屍人(しびと)
人が赤い水を体内に吸収し、その状態で死ぬか吸収量が一定を越えるかすると屍人化する。半屍人が流している血の涙は、赤い水と入れ替わりに自分の血を出している生理現象である。そもそも屍人は<神>に近づく経過の途中の形態であり、まずは人としての原型をある程度とどめた半屍人に変容し、海送り・海還りを行うことによって犬屍人・蜘蛛屍人・羽根屍人・頭脳屍人といった完全な屍人へと変化する。そして、いずれは赤い海の向こうに消え<神>になるとのこと。とは言ってもそれだけで本当に神になるわけではなく、赤い海と融合する=神の一部になるということ。 屍人化した人間は、いかなる傷を負っても治癒し、再生するため不死身の存在となり、その目には幻想的な風景が見えるようになる。そのため普通の人を見ると、自分たちと同じような素晴らしい世界に招き入れる為に、赤い水を飲ませようとして襲いかかる訳であって、ゾンビなどのように人間を食べる訳でない。ただし屍人からは、人間の方が化物に見えるようである。
屍人の中には、生前の名前が判明しているものがおり、戦闘能力が他の屍人より高いことが多い。作中ではプレイヤーに攻撃されて一時的に「死んだ」屍人は、ダンゴ虫のように丸まって動かなくなり、しばらくすると息を吹き返して立ち上がる。このため、拳銃で撃ち抜こうが、鈍器で頭を叩き割ろうが、心臓を杭で貫こうが、ガレキの下敷きにさせようが、一時的に無力化することはできても完全に抹殺することはできない上、首や筋肉を切断し、解剖しようがどうにかして再生する。「宇理炎」(うりえん)と呼ばれる神器でその身を焼き尽くすのが彼らを消滅させる唯一の方法である。
半屍人(はんしびと)
赤い水が一定量体内に入った状態によりなる屍人への途中の過程。肌の色が緑色に変色して行き、色が濃いほど屍人化が進んでいることが伺える。自分たちの集落を作っており、野良仕事や大工をしているものもいる。ほとんどの屍人が鍬や金槌、拳銃などの武器を持っており、プレイヤーキャラを見つけると襲いかかってくる。特に狙撃銃を持つ屍人はプレイヤーからは見えないような遠距離から攻撃をしてくる。生前の記憶をかすかに残しているため、点かない卓上ライターにあからさまに苛立ったり、生前の事に後悔したりと、ある程度人間らしい感情が残っており、屍人化が進むごとに人間的知性は低下してゆき、ボソボソとなにかを呟きながら徘徊したり、同じことを繰り返したりするようになる。基本的に、一度始まってしまうと屍人化を防ぐ方法は無く、ある呪いをかけられる事でのみそれを阻止することができる。
過去に一部の村人たちは半屍人化した後、他の生き残った村人たちを傷つけないために自ら貯水池に沈み、底で死ぬ事も出来ずにずっと屍人化に抗って苦しみ続けてきたが、宮田によってその苦しみから解放される。
犬屍人(いぬしびと)
赤い海へ海送りされた半屍人が変異する、いわば屍人の第二段階の一つ。女性だけがこの形態に変異する。這うような姿勢と頭から突き出た触覚が特徴で、頭脳屍人によって制御されて初めて行動することができる。犬のように地面を這うように高速移動する機動力と、家の屋根に軽く飛び上がる跳躍力を持ち合わせているが、扉を開け閉めする知能はすでに失われている。攻撃力が高く、脆い登場人物であれば、2発攻撃を当てられただけで死亡してしまう。
蜘蛛屍人(くもしびと)
赤い海へ海送りされた半屍人が変異する、いわば屍人の第二段階の一つ。男性だけがこの形態に変異する。四肢を張るように伸ばした姿勢と、逆向きにねじれて複眼の現れた頭部が特徴で、頭脳屍人によって制御されて初めて行動することができる。感覚器が鋭敏で、暗がりでの気配や微かな物音にも鋭く反応し、よじ登って壁や天井を自在に移動できるため、死角から忍び寄って奇襲を仕掛けてくる。しかし手が使えない為、扉の開閉や梯子の上り下りなどが出来ない。特別な屍人を除くと、完全な屍人の中でも復活は早い。
羽根屍人(はねしびと)
赤い海へ海送りされた半屍人が変異する、いわば屍人の第二段階の一つ。この形態に変容する条件として性別が関係あるのかは不明(ただしゲーム中に敵として登場するのは男性のみ)。甲殻類のような頭部と、背中から生えた鈴虫のような4枚の羽根が特徴。短銃や猟銃で上空から攻撃してくるため、飛び道具を持っていなければ基本的に撃退することはできない。頭部は甲殻類と発達した顎の二種類。
頭脳屍人(ずのうしびと、ブレイン)
人間狩りを任務とする屍人を束ねる存在で、それぞれ数体の犬屍人・蜘蛛屍人・羽根屍人を統轄する屍人の第二段階の一つ。外観的には他の(完全な)屍人とは違って人間の姿をかろうじて残しているものの、頭部は個体ごとにさまざまな形態に変容しているのが特徴。頭脳屍人が倒されると、その間に犬屍人や蜘蛛屍人、羽根屍人は行動不能に陥る。人間より知性の劣る屍人の中で、頭脳屍人は半屍人と同じく、人間だった頃の記憶をおぼろげに残している者も存在し、生前の言葉をある程度理解し使うことができる者もいる。戦闘能力は他の屍人に比べると劣る(稀に強いものもいる)ため、人間が近づくと全力で逃げ出す者が多い。どのような条件で頭脳屍人になるのかは不明。ゲーム中では「ブレイン」という振り仮名が当てられており、発音するときはそのように呼ぶのが正確なようである。
堕辰子(だたつし)
この世とは異なる別の世界から落ちてきた<神>の一種。
かつて羽生蛇村の村民がその肉を喰らったことから、村に呪いが降りかかる事になった。日光を極端に嫌い、わずかに曝されただけで身を焼かれる。そのため堕辰子を迎える場である屍人ノ巣は一番奥の層には日の光が届かないようにしている。
日に4回聞こえるサイレンの音は堕辰子の鳴き声で、村に溢れる赤い水は堕辰子の血である。堕辰子の首は神の花嫁の儀式を行うための御神体で、冒頭で美耶子に破壊されたが、別の時間から来た比沙子が持ってきたことにより、儀式は再び行われることとなる。美耶子が完全な生け贄になると思われたが、須田に血を分け与えていたために儀式は失敗、堕辰子は不完全な復活を遂げ暴走する。その後は牧野(宮田)に屍人ノ巣を破壊されたことで日の光を浴びて瀕死状態となり、"いんふぇるの"へ逃げ出す。そして比沙子が自らの実を捧げたことで完全体へと変貌。須田と激突するが、宇理炎で再び身を焼かれ"木る伝"を宿した焔薙(日本刀)で首を落とされて敗北。その首は比沙子と共に首を必要とする時代へと運ばれることとなる。
最終更新:2019年03月23日 16:18