラはすごいって言ってたじゃん?

後、どんな理由があっても台パンはいけません。蹴ってもいけません。押すのもなし。煙草で焦がすのだけはまじでやめろ。やめろ。まじで。

「500円返せよまじでッ! 遊んでねーし! つかロケテならむしろこっちに金払えだし! これ仕事だろぉ、金余裕で要求できるわ……」

筐体から引っ張り出された男は、店員に囲まれると急にサーセン^^;な態度を取り出してそのまま店の外へと消えてしまった。
そして彼は出禁になった。多分、もう二度とこないと思うけど。






【ラオウのプレイヤー 出禁】






彼がいなくなった後のモニターの中ではやっぱりラオウは死んでいた。ぞしてザベルはデスハリケーンで普通に地上に降りていた。






【ラオウ@AC北斗の拳 死亡】

【J-8 城/一日目 深夜】

【ザベル・ザロック】
[状態]:体力ゲージ満タン
[装備]:不明(あるかもしれないしないかもしれない)
[道具]:不明(あるかもしれないしないかもしれない)
[基本方針]:わからん殺しでバンバン初狩りする。


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最終更新:2013年01月21日 06:09