機甲兵装
- "――機甲兵装を中心とする近接戦闘兵器が急速に発達した結果、現在では世界の対テロ戦略は大きな見直しを迫られています。特に市街地における二足歩行型有人兵器の有用性はもはや疑う余地はありません。――より機動性に優れた機種の対テロ特殊部隊への導入は、国家安全保障会議でも今後の主要な課題の一つとして位置づけられていますね。――その通りです。――では率直に伺いますが、機甲兵装を運用する組織の中で、現在最強の特殊部隊、対テロ組織と言うとどこだとお考えですか。(中略)――軍隊系ならまず合衆国陸軍のグリーンベレーやデルタ、海軍のSEALs、海兵隊フォース・リーコン。イギリスのSASといったところでしょうか。――有名ですね。――ええ、誰でもすぐに思いつくでしょう。それだけに実力は折紙付きです。警察系ならフランスのGIGN、ドイツのGSG-9、それに日本のSIPD。(中略)――ええ。この組織が使用する新型の機甲兵装は間違いなく最強の……"(『完全』pp.215-217)
傭兵
- "「変わったさ。俺達全員が。民間警備要員という名の契約社員にな。IC(インディペンデント・コントラクター)と自称する奴もいるが」"(『完全』p.194)
少年兵
- "少年兵。泥沼の内戦に明け暮れる中央アフリカでは、軍事勢力が村を襲っては幼い子供達を拉致し、洗脳、訓練して兵士に仕立てる。十歳にも満たぬ少年を麻薬漬けにし、少女を性的な奴隷とする。訓練の過程においては少年に自分の家族を殺させ、服従を試すと同時に後戻りできなくさせることもあるという。(中略)少年の暴力は衝動的で歯止めが利かず、戦争の目的がどんどん見えにくくなっていく。少年兵の存在が、紛争の残虐化、長期化の原因となり、解決を困難にさせている。親を殺し、兄弟を殺し、偏向した価値観と憎悪を植え付けられた彼らに明日はない。被害者であり、同時に救い難い加害者でもある。内戦が終結しても社会復帰は不可能に近い。スーダン、コンゴ、そしてウガンダ。LRAはいずれの国でもこの恐るべき戦争犯罪を継続的に行っている。ニ十世紀の末頃から国際問題になっていたが、機甲兵装の普及後もそれは変わらなかった。もともと兵器の軽量化が少年兵の増加を促したという側面があったのだが、搭乗者の致死率が高い機甲兵装の場合、使い捨てにできる少年兵のメリットはさらに増大した。「ゲーム機と同じでね、子供の方が習得は早いんだ」"(『輪廻』pp.67-68)
ベネズエラ
- "ベネズエラでは現在も移民の流入が続いている。コロンビアからの難民も多い。ことにサン・リベルラのような街には、食い詰めた労働者や他国から流れてきた凶悪犯があふれている"(『済度』p.91)
- "最強の個人用兵器である機甲兵装は、南米中に拡散している。(中略)南米には世界中から――特にロシアから――武器が流れ込んでいる。代わりに出ていくのが麻薬だ。FARC(コロンビア革命軍)をはじめとする武装組織は、みな一様に麻薬を資金源としている。地域の住民もまたその経済システムに根底から依存するようになっていた。恐ろしい貧困の中、麻薬によって生活を維持しながら、その利権をめぐって殺し合いに明け暮れる。そして国全体がさらなる貧困に落ち込んでいく。地獄を思わせる悪循環だ"(『済度』p.92)
東ティモール
- "東ティモールでもコーヒーは重要な輸出作物の一つだ。多くの農民達がコーヒーの栽培で生計を立てている。しかし止むことのない内戦で多くの農園が蹂躙され、荒廃した。その過程を嫌というほど目にしてきた。姿自身が踏みにじったコーヒー園も無数にある。悲嘆に暮れる農園主の顔も鮮明に覚えている"(『完全』p.129)
最終更新:2015年04月16日 18:59