技術・用語

・用語

日中合同プロジェクト

  • 登場:『無印』『暗黒』『化生』
  • "フォンは経産省の肝煎りで香港財界との合同プロジェクトを推進している真っ最中です"(『完全』p.98)
  • "フォン・コーポレーション。香港の実業界でも一、二を争う馮グループの日本総代理店であり、経産省の肝煎りで進められている日中合同プロジェクトの中核を担う存在である"(『化生』p.218)

ディアボロス

  • 登場:『無印』
  • "「ディアボロスの名は業界では絶対だ。例えばブルンジの脱出作戦。民族浄化を叫ぶ二千人のゲリラに包囲された村から、二百人の難民を脱出させた。一人の犠牲者も出さずにだ。正規軍すら見放して知らん顔をする中で、一傭兵部隊が不可能と思われた作戦をやってのけたんだ。あるいはシエラレオネの鉱山解放作戦。武装勢力が占拠するダイヤモンド鉱山を急襲して、強制労働を強いられていた人民を解放した。武装勢力は資金源の八〇パーセントを失い、崩壊した。ディアボロスは軍事上の輝ける伝説であり、その名は常に羨望とともに語られる。『奇跡のディアボロス』と。その最後の生き残りが、この男、姿俊之だ」"(『完全』p.222)

『キサンガ渓谷急襲作戦』

  • 登場:『無印』
  • "リベリアで追いつめられた反政府ゲリラが、政府高官の家族を人質に取って急峻な谷間に立て籠もった。キサンガ渓谷だ。そこにはたまたま鉱山跡の古い坑道が通じていた。それを知った政府軍は、谷の入口で陽動を行いつつ、坑道から一気に突入する作戦を立てた。ご想像の通り、こいつが罠だった。坑道内に仕掛けられていた爆薬で、政府軍の突入部隊は全滅した"(『完全』p.75)
  • "大昔の話だよ。俺も王兄弟も関わっちゃいない。だが業界人なら大抵の奴は知っている"(『完全』p.75)

『ムハーディラ』

  • 登場:『自爆』
  • "シリア、デリゾール県。イラクとの国境近く。ステップと砂漠の入り混じる高原地帯がユーフラテス川に向かってなだらかに下る一方で、溶岩流が洞窟や崖の多い複雑な地形を作っている。岩と砂礫のせめぎ合う不毛の狭間に『ムハーディラ』は設置されていた。ムハーディラとはアラビア語で元々は〈講義〉を意味している。そこはまさに講義の場であった。生徒の多くはイスラム圏出身のムスリム(イスラム教徒)。他にも世界中から留学生が集う。人種も言語も思想も宗教も単一ではない。唯一共通しているのは彼らがいずれもテロリストであるという点である。俗に言うテロリスト養成キャンプとはいささか異なる。強硬な反米路線を一貫して歩むシリア政府の、黙認というより実質助成のもとに運営される機関であり、世界中のテロ組織と複合的に連携している。主体はあくまでイスラム原理主義組織だが、様々なテロ組織からの訓練兵を受け入れていた。"(『自爆』p.270)

閖上復興支援特区

  • 登場:『暗黒』
  • "宮城県名取市閖上。古くから栄えた漁港は、二〇一一年の震災で壊滅的な打撃を被った。復興は遅々として進まず、周辺の瓦礫さえ大半が放置されたまま年月が過ぎた。そこで他県出身の政治家がぶち上げたのが[外国人誘致特区に関する特別法案]だった。復興支援の切り札として、閖上港を観光用に整備して外国人観光客の誘致に努める。むろんそれだけで観光客が来るほど甘くはない。誘致特区はまた<カジノ特区>であった。法案は可決され、多くの業者と金が閖上に流れ込んだ。しかしその大半は国や地元が期待したような善良な観光客ではなかった。以前の鄙びた漁港の空気は還ることなく、いたずらに治安と風紀が悪化した。(中略)裏切られた地元の怒りと世論の批判が高まった頃には、主導した政治家はすでに別の政党に鞍替えしていた。ホテルの建設ラッシュは止まったが、その結果、放棄された施設と、その以前から放棄されていた瓦礫とが残った。一部のホテルは今も営業を続けている。批判する住民側も特区がなくなればもはや生活が成り立たない。そうした地元の思惑と、出資者の利権とが複雑に入り乱れた結果、特区の指定取り消しも規制の強化もなされないまま今日に至った。かくして東北の漁港は多くの不良外国人が闊歩する魔窟と化した"(『暗黒』p.255)

犯罪対策閣僚会議

  • 登場:『輪廻』
  • "この事案を契機に、犯罪対策閣僚会議の下に担当課長級の作業部会が設置されることになった"(『輪廻』p.77)
  • "医療器具、それに武器密輸関連となると、警察庁、厚労省、経産省の他に、外務省、財務省、法務省が関わってくるが、犯罪対策閣僚会議の下であれば警察庁出身の内閣参事官が中心になって実務を担当することになる"(『輪廻』p.77)

<そのとき>

  • 登場:『化生』
  • "「あと五年、そう思っていたのが甘かったんだ。<そのとき>はもっと早くやってくる。認めたくはなかったが、今回の事案で確信したよ」"(『化生』p.214)

<痩せ犬の七ヶ条>

  • 登場:『暗黒』
  • 一つ、目と耳と鼻を決して塞ぐな
  • 一つ、尻尾は決して巻くな
  • 一つ、相手の目を惹かず、相手から目を逸らすな
  • 一つ、凍ったヴォルガ川よりも冷静になれ
  • 一つ、自分自身を信じろ
  • 一つ、見方を変えて違う角度から見ろ

蒲田一家四人殺し

  • 登場:『無印』
  • "蒲田一家四人殺し。有名な未解決事件である。一戸建て住宅で夫婦と幼い子供二人が殺された強盗殺人で、現場は酸鼻を極めるものであったという。容疑者につながる遺留品はついに発見されなかった。捜査本部はすでに解散している。由起谷が任官したのは事案発生の翌年であった"(『火宅』p.18)

サルバルシオン

  • 登場:『済度』
  • 備考:ベネズエラ湾発、ジャマイカ、キングストン経由、マイアミ行の貨物船


・技術

ピエゾ

  • 登場:『輪廻』
  • "ピエゾとは、一般に「ピエゾ効果」と呼ばれる現象を利用した圧電素子のことである。圧力を加えれば電荷を生じ、逆に電圧をかければ結晶の長さに変位が起きる。応答は非常に早く、また精密。硬質で荷重に強く、高トルク且つ省電力。古くからセンサーやインジェクターなど、様々な機器に利用されてきた。もちろん機甲兵装にも使われている"(『輪廻』p.72)

フォトニクス

  • 登場:『化生』
  • "電子、つまりエレクトロンを扱うエレクトロニクスに対して、光子、フォトンを扱う工学領域をフォトニクスと呼んでいます"(『化生』p.220)
  • "理論上、従来の半導体エレクトロニクスでは不可能だったレベルの、超高速で大容量且つ低エネルギーの情報伝達が可能になるとされています。ただしその前提として、高度な光デバイス、特に光半導体の開発が不可欠です"(『化生』p.220)

メタマテリアル

  • 登場:『化生』
  • "一言で言えば、<負の屈折率>を示す人工材料です。重要なのは三次元フル・フォトニック・バンド・ギャップ、すなわち光の閉じ込め効果を持つという点です"(『化生』p.220)

フォトニック・プロセッサ・コアの試作品

  • 登場:『化生』
  • "外観は直径一・五メートル、長さ六メートルばかりの、緩いS字型にうねったシリンダー状構造物。本体は意外と小さいようだが、計測装置や入出力装置で囲われて、見上げる者を圧倒するサイズになっている"(『化生』p.223)

生成槽

  • 登場:『化生』
  • "ライトバン二台分程度の大きさをした箱型の装置"(『化生』p.223)
  • "メタマテリアル対応の光造形デバイスで、一種の3Dプリンターと思われます。設計データ通りに立体的な光集積回路を生成し、コロイド状の高分子溶液を満たした槽内に、紫外光による超短パルスレーザーホログラフを何重にも精密投影して硬化させるわけです"(『化生』pp.223-224)

ナノフォトニクス

量子光学

キャビティQED

  • 登場:『狼眼』
  • "専門分野は「ナノフォトニクス」「量子光学」「キャビティQED」。"
  • "電子工学を指すエレクトロニクスに対して、光子工学をフォトニクスと呼ぶが、ナノフォトニクスはその名称通りナノ(十億分の一)メートルスケールでの光を扱う派生分野の一つである。従来のフォトニクスでは「伝搬光」、すなわち媒体中を伝搬する光を信号の担い手(キャリア)としていたため、回折が避けられず、微細化や機能の集積化に限界があった。ナノフォトニクスでは、光の波長よりも短いナノメートル領域でのみ観測される「近接場光」をキャリアとし、その間で起こるエネルギー交換「近接場相互作用」を信号として用いる。そのため回折限界が存在せず、この分野に大きな革新をもたらした。"
  • "量子光学は読んで字の如く、量子力学に基づく光のふるまいや光と物質との間の相互作用を研究する分野である。前述のナノフォトニクスが扱うナノメートル領域において、光子や原子を含むすべての粒子は量子的性質を示す。ナノフォトニクスデバイスの設計には量子光学に精通する必要があり、その測定や検出に用いる光学装置にもナノフォトニクスが欠かせない。"
  • "キャビティQEDは、"Cavity Quantum ElectroDynamics"の略で、「共振器量子電気力学」と訳されることが多い。微小な光共振器に閉じ込められた光と、それと相互作用する単一原子からなる系を「キャビティQED系」と呼び、そこで顕在化する光と物質の量子性を観測する量子光学のサブジャンルである。微細かつ高精度の共振器やその入出力デバイスに、ナノフォトニクスが用いられることは言うまでもない。"(『狼眼』pp.133-4)

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最終更新:2017年11月17日 18:54