ゆっくらいだーディケイネ 第3話

『ゆっくらいだーディケイネ』



これまでのゆっくらいだーディケイネは!

○れいむ・まりさ
「どうせ何の役にも立たないだろうから」という理由で留守番を命じられた。
と言うより、言われなくても留守番する気満々だったようだ。現在はお茶を飲みながらゆっくりしている。
○みょん
前回想像以上の間抜け振りを見せたしらたまろうのボケ兼庭師。なんと春雪異変に今まで気づいていなかった。
現在はディケイネとの戦闘で壊れた(主にディケイネが壊した)屋敷の修復中。
○ゆゆこ
クソ寒い中カキ氷を食べながら『ザエさん』をマラソンで観ていたというある意味すごいゆっくり。
紅里がしらたまろうを発った後、特にすることも無いので視聴を再開した。
○紅里
異変の原因はどうせ東方妖々夢と同じだろうとヤマはってしらたまろうに来てみたら見事に外れた。
しらたまろうから見えた、別の山のてっぺんにある塔のようなものを調べに行っている。
○映姫さま
描き手によってちんまい体型だったりアダルティーでセクスィーな体型だったり、ですます口調だったりそうでなかったりする不思議な人。
どちらにせよ魅力的なのは変わらない。花映塚では後姿がチャーミングすぎてもう弾幕どころじゃない。
このお方に説教してもらえるなんて、幻想郷って素晴らしい所ですよね。
ちなみに前回の話には特に関係ない。




第3話 吹雪裂く翼



素人が冬の雪山を下山し、別の山に登る。無謀な事のように聞こえるが、別にそうでもない。フィクションなんで。
そんなわけでしらたまろうを後にした私は、あの時見えた塔のようなものがある山に登った。ちなみにシロップは家においてきた。
山頂にあったそれは…

「これは…塔じゃない?」

縦に長く、遠目からは塔かビルのように見える。しかしこうして近くで見ると、建築物とは明らかに違う。

「何かの装置…?」
「その通りよ!」

声がした方を振り向くと、一人のゆっくりが氷の羽をぱたぱたさせながら降りてきた。
青い髪と目、氷の翼。ゆっくりチルノだ。

「これはあたいが、7人の河童達にきゅうり6本で作ってもらった冬継続装置…」
「7本あげなさいよ。1本足りないでしょ」

しばしの沈黙の後、チルノは「はっ!」とした顔になった。馬鹿だコイツ。

「で、なんだってこんなモン作らせたワケ?」
「ふふん!最強のあたいの考えが理解できるわけないわ!時間の無駄よ!」
「教えてよ『最強』」
「仕方ないわね!教えてあげるわ!」



雪が降り、冬が始まるその時期を、あたいはいつも楽しみにしていた。

「レティ!久しぶり!」
「ウフフフ……一年ぶりね、チルノ」
「そうだね!ゆっくりしていってね!」

一番の友達、冬のゆっくり・レティ。
冬の始めにやってきて、冬の終わりに去っていく。

「レティ、行っちゃうの…?」
「また次の冬に会えるわよ…それまでゆっくり我慢してね。チルノは最強なんでしょう?」
「…当然よ!あたいは最強なんだから!一年くらいどうってことないわ!」

それでも毎年訪れる別れは辛く、苦しいものだった。
しかしある時、こんな張り紙を見つけた。

『河童の一団が季節を固定する装置を発明。連絡先はこちら→』
「読めない!」
「読んであげようか?」
「お願い!」

そしてあたいは河童達にこの装置を作ってもらって、冬を終わらせない状態を作ることに成功した…



「というわけよ!」
「『雪が』まで読んだ」
「最後まで読んでね!」

要は冬が終わると去っていく友達と一緒にいたいから冬が終わらないようにしたって事か。傍迷惑な。
…ん?けどちょっと待て。

「そのレティはどこ行ったのよ」
「この中よ!」

そう言ってチルノは装置の方を指した。

「この装置は中に冬の力をもつゆっくりが入る事で動作するのよ!」
「それだったら装置が動いてる間中レティと一緒にいられないんじゃない?要は閉じ込められるんでしょ?」

しばしの沈黙の後、チルノはまたも「はっ!」とした顔になった。本物の馬鹿だコイツ。

「レティーーーーーー!」
「解ったらとっとと止めなさい。冬以外会えなくなるったって、今のままじゃ永遠に会えないでしょ」

チルノはぴよぴよ飛んで装置の一角へと向かった。あのへんに制御装置があるらしい。

「…あれ?」
「どうしたの?」
「止まんない。なんで!?」

チルノはがちゃがちゃと装置をいじっているが、一向に止まる気配は無い。
こいつ馬鹿だから操作方法忘れてんじゃないのと思ったが、覗いてみたところ操作パネル(のようなもの)にあるスイッチは
『起動(きどう)』『再生(さいせい)』『早送り(はやおくり)』『録画(ろくが)』『予約(よやく)』
の5つしかない。ビデオデッキか。
何にせよ『停止』的なスイッチは最初から付いていないようだ。

「これは一体…」
「これを止めてもらったら困るのよ!」
「誰!?」

声のした方を振り向くと同時につい雪玉を投げてしまった。
だがその声の主は雪玉をぱくりと飲み込んだ。

「むーしゃ♪むーしゃ♪しあわせー」

一応言っておく。シロップはつけてない。

「冬属性のゆっくりがレティだけと思わない事ね!このまま冬が続くのは私にとって都合がいいのよ!パネェのよ!
河童達をきゅうり7.5本で買収して停止スイッチを外させた甲斐があったってもんだわ!」
「『.5』って何?半分ってこと?」

そんな半端な真似しないでどうせなら8本あげなさいよと思ったが、人数分以上渡しているのでチルノよかマシか。

「…あ、アンタ!あの時張り紙読んでくれたゆっくりね!」


「読めない!」
「読んであげようか?」  ←こいつ
「お願い!」


「そうよ、私はウィノス。レティと同じ冬のゆっくりよ!この『冬冬マッスィーン』の稼動に冬のゆっくりが必要だと言われた時は
どうしようかと思ったけど、そこの馬鹿が上手い事ダマされてくれて助かったわ!」
「あたいをダマしたって言うの!?」

なるほど。全ての元凶はこのオリキャラってわけね。多分書き手の力量不足のせいだろうけど、ペラペラ自白してくれて助かったわ。
それにしても…

「他人を騙して労せず目的を果たそうだなんて、随分とみみっちいじゃないの。私そーいうの嫌いなのよね」


※第2話より引用
おそらく異変の原因はあの塔だろう。しかしわざわざ私が行くのは面倒だ。
その点この間抜けすぎるみょんならば、上手い事騙されてぶつくさ文句たれながらでも行ってくれるだろう。
労せずして異変を解決する事が出来る。私の計画は完璧だ。(by紅里)
※引用ここまで


「ってワケで、雪景色ももう見飽きたし、あのアホしばくんなら加勢するけど…どうする?」
「聞かれるまでも無いわ!あたいをダマしてレティを閉じ込めたあのゆっくり、最強のあたいがぶっ飛ばしてやるわよ!」
「OK、決まりね。変身!」
『ユックライドゥ!ディケイネ!』

ネックレスを使ってディケイネに変身する。チルノの方は、周囲に氷の弾丸を生成し、攻撃態勢に入っている。

「いきなり行くわよ!」
『スペルライドゥ!産霊「ファーストピラミッド」!』
「ゆっくりしね!」

私とチルノは同時に攻撃を開始した。無秩序に飛ぶ氷の弾幕とピラミッドの形状から展開される弾幕が合わさってウィノスへと飛んでいく。
しかし…

「雪見大福のように…甘い!ゆっくり落ちてってね!『エターナルウィンターブリザード』!」

猛烈なブリザードが巻き起こり、弾が次々と叩き落されていく。結局、ヤツの元へ到達した弾は一つとしてなかった。

「なんてヤツよ…あの場から一歩も動かずにあれだけの弾を、力づくで…」
「最強のあたいの氷を叩き落すなんて…!」
「ゆーっゆっゆっゆ!冬に冬のゆっくりに敵うわけないじゃない!馬鹿なの?死ぬの?」

そう、あのダッセェ名前の装置のおかげで今は冬。冬属性のウィノスの力は何倍にも増幅されているようだ。

「今度はこっちの番ね!」

防御のために使われたさっきのブリザードが、今度は攻撃手段としてチルノとディケイネに襲い掛かる。
寒気と共に迫り来るのは雪と雹の大軍団。

「ぐぅッ!」
「ゆわあっ!」

回避不可能のブリザードを全身に浴び、二人は大きく吹っ飛ばされた。

「ゆっゆっゆ、これで解った?冬にこの私に勝つなんて、絶ッッッ~~~~~~対にできないのよ!」

高らかに勝利を宣言するウィノス。だがその言葉に反し、チルノはゆっくりと起き上がった。

「そんなの…解るわけないじゃないッ…!」

やがてディケイネも同じように起き上がる。

「コイツはもちろん…私も結構馬鹿みたいなんでね…」

再び戦闘態勢をとる二人。だが結果はさっきと同じ…いや、ダメージを負っている分攻撃も防御もさっきより弱体化していた。

「何度きたって無駄よ!無駄無駄無駄無駄よ!」
「ごちゃごちゃうっさいわね…」
「あたいは最強なんだから、いつまでもやられるわけないでしょッ!」

しかし状況は好転しない。

「だから、無駄だって言ってるのが解らないの?馬鹿なの?モノホンなの?」

挑んでは潰されて。

「何度も何度もしつこいわよ!ゆっくり学習してね!」

傷だけが増えていき。

「いい加減、ゆっくりしね!」

やがて、ディケイネが伏したまま起き上がらなくなった。

「…ようやく解ったみたいね。チルノ、アンタはまだ起き上がるの?」
「当たっ………り前でしょっ……………あたいはっ……………最強っ……………」
「その台詞も聞き飽きたわ」

そして再び倒される。倒されるたび起き上がる。
そしてまた倒される。
起き上がる。倒される。
倒される。
倒される。
倒される。
それをもう何十回繰り返したのだろう。傍目から見れば状況はどう見てもウィノス優勢…だが、何度倒れても起き上がるチルノに、
ウィノスの精神は逆に追い詰められていた。

「ちょっ…ちょっとアンタおかしいわよ!なんでまだ動けるのよ!」
「……………」

チルノはもはや口も聞けないくらいボロボロだった。ゆっくりの耐えられるダメージ量をとっくに超えている。
だがチルノは起き上がる。
氷の特性を持つチルノには寒気のダメージこそ無いものの、雹による物理ダメージは通用する。
それが蓄積され、身体には無数の傷が刻まれて、青いリボンもズタズタに切り裂かれていた。
それでもチルノは起き上がる。
倒されるたび、起き上がる。
屈することなく。
諦めることなく。

「なによコイツ!なんなのよ!」
「………アンタにゃ解んないでしょうね!」

見ると、長らく動かなかったディケイネまでもが再び起き上がっていた。

「悪いわねチルノ、ちょっと休ましてもらったわ。だいぶ雪食っちゃったわね…シロップ持ってくりゃよかった」
「何よ!何が『解んない』っていうの!?」

ディケイネは口に入っていた雪をぺっと吐き出し、チルノの方を向く。

「…コイツは自分の馬鹿のせいで、自分が騙されたせいで他の多くのゆっくりを、動物を、人間を…
そして何より大切な親友をゆっくりできなくした。弱いやつならそれが分かった時点で心が折れてるわ。
怒りに任せて、騙したやつに向かっていってもこれだけ圧倒的な力で何回も叩きのめされれば、普通とっくに諦めてる。
でもコイツは折れなかった、くじけなかった、諦めなかった。なぜなら…」
「あたいは……………」

チルノの瞳に宿るのは。

「…………『最強』だから……!」

冷たいその身体とは正反対に、熱く燃える不屈の炎。
『最強』…それは何ものにも屈せず、挫けず、諦めない存在。絶対的な力で全ての障害を打ち破り、全てのものをゆっくりさせる存在。
チルノはそう考える。
チルノはそう信じている。
だから何度も起き上がる。馬鹿と愚かと言われようとも。

「…ふん、だから何よ!要は根性論でしょ!そのうち体のほうに限界が来るわ!
とっとと諦めなさい、認めなさいよ!この吹雪舞う中での真の最強は私なのよ!」
「さぁ…そいつはどうかしらね?」

ディケイネのポシェットから3枚のメダルが飛び出した。

「いーかげんオリキャラの台詞書くのも飽きてきたわ。一気にキメるわよ!」
「………う?」

その内の1枚をネックレスに挿入する。

『ファイナルフォームライドゥ!チチチチルノ!』
「ゆっ?ゆゆっ?」

チルノが見せた『最強の証明』…それに応えるかのように新たな力が発動する。
チルノの身体が変形し、巨大な6枚の氷の翼となった。ディケイネはそれを背面に装着する。

『これは………氷雪系最強!大紅蓮…』
「違う!いや、でもまぁ…」
「何かわからないけど一体になったのは好都合だわ!もうホントいい加減ゆっくりしね!」

再びウィノスの攻撃が迫り来る。しかし放たれた雪と雹は全てディケイネに到達する前に凍りつき、落下していった。

「ゆっ!?」

ウィノスは驚愕する。無理も無い。雪や雹が『凍る』などというデタラメな現象が起こっているのだから。

「『最強』って所は合ってるかもね…。覚えときなさい、極低温は」
『完全静止(パーフェクトフリーズ)の世界よ!』

そしてうろたえる。当然だ。さっきまで自分がやっていた絶対防御を相手も使っているのだから。しかも、明らかに違うレベルで。
ディケイネは飛翔した。その氷の翼で、吹雪の中を切り裂いて。
装置の上に乗っていたウィノスよりも更に高い位置に到達すると、さらにもう一枚のメダルをネックレスに挿入した。

「さんざ好き勝手やってくれたけど、これで終わりよ!」
『ラストスペルライドゥ!チチチチルノ!』

凍 符 「 コ ー ル ド デ ィ ヴ ィ ニ テ ィ ー 」

極限まで高まるチルノの氷の力。極低まで下がる周囲の空気。
顕現する冷気の神の力、凍符「コールドディヴィニティー」!
無数の氷塊が空中に生成され、一斉にウィノスに襲い掛かる。

「こんなもの、私の吹雪で…」

今までと同じようにブリザードによる防御を試みるが、射出された氷は全くその勢いを緩めない。
速度は落ちず、軌道は変わらず、隕石のように一直線に飛んでいく。まるで吹雪など吹いていないかのごとく。

「ゆわあああーーーーーーーっ!」

まさに雨あられといった勢いで降り注ぐ氷塊はウィノスと、装置に次々と衝突しその両方を完膚なきまでに叩き潰した。
後に残ったのは崩れ去った装置と、目を回して気絶し雪面に転がっているウィノス。
ディケイネはそこへゆっくりと降下し、雪面の少し手前でチルノと分離する。ディケイネとチルノ、両者は雪の上にぽふっと着地した。

「あたい達ったら…」
「…最強よね」





現況である装置が破壊された事によって、長く続いた冬は終わった。
レティも無事に中から助け出され…そして今、冬と共にいずこかへ去ろうとしている。

「レティ、ごめんね…あたい、自分の事ばっかり考えてレティやみんなをゆっくりできなくしてた…全部あたいのせいだ…」
「…そうね、全部チルノのせいね」

レティはゆっくりとチルノに近づく。叱られる、おしおきされる。そう思ってチルノはきゅっと目を閉じる。
しかしレティは叱りもせず、おしおきもせず、チルノの額に自分のそれをぴとりとくっつけた。

「今回の件は、全部チルノのせい。反省しなさい。そして、二度と同じ事を繰り返さないようにしなさい。
季節は毎年繰り返す。でも、罪を繰り返す必要はどこにもないわ。出来るわよね?チルノは、最強だものね」

レティはチルノからそっと離れる。チルノは目を開き、自信満々に笑った。

「当ったり前よ!」
「ウフフフ………それじゃあチルノ、また次の冬に………」

そう言い残して、レティはゆっくりと去っていった。未だに目を回しているウィノスを抱えて。

「さてと…じゃ、私もそろそろ帰るわ」
「…アンタも行っちゃうのね」

続いて紅里も別れを告げる。一日にも満たない関係だったが、共に戦ったチルノは確かな絆を感じていた。

「また会える?」
「そりゃ分かんないわね…なに?寂しいの?」
「寂しいわよ!でも…」

悲しみを吹き飛ばしてチルノは笑う。先ほどと同じように。

「我慢するわ!あたいは最強だから!」

つられて紅里も笑って、背を向けた。
これから先どんな脅威が訪れようと、この世界の住人達がゆっくりできなくなる事は決してないのだろう。
この世界には、『最強』のゆっくりがいるのだから。

「縁があったら、また会いましょ」

そう言い残して紅里は去っていった。



一人取り残されたチルノ。
冬の間だけの親友と、奇妙な出会いを果たした戦友と同時に別れ、寂しさから涙が出そうになる。
しかし決して泣いてはいけない。なぜなら最強なのだから。

「…ぅぅぅ………ぅぁぁぁぁん…………」

そうしていると、どこからともなく泣き声が聞こえてきた。声を頼りに飛び回り、チルノは泣いているゆっくりを発見した。

「どうしたの?」
「…ぅぇぇ………おさるさんに………リボン……とられちゃった………」

よく見ると、そのゆっくりの綺麗な緑色の髪には少し乱れている部分があった。
冬が終わってテンション上がった猿のいたずらとか、そんなところだろう。

「任せなさい、あたいが取り返してやるわ!」
「むりだよぉ………できっこないよぉ………」
「出来るわよ!なんたって…」

なんとかと煙は高いところが好きだと言う。その言葉通りチルノは意味も無くそこらにあった岩の上に乗っかった。
そして高らかに宣言する。自信を持って、誇りを持って。

「あたいは『最強』なんだから!」

そう、それは。
チルノに新たな親友が出来る、チョッピリばかり前のお話。



「ただいまー…」

自宅に戻った紅里は、ものすごく疲れていた。山に登って下りてまた登って戦って、んで下りて。もうクタクタだった。
そして留守番をしていた二人はと言うと…

「「ぜっとぜっとぜっとぜっとぜっと…」」

つけっぱのテレビの前で、毛布に包まって何やら間違った寝息を立てていた。

「水木一郎じゃあるまいし…まったく、人が苦労して戦ってきたってのにコイツらは」

アニキだって「ぜっとぜっと」なんて寝息は立てない…と思います…たぶんだけど…。
ため息が出る。いやしかし、コイツらがついてきた所で余計疲れただけであろう事を考えると何か怒る気にもなれなかった。
というか、疲れでそれどころじゃなかった。雪でビショビショになった服を脱ぎ捨て、寝間着に着替えて布団に入る。
冬も終わった事だし、明日は洗濯でもするかとか考えながら、ゆっくりと目を閉じた…。



「……………うあー…」

寝覚めは最悪だった。寝間着は汗でぐっしょりと濡れている。
雪ばっかり見てたせいですっかり忘れていたが、今はもう初夏。布団かぶって寝るには流石に暑い。
見ると、毛布に包まって寝ていたゆっくり達もうなされていた。そんな状態でよく寝ていられるな。さすがゆっくりと言ったところか。

「せまるぅー………初っ夏ー………」

まりさが寝言で歌った歌に「上手い」と思いつつ、カーテンをシャッと開ける。

「…あー…洗濯はまた今度になりそうね」

雪の白は綺麗さっぱりなくなっていた。
代わりに視界を埋め尽くしているのは、紅。
カーテンの向こうに広がった世界は、辺り一面真っ赤な霧で覆われていた。

-つづく-




書いた人:えーきさまはヤマカワイイ

この作品はフィクションです。ゆえに実在する人物だのなんだのとは一切関係ないんじゃないかと思います。


  • やっぱりチルノはいいわ~
    大紅蓮~はイメージしやすい例えですことw -- 名無しさん (2009-06-02 09:49:01)
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最終更新:2009年08月10日 22:04