ゆっくり愛で小ネタ21 ゆっくりとの怖い話




そう、魔理沙にはゆっくりれいむがいつ現われたのかわからなかった。
「随分しつけが行き届いてるんだなー。」
「ゆ!かしこくてごめんね!」
魔理沙は辺りを見回した。そして。
「おーい、寝るなー。追いつかれるぞー。」
「……あ。見つかっちゃたか。」
障子の裏でうとうとしている霊夢を見つけた。
「あーもう。こんなに早くバレるとは思わなかったな。……ふぁぁ。」
「本当に寝不足か……。にしても、なんでこんなつまらん悪戯なんかしたんだ?」
「これよ、これ。」
そう言って霊夢が魔理沙の方にほうったのは、
『現代の怖い話』と書かれた本だった。
途端にゆっくりれいむが
「ゆ!?魔理沙おねえさん、さっさとそれをしまってね!!!」
と震え出した。うっすらと泣きかけている。
「はいはい、怖がらないの、れいむ。」
霊夢はゆっくりれいむを抱き抱えて、頭を撫で始めた。
「……ははぁん。そうか、お前らが隈作ってんのは、それ読んで眠れなかったんだな?」
霊夢は如何にも図星という顔をして、目を逸した。
「ああいう力押しな連中とはまた違うのよ。こう……心胆を寒からしめる感じ。」
「えたいのしれないこわさがゆっくりおそってくるよ!」
「へぇ。」
魔理沙は適当な相槌を打って本をつまみ上げた。
「取り敢えず、これはお前にそんな古臭い言葉を言わせる程怖かったのか。」
「そ。だから恐怖のお裾分けでもしようと思ってね。」
「れいむとおねえさんでおどかしたんだよ!こわかった?」
いや、シュールだったぜ。と言いかけて魔理沙は止めた。


しばらくして家に帰った魔理沙は、死ぬまでのあいだ借りることにした例の本を読んでいた。
怖いというか、オチが利いているだけというか。霊夢が悪戯の元にした話も、それ程怖いとは思わなかった。
「ゆ?!おねえさん、なによんでるの?ありすにもよんでくれないかしら?!」
飼っているゆっくりありすが、飛び跳ねながら興味深そうに覗こうとしていた。
「これは怖い話。――夜眠れなくなってもしらないぜ?」
「ゆっ……。と、とかいははのうりょうにこわいはなしをたのしむのよ!ゆっくりきいてあげるわ!」

「はいはい。じゃ、読むぜ。……『記憶を追ってくる女』……。」




参ったな、こりゃ。と、魔理沙は思った。読んでる最中は大したことは無かったのだが、いざ暗くなるとなんともいえない不安を感じてしまう。
「ふぅ。期待外れだぜ。」
「とかいはにはこわくないわ!」
などと、ゆっくりありすと話していたのに。全く、情けない話だ。
さらに情けないことに、さっきから小用を我慢し続けている。
何故か?それは、当然怖いからだ。
「うう、本当に情けないぜ……。」
とはいえ、当然漏らすわけにはいかない。意を決して厠に行くことにした。が。
もぞっ。
「へ?」
布団からでてすぐに変な音がした。辺りを見ると、なにか生首のようなものが見え……
もぞぞぞぞっ!
「ぎゃああああああっ!」
「ゆ"う"ぅぅぅぅ!!!」






「全く、びっくりさせんなよありす。」
布団の中で、魔理沙はゆっくりありすを抱き抱えていた。あの、もぞっと動く怪物体は、魔理沙と一緒に寝ようとしたゆっくりありすだった。
「ゆうう、ごめんなさい…。とかいはのありすにもやっぱりこわかったの……。」
魔理沙の腕の中でプルプル震えながらありすが言った。
可哀相に、そんなに怖かったのか、と一瞬魔理沙は思ったが、
「私もおんなじだよ。ちょっとばかり怖かったぜ。」
と言った。
そして、二人は朝になるまで……物音にびくつきながらも、互いに身を寄せあって過ごした。




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最終更新:2008年12月01日 19:00