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「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!もっちょゆっきゅりしようにぇ!」
いや、確かに俺も眠いからそうしたいんだが
―…ちゃんとバイトに行かんと俺もお前も来月から全くゆっくりできなくなってしまうぞ?
「ゅぅ」
―まぁゆっくり留守番しててくれ、んじゃいってきま。あ、ちゃんとメシ食っとけよ
「わきゃっちゃよ、いっちぇりゃっしゃいにぇ…」
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ちょっと前の見送りはかんなり盛大な大声だったんだが、最近はぐずって威勢がない…
どうも近頃れいむの具合が芳しくないようだ。
つっても病気って訳じゃない。
こないだのちぇんとらんを見て以来、俺がいない間ひとりぼっちな事がさびしくなったらしい。
子供には無理もない話だ
とはいえ、あいつの家はバイト先と全く逆方向すぎて毎回は連れていけんし、
託赤ゆっくり所は良い所が近くにあるが月謝が払えんし、
こないだのゆかりはれいむを気に入ってそうだったんだが、あれから見ないし。
―さて、どうしたもんかな…
◇
パートさんはブタクサにやられ、チーフは会議……今日、ここ俺しかいないのかよ。
人増えたから大丈夫だと思ったんだが、仕方ないか…
さて、始める前に『アレ』を点検せにゃ
時に最近、二ヶ月くらい季節が早い気がする…五月なのに夏っぽい。
調理場は避けて通れない「G」
知ってるか?奴等は夏の季語だ
捕縛トラップの業務用は市販の物と違って屋根が無く、飛来するGにも対応する万能型だ。
※※
―…とりあえず室内はゼロか、この結果を信じたい。
あと残りは外だ。
店の二階に位置する調理場の外はベランダ
室外機が並び、熱が集まりアレも集結しやすいんで非常に効果的…ん?
は何かかかってるようだが、なんだろ…すずめか?
カララッ
「ゆ…ゆっ!…ゅう…」
窓を開けるとそこには、まだ子供のゆっくりあやが粘りと戦っていた。
―大丈夫か?
「ゅぅ!に、にんげん!」
―別に取って食いやせん
「ゅ…ゅっくりしたい…よぉ!」バタバタ
―とりあえず動くな、はがしてやる
「やぁ!やぁ!!」バタバタ
…ずいぶん怯えられたもんだ。今時、野良でも珍しいくらい人間に慣れてない。
「たすけてぇ…ゅっゅっ!」バタバタ
―動くと余計粘るぞ、ちょっと我慢しろ
「…ゅぅ…」
しかし、はがすと皮が破れるが、その部分は削らんといかんな。
とりあえず小麦粉と…駄賃で貰ったオレンジジュースもあったな。あと‥
「はい、ちるのちゃんこれお願いね」
「あいしきゅるふぉーる!」カチン
「はい、ありがとうね」
「あたいっちぇばゆっきゅりね!」
…使える。
―ちるの緊急事態だ、来てくれ
「ゅ!ちゅいにあたいにょほんりょうはっきね!!」
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必要なモンはそろった。
―ちるのなるべく上を凍らせてくれ
「がっちぇんね!」
「ぃたぃの…ゃだぁ!」
―泣くな。安心しろ、ちゃんと大丈夫にしてやる。頑張ったら褒美をやろう
「ゅ…?」
「あいしきゅるふぉーる!」
◇
◇
ん…小麦粉も馴染んだし、後は起きてからだな。
「あたいっちぇばひんやりね!」
案の定、ちるののパワー弱めの冷凍は砕ける心配のない適度な麻酔になった。
―ご苦労さん、今度チロル買ってやる
「ち♪ち♪ちりょるは、すいすぎんきょうによろしきゅ!」
―あいよ
さてと、ちゃんとお仕事も片付けますかね…
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「…ゅ…ゅ?」
お、溶けた
「!!…やぁ!や!」
―動けるな トクトク これ飲んどけ。
「…?」
グビッ… ―ほれ、大丈夫だ。個人的に100%は好かんがな。
「……ぺろ、あまあま…こくこく、こくこく♪」
―外のあれは回収したからもうかかる心配は無いぞ。
「ゅ」コクコク
―すまんな
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それからようやく落ち着いたあやは、しばらく休んだ後に帰っていった。
なにやらその時「このごおんはわすれないです」とか言ってたな…示談でもありがたいが。
まぁ、こうゆうのも縁だろう、期待せず覚えとく事にする。
さーて…まだチーフ帰ってこないよ。こりゃサービス残業だわな…
by『とりあえずパフェ』
最終更新:2009年09月20日 00:49